2020.9.3
DIAURA@LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
単独公演「愚民の日2020」

今年1月26日にTSUTAYA O-EASTでの9周年記念公演を終え、間髪入れずに3、4月にシングル『ENVY』『Hydra』を2ヵ月連続リリース、それらを手に全国ツアーを開催予定だったDIAURA。だが、コロナ禍の影響により、3月以降の全てのライブが延期・中止に。そんな先の見えない状況の中、早くも5月23日、彼らは毎年恒例の9月3日「愚民の日」公演の開催を発表したのだった。もちろん、表舞台に立つことが許されない期間も、YouTubeでの様々な配信企画や、新曲「獄彩」の配信リリース、スタジオライブを収めたDVD『STUDIO LIVE FILM「VS」』のリリースなど、バンドとして発信を止めることなく、あくまでDIAURAなりのスタイルで活動を続けてきた。

かくして9月3日、遂に「愚民の日2020」が実現する日がやって来た。政府や自治体のガイドラインに則り、万全な感染予防対策を施した上での開催ゆえに、本来の形とは異なるものの、これまでDIAURAはいわゆる“配信ライブ”というものも行っていないため、正真正銘、実に約7ヵ月ぶりのステージとなった。また、この日の会場であるLINE CUBE SHIBUYA=渋谷公会堂は、彼らにとって思い入れのある場所であり、2013、2015年に続く3度目の“渋公ワンマン”。そんないくつもの状況、思いが重なった日、DIAURAの原点とも言える「DICTATOR」で雄々しく幕を開けると、「独裁の庭へようこそ! 帰って来たぞ!」とyo-ka(Vo)は高らかに叫び、背面に映し出された燃え盛る炎は、yo-ka、佳衣(G)、翔也(B)、達也(Dr)の4人の意志を表しているかのようだった。

「待たせたな!」(yo-ka)と「ENVY」が放たれると、それまで様子を伺っていた観客も総立ちとなり満場の拳が上がれば、続く「シャングリラ」では、〈僕は君を愛したい〉の一節でyo-kaが「愚民ども! 死ぬほど愛してる」と投げかける場面も。そして「いよいよこの日が来ました。普段だったら何を話そうか多少決めてくるんですけど、今日は決めずに来ました。何を感じるかわからないから。踏み出したこの一歩は、確かな一歩だと思います。来られない愚民がいるのは本当に悔しいです。色々な思いを抱えて、燃え尽きてやろうと思って4人でここに立っています。今、お前たちの姿、拳を見て、いけると思いました。物理的な意味ではなく、俺たちと愚民なら、ソーシャルディスタンスの壁なんて、ぶっ壊せるなと思いました」と告げたのだった。

この日のセットリストは、ツアーが延期されたことにより披露される場を失っていた『ENVY』収録の3曲、『Hydra』収録の3曲が本編前半と後半に分けてそれぞれ組み込まれ、衣装も前半は『ENVY』、後半は『Hydra』のもので展開していったわけだが、この二作は対比を重視して作り上げられたものであり、1ステージでその全てを表現することは、この日だからこそ実現できたことだろう。yo-ka曰く“怨念”も、これで晴らすことができたに違いない。

「Hydra」のMVが披露された後、同曲でスタートした後半戦。ミディアムバラード「ポワゾ」が奏でられた場面では、漆黒の4人と背面に映し出された彼岸花の鮮烈な赤が、まるで『ENVY』と『Hydra』の対比を表しているかのようであまりにも美しかった。「Promised Land」でこの二作を完結させると、「ホライゾン」によって黒い羽で私たちを明るい未来へ導いてくれるようだった。

そして「この独裁の庭、俺たちがずっと守って来た庭は、今までも大切な場所だと思ってきたけど、俺たちにとって、そしてお前たちにとっても、幸せな場所なんだと思いました。これから先、何かを変えなくちゃいけないとしても、この庭を一緒に守っていきましょう。付いてきてくれる限り、俺たちもお前たちを守ります」(yo-ka)と告げた後、「半年以上味わってきた色々な感情、痛み、そこにはきっと意味があります」と、外出自粛期間の間にリレー作曲という形で制作された最新曲「獄彩」を披露。このとき全員で力強く掲げた拳は、この場に居合わせた全ての人たちにとって、忘れられないものになっただろう。さらに、「愚民党に、そこにある未来に、栄光あれ!」という絶叫から「愚民党賛歌」が放たれ、「心からありがとう! 心から愛してます!」というyo-kaの言葉をもって本編ラストを迎えたのだった。

アンコールでは、事前収録されたメンバーのコメント映像と10月14日にリリースされるシングル『最果てに降る雪』から「マリンスノウ」のMVを初公開。新衣装を身に纏った4人が再び登場すると、粉雪が舞い降る中、同曲を披露し、最新のDIAURAの姿を示してくれた。さらにyo-kaの口から、「可能な限り、伸ばせる手は伸ばしたい。できる範囲で歩幅を決めて進みたいと思います」と、新たに全国ツアーと自身の生誕祭の開催が発表され、場内は大きな拍手に包まれた。

現状におけるライブの開催については、アーティストによって千差万別の考え方があるが、翔也からも「想像の5倍くらい良い景色でした。世間的には配信ライブとか、新しい形というものがあるけど、やっぱりこの空間が好きだから、もうちょっとこの形に固執させてください」とあった通り、様々な葛藤の末にDIAURAはこの答えを導き出したのだ。「ライブ会場に行けること自体が嬉しいと思う」という「愚民の日」に対しての達也の発言に頷いた人々も多かったことと思うが、それは今後のライブにも当てはまることだろう。また、佳衣は「緊張感はあったけど、嬉しさのほうが大きくて。やっぱりライブっていいなと。どんな状況でも音楽が消えることはないので、これからもよろしくお願いします」と、その思いを伝えたのだった。

会場の制限時間いっぱいまで使い、この日のラストを飾ったのは、DIAURA新章の幕開け、彼らの真実を歌った「SIGNAL」だった。この楽曲は2019年に体制を一新して最初の作品『FINALE-Last Rebellion-』に収められたものであり、同年の「愚民の日」の最後に初披露した曲でもある。さらに言えば、2014年の「愚民の日」にリリースされた「blind message」、2017年の「愚民の日」で初披露された「愚民党賛歌」など、まさにこの日のセットリストは最新のDIAURAと「愚民の日」に焦点を絞ったものだったと言えるだろう。それは、今この状況下だからこその選択であるとともに、9月3日という日が、DIAURAにとって最も大切な日であること、すなわち愚民たちへの深い愛情が表れた結果なのだと思う。

「踏み出せることが本当に嬉しかったです。本当にありがとう。世界で一番幸せな独裁の庭でした。愚民ども、独裁の庭でまた会おう」(yo-ka)――こうしてDIAURAと愚民たちの7ヵ月ぶりの再会の日は幕を下ろした。いつか信じた未来は存在しないとしても、この世界にたったひとつだけの歌がある。もう夜は明ける――。

◆セットリスト◆
01. DICTATOR
02. ENVY
03. シャングリラ
04. 新世界
05. DRAIN DRAIN
06. 胎動
07. inner core
~Hydra MV~
08. Hydra
09. FAKE[s]
10. blind message
11. ポワゾ
12. Promised Land
13. ホライゾン
14. 獄彩
15. 愚民党賛歌

~コメント動画・マリンスノウ MV~
En
01. マリンスノウ
02. SIGNAL

(文・金多賀歩美/写真・尾形隆夫)


【リリース情報】
●New Single『最果てに降る雪』
2020年10月14日(水)発売
(発売元:株式会社フォーラム 販売元:ダイキサウンド株式会社)

[初回限定盤A Type](CD+DVD)NDG-013 ¥2,000+税

[CD]
01. アシッドスノウ
02. マリンスノウ
[DVD]
マリンスノウ(MV)

[通常盤B Type](CD)NDG-014 ¥1,500+税

[CD]
01. アシッドスノウ
02. マリンスノウ
03. NIGHTMARE

【『最果てに降る雪』インストアイベント情報】
10月17日(土)エンタアキバ
10月18日(日)タワーレコード新宿店
10月24日(土)自主盤倶楽部
10月25日(日)ライカエジソン東京店
12月25日(金)ライカエジソン大阪店

【ライブ情報】
●『Evil’s Night Party2020』yo-ka生誕祭
10月31日(土)新宿BLAZE

●『edge of silence』tour
11月6日(金)高崎clubFLEEZ
11月7日(土)高崎clubFLEEZ
11月13日(金)札幌SPiCE
11月14日(土)札幌SPiCE
11月16日(月)青森QUARTER
11月18日(水)仙台RENSA
11月19日(木)郡山HIP SHOT
11月28日(土)福岡DRUM SON(※7月14日振替公演)
11月29日(日)福岡DRUM SON
12月4日(金)岐阜柳ヶ瀬Ants
12月5日(土)名古屋E.L.L
12月12日(土)HEAVEN’S ROCK熊谷VJ-1
12月13日(日)浦和NARCISS
12月19日(土)新横浜NEW SIDE BEACH!!
12月20日(日)柏PALOOZA
12月24日(木)静岡snash

Tour Final『edge of [deep] silence』
12月26日(土)大阪BIG CAT

DIAURA オフィシャルサイト https://diaura.net/