DIAURA

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コロナ禍での有観客ライブ「愚民の日」公演を完遂させたDIAURAが、最新作『最果てに降る雪』で描く切なる願い。

3、4月にシングル『ENVY』『Hydra』を連続リリースし、それらを手に開催予定だった全国ツアーがコロナ禍の影響により延期となってしまったDIAURA。そんな中でも、YouTubeでの配信企画や、新曲「獄彩」の配信リリース、DVD『STUDIO LIVE FILM「VS」』のリリースなど、バンドとして発信を止めることなく、9月3日には実に約7ヵ月ぶりの有観客ライブとなったLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)での「愚民の日」公演を実現してみせた。そんな彼らが、このコロナ禍に完成させたシングル『最果てに降る雪』の全貌とは。新たに全国ツアーの開催も発表しているDIAURAの4人に、今春以降の活動とライブに対する思い、そして最新作についてじっくりと話を聞いた。

◆例え何があってもメンバーが4人存在していれば、ちゃんとDIAURAになる(佳衣)

佳衣

――前回の『ENVY』 『Hydra』の取材は2月で、あの頃はコロナの状況が徐々に怪しくなっていっている段階でしたが、その後まさかこんな事態になるとは。DIAURAも3月以降のライブが延期や中止になりましたが、YouTubeでのトーク配信企画なども行いながら、7月1日には「獄彩」が配信リリースとなりました。これは自粛期間中にリレー形式で作曲されたということで、この方法で制作してみて何か得たものはありますか?

翔也:失ったもののほうがデカい(笑)。自宅で映像(※制作過程をFC会員限定で公開)を撮らなきゃいけなくて、部屋の感じがわかっちゃったのが…(苦笑)。

yo-ka:あー。あまりよろしくないね。

翔也:対面もできないからそうするしかなくて。多分、俺の映像はDIAURAのイメージとは違うものになっていたと思いますね。思いっきり窓とか映っていたので、生活感はありましたよ(笑)。

――確かに、このコロナ禍は配信で色々な方の自宅が見られてしまうというのはありましたね。

yo-ka:そう、それすごく嫌ですよね。ヴィジュアル系なのに(笑)。俺は背景を黒にしましたもん。あまり見せたくない。

翔也:映像を自分で撮ったのも初めてだったから、最初はそこまで気が回っていなかったのもありますね。撮ることに必死で(笑)。

――(笑)。得たものはないですか…?

佳衣:どんな状況であっても音楽を作るということはずっと続けていたので、そういう意味では、例え何があってもメンバーが4人存在していれば、ちゃんとDIAURAになるんだなと改めて思いましたね。

達也:曲をこうやって作っているんだという行程をファンの方に見せる機会って、普段ないじゃないですか。だから喜びの声もたくさんあって、形はいつもとは違ったとは言え、この期間だからこそ新しいものを見せられたのは良かったなと思いますね。

yo-ka:制作に関しては、俺は普段と何も変わらないんですよ(笑)。ドラム、ベース、ギターがあって歌だから。ただ、先が何も見えない時期だった中、3人が繋いで重なった音を聴いて、前に前にというエネルギーを感じて。やっぱりそれぞれのモードが反映されるんですよね。すごくリアルだなと思ったし、だからこそ自分も直球で、抱えていたネガティブも全部隠さずに書こうと思わせてくれました。そういうのも今のDIAURAのリアルなんだなと。だから、コロナになんて負けないなという気持ちにもなれました。

――8月にはスタジオライブを収めたDVD『STUDIO LIVE FILM「VS」』のリリースもありましたが、これも初めてのことで。しかも、玉手箱仕様なんですよね(笑)。

yo-ka:そうそう、そうなんです! ヴィジュアル系にときめきを、というコンセプトです。

――そもそも、この仕様(※DVDとして情報が発表されていたが、実は5曲収録DVDと6曲収録CDの2枚組仕様)の発案はどなただったんですか?

yo-ka:俺ですね。今って制作に追われているからなのか、CDを手にした時にあまり「おぉっ!」という感覚がないし、いつしかそれに慣れてしまっているというのがどこかにあって。昔の色々なバンドのCDを俺たちは知っているじゃないですか。ベタな話、CDを再生してみたら99トラック入っていて、最後の最後に「ぅわー!!」って入っているものとか。そういう「何だこれ!?」っていう気持ちに自分自身もなりたかったというのもあって。まぁ、ちょっとやり過ぎましたけどね(笑)。

――実際手にしたファンの方々からの反応はいかがですか?

佳衣:やっぱり仕様に驚く人たちがすごく多くて、その収録内容にも喜んでくれていますね。それこそ、昔ってCDの形一つにしても、それも表現方法の一つだったと思うんですよ。俺がすごく覚えているのが、CDの盤の裏を赤にしてみたり、ケースを開けたらCDがなくて、それを裏返したところにCDが入っていたりとか。そういう驚きっていうのはこのジャンルならではだと思うんですよ。全体を通して一つの作品にできたので、それを喜んでもらえたのはすごく良かったなと思います。

翔也:選曲に関しては色々と反応がありましたね。やっぱりこういう時じゃないと選べないような曲だったなとは思うし、打ち合わせをしたわけじゃなく各々選んだんですけど、メッセージとしてもすごく面白かったなと思いますね。歌詞の意味とか、今っぽいなと。

――「獄彩」以外はそれぞれ1曲ずつ選んだということで(yo-ka「SIRIUS」、佳衣「DRAIN DRAIN」、翔也「Promised Land」、達也「[dignity]」)、メンバーが選んだ楽曲は、意外と思うものはなく納得の結果でしたか?

翔也:それはないだろうと思うようなものはなかったですね。

yo-ka:うん、なるほどねっていう感じ。

達也:ファンの方からは「想像よりも画がめちゃくちゃこだわっていてビックリしました」という感想が結構多かったですね。スタジオでの演奏を見せるというのは、これまでに数回あったんですけど、その時は定点カメラとかだったんですよね。今回はMVのクオリティーというか、MVとはまた違うんですけど、生のライブ感を出すために色々とこだわってもらってリアルな映像を届けられたので、画質の良さ、映像の切り替わりも含めて、ビックリしたという声が多かったです。それと、別ジャンルで音楽をやっている友達が観てくれて、「今までで一番好きだな」と言ってくれていました。良い意味で印象が変わったと。

――それも嬉しい反応ですね。

◆「愚民の日」をやらないっていう選択肢がなかった(翔也)

翔也

――そして、9月3日に「愚民の日2020」が無事に開催されましたが、去る5月23日に詳細未定ながら公演開催が発表になり、有観客での開催ということは7月24日の発表だったということで。

yo-ka:DIAURAの象徴的な日だから、とにかく「やる」と。どんな形であろうと、やっぱり「愚民の日」をなくしちゃいけないだろうというのは皆の意見だったから、割とスッと決まりました。

達也:最初は無観客の可能性もあったけど、何が何でもやりたいという意思はありましたね。

翔也:4人の中で、やらないっていう選択肢がなかったんでしょうね。

――ちなみに昨年は「愚民の日」の翌日に『FINALE-Last Rebellion-』の取材だったのですが、今年は体力的にそんなことは考えられないくらいだったのではと。疲労度がすごかったようで。

佳衣:確かに、翌日は全く動けなかったですね(笑)。

翔也:ヤバかったですね(笑)。バキバキでした。

yo-ka:寝たきりでしたね(笑)。

――本来は春に『ENVY』『Hydra』の二つのベクトルを持って一つのツアーを回ることが醍醐味のはずでしたが、それが叶わなかったというところで、1ステージで両方の作品を表現できたことは、この公演ならではでしたし、絶対にやりたいことだったんだろうなと。

yo-ka:LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)だからこそできたことですよね。ライブハウスなどのもっとデッドな場所だったらできなかった表現です。渋公を最大限に生かせる演出にしたいなというのがありました。単純に「Hydra」なんてお客さんはライブで一度も観ていないし、そういうのを考えたら、あの日は全部乗せくらいの気持ちでしたね。

――換気タイムと衣装チェンジという、現実的な問題と演出面をうまく擦り合わせられていたことが素晴らしかったなと。

yo-ka:使えるものは使おうと。ネガティブな換気タイムはつまらないですからね。一気に現実に引き戻されてしまうし。だからそれもライブの一部にしてしまうというか。影アナまで自分で作ったり、1本を通して繋がっているんだなという感覚にさせたかったですね。

――「愚民の日」で、ほぼ半分(全17曲中8曲)が新曲というのは珍しいですよね。事前にセットリストをいただいていたのですが、個人的には見た瞬間に「あ、なるほど…!」とすごく納得したんです。

yo-ka:おぉ、そうなんですね…!

――「DICTATOR」で始まることも、『ENVY』『Hydra』の全曲や「獄彩」「マリンスノウ」が入っていることも、それ以外の選曲も…実際ライブを観て、やっぱり全てがこの日に必要だっただろうなと感じたし、その意図がとても理解できるというか。この選曲はyo-kaさんのモードが決まってからはスパッと決まったそうですね。

yo-ka:そうですね。ずっと棚上げしてきて、そろそろ突かれるだろうなという頃合いに腰を据えて考えました(笑)。でも、もう本当に一つのイメージしか出てこなかったです。例えばツアーだったら、パターンをいくつか考えるんですけど、この日は他に考えようがなかったですね。というくらい、今年の「愚民の日」はこれだったんです。

――実は、元々のセットリストにはアンコールの最後にあと1曲「MASTER」が記載されていて。変更があったのか、本番でリアルに時間がなくなって急遽カットされたのか、どちらだろうと思っていました。

yo-ka:会場の時間の都合で、あの場での判断ですね。

翔也:本当に、アンコールのMCの時に促されました(笑)。

――MCも、超巻きのMCでしたもんね(笑)。

全員:(笑)

翔也:本当は自分もあの場でもっと言いたいことがあっただろうなと思いますもん(笑)。

yo-ka:でも、もしかしたら仮に時間があったとしても「MASTER」はやらなかったかもしれないです。愚民たちは声が出せなかったじゃないですか。そういう中で、拍手や眼差しで精一杯、独裁の庭を一員として作ってくれている愚民たちがいて、それを感じながらアンコールを迎えていたので、そこで「お前たちのマスターは誰だ!?」って言うのは何か違うなという感覚はあったんですよ。だから、最終的に翔也に突っつかれて「ヤバい」と聞いて、やっぱり今じゃないなと。あの曲は満を持してやりたいという思いも芽生えました。多分、一番テンパってたのは達也ですね(笑)。

達也:急に「ラスト」と言ったので、ビックリしましたね(笑)。何か話し合ってるなというのは見えたんですけど、あ、残り1曲なのかと。

――(笑)。アンコール前の映像の中でも「MASTER」の話をしていましたもんね。

yo-ka:本来はやるつもりでしたからね。セットリストを組んだ時は、今の不自由に挑みたい気持ちで「MASTER」をチョイスしたんです。

――メンバーの皆さんは、今回のセットリストを見て「is DEAD」が入ってないなと思ったそうですね。

翔也:そうですね。あと、「失翼の聖域」もやってないなと。大体、大事なライブ…ましてや渋公では絶対やってきた曲だったので。

yo-ka:あと「GARDEN」とかね。

翔也:そうそう。それも入らないというのは、やっぱり新しい形という感じはしましたよね。

佳衣:今回のセットリストは確かに新曲が多いんですけど、自分たちの中であまり新曲という感じがしてなくて。スタジオライブで演奏はしてきた曲なので、それを目の前で聴いてもらうか、もらわないかの違いだけというか。新曲という感覚よりも、とにかく聴いてほしいという思いが強かったので、純粋にあの場で演奏できたことが良かったなと思います。

――やっぱりファンの方々が目の前にいるのといないのとでは、心持ちは違いますか。

佳衣:気持ち的にはライブが始まってしまえば、いつもの感覚が戻ってきたので、逆にそれが不思議だったんですけど、やっぱり体が覚えているんだなと思いました。でも、この先どうなるかわからない状況で、この1回のライブが終わったら次いつできるんだろうという思いはあったので、とにかく悔いは残したくないなという思いはすごく強かったですね。

――今はまだ有観客ライブでもアーティストによって形が様々で、アコースティックに限っている方々や、バンド形態でも観客を着席スタイルにしている方々もいます。今回のDIAURAは、諸々の感染予防対策は講じた上で、公演中のルールとしては声援のみ禁止という形だったわけで、制限がある中でも、いつもの光景に近いものは作れるんだなと感動しました。

yo-ka:多分、本当は皆やりたいんですよ。ただ、踏み出すか踏み出さないかというだけで。もちろん、踏み出すことが正しいとか正しくないとかじゃないんですけど。でも、俺たちガイドラインに忠実に従っただけなんですよね。俺もめちゃめちゃ読んだし、相談もしました。声を出しちゃダメとか、お客さん同士触れ合っちゃダメとかは明記されているんですけど、頭振るななんて書いてないし、跳ぶななんて書いてないんですよ。ただ、その向こうに何があるかっていうのは言い出したらキリがないですから。佳衣が言ったように、俺も後悔しないようにやりたかったし、愚民にも後悔してほしくなかったんです。やっぱり、インストアイベントの時とかに「(ライブで)頭振っていいんですか?」とか聞かれたんですよね。本当は皆、お客さんもバンド側もやりたいという思いがあるから、じゃあ今どこまでできるのかなっていう部分の探りであって。本当は皆ああいうライブはできると思うんですよ。だから、躊躇するのも変だし、俺たちはあの形でやって良かったなと思いますよ。

◆今できる存在証明、存在の示し方(yo-ka)

yo-ka

――この度、『最果てに降る雪』がリリースとなります。このタイミングにシングルを出すことは、いつ頃から決めていたのでしょうか。

yo-ka:コロナ禍になる前ですね。いつもはリリースして、ツアーをして、その後に何をやろうかというのを作品として考えるんですけど、1枚できたらまた次の作品が見えてくるという感じではありますね。あまり遠いものを作ってしまうと、そこに合わせる形になってしまうじゃないですか。それも嫌なので、なるべくリアルなものをリアルに出したいというのはありますよね。

――今回、制作段階でコロナ禍に出す作品ということを意識した部分はありますか?

佳衣:俺はコロナ云々というのは全く意識していなかったですね。純粋に10周年というのを意識していて、そこに向かう10周年前の最後のリリースになるので、そこが自分の中では結構重要だなと思っていました。そうこうしているうちにコロナがやって来たので…予想外です(笑)。

yo-ka:ただ、やっぱり歌詞には反映されますよね。特に「マリンスノウ」「NIGHTMARE」は本当にコロナゆえの歌詞ですね。そこで考えさせられたものというか。

――曲タイトルを作品タイトルにしなかった理由というのは?

yo-ka:マリンスノウって深海に降る雪で、実際はプランクトンの死骸とかなんですけど、そのイメージがバーッと見えた時に、「マリンスノウ」だと深海の景色しか見えなかったんですよ。でも、「アシッドスノウ」をその前に付けることによって、冷たい冬に降る雪とマリンスノウというダブルミーニング、情景が広がって。「マリンスノウ」のプロローグ的なものとして「アシッドスノウ」があるので、それを一つの世界で見て、どちらかだけでなく全体を表すタイトルにしたかったんです。

――収録曲順2曲目である「マリンスノウ」がMVになっているのは、シングル作品としてはなかなか珍しいなと思っていたのですが、「アシッドスノウ」がプロローグの位置付けということで、納得できました。

翔也:言われてみれば、珍しいかもしれないですね。

――「獄彩」に〈仄暗い水底に沈む〉〈消える前に証を残したい〉という歌詞があったので、そこから今作に通じている印象も受けたのですが。

yo-ka:書いたのが時期的に近いので、モード的な重なりはあると思うんですけど、この時期ってバンドが完全に止まっていたんですよね。そこで、「マリンスノウ」の〈忘却の彼方に〉というところから始まって、〈この世界を構成する(つくる) 一部としてでいい 存在して(生きて)いたいよ〉に繋がるわけですけど、人間の命、バンドの存在というものが、もしこのまま時が止まっていたらどうなるだろうかと考えたんです。DIAURAは存在していますけど、このまま止まったら、リスナーの中で概念になって埋れていく。人の命や記憶とマリンスノウを重ね合わせて書いたんですけど、そこに光を当てたいというか、俺はここに存在しているんだぞ、DIAURAはここに存在しているんだぞと、今できる存在証明、存在の示し方、自分の中ではそんな気持ちだったんですよね。切なる願いというか。それを残しておきたいなという思いがあって。それを持って冬ツアーを回りますけど、その時も世の中の不安というのは絶対に続いていると思うんですよね。だからこそ、その不安に響くもの、そしてそれが少しでも癒えるようなものであってほしいなと。曲も刺々しくなく優しさを感じるし、ネガティブがベースですけど、そこに光を当てるものになればいいなという思いです。

――各曲の聴きどころを伺っていきたいと思いますが、今回はあえてご自身のパート以外のポイントを教えてください。まずは「アシッドスノウ」から。

yo-ka:俺、「アシッドスノウ」はめちゃめちゃ好きなギターフレーズがあるんですよ。2Bの〈舞い落ちる粉雪が〉の部分なんですけど、メロディーがすごく気持ちいいところに行くんです。曲を流し聴きしていて、そこは歌よりもギターを聴いちゃうんですよね。「あれ? 1Bはこんなことしてなかったよな」と。あそこはめちゃくちゃ良いですね。

佳衣:俺はラスサビの転調してからの、最後の最後のベースの動いている感じが好きですね。あのパターンって王道じゃないですか。最後に行くにつれてどんどん盛り上がっていくという。でも、王道って安心感でもあると思うんですよ。だから、「あ、これだよね」というのはすごく感じました。

――確かに、あそこはグッと来ますね。

翔也:…って自分で言おうかと思っていたんですけど(笑)。うーん…、ヴォーカルなんですけど、最初のファルセットしているような感じは、耳にすごく残るなと思いましたね。

達也:3曲の中で「アシッドスノウ」の歌が一番儚さを感じるというか、より切なさを増しているなと感じますね。最後の部分とか、こんな表現ができるんだなと。俺はヴォーカルではないので歌の技術とか詳しくはわからないですけど、ストレートに悲しさや切なさが込められている表現が、シンプルにすごいなと思いました。

――ちなみに、この楽曲にある〈鮮やかな灰色〉というワードにハッとしました。

yo-ka:おー。実はそれは延期になった春のツアータイトル「BRILLIANT MONOCHROME」から来ているんですよ。言葉遊びですけどね。繋がっているという。

――ドラマですね。では、「マリンスノウ」はいかがでしょうか。

佳衣:この曲は最初が歌から入りますけど、イントロに入る直前の〈海の底で〉という部分の歌い回し、歌詞と相まった感じが、海の底感がすごく出ていて良いなと。ギターだと音だけで表現しますけど、ヴォーカルって言葉と声で表現するわけじゃないですか。その兼ね合いがすごく難しいんだろうなと。もし自分が歌をやるとなったら、絶対にそんなことできないなと思うんですよ。それくらいすごいなと思いますね。

――でも、この楽曲はギターがすごく海の底を感じるなと思いました。

佳衣:本当ですか(照笑)。

yo-ka:そうなんですよね。これは本当にギターの印象でマリンスノウが見えて歌詞を書いたので。底に向かってフワーッと沈んでいく、そういう感じがしたんですよね。小気味良いギターのカッティングが好きです。…あ、またギターを言っちゃった(笑)。

翔也:俺もギターなんですけど(笑)、1サビ終わりでズッチャーってリズムの裏から入るギターがすごく良いなと。あの音は秀逸だと思います。

達也:俺もギターになっちゃうんですよね(笑)。イントロ、間奏、アウトロにあるキメのフレーズ、あのギターがよく出て来たなと思うんですよ。DIAURAでは考えられないようなフレーズだったので、衝撃を受けました。こんなギターを鳴らしてもDIAURAになるんだなっていう。最初に聴いた時の印象は別ジャンルのバンドがやっていそうな曲調だったので、結構驚きましたね。それが全員の音が合わさったらしっかりDIAURAになったので、すごく可能性を感じられる曲だなと。作曲も佳衣ちゃんなので、その表現力がすごいなと思いましたね。

――何の違和感もなくDIAURAの曲として聴いていましたが、そう言われれば確かにDIAURAっぽくないフレーズかもしれないですね。それくらいこの曲はギターが重要な要素ということですね。

佳衣:今までにやったことのない音やフレーズなので、これまでとは耳障りの違うものができて良かったなと思いますね。

――それと、特に〈ほら見てごらん〉のブロックが、とても今を感じる歌詞だなと。

yo-ka:納得がいかないものって色々とあるじゃないですか。こういう時って何かを否定しがちだし、敵を作りたくなるけど、そういうことではないんじゃないかなと。何事においても今って大事なものを見失いがちなタイミングだと思うので、これは自分に対して言っています。

――では最後に「NIGHTMARE」ですが、タイトルイメージ通りのダークかつ重めで、一癖ある曲です。

佳衣:これはイントロのドラムのフレーズが、あのリズムだと普通は8ビートを叩きたくなるところを、ハイハットが裏にいっていたり、ちょっと面白い感じになっているのが良いなと思いますね。

翔也:俺は歌詞ですね。年々ストレートみを増していくなと。俺は別ジャンルで育ったから、あまり難しい言葉はわからないですけど、それでもわかりやすいというか。そういうキャッチーさが年々増しているなと思いますね。「獄彩」の時もすごく思いました。

――この歌詞はどのような思いで書いたのでしょうか。

yo-ka:「マリンスノウ」はすごく繊細な俺が書いているんですけど、「NIGHTMARE」は俺の中の破滅願望というか、やけっぱちなモードで書いていて。コロナ禍で色々なものと向き合って、思い悩むこともいっぱいあった中で、「でもさ」って言うハードな俺もいるんですよね。「どうせ終わるんだから」っていうところから書き始めた極論です。多分、書いていたのは緊急事態宣言中か、その前くらいだと思うんですけど、バンドが止まって、色々と考える中での半ギレというか。だから〈死んで見せてよ〉っていうワードとかに繋がったんだろうなと。でも結局、死ぬ間際に今を振り返れば、ラスサビ前にある〈束の間の悪い夢〉だと思うんですよ。人生なんて結局これの積み重ねですから。っていうのがキーですね。開き直り、やけっぱちのその先に、希望なのか絶望なのかわからないですけど、何かしらあるじゃないですか。それをちゃんと見届けたいなという思いがあったから、ライブ向けの曲がいいなと、こういう曲調にもなって。だから、絶望に振り切れない感情、心理的には色々なグラデーションになっている歌詞ですね。

――他パートのポイントはいかがでしょう?

yo-ka:Bメロのベースのうねりというか。俺、何か言ったっけ?

翔也:最初はもっとめちゃくちゃ動いていたんですよ。それをちょっと抑えて、ドラムとの絡みをちょっと増やしつつという感じで、この形になりましたね。

yo-ka:ベースを変えてから、メロディーとの相性も良くなったんですよね。全体的にハマりが良いというか、塊感があるというのは聴いていて気持ちいいですね。

達也:メンバーが弾いている音じゃないんですけど、イントロのシンセで鳴っている音がインパクトがあるんですよね。フレーズのゴースト感がすごいなと思って。まさに「NIGHTMARE」という曲名にピッタリのフレーズで、この曲が成り立っている第一のポイントだと思いますね。あれがあっての「NIGHTMARE」だなと。

佳衣:あれは最初にyo-kaが作った段階からあったもので、音を差し替えました。やっぱりこの曲を象徴するのはこのフレーズなんだろうなというのは聴いてわかったので、そういうところはちゃんと生かしたいなと思いましたね。

――ちなみに、ラスサビはバスドラがドコドコ言っていますね。

達也:そうですねぇ。「アシッドスノウ」はあえて隙間を作ったんですけど、「NIGHTMARE」は隙間を埋める曲だなと感じたので、ちょっと入れたくなっちゃいましたね。

◆俺たちはこういう見せ方をしたいんだということを突き詰めた結果(達也)

達也

――11月6日からスタートする全国ツアーは有観客で行うことが発表されています。「愚民の日」にも「もうちょっとライブという形に固執させてください」という翔也さんの発言がありましたが、配信ライブというものが珍しくなくなったコロナ禍において、それをこれまで一度もやってこなかったDIAURAなりのライブに対する考え方を伺いたいなと。

yo-ka:すごく難しいところなんですけど、正直、配信ライブってライブではないじゃないですか。それが第一ですね。新しい技術や時代の動きが、そういう方向にシフトしていくというのは全然良いと思うんですけど、自分としてはやっぱり違和感。だってライブじゃないんだもんって思ってしまうので、そもそも無観客生配信をやりましょうという話にならなかったんですよね。そういうバンドなのかなと。まぁ、そういうのをやらないために、『STUDIO LIVE FILM「VS」』を出したりしているので、配信ライブが全てではないんじゃないかなと。それをやるんだったら、別の道を探したいなと思いますね。やっぱりライブは愚民がいてライブだと思うので。

――ここまで来たからには、DIAURAにはこの先も配信ライブをやらないというスタイルも貫いてほしいと思ってしまいます(笑)。

全員:(笑)

翔也:やったらどうするんですか(笑)。

yo-ka:予定はないですよ(笑)。

――ちなみに「愚民の日」終演後に、翔也さんは「やっぱライブだわ〜やっぱライブだわ〜やっぱライブだわ〜(大事)」とツイートしていましたよね。

翔也:もうそれしか言うことがなかったです(笑)。ていうか、むしろ皆もそう思っているでしょっていう感じはあったので。こういう世界になって、無観客配信を何かのタイミングでやらなきゃいけないのかなとは思っていたんですけど、「愚民の日」をやってみて、それは自分たちがワクワクしない状況でやらなきゃいけないということだったんだなと、目の前にお客さんがいる状態でライブをやったら、やっぱりこれだなと思っちゃったんですよね。すごくアナログなバンドなのかもしれないですけど、もうちょいやれる余地はあるんじゃないかなという気はしたので、模索させてくださいという感じですね。

達也:変な話、「投げ銭とかも全然するから、配信ライブをやってください」という声もたくさんあったので、求められているのかなとは思ったんですけど、やっぱり自分たちが見せたい表現がそこではなかったんですよね。そういう考えの人たちが集まったのがDIAURAなんだと思います。周りがやっているから自分たちもという考えも否定はしないんですけど、それよりも自分たちなりの、俺たちはこういう見せ方をしたいんだということを突き詰めた結果でした。その分、トーク配信をしたり、DVDを出したりという違った活動ができて、またちゃんと会える時まで待っていてくださいねというメッセージは届けられたと思うので、納得いく活動ができたなと胸を張って言えます。

佳衣:実際、ライブをやって感じられることのほうが多くて、それって来てくれたお客さんも自分自身もそうだと思うんですよね。配信ライブをやって、カメラの向こうの観てくれている人たちに何かを送ることはできますけど、やっぱり目の前にいる人たちに送ったほうが絶対届くものってあると思って。そういう意味でも、配信ライブを否定するわけじゃないですけど、やっぱりライブって大事なものだなと感じていますね。

yo-ka:「愚民の日」をやって確信できたのは、何があろうとDIAURAである、その姿を見せられるということで。色々と制限がある中で回るツアーではありますけど、それでもちゃんとDIAURAとして手を伸ばしに行きたいと思っているので、掴みに来てほしいなと思います。こんな時だからこそ、今しか見られないDIAURAというものを届けたいなと思います。

(文・金多賀歩美)

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ARTIST PROFILE

DIAURA

<プロフィール>

yo-ka(Vo)、佳衣(G)、翔也(B)、達也(Dr)から成るロックバンド。「独裁的なオーラを解き放つ」という意味合いを持つ「Dictatorial Aura」をコンセプトに、2011年1月より活動開始。2012年3月、1stフルアルバム『GENESIS』をリリース。2013年12月には自身初の渋谷公会堂公演を成功させた。その後も47都道府県ツアー、二度の中野サンプラザ公演、服部緑地野外音楽堂での野外ライブなど精力的に活動を展開。2019年8月、レーベル「N.D.G」を設立し、10月にシングル『FINALE-Last Rebellion-』、2020年3月に『ENVY』、4月に『Hydra』をリリース。9月3日には恒例の「愚民の日」公演をLINE CUBE SHIBUYAで開催。11月6日より全国ツアーの開催が決定している。

■オフィシャルサイト
https://diaura.net/

【リリース情報】

New Single『最果てに降る雪
2020年10月14日(水)発売
(発売元:フォーラム/販売元:ダイキサウンド)

最果てに降る雪
[初回限定盤A Type]
(CD+DVD)
NDG-013
¥2,000+税
amazon.co.jpで買う
最果てに降る雪
[通常盤B Type]
(CD)
NDG-014
¥1,500+税
amazon.co.jpで買う

【収録曲】

[初回限定盤A Type]
[CD]
01. アシッドスノウ
02. マリンスノウ
[DVD]
マリンスノウ(MV)

[通常盤B Type]
[CD]
01. アシッドスノウ
02. マリンスノウ
03. NIGHTMARE

【ライブ情報】

●yo-ka生誕祭「Evil’s Night Party 2020」
10月31日(土)新宿BLAZE

●DIAURA ONEMAN TOUR2020「edge of silence」
11月6日(金)高崎clubFLEEZ
11月7日(土)高崎clubFLEEZ
11月13日(金)札幌SPiCE
11月14日(土)札幌SPiCE
11月16日(月)青森QUARTER
11月18日(水)仙台RENSA
11月19日(木)郡山HIP SHOT
11月28日(土)福岡DRUM SON(※7月14日振替公演)
11月29日(日)福岡DRUM SON
12月4日(金)岐阜柳ヶ瀬Ants
12月5日(土)名古屋E.L.L
12月12日(土)HEAVEN’S ROCK熊谷VJ-1
12月13日(日)浦和NARCISS
12月19日(土)新横浜NEW SIDE BEACH!!
12月20日(日)柏PALOOZA
12月24日(木)静岡snash

Tour Final「edge of [deep] silence」
12月26日(土)大阪BIG CAT