2023.09.03
DIAURA@Zepp Haneda
「愚民の日2023」

1年前の9月3日、「DIAURAがDIAURAである限り、愚民たちが愚民たちである限り、君たちの9月3日は俺たちがいただきますから」とyo-ka(Vo)が発した通り、2023年もこの日がやって来た。去る2013年、ファンクラブ「愚民党」が正式に発足され、同年より9月3日を「愚民の日」として様々な施策を展開、2016年以降はこの日にワンマンライブを行うことが恒例となったDIAURA。制定から満10年となる2023年9月3日、彼らはZepp Hanedaで愚民たちと11回目の大切な記念日を迎えることとなった。

近年のDIAURAとしては比較的大きめの会場であると共に、コロナ禍での声出し解禁以降初の「愚民の日」となった今回。そこに向けるバンドの思いは例年に増して強いもので、衣装もこの日のために一新、アーティスト写真をZepp Hanedaで撮影し、7月には「愚民の日」に向けた楽曲「PROVE」を配信リリースするなど、その心の火を燃えたぎらせていたのだった。

そもそも2023年のDIAURAは年始早々から戦闘態勢だったが、yo-kaがフラッグを高らかに掲げながら登場し、4月に発表した攻撃力満点のミニアルバムのタイトル曲かつリード曲である「ANTISM」がこの日の幕開けを飾ったのは、彼らの“挑む”気持ちの表れだったように思う。起爆力抜群の楽曲でステージ、フロア共にまさにトップギアのスタートとなった。なお、『ANTISM』自体がライブナンバー揃いの作品であるにせよ、最終的に本作収録の全6曲中5曲がこの日のメニューに組み込まれていた事実は、2023年の「愚民の日」を象徴するものと言えよう。

yo-ka

「声を出せる『愚民の日』がまた始められる特別な日。この日のためにいろんなものを仕掛けてやってきました。もう今日は何も考えることはない。思いきり感じ合って愛し合って、暴れ合うだけ。『愚民の日』はお前たち全員が主役だ。一緒に最高の庭を作ろう。俺たちは俺たちの全てをぶつけるから、お前たちの愛を全てぶつけてくれ! ここにいる誰も置いていかないから、ついてこい!」(yo-ka)

そんな言葉の後に演奏された「GARDEN」(2019年の「愚民の日」会場限定シングル)、「アウェイクネスダイヴ」(2018年の「愚民の日」に向けた無料配信曲)をはじめ、「愚民の日」にまつわる楽曲や愚民たちへの愛が歌われた楽曲が多く含まれていたことは、やはりこの特別な記念日だからこそ。その配置からも、バンドの愚民たちへの思いを表現する上で重要なポジションを担っていることは明らかだった。

本編最終ブロックでは、満を持して愚民たちへのメッセージが詰まった最新曲「PROVE」を披露した後、ラストには「全ての愚民たちに栄光あれ!」(yo-ka)というお決まりの言葉から「愚民党賛歌」を。白煙が噴出する中で4人がパフォームする姿はまさに絶景であったし、佳衣(G)のギターソロ中に翔也(B)がドラム台へ向かい、達也(Dr)と顔を合わせながらプレイしたシーン、ステージを後にする際に佳衣がオーディエンスに向けて拍手を送ったシーンも印象的だった。

佳衣

時系列は前後するが、本編中盤にアコースティックver.の「倒錯症レジスタンス」が組み込まれたことも、この日のトピックスの一つ。公式の表記上(Acoustic)とされてはいるものの、エレキギター、ベース、ドラムという楽器編成はそのままにムードをガラリと変えた、言わばジャズアレンジと呼んでもいいのではないだろうか。アダルトなDIAURAもまた乙なもの。なお、今夏に開催された愚民党限定の東名阪ツアーの中で披露してきたことが、この日につながったと考えるのが自然だろう。すなわちこれも愚民たちへの一つの愛の形だと言える。

そして、10月にリリースを控えている新曲「COLD SLEEP」が何の前置きもなく披露されたことは驚きでありつつ、ある種DIAURAらしいとも言えるものだった。そこには愚民たちに対する絶大な信頼と、何より音で感じてほしいという思いがあったに違いない。〈過去も未来も一つでいい〉というリリックが印象深い。そこから「ホライゾン」へと続き、眩い光が輝く中で繰り広げられるステージはあまりに美しい景色だった。

翔也

アンコールでは事前にアナウンスされていた通り、パートシャッフル(Vo.佳衣、G.yo-ka、B.達也、Dr.翔也)での「愚民党賛歌」の披露があったことがこの日ならでは。演奏を前に「各々がそれぞれのパートをリスペクトしたと思う」と佳衣が話すと、「感謝を伝えたい」とyo-ka&達也。「本編すごく楽しかったんだけど、アンコールで胃が痛くなってきた」と言う翔也に、佳衣が「わかる。いろんな意味で本編が終わってほしくなかった(笑)」と話すなど、並々ならぬ覚悟で臨んでいることがひしと伝わってくるトークが展開された。

無事に演奏を終え、本来のパートの立ち位置に戻った際、yo-kaが「俺はやっぱりここがいいです。君(佳衣)にはそこにいてほしいし、君(翔也)にはそこにいてほしいし、君(達也)にはそこにいてほしい。そしてお前(愚民)たちにはそこにいてほしい」と何気なく発した言葉が、何とも実感のこもったものとして響いたのが感慨深い。

その後、DIAURAというバンドの代名詞と言っても過言ではない鉄板曲「MASTER」、お馴染みのセンターにフロント3人が並ぶ場面が見られたのも嬉しい、彼らの始まりの曲「失翼の聖域」の連投でこの日一番の白熱ぶりを見せると、ラストナンバー「Garden of Eden」では場内にウィングハートが舞い降り、眩い光に包まれる中オーディエンスの手が揺れ、この上なく温かな光景が広がったのだった。

達也

「Garden of Eden」を披露する直前のyo-kaの言葉を記したい。
「今日に向けて『PROVE』という曲を作って、あれは証明という意味で、俺たちがコロナ禍も、そうじゃない時も、戦ってきた意味というのは俺たち自身が証明してやらないと、俺たちの歴史だからという思いで。そういうDIAURAの思いみたいなもの、お前たちと歩んできた時間を共有したかった。この『愚民の日』のことを考えるの、めちゃくちゃ楽しかった。100日前からのカウントダウンもワクワクしたし、こうして今このステージに立っている現実も本当に…最高です。俺たちDIAURAの道はこれからもずっと続いていく、続けていく、その覚悟でDIAURAをやっています。だから今日この大切な『愚民の日2023』、どうしても最後にこの歌を分かち合いたいと思って、ずっと描いてきました。これからもどんな戦いの場であっても、どんな逆境の中であっても、どんなに苦しい時であっても、どんなに楽しい時でも、この独裁の庭で一緒に生きていきましょう。全ての愛を込めてこの歌を」

そして、最後の最後には「俺たち、そしてお前たちがDIAURA。その誇りを持って、一緒にどんな壁もぶち壊していきたいと改めて今、強く思っています」とも。かくして幕となった「愚民の日2023」だが、新曲のみならず終演後に一挙に発表された多くの情報についてもステージ上では一切触れることはなかった彼ら。その真意は定かではないが、例年以上に特別な記念日となった「愚民の日2023」は、純粋に今現在考えられるベストなステージのみで完結させたいという思いがあったのではないかと推測する。

今後のDIAURAは、10月4日のニューシングル『COLD SLEEP』発売、それに伴う全国ツアー、大晦日のカウントダウンライブ、年明け1月20日の13周年記念公演、各メンバーのバースデーライブ開催と、相変わらず怒涛の展開が控えている。その全てに期待を寄せながら、改めて「『愚民の日』というものはDIAURAにしかないものだし、これからも大切に、最高のものになるように、9月3日をお前たちと一緒に歩んでいきたいと思います」というyo-kaの言葉があったように、DIAURAが生き続ける限り、これからも9月3日はこの独裁の庭で会おう。

◆セットリスト◆
01. ANTISM
02. 砂の塔-Tower of Imitation-
03. UNCONTROL BIAS
04. GARDEN
05. アウェイクネスダイヴ
06. メナス
07. 混沌たる世界
08. 倒錯症レジスタンス(Acoustic)
09. 依存の檻
10. COLD SLEEP
11. ホライゾン
12. 乱世ディストピア
13. ブラックアウト
14. PROVE
15. 愚民党賛歌

En
01. 愚民党賛歌(パートチェンジ)
02. SHADOW
03. MASTER
04. 失翼の聖域
05. Garden of Eden

(文・金多賀歩美/写真・尾形隆夫)


【「COLD SLEEP」MV】

【リリース情報】
●New Single『COLD SLEEP』
2023年10月4日(水)発売

[初回盤](CD+DVD)NDG-27 ¥2,200(税込)

[CD]
01. COLD SLEEP
02. 愚踊
[DVD]
01. COLD SLEEP(MV)

[通常盤](CD)NDG-28 ¥1,650(税込)

[CD]
01. COLD SLEEP
02. 愚踊
03. STARRY INFERNO

【ライブ情報】
●yo-ka聖誕祭「Evil’s Night Party2023-The forbidden garden-」
10月31日(火)新宿BLAZE

●ONEMAN TOUR 2023「LIMITLESS FALL」
11月3日(金・祝)F.A.D横浜
11月4日(土)柏PALOOZA
11月11日(土)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
11月12日(日)HEAVEN’S ROCK 宇都宮VJ-2
11月18日(土)郡山HIP SHOT JAPAN
11月19日(日)仙台darwin
11月23日(木・祝)青森Quarter
11月25日(土)札幌PLANT
11月26日(日)札幌PLANT
12月1日(金)名古屋SPADE BOX
12月2日(土)名古屋SPADE BOX
12月9日(土)ESAKA MUSE
12月10日(日)ESAKA MUSE
12月16日(土)福岡BEAT STATION
12月17日(日)福岡BEAT STATION
12月22日(金)新宿BLAZE
12月23日(土)新宿BLAZE

●「Dictatorial Countdown2023〜2024」
12月31日(土)新宿BLAZE

●DIAURA 13th Anniversary「XIII-THE THIRTEEN BULLET-」
2024年1月20日(土)神田スクエアホール

●翔也生誕祭「Mr.STUPiD 2024」
2024年1月31日(水)新宿BLAZE

●佳衣生誕祭「dictatorial【K】ingdom Ⅸ」
2024年2月7日(水)新宿BLAZE

●達也生誕祭 「Joie de Vivre 2024」
2024年3月28日(木)新宿BLAZE

●BugLug主催Fes.「バグサミ 2023」
9月16日(土)秩父ミューズパーク(野外ステージ/音楽堂)
出演:BugLug、甘い暴力、Ashmaze.、アルルカン、vistlip、えんそく、キズ、己龍、KiD、ザアザア、ZOMBIE、DIAURA、夕暮れガールスーサイド、夕闇に誘いし漆黒の天使達

●「Bands Shock REVOLUTION ~びじゅある祭2023~」
10月14日(土)服部緑地野外音楽堂
出演:アルルカン、キズ、己龍、DEZERT、DIAURA、BugLug、夕暮れガールスーサイド、Leetspeak monsters、Royz

DIAURA オフィシャルサイト