2022.09.03
DIAURA@横浜1000 CLUB
「愚民の日2022」

「毎年この日がとても楽しみで、そこに向かっていっているんですけど、お前たちも同様にこの『愚民の日』を心待ちにしてくれていたんだなということを、ライブをやりながら思いっきり感じました。最高です。ありがとう。DIAURAがDIAURAである限り、愚民たちが愚民たちである限り、君たちの9月3日は俺たちがいただきますから、よろしくお願いします。死ぬまで付き合ってください! 愛してます!」――2022年9月3日「愚民の日2022」、yo-ka(Vo)はこう告げた。

去る2013年、DIAURAのファンクラブ「愚民党」が正式に発足され、同年より9月3日を「愚民の日」として毎年様々な施策を展開、2016年以降はこの日にワンマンライブを行うことが恒例となった。いつしかそれはDIAURAと愚民たち(ファンの呼称)にとって、周年記念日よりも特別な、1年で最も大切な日となっていった。迎えた2022年、10回目の「愚民の日」はDIAURA初の会場となる横浜1000 CLUBで開催。その名称にあるように会場のキャパは1000であり、決して小さくはないライブハウスだが、感染対策を講じながらフルキャパで実施されたこの日、フロア後方まで愚民たちで埋め尽くされた様子は、現在のDIAURAと大切な日を共有する場としては少々狭さを感じるほどだった。

それはまさに「このご時世でまだライブに足を運べない人もいるだろうし、でもこの日だけは来ようと思って来てくれた人もいると思うんだ」と翔也(B)が述べた通りだろう。続けて彼は、「そういう大事な日っていうのはバンドにとってすごく有り難いし、他のバンドになかなかできることじゃないと思うから、すごく大事にしていきたいし、来年もよろしくお願いします!」と告げたのだった。

yo-ka

本編について記す前に、佳衣(G)がこの日のために会場をイメージして制作したというオープニングSEについて触れておきたい。ホーンセクションとハンドクラップを中心にしたスウィングジャズ感溢れる楽曲であり、DIAURAのパブリックイメージを考えれば意表を突くものだったのだが、それは「俺たちだけに許された年に一度の祭り」(yo-ka)に相応しいパーティーの始まりの高揚感を増幅させてくれたのだった。また、この日のセットリストにも組み込まれた10月12日リリースの新作『カタストロフノート』とリンクするようなムードを感じられたことや、その新衣装を身に纏ってのステージはこの日が初であること、そんな様々な要素も内包されていたと考えるのは、想像が過ぎるだろうか。

そして、毎年どんな楽曲がラインナップされるのかは注目の点。DIAURAと愚民たちにとってまた新たな1年の始まりであることを象徴するように、〈もう一度ゼロから始めよう〉と歌う「ZERO」で幕を開け、様々な場面を経ながら全19曲が披露されたわけだが、その大半が2020年以降に生み出された楽曲であったことは、「愚民の日2022」の特徴と言えるだろう。2021年の「愚民の日」で初披露した、最新アルバム『R.I.P.』のリード曲「乖離性イデオロギー」はこの1年でとんでもない起爆力を持つ楽曲へと進化し、2020年3月に発表されながらコロナ禍により約6ヵ月の間ステージでの披露が叶わなかった「Hydra」は、より妖艶さを増した。DIAURAに新たな風を吹き込んだダンサブルな「Loop[S]Diver」は既に彼らのライブに必要不可欠と言ってもいいほどの存在となったうえ、10周年記念ベスト盤『INCOMPLETEⅡ』収録の新曲であった「BUG」からの直結によって、その持ち味をさらに増幅させたのだった。

佳衣

また、2020年の外出自粛期間中にリレー作曲という形で制作された「獄彩」は、DIAURAがコロナ禍でのライブ活動を再開させた同年の「愚民の日」にライブ初披露した楽曲でもあり、「カタストロフノート」「Lily」を経て〈僕が消える前に消える前に証を残したい この世界にたったひとつだけの歌〉というメッセージ、そのストーリーと楽曲の背景、二つの意味合いで感慨深いものとなった。

さらに、2017年発表でありながら近年のDIAURAにとっての最重要曲「Noah」では銀テープが舞い、本来の歌詞に言葉を足し〈お前たちと生き続けたい〉と歌ったyo-kaが胸にマイクを当て笑みを浮かべた場面は印象的であったし、もちろん「GARDEN」「愚民党讃歌」と、愚民たちへの思いが詰まった2曲も披露され、「『愚民の日2022』、この場所に独裁を!」という絶叫とともにyo-kaが拳をまっすぐ突き出したシーンをもって本編はラストを迎えたのだった。

翔也

アンコールでは、佳衣から「Twitterのトレンドに『グミの日』が入っていて。『愚民の日』が乗っ取られました」という報告が。そして「『グミの日』に勝るように『愚民の日』をまた来年大きなものにして、大事なものとして行っていきたいと思いますので、皆さんどうぞよろしくお願いします!」という言葉を残したわけだが、終演後にめでたく『愚民の日』がトレンド入りするという結果をもたらした。また、達也(Dr)は「今日はすごかった本編…何て言うんだろ、すごかったよ。心躍る瞬間が何度もあって、こんな気持ちにさせてくれて本当にありがとうございます」と、感無量の表情を見せたのだった。

「2022年もあと4ヵ月くらい。どんどん終わりに向かっていくんですけど、まだまだ面白いこといっぱいするよ。全力でついてきてください! この独裁の庭でもっと楽しもうぜ! まずは今夜も最後の瞬間まで一緒に狂いましょう」というyo-kaの言葉から、フロアに扇子が舞った「乱世ディストピア」、そして「UNCONTROL BIAS」「MASTER」でステージ、フロアともに暴れ倒し、この特別な一夜は幕となったわけだが、最後にyo-kaから「この日を迎えられて、共に走り切って、これ以上の幸せはないと思います。一つひとつのライブが貴重で儚くて尊いものなので、1本1本を大切に、この独裁の庭は全員でひりつくくらい感じ合う、そんなライブにしていきたい。共にそんな庭を描き続けていきましょう。これからもDIAURA全力で突っ走っていくので、全力でついてこいよ!」と、愚民たちへの愛溢れるメッセージが伝えられた。

達也

「2〜3週間ライブが空くと、久々だなと感じました。もっといっぱいライブしたいな〜」とはこの日、達也が思わず口にした言葉だが、これはDIAURAが圧倒的な本数のライブを重ねていることを物語るものだろう。今後のDIAURAの動きとしては、10月31日にyo-ka聖誕祭、そして11月3日から全18公演にわたる全国ツアー「Sweetest depravity」が控えているが、年明け1月21日に「BLACK IMPULSE」と題した12周年記念公演の開催が新たに決定した。「“黒い衝動”、これが何を意味するのかということは、それぞれに想像、解釈してくれたら」とのこと。また、この日の終演直後に『カタストロフノート』表題曲のMVフルと、4曲の収録楽曲SPOTが公開された。「我々の音楽というのはただ表面に触れただけでは分かりませんので、作品に伝えたいものを全部詰めています。そしてそれがツアーを作る。本当に最高のものになると約束しますので、楽しみにしていてください」とyo-kaが述べていたように、発売まであと1ヵ月余、思いを巡らせながら待っていてほしい。そして、これからも9月3日はこの独裁の庭で――。

◆セットリスト◆
01. ZERO
02. 乖離性イデオロギー
03. Hydra
04. FAKE[s]
05. GARDEN
06. BUG
07. Loop[S]Diver
08. Beautiful Creature
09. カタストロフノート
10. Lily
11. 獄彩
12. 天上へ至るイド
13. ブラックアウト
14. Nameless
15. Noah
16. 愚民党讃歌

En
01. 乱世ディストピア
02. UNCONTROL BIAS
03. MASTER

(文・金多賀歩美)


【リリース情報】
●New Single『カタストロフノート』
2022年10月12日(水)発売
(発売元:フォーラム/販売元:ダイキサウンド)

[Atype](CD+DVD)NDG-23 ¥2,200(税込)

[CD]
01. カタストロフノート
02. 天上へ至るイド
[DVD]
「カタストロフノート」MV

[Btype](CD)NDG-24 ¥1,650(税込)

[CD]
01. カタストロフノート
02. ヒロイン
03. 天上へ至るイド
04. After lament

【ライブ情報】
●yo-ka聖誕祭「Evil’s Night Party 2022」~Dictatorial”DEATH”Hospital~
10月31日(月)新宿BLAZE
Open18:00/Start18:30
前売り¥5,000当日¥5,500(税込・ドリンク別)
(問)NEXTROAD 03-5114-7444

●ONEMAN TOUR「Sweetest depravity」
11月3日(木・祝)新横浜NEW SIDE BEACH!!
Open17:00/Start17:30
(問)NEXTROAD:03-5114-7444

11月5日(土)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
Open17:00/Start17:30
(問)NEXTROAD:03-5114-7444

11月6日(日)柏PALOOZA
Open17:00/Start17:30
(問)NEXTROAD:03-5114-7444

11月12日(土)水戸SONIC
Open17:00/Start17:30
(問)NEXTROAD:03-5114-7444

11月13日(日)郡山HIP SHOT JAPAN
Open17:00/Start17:30
(問)GIP:0571-01-9999

11月19日(土)札幌SPiCE
Open17:00/Start17:30
(問)WESS:011-614-9999

11月20日(日)札幌SPiCE
Open17:00/Start17:30
(問)WESS:011-614-9999

11月22日(火)青森QUARTER
Open18:00/Start18:30
(問)GIP:0571-01-9999

11月23日(水・祝)仙台CLUB JUNK BOX
Open17:00/Start17:30
(問)GIP:0571-01-9999

11月25日(金)HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-1
Open18:00/Start18:30
(問)NEXTROAD:03-5114-7444

12月3日(土)名古屋SPADE BOX
Open17:00/Start17:30
(問)サンデーフォークプロモーション:052-320-9100

12月4日(日)名古屋SPADE BOX
Open17:00/Start17:30
(問)サンデーフォークプロモーション:052-320-9100

12月10日(土)福岡DRUM Be-1
Open17:00/Start17:30
(問)グリーンミュージック:092-775-2233

12月11日(日)福岡DRUM Be-1
Open17:00/Start17:30
(問)グリーンミュージック:092-775-2233

12月17日(土)ESAKA MUSE
Open17:00/Start17:30
(問)夢番地大阪:06-6341-3525

12月18日(日)ESAKA MUSE
Open17:00/Start17:30
(問)夢番地大阪:06-6341-3525

12月23日(金)新宿BLAZE
Open18:00/Start18:30
(問)NEXTROAD:03-5114-7444

12月24日(土)新宿BLAZE
Open17:00/Start17:30
(問)NEXTROAD:03-5114-7444

前売り¥5,000/当日¥5,500(税込・ドリンク別)
総合問い合わせ:NEXTROAD:03-5114-7444

●「BLACK IMPULSE」
2023年1月21日(土)Veats Shibuya
Open16:45/Start17:30
前売り¥6,000/当日¥6,500(税込・ドリンク別)
(問)NEXTROAD:03-5114-7444

DIAURA オフィシャルサイト