2022.12.24
DIAURA@新宿BLAZE
ONEMAN TOUR「Sweetest depravity」

11月3日にスタートした全18公演にわたるDIAURAの全国ツアー「Sweetest depravity」が、12月23~24日、新宿BLAZEでの2days公演をもってファイナルを迎えた。今ツアーは10月12日にリリースされた最新シングル『カタストロフノート』を引っ提げ行われたものであり、先頃公開したVifのインタビュー時に佳衣(G)は「今回の作品は全てにおいて自分としてはすごく実験的だと思っているので、そういう実験的な要素をツアーでも活かしていきたい」という言葉を残していた。また、そのタイトルが“甘美な堕落”を意味することから、セットリストの構築を担っているyo-ka(Vo)は「甘さと毒をどう一つのライブで表せるかというところが自分にかかってくる部分でもあるので、今そこにやり甲斐を感じているところです」と述べていたのだった。

迎えたグランドフィナーレとなる12月24日。結論から言えば、この日繰り広げられた全20曲は『カタストロフノート』を内包する「Sweetest depravity」、ツアーファイナル、クリスマスイブという三つの要素が軸となっていたと言えるだろう。こうして改めて活字で記してしまえばごく当然のこととも受け取れるが、DIAURAの4人は自らの楽曲とパフォーマンスをもってそれを明確にステージで表現してみせたのだ。同時にそれは、特別な演出などなくても可能なのだということを示す結果にもなった。

yo-ka

最新作の収録曲について特に印象深かったのが、SEを挟んだのち始められた中盤ブロック。「カタストロフノート」「ヒロイン」で恋愛をモチーフにした哀感のストーリーを存分に表現し、冬の情景が目に浮かぶサウンドとともに、フロアに煌めく光の粒が舞い降る雪のようだった。さらに佳衣が紡ぐギターから「結晶」へと繋げられたのだが、この楽曲もまた〈さよなら この街で見る 最後の冬にあなたを思う〉と、別離を歌う冬のバラードナンバーであり、yo-kaはそのラストに、本来の歌詞にはなく「ヒロイン」の歌詞に含まれている〈聖なる夜〉という言葉を歌い足したのだった。2022年の最新曲と2011年に世に出た「結晶」がまるで一つのストーリーのように繋がった様はあまりにも美しく、これぞDIAURAだからこそ成せる表現と言えるものだった。

また、前半に配された「天上へ至るイド」は今ツアーを通して完成されたダンスチューンへと進化を遂げていれば、12曲を終えライブも終盤に差し掛かったところで「俺たちが積み上げてきた、描き続けてきたツアー、その全ての幕を下ろす日です。そんな日がメリークリスマスなんて、とても素敵だと思いませんか。この庭の中でお前たちがやることは一つ。思いっきり狂いきることです! 堕落しよう」(yo-ka)という言葉からスタートした本編最終ブロックに投入された「After lament」は、メロディアスかつ翔也(B)作曲による彼のカラーが、既存曲と馴染みながらもどこか新しいDIAURAの形を感じさせてくれたのだった。

佳衣

ちなみに、「After lament」は『カタストロフノート』という作品を締め括る楽曲だが、この日「After lament」の前に配された「ブラックアウト」は後半ブロックに相応しい勢いに特化したハードナンバーでありつつ、やはり〈二人〉を描いたものであり、〈堕ちる堕ちるそれも君となら〉〈甘く溺れて〉といった歌詞が含まれているわけで、ここでもストーリーやメッセージをより色濃く伝えようとする妙が光っていた。

なお、これまで幾度と演奏されてきたライブ登場率の高い人気曲「FAKE[s]」において、これほど〈朽ち落ちた〉の連呼が耳に残ったのは今ツアーだからこそだろうし、そこから少しのブレイク後にダークな「堕落と雨」を続けたという選曲も然り。また、本編ラストナンバーについては、「本編最後の曲が『TRIGGER』になったということ、当初の計画ではありませんでした。でも、今のDIAURAがそれを望んだからそうなったんだろうな」と、yo-kaが吐露していたことも付記しておきたい。

アンコールでは煌びやかでキャッチーな「Holy Light Story」を披露し、「この時期にしか演奏しない曲なので、これを歌うとDIAURAにクリスマスが来たんだなと思います。この庭がとても眩く見えました」とyo-ka。その後、各メンバーからも言葉が届けられた。

翔也

「このツアーを回ってきて、MCで『楽しいです』と言うのは野暮だなと思って、ずっと言わないようにしていたんです。だけど、やっぱり一番シンプルな言葉を伝えたい…めっちゃ楽しいです! 最終的にはライブも音楽も、シンプルに『楽しい』それが全てだなと思ったし、このツアーを回ってきて楽しいライブがたくさんあったし、良い景色がたくさんあったし、本当に良いツアーだったなと思いました」(佳衣)

「メリークリスマス! ついにファイナル。ツアーを無事に完走できました。(ツアーの中で)珍しいトラブルもあったり、あたふたした日もあったんですけど、こうしてメンバー全員と愚民たち(ファンの呼称)と楽しい時間を過ごせて本当に最高です! 曲中に『あー! ライブ最高!』と、ずーっと思っていました」(達也/Dr)

「結成してツアーを何回やっても、ファイナルを迎えると『ありがとう』しか言えない『ありがとうマン』になっちゃうんですよ。それくらい感謝がいっぱいで。今日も俺は本編で出し尽くしたという感覚があるので、本当に良いツアーをありがとうございました。なので、また良いツアーを回りましょう!」(翔也)

達也

そして、「佳衣ちゃん、いつものやってよ」(yo-ka)、「え? あ、引っこむのね」(佳衣)と、yo-kaが一旦袖にはけると、佳衣による「マスターを呼べ!」の声(場内拍手)でyo-kaが再登場するという微笑ましい展開を経て、「『カタストロフノート』という作品とどんなツアーを作っていこうか、色々と考えながら一つひとつ積み重ねながら回ってきました。そしてこのツアーがDIAURAの音楽の面白さを改めて俺たちに教えてくれた、そんなことが何より嬉しいことでした。(福岡での機材トラブルの件について)それさえも楽しもうと。ライブに正解とか正しい形ってないと思うので、改めてこの4人でそういうことを経験して、今楽しもうよと言えたことがこのツアーを回れて良かったなと思う一つでもあるし、愚民たちと、この4人で『Sweetest depravity』ツアーを回れたこと、本当に誇りに思います」とyo-ka。

最後は爆裂ナンバー「UNCONTROL BIAS」「CRACK PAIN」「MASTER」を連投し、佳衣と翔也がスイッチしつつフロアを見渡し笑みを見せれば、yo-kaにマイクを向けられた達也がドラムを叩きながら「ありがとー!」と叫ぶシーンも。ステージ、フロアともに暴れ倒した白熱のアンコールを終え、「心から愛しています! ありがとう」というyo-kaの言葉をもって今ツアーは幕となったのだった。

今後のDIAURAの動きとしては12月31日Shibuya duo MUSIC EXCHANGEにて2022年最終公演「CLIMAX」、年明け1月21日にはVeats Shibuyaにて12周年記念公演「BLACK IMPULSE」の開催が控えているが、「12年活動してきて、ライブでしか聴けない曲も増えました。そんな曲たちを初めて音源として出します」と、4月5日にニューミニアルバム『ANTISM』をリリースし、その作品を引っ提げて4月22日より全18公演にわたる全国ツアー「VARIANT[ISM]」を開催することが新たに発表された。「超攻撃的な作品なので、もちろん超攻撃的なツアーになるんですけど、このツアーから声出しを解禁します。2023年、一歩踏み込みます。一緒に踏み込みましょう。2023年も思いきり楽しみましょう! 攻めましょう!」(yo-ka)とのこと。ここまでコロナ禍においても圧倒的な本数のライブを重ねてきたDIAURAと愚民たちだけあって、声を取り戻した“独裁の庭”は最強最狂の景色になるに違いない。

◆セットリスト◆
01. The abyss
02. 胎動
03. FAKE[s]
04. 堕落と雨
05. ENIGMA
06. 天上へ至るイド
07. Gate of Labyrinth
08. Nameless
09. Invisible
10. カタストロフノート
11. ヒロイン
12. 結晶
13. 倒錯症レジスタンス
14. ブラックアウト
15. After lament
16. TRIGGER

En
01. Holy Light Story
02. UNCONTROL BIAS
03. CRACK PAIN
04. MASTER

(文・金多賀歩美/写真・尾形隆夫)


【リリース情報】
●New Mini Album『ANTISM』
2023年4月5日(水)発売
(発売元:フォーラム/販売元:ダイキサウンド)

[初回盤](CD+DVD)NDG-25 ¥3,080(税込)
[CD]
01. ANTISM
02. UNCONTROL BIAS
03. 混沌たる世界
04. CRACK PAIN
05. SHADOW
[DVD]
「ANTISM」MV

[通常盤](CD)NDG-26 ¥2,640(税込)
[CD]
01. ANTISM
02. UNCONTROL BIAS
03. 混沌たる世界
04. 依存の檻
05. CRACK PAIN
06. SHADOW

【ライブ情報】
●ONEMAN TOUR『VARIANT[ISM]』
2023年
4月22日(土)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
4月23日(日)柏PALOOZA
4月29日(土)新横浜NEW SIDE BEACH!!
5月4日(木・祝)青森QUARTER
5月6日(土)札幌SPiCE
5月7日(日)札幌SPiCE
5月13日(土)郡山HIP SHOT JAPAN
5月14日(日)仙台MACANA
5月20日(土)福岡DRUM Be-1
5月21日(日)福岡DRUM Be-1
5月27日(土)HEAVEN’S ROCK 宇都宮VJ-2
5月28日(日)HEAVEN’S ROCK 熊谷VJ-1
6月2日(金)名古屋Electric Lady Land
6月3日(土)名古屋Electric Lady Land
6月10日(土)OSAKA MUSE
6月11日(日)OSAKA MUSE
6月17日(土)新宿BLAZE
6月18日(日)新宿BLAZE
※今ツアーのお客様の声出しは各会場の規定に反しない限り可能としますが、公演日の状況次第で不可となる場合もあります。

DIAURA オフィシャルサイト