生かされる意味と囚われた夢――。2ヵ月連続リリース第1弾シングル『ENVY』の全貌、9周年記念公演を経たDIAURAの今に迫る。
今年1月26日、TSUTAYA O-EASTにて前ツアーのファイナル兼9周年記念公演を終えたDIAURA。確固たる自信と決意を胸に、さらに勢いを増す彼らの次なるアクションは3月に『ENVY』、4月に『Hydra』というシングル2ヵ月連続リリースだ。Vifではこのリリースに伴い、2ヵ月連続インタビューを掲載。前編となる今回は、ツアーファイナルを振り返ると共に、シングル二作でのリリースの意図、そして『ENVY』に収められた3曲について4人にじっくりと話を聞いた。
◆自分の中での確固たる未来像があってこそ、ツアーはその未来への過程になる(yo-ka)
――1月26日に「REBELLIONS PARADE」ツアーファイナル兼9周年記念公演@TSUTAYA O-EASTが行われました。『FINALE-Last Rebellion-』インタビュー時に、達也さんは「1本1本を大事に、どこに来てもすごく良かったなと思ってもらえるライブにしたい」と言っていましたが、本当に全て大事にやってきたんだろうなと感じられるライブでした。
達也:それが伝わって良かったです。振り返ってみると、いつものツアーよりも自然と笑顔になる瞬間が多かったなと思いますね。後ろから3人を見ていても、生き生きしているというか、ある意味で自由さがあるライブだなとすごく感じていました。3人とも動かないタイプではないので、結構自由に、特によーちゃん(yo-ka)とかどっか行っちゃったりするし(笑)。
――確かに、yo-kaさんはすごく動くなと(笑)。
yo-ka:(笑)。昔は狙っている部分もあったと思うんですけど、今は無意識なんですよね。何でしょうね、自分の心と体のバランスもあると思うんですけど、ステージは3人に任せられるし、自分はフロントだったり突発的な部分を大事にしたいなというのがあるので、そこがより自由になれたというか。そういうのを去年1年のライブを通して感じていたので、ツアーファイナルも変な気負いはなく、今日も今日とて地方を回ってきたのと同じように、ライブって今しかないものが一番大事だと思うので、それを大事に歌いたいなということだけでやっていました。なので、変に肩に力が入っていないのが、今のDIAURAの良いところかなと思いますね。
――佳衣さんはMCで「今回は皆からもらうものが多かったツアー」と言っていましたよね。
佳衣:「DIAURAのライブがあるから、色々なことを頑張れます」とか、「嫌なことがあっても頑張れます」という声をもらうことが多いんですけど、それって自分たちも同じことで。ライブで自分たちが音を出して、それに応えてくれるお客さんがいる空間があるから、そこへ向かっていける何かがあるんですよね。1本1本ライブをやっていく中で、そういうことがすごく大きいなと感じられたツアーでした。
――翔也さんはインタビュー時に「2019年が結果オーライと全員で言えるような、そういう結果がちゃんと示せるライブにしたい」と言っていましたが、実際終わってみての自己評価は?
翔也:今が楽しくやれているので、結果オーライだったんでしょうね。それがダメだったら、今、変な感じになっているでしょうし。今良い活動ができているので、それが繋がったんじゃないかなと思います。
――8月から体制が変わって、ツアーファイナルは一連の流れの区切りでもありました。yo-kaさんはインタビュー時に「9周年であり、10年という節目に向かって走っていくわけで、自ずと希望を感じられるファイナルになると思う」「その希望を幻にはしない強さが、今のDIAURAにはある」と言っていましたが、そういう点での実感としてはいかがですか。
yo-ka:ツアーファイナルや周年って、自分が思っている以上に勝手に特別視されるものですけど、ただ普通にライブをやって、何となく雰囲気に流されて特別だったねというものは自分の中では望んでいなくて。自分の中での確固たる未来像があってこそ、ツアーはその未来への過程になるわけで、その一つひとつがより確実なものになっていくと思うんですよね。ツアー中かツアー前くらいには既に「ENVY」を生み出していたので、すなわち自分の中で確固たる未来像があったから、いつも以上に強気で回れたツアーでもあったと思うし、それって絶対にステージにも言葉にも出るんだと思います。そういうところで一つひとつのライブを重ねていって、自分の中でDIAURAというバンドに対しての自信や確信をしっかり育てながらツアーを回れました。
――なるほど。
yo-ka:言葉も、幻にしたくないというのはもちろんあるし、個人の感じ方、捉え方は異なるので、一概に俺が全部正しいとは思わないですけど、自分の中で正しさがある以上はそれを主張できるし、伝えられると思っていて。その確信を持ってやって来られているからこそ、ツアーファイナルは本当に特別なものになると思えたので、そういう言葉を発していたんだと思います。ファイナルで佳衣が作った新曲「BLESS」を披露したことも、ツアーでやってきた曲でもないしリリースした曲でもないですけど、何事にも捉われなくていいと思ったんですよね。もちろん軸になるのは「FINALE」でしたけど、リリースとか関係なく、とにかく未来をどう見せてあげられるかというところだったので、佳衣がああいう曲を作ったのも、ああいう歌詞になったのも、ああいう感情を抱けたのも、このツアーが意味のあるものだったからだと思うし、未来があるからだと思います。
――「BLESS」はいつ頃作ったのでしょうか?
佳衣:実は、原型は相当昔からあったんですよ。ただ、昔はそれを表現しきれなかったんだと思っていて。それをたまたま聴いていたら今回のツアーのラストにすごくマッチするものがあったので、もう一度作り直して、これをファイナルでやるのはどうかとメンバーに提案して、やることになりました。
――ものすごくキャッチーだったので、驚きました。
佳衣:そうですね。ああいう景色が、今回のツアーの最後に見たかったものというのもありますし、やってみたかったことで。実際やってみたら、演出も相まってすごくグッとくるものがありました。
――まさかDIAURAのライブでハートが降るとは思いませんでした。でも、あのライブ自体が愛に満ちていたので、そういう中であのラストシーンというのは自然でもあるし、すごく大きな意味があるなと。
佳衣:ツアーファイナルと周年が重なったからこそ、自分の中ではいつも以上に、バンドから今まで支えてくれた愚民たち(※ファンの呼称)に対して伝えたいものがあったので、そういう面でもすごく良かったなと思いますね。
翔也:曲出しの時に初めて聴いて、単純に良い曲だなと思いました。これまでもキャッチーな曲はやってきたし、それがブラッシュアップされたものなので、こういう曲ができないバンドではないですから。
――ハートが降っている景色はいかがでしたか?
翔也:制作の段階で「ハート」というワードを小耳に挟んで、マジか…と思っていたんですけど(笑)、いざ降ってみたらすごく良かったですね。
達也:演奏しながらあの景色を見られたのは、すごくハッピーだなと思いました。今までのツアーで重ねてきたものがあったし、「BLESS」は初めて披露する曲でしたけど、初めて感というのも良い意味でなかったです。ファンの皆はどんな曲かな?とか、ノリどうしようとか、きっと頭の片隅にはあったと思うんですけど、そういうこと関係なしに良い表情が見られたので、伝わっているんだなと思いましたね。
――「BLESS」は音源化の予定はあるのでしょうか?
yo-ka:出したいなとは思っていますよ。
◆俺が一番ビックリしました(翔也)
――今回は真っ赤なヴィジュアルが印象的ですが、ジャケットスタイルの衣装は珍しいですよね。
yo-ka:実のところ、あまりなかったですね。
――スタイリングはそれぞれ意見を出し合うんですか?
yo-ka:まず作品ありきで、そのカラーやモチーフがあって、あとは各々好きなようにやるという感じですね。なので「俺は赤だから、お前は青ね」みたいなものはないし(笑)、統一感というのはDIAURAの正装である軍服で出るので、逆にこういう自由が利く衣装に関しては割と好きなように考えています。
――今回、翔也さんが結構目立ちますね。
翔也:目立ってます(笑)? それこそ2ヵ月連続だからできたことでもあって。やっぱり対比をつけたいのと、こういう時はチャレンジしやすいんですよね。予想がつくようなものはやりたくなかったので、あえて既視感があるようなものにしました。バンドへの入口って何でもいいと思っていて、これを見て多分、皆わかると思うんですけど、「アレっぽいな」でもいいんですよ。それで目に止まればいいです。
yo-ka:次の『Hydra』のヴィジュアルは一転して、どダークです。
――ちなみに、佳衣さんは毎回ヴィジュアル面の変化が激しいですが、リリースごとにヴィジュアルをガラリと変えることが普通だと思って生きてきたと以前言っていましたよね。
佳衣:そうですね。お客さんもリリースごとに次はどんなのだろうという期待はあると思うんですけど、それ以上に自分自身がまず楽しんでいる気がしますね。次はこうしたら、どんな反応があるだろうとか考えながら。ずっと同じことをやっていると自分自身がちょっとな…となると思うので、楽しむために毎回大きく変えています。
――髪型の変化も激しいですもんね(笑)。
佳衣:はい(笑)。決して飽きっぽいわけではないんですけど、ある時期から、次はどうしようと常に考えるようになっちゃって。だから、髪色も結構変わっているイメージですけど、前回の金髪は1年くらいしていたので、割と長かったですね。
――今回、シングル2ヵ月連続リリースという形を選んだ意図というのは?
yo-ka:二つの作品をリリースするということはヴィジュアルパターンも二つになるし、楽曲も自ずと増えるわけじゃないですか。自分たちの姿かたち、音を、より広げて届けたいなと思ったんですよね。『FINALE-Last Rebellion-』を作った頃から構想はあったんですけど、もっと見せたいものがあるので、曲もバンバンできていました。ただ、アルバムじゃないなというのがあって、シングルで二つのDIAURAを見せたいなと。今回、自信の表れみたいなものもありますし、何よりツアーが面白くなりそうだなというのが大きいですね。二つのベクトルを持って一つのツアーを回れるというのは魅力的だなと思うし、曲を聴かせたい、作品を届けたいのはもちろんですけど、より直でぶつかれるライブで、どう反映されるかを見たかったんです。
――では、シングル二作で出すことを前提に制作に臨んだと。
yo-ka:はい。だから、どちらか一つだと成り立たないというか、欠けたものになってしまうところはあります。
――確かに、『ENVY』『Hydra』の6曲全てが絡み合っていると感じました。制作方法としてはどのような進め方だったのでしょう?
yo-ka:各々が曲を持ってくるところからスタートするんですけど、表題が「ENVY」になって、その要素を補う、強化するものとして佳衣さん作の「DRAIN DRAIN」があって、当然最初は歌詞はないので、どういう立ち位置にしようかなというところから入っていきます。なので、表題ありきで形作られていく感じですね。『Hydra』はまたちょっと違ってくるんですけど。
――今回、初めて翔也さん作曲の「inner core」が収録されていますが、翔也さんの楽曲を入れることを前提としていたのか、たまたま選ばれたのか、どちらなんでしょう?
翔也:わからないです(笑)。いつも選曲会の時はメンバー全員が曲を出すんですけど、ここで選ばれるとは(笑)。
yo-ka:満を持して、ここで翔也を出すのは面白いかなと思って(笑)。それと、俺の中では『ENVY』『Hydra』は繋げて考えていたので、そういう点でこの曲はフワッとした雰囲気があって、ブリッジとしてのポジショニングを感じたんですよね。翔也は狙っていなかったと思いますけど、俺はそれを感じたので、結構奇跡的な出会いだったなと思います。しかも、1回曲が変わってるんだよね。
翔也:2曲出していて、元々違う曲が採用されていたんですけど、『Hydra』の選曲になった時にやっぱりこっちがいいとなって。実は『Hydra』用に出したやつが『ENVY』に繰り上がったんです。
――それは面白い展開ですね。
翔也:俺が一番ビックリしました(笑)。
◆いつも以上にロックな印象を受けた(佳衣)
――「ENVY」はイントロのテーマのギターフレーズ、Bメロのリズム、サビ最後の英詞部分のコーラスなど、個人的には第一印象としてちょっと懐かしいヴィジュアル系の雰囲気を感じました。
yo-ka:あー、なるほど。よく「懐かしい」と言われるんですけど、俺は全く意識していないので、わからないんですよ(笑)。特にこの曲は自分の中で単純に気持ちいいところだけを突いて作った曲なので、そもそも採用されるとは全く思っていなかったです。そういう自分の中のノリが非常に強い曲ではあるんですけど、何せわかりやすく作りました。
――yo-kaさんの中に染み付いているものが自然と出ている曲なんですね。
yo-ka:自然も自然、癖で作った曲です。でも、これも『ENVY』と『Hydra』が連動するからこそ意味があるというか。ノンストップのスッと駆け抜ける感じ。今回はあくまで対比重視なので、こういう良さって絶対に必要だと思うし、入口として扉を開けたらスッと入っていくようなイメージですね。で、気付いたら掻き回されていくという。
――確かにスッと入ってきて、一聴して耳に残るメロですよね。
yo-ka:本当にメロ重視ですね。ヴォーカリストが作る曲って、そういうものが多いと思うんですけど、口ずさめるようなものにしたいなと思いました。
――ちなみに、Aメロはかなり低くないですか?
yo-ka:これはあえてそうしました。本当に癖だけでいっちゃうと、割と自分のいいところから始めちゃうので、あえて高低差は付けようと思って。デモを作って初めて歌った時にやっぱり低いなとは思ったんですけど、それもこういう自分の癖で作る得意分野の曲だからこそ、メロディの部分は自分に対しても一癖作りたいなというのはあったんですよね。
――そうだったんですね。そして、テンポが結構速いですよね。
達也:速いですね。聴くよりも体感的にすごく速く感じます。でも、聴いていると心地いい、ちょうどいいテンポ感だなと思うので、あのテンポじゃないとこの曲は完成しないんだろうなと思いますね。
――得意不得意の話で言うと、達也さんとしては速い曲はどちら側ですか?
達也:んー、どうなんでしょうね。自分的には遅過ぎないほうが心地いいなという感覚はあるんですけど、レコーディングの時に「こういう速い曲のほうが得意なんだね」と言われることが多いので、自分が思っているのと人が聴いて感じるのとでは、ちょっと違うんだなと思いましたね。「ENVY」はライブでまだ1回しかやっていなくて、その時に「うわ、速いなー」と改めて思いました(笑)。
――ギターソロはハモりが入っていたり、佳衣さんらしいなと。
佳衣:この曲はいつも以上にロックな印象を受けたんですよね。シンプルで曲尺的にもそんなに長くないですし、割とパッといくようなイメージなので、ロックだなという感じはあって、そういう色をギターソロで出したかったんです。ただ、後半に行くに連れて、自分の落ち着きたいポイントというのが出ているとは思いますね。
――実はWikipediaにyo-kaさんはギターソロが好きと書いてあって(笑)。
yo-ka:おー、大好きですよ。だから、佳衣の曲よりも俺の曲のほうがギターソロが入っていると思います。
――yo-kaさん作曲の「ENYY」はギターソロがあるし、佳衣さん作曲の「DRAIN DRAIN」にはないので、まさに(笑)。
yo-ka:佳衣は自分の曲でギターソロを弾きたがらないんですよ。俺の曲はほぼ入っています。
――そんなyo-kaさんから見て、「ENYY」のギターソロはいかがでしたか?
yo-ka:いやもうね、さすがだなと。リズムパターンも、俺がデモで作った段階では同じリズムで駆け抜けていたんですけど、完成した音源ではギターソロの最後は3拍子になっているんですよね。リズムとソロが絡み合って、もつれ合って落ちサビに入っていくというのは、自分が歌で描こうとしていたものを増幅させてくれた感じがあって、さすがだなと思いましたね。
――ギターソロは今後も期待ですね。翔也さんとしては「ENYY」のベースのポイントは?
翔也:6曲の中でも、この曲はよりメロディアスなほうが良いんだろうなと思って、そういう感じで付けましたね。割と普段できないようなことをやりました。イントロが一番起伏があるんですけど、イントロで使っているフレーズを一箇所だけサビで使ってみたり、そういうリフレイン的なことをやってみましたね。いつもだったら、サビとイントロの進行が一緒なので、どっちかに寄っちゃいそうなんですけど、今回はそこを分けました。あまりうるさくならないように。
――DIAURAはベースがポイントになっているものが結構ありますよね。
翔也:それこそベースソロが結構多かったりするんですよね。
yo-ka:弾かせたがりです(笑)。
翔也:yo-ka曲は、ギターソロかベースソロどっちかは絶対にありますからね。前にライブのセットリストが3~4曲ずっとベースソロの曲が続いていたことがあって、「マジかコレ」と思いましたけど(笑)。
――(笑)。そこはそう思うんですね?
翔也:さすがに思いましたよ。あれ?ギターソロはどこ行った?と思って(笑)。
yo-ka:たまにギター始まりがめちゃくちゃ続く時もあったり(笑)。
佳衣:(笑)
――yo-kaさんの中ではそういう観点で考えていなくて、曲単位だったり、流れで考えているからそうなるんですよね?
yo-ka:そうなんですよ。カッコいいからそれでいいんじゃないかという、ただそれだけです(笑)。
――「DRAIN DRAIN」も1サビ後にベースフレーズが入っていますよね。
翔也:そうだ(笑)。やっぱり結構多いかもしれないですね。
――今までのお話で考えると、原曲者に求められるのでしょうか?
翔也:そういうパターンが多いですね。自分から「ベースソロやりたいです」とは言わないので(笑)。曲単位の話で、それで曲が良くなるのであればいいというだけであって、自らしゃしゃり出ることはないです(笑)。
佳衣:この部分は、俺の中でベースソロという認識ではなかったんです。何なら打ち込みも入っていますし、ギターもいるので。ただ、ベースがフィーチャーされてはいるので、捉え方によってはそうなるんでしょうね。
――ちなみに、2Aに入っているコンコンコンコンという打楽器の音は何ですか?
達也:あれはカウベルですね。原曲の時点であの音が入っていて、そのまま入れました。正直、カウベルって嫌いだったんですよ(笑)。僕のイメージですけど、音がカッコよくないと昔から思っていて。でも、この曲に関してはすんなり受け入れられたのが、すごいなと思いました。カッコ悪いとは思わず、あの部分にしっかりハマるなと。あそこにカウベルを持ってくる佳衣ちゃんのセンスがさすがですよね。
佳衣:達也が言った通り、カウベルって決してカッコいい音ではないんですよ(笑)。でも、それこそ対比ですよね。ハードなものが続く合間にそういうものが入ることによって、また次のセクションがすごく映えると思って。だから、そこで対比を図りたかったのもありますし、一瞬「お?」という間抜けな感じがいいなと思いました。
――ライブではどうなるんでしょう?
達也:実際にカウベルを叩きます! 今から楽しみです(笑)。
――注目ですね(笑)。そして、この楽曲は歌詞に結構特徴があるなと。〈日がな〉の繰り返しは耳に残りますし、文末に〈ね〉が多用されていることや、特に〈美德だとか〉のブロックはyo-kaさんの歌詞には珍しい文体ではないかなと思ったのですが。
yo-ka:これは俺の素ですね。「ENVY」に関してはリード曲でもあるし、どちらかと言うと自分の中にある綺麗なほう、上澄みの部分を抽出しているイメージなんですけど、それだけだと嘘になるというか。我々はライブをやってナンボなバンドですし、『ENVY』という作品をよりリアリティーのあるものにするために「DRAIN DRAIN」に書いたような要素は必要で、何ならそっちのほうが真実だと思うんですよ。というところで、自分の中の汚れな部分を出してしまおうと。どうでもいいじゃんっていう観点。原曲を聴いた時にそういうものを感じたんですよね。粗暴、乱雑なものというか。どちらかと言うと根の部分は自分はそちら側だと思うので、すごくしっくり来たし、「ENVY」みたいな曲があるからこそ、これはやりたいなと率直に思って、歌詞に関しても俺の中にあるそういった精神的な部分を書いていったら、自然とそういう歌詞になっていましたね。
――〈嘘まみれのBeautiful World〉というワードがすごくキーになっていますよね。
yo-ka:本当にそう思っているんですよ。それも楽しめばいいんじゃないの?っていうところが、トータルのバランスにもなっています。
◆普段見せないようなものを見せられる場所(達也)
――「inner core」は先ほどyo-kaさんからもあったように、浮遊感がある異質な空気の楽曲ですが、ドラマチックなミディアムナンバーだなと思いました。
翔也:ありがとうございます! まぁでも、あくまで俺が作ったのは原曲で、メンバーがすごく良い色付けをしてくれたので、ちゃんとした曲に出来上がったという感じです。曲って聴かれて評価されてナンボだと思うので、リリースされて聴かれるまで実感がないんですよね。だから、俺が今フワフワしているんですよ(笑)。
――今までのDIAURAにないタイプの曲かなと。
翔也:そこは作る段階で取っ払っていましたね。今までは頑張って“DIAURA”にしようと無理していたところはあったんですけど、今回の選曲会に出した2曲に関しては、それを一度なくして自分がやってみたいものを出したら良い反応をもらえたので、今後もそうしていこうかなと思っています。
――始まり方も変わっていますよね。イントロというイントロがなくて、ギターにヌルッとAメロが重なっていくという。
翔也:イントロがあるのも好きなんですけど、俺が普通に誰かの曲を聴く時に早く歌が聴きたいと思っちゃうので、じゃあなくてもいいかと、こういう形にしてみました。
佳衣:翔也の曲に限らず、デモの段階でここは多分生かしたいんだろうなというのは大体わかるので、そういう部分は上手いこと生かしつつ、あとはそれをいかに広げられるかというところなんですよね。だから、あのイントロの感じもデモの段階であったんですけど、多分こういう雰囲気は生かしたいんだろうなというのは汲み取れたので、音色としてはシンセで入っていたのをギターで置き換えて表現したら面白いんじゃないかなと、そういうところで色々と考えましたね。
――ちなみに細かい点ですが、最後の歌終わりから少し間を空けてドラムの1打が入る…あの間が最高だなと思って。
達也:ドン…!ですね(笑)。あれはいいですよね。俺も好きです(笑)。
――そして『ENVY』リリース後、3月はFC限定ライブが東名阪で全4公演ありますが、FC限定ライブというのは通常のワンマンの時と心持ちは違うものですか?(※2月28日発表で名古屋大阪公演は7月に振替が決定しました ※3月10日発表で東京公演は7月に振替が決定しました)
翔也:やっぱりDIAURAを好きな人で、さらにFCに入ってくれている人たちなので、個人的には普段見せられないようなものを見せられたらいいなというテンションではいます。ハメを外しやすいというか、メンバー同士の絡みも増えるだろうし、俺個人としては余計カッコつけないライブになると思います。
達也:俺も感覚的にはそうですね。自由というか。FCライブのほうが表情もより緩むし、いつも変わったことをやっていたんですよ。例えばライブ前に二人ずつに分かれて歌ってみたりとか、ちょっと面白いことをやっていたので、そういう何でもありみたいな感じには思っちゃっていますね(笑)。普段見せないようなものを見せられる場所だよ、という感覚です。
佳衣:100%DIAURAを好きな人たちが観てくれる空間だと思うので、そういう意味では普段より気持ち的にもアットホームな感じでライブが進むことが多いなと思いますね。
――4月には『Hydra』がリリースとなります。二作のリリースを挟む位置にFCライブがあることの意味というか、4月からのツアーとは異なるものになるわけですよね?
yo-ka:全然違いますね。現時点で自分たちもどうなるかわかっていないです。セットリストもFCで募集して、ちょっとしたリサーチでもあるというか。去年1年間の中で自分たちのメンタルの部分でも色々な変遷があったんですけど、それまでやってこなかった曲…それこそ前ツアーで「Noah」(2017年11月リリースのアルバム『VERSUS』収録)をやっていたんですけど、それもずっとやっていなかった曲で、そういう風に何か違うと思って遠ざけてきたものって結構あって。去年FCが切り替わるタイミングで東名阪でFC限定ライブをやったんですけど、その時に俺ら色々と良いものあるじゃんとシンプルに感じたんですよね。
――そうだったんですね。
yo-ka:前ツアーでもそういう観点で曲と向き合ってみたら、思った以上に今の自分たちと共鳴する部分が大きくて。それでよりライブというものが楽しくなったのもあったし、今の自分たちで表現すると、例えば5年前の曲もこんな風になるんだなとか、改めて感じることがすごく多かったんです。だから、思い切って愚民たちが俺たちの曲にどういう解釈を持っているんだろうかとか、そういうものもツアーが始まる前に見たいなと。自分たちが自分たちを一番理解しているだろうと思いがちですけど、多分そうじゃない部分もあると思うので、自信作である『ENVY』『Hydra』のツアーを迎える前に感じてみたくて。それを経ることにより、現時点でのモードとはまた違うモードで、4月からのツアーを始められるんじゃないかなと思いますね。
(文・金多賀歩美)
DIAURA
<プロフィール>
yo-ka(Vo)、佳衣(G)、翔也(B)、達也(Dr)から成るロックバンド。「独裁的なオーラを解き放つ」という意味合いを持つ「Dictatorial Aura」をコンセプトに、2011年1月より活動開始。2012年3月、1stフルアルバム『GENESIS』をリリース。12月には自身初の渋谷公会堂公演を成功させた。その後も47都道府県ツアー、二度の中野サンプラザ公演、服部緑地野外音楽堂での野外ライブなど精力的に活動を展開。2019年8月、レーベル「N.D.G」を設立し、10月にシングル『FINALE-Last Rebellion-』をリリース。2020年3月に『ENVY』、4月に『Hydra』のシングル2ヵ月連続リリースを経て、4月18日より全国ツアーを開催する。
■オフィシャルサイト
https://diaura.net/
【リリース情報】
New Single『ENVY』
2020年3月4日(水)発売
(発売元:フォーラム/販売元:ダイキサウンド)
【収録曲】
[初回限定盤A Type]
[CD]
01. ENVY
02. DRAIN DRAIN
[DVD]
ENVY(MV)
[初回限定盤B Type]
[CD]
01. ENVY
02. DRAIN DRAIN
[DVD]
「2019.12.24 恵比寿LIQUIDROOM Dictatorial X’mas」(6曲収録)ライブ映像
[通常盤C Type]
[CD]
01. ENVY
02. DRAIN DRAIN
03. inner core
New Single『Hydra』
2020年4月1日(水)発売
(発売元:株式会社フォーラム/販売元:ダイキサウンド株式会社)
【収録曲】
[初回限定盤A Type]
[CD]
01. Hydra
02. ポワゾ
[DVD]
Hydra(MV)
[初回限定盤B Type]
[CD]
01. Hydra
02. ポワゾ
[DVD]
「2019.12.24 恵比寿LIQUIDROOM Dictatorial X’mas」(6曲収録)ライブ映像
[通常盤C Type]
[CD]
01. Hydra
02. ポワゾ
03. Promised Land
【ライブ情報】
●「SECRET GARDEN PARTY#1」※ファンクラブ「愚民党」限定ライブ
3月7日(土)名古屋ell.size
→7月11日(土)名古屋ell.FitsAllに振替
3月8日(日)梅田シャングリラ
→7月12日(日)大阪RUIDOに振替
3月14日(土)青山RizM
→7月25日(土)青山RizMに振替
3月15日(日)青山RizM
→7月26日(日)青山RizMに振替
●DIAURA単独公演2020「BRILLIANT MONOCHROME」
4月18日(土)F.A.D YOKOHAMA
4月25日(土)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
5月5日(火・祝)渋谷WWW X
5月6日(水・祝)渋谷WWW X
5月9日(土)柏PALOOZA
5月14日(木)広島SECOND CRUTCH
5月15日(金)福岡DRUM Be-1
5月17日(日)岡山IMAGE
5月19日(火)静岡sunash
5月26日(火)水戸LIGHT HOUSE
5月28日(木)仙台MACANA
5月30日(土)札幌Crazy Monky
5月31日(日)札幌Crazy Monky
6月6日(土)大阪MUSE
6月7日(日)大阪MUSE
6月13日(土)名古屋ell.Fits All
6月14日(日)名古屋ell.Fits All
6月28日(日)マイナビBLITZ赤坂