DIAURA

DIAURA

全てを背負いながら、未完の未来へと踏み出していく――。
約3年ぶりのフルアルバム『VERSUS』に込めたDIAURAの思いとは。

2017年2月18日に自身二度目の中野サンプラザ公演を、そして毎年恒例となっている9月3日「愚民の日」には過去最大キャパとなる豊洲PIT公演を成功に収めたDIAURA。そんな彼らが、約3年ぶりのフルアルバム『VERSUS』をリリースする。全15曲(通常盤14曲)というフルボリュームでありながら、各楽曲が複雑に絡み合い、1枚の作品であることを強く感じさせられる今作は、活動7年目を迎えたDIAURAの進化の証と揺らぐことのないメッセージが込められている。約2年半ぶりのVif登場となるDIAURAの4人にじっくりと話を聞いていくと、彼らの“未完の未来”をどこまでも追い続けたくなった。

◆DIAURAというバンドがある限りは負ける気がしない(yo-ka)

――2015年5月『RUIN』リリース時以来、約2年半ぶりの登場です。2年半色々なことがあったと思いますが、今年2月に行われた二度目の中野サンプラザ公演の際、終演後のyo-kaさんとの会話の中で、2015~2016年は随分とメンタル面での変化があったと話していたのが気になっていたんです。

yo-ka:バンドの5年目の壁というか、そんなものはないと思っていたんですけど、それまでは突っ走ることしかできなかったのが、音楽的にもライブ的にもDIAURAというバンドを少しずつ外から見られるようになったのが、多分5年目だったんです。そういう中で、進むスピード、自分たちの活動に対して、これでいいのかな?と考えた時期で。でも結局、誰がその現状を変えるかと言ったら、自分たちの中から変えていくしかないなと、吹っ切れたのが5年目と6年目の境目くらいでした。

達也:環境、周りの人たちとの関係性も一致していない時期だったというか。皆が合わさった時のパワーのすごさをそれまでに経験してきたんですけど、この時期はそれが思うようにいかなかったということも重なっていましたね。

佳衣:その時々、色々と悩んで葛藤しながらやってきたし、今だからこそという悩みもあったりして、悩み続けるということは変わっていないんですよね。でも結局悩みが尽きないというのは、現状を何とか良くしよう、抜け出そうということだと思うので、それが尽きないうちは逆に良いのかなと。バンドをやっている以上は常にそういうものなのかなと思いますね。

翔也:本当に3人が言った通りだと思います。けど、あまり細かいことを考えないようにしています。ある種の開き直りなんですけど、俺はベースが弾きたいし、バンドをやりたい。じゃあどうしたらいいかというのは考えますけど、それ以外の余計なことは専門の人たちに任せようと思っています。

――今年の愚民の日(9月3日)@豊洲PITを観て、バンドとして今とてもいいモードなんだろうなと感じました。yo-kaさんの「やめる時は、諦めた時か、負けを認めた時。今までDIAURAとして負けたと思ったことはありません。明確な未来なんて持ち合わせていないけど、信じられるものを積み重ねていくしかないと思うんだ」というMCも印象に残るものでした。

yo-ka:社会生活ですから、皆、必ず何かに属すわけで、もちろんバンドもそういう中にあって、足並みが揃わない時もあるんですけど、DIAURAが誰よりもカッコいいバンドだということが感覚として自分たちの中にあるんですよ。自分にとってはナンバーワンのバンドなので、そのDIAURAというバンドがある限りは負ける気がしないんですよね。もちろん伸び悩む時もあるけど、それを打破できる能力がこのバンドには絶対にあるから。一つの闇から抜け出して、2016年、2017年を突っ走ってきているので、それは確かな自信になりました。悩んだからこそ、そこを抜けた時はもっと強くなっているだろうし、曲も迷いなく書ける。そういうモードになれたというのは、このバンドの強みになっていると思いますね。

――5年目というのは、今となっては大切な壁だったんですね。

yo-ka:俺たちは一過性のブームになりたくてこのバンドを始めたわけではないし、確実にこれだと思えるものを残していくということが、このバンドの意味なんですよね。数字も欲しいけど、それが一番になってはいけないというか。目的と方法論なんですけど、パッと売れるために変えていいかと言ったら、DIAURAはそうしちゃいけないバンドだと思っていて。ただ、絶対に時代は俺たちのものになると信じてやれていることが、DIAURAのDIAURAたるところだと思うんですよね。ブレないし、ブレさせる気もないよっていう。

――心強い言葉です。そしてこの日、『VERSUS』のリリースが発表されました。今作は曲と曲が複雑に絡み合っていて、1枚の作品ということを強く感じるアルバムです。まず、『VERSUS』というタイトルについて教えてください。

yo-ka:ある種、人生みたいなものですね。シナリオを書くんじゃなくて、自分の中から出てくるヒリついたものを形にしたかったんです。3年ぶりのフルアルバムということもあるし、前作のミニアルバム『MY RESISTANCE』(2016年11月発売)を出しているというのも、今作を作る上で大きな意味があって。あれは、すごく内面的なメッセージが強かったんですけど、そこでバンドがまた新しい境地に行けるんだという手応えを感じて、じゃあここから外に向かっていこうということで久々にフルアルバムを作ろうとなったんです。だから、DIAURAの根本にある反骨精神と雑草魂みたいな感じですよね。綺麗な表現ではなく、剥き出しのアルバムが作りたかったんです。人は皆、何かしらVERSUSの関係にあると思うんですよ。誰しも色々なものを抱えているので、そういう人たちに寄り添うもの、すごくリアルなもの、今のDIAURAだからこそできる飾らないものを作りたいという思いでした。

◆これが『VERSUS』に必要だったんだなと(達也)

――かなりのパワーワードであるタイトル「beyond the death wall」というSEを経て、「侵蝕」から楽曲が始まります。DIAURAらしいグッとくるメロですが、もっと聴きたいというフラストレーションが残る曲だなと。

yo-ka:おー、それは佳衣の思惑通りですよ。

――こういう聴かせるミディアムナンバーで3分17秒は短いですよね。

佳衣:そうですね。本来であればあそこから何かしらの展開を作っていたと思うんですけど、もうここで切っちゃおうと思って。なかなかそういう作り方ってしないので、自分的にも割と思い切ったんですよ。アルバムの1曲目ってすごく大切だと思うんですけど、1曲目で完結させたくなかったんですよね。この曲を経て『VERSUS』の世界観に向かってほしかったので、序章じゃないですけど、次はどうなるんだろうというのを他の曲に託したかったんです。なので、そう思っていただけたなら大成功です。

――冒頭の歌詞から、yo-kaさんが伝えていることは変わらないなと思いました。正義と悪、死生観というのがDIAURAの楽曲の核にあるものですよね。

yo-ka:それを切り離して作ろうとすると、自分の中でリアルじゃなくなってしまうというか。どんな内容であれ、そこは避けられないところだなというのは改めて感じています。

――「砂の塔-Tower of Imitation-」はリズム押しの曲だなと。2Aの部分は難しそうですね。

達也:すごくややこしいリズムを持ってきたなと思いました(笑)。ああいう決めというかユニゾンしているのは、全部デモ段階からですね。俺は1Aが特に好きです。リズムがどんどん変わっていくんですよ。ハーフから8ビートになって、2ビートになって。それもデモからあったんですけど、その段階から聴いていて気持ちいいなと思いました。この曲は最初から最後まで疾走感がすごいですね。

――「ロザリー」は鍵盤の音色、「遠い春」はストリングスのフレーズが特徴的ですが、佳衣さんの場合、こういうウワモノのアイディアはデモ段階であるものですか?

佳衣:自分はデモの段階からシンセとかの打ち込みも入れた状態でメンバーに渡すので、そういう部分はほとんど最初の段階から変わらないですね。

――「遠い春」の1Aのベースはかなり印象的なフレーズですよね。

翔也:シンセとかと一緒で、デモ段階であのベースのフレーズも入っていたんですよ。他は入っていなかったので自由にやらせてもらいましたけど、この部分に関しては大事にしようと思いました。

――佳衣さんとしては、こだわりのフレーズだったのでしょうか。

佳衣:作る時にここはベースを目立たせようとか、ベースソロを入れようとか、そんなに考えていなくて、単純に曲としてこういう音が欲しいなと思っただけなんですよね。でも、改めて考えるとDIAURAってベースソロが結構あるんですよ。狙っているわけではないんですけど、自然とベースをポイントとする場所が多いような気はしますね。

――そして、“いぶし銀ギター”(※前回の記事参照)の佳衣さんの良さが出ているギターソロですね。

佳衣:年々、そういうのが好きになっていくんですけど、ギタリストってそういうもんだと思います(笑)。フレーズが自分の歴史に比例していくんだなと。素直な楽器だと思います。自分は歌で発することができない分、ギターに代わっただけなので、ギターで歌っているような感覚というのが強いですね。

――「「 」phobia」はダークサイドのヴィジュアル系らしさが存分に出ている楽曲ですが、特にyo-kaさんの歌声がもはや天性のものだなと。

yo-ka:作っている段階から、気持ちいい浮遊感ではなく、淀んだ浮遊感というイメージでした。この曲は次の「イカロスの夢」がなかったらできていなかった曲で。「イカロスの夢」の攻撃力がもっと上がるような流れがあるだろうと思って、作ったほうが早いなという考えに至ったんです。新曲限定ワンマンのライブでも試して、これは間違いないなということで、急遽録りました。

――本当にこの2曲の流れはドラマ性がありますよね。楽曲のテイストとしてもそうですが、ワードとしてもheliophobiaとイカロスが繋がっていて。

yo-ka:そういうところがアルバムの醍醐味ですよね。これによって、作品性がより高くなっていると思います。

――ヴィジュアル系を通ってきてない翔也さんとしては、「「 」phobia」のような楽曲はどのように捉えてプレイしたのでしょうか?

翔也:俺自身は、初めて聴いた時にこれをV系とはあまり思わなかったんです。でも、元々そういう固定観念で制作を始めることはしないようにしていて、これはこういうジャンルだからというのは一度フラットにして臨んでいますね。

――なるほど。「イカロスの夢」は1曲の中での歌の音域がかなり広いですよね。

yo-ka:無意識に広くなっちゃいましたね(笑)。「ロザリー」も元々サビはもっと低かったんですけど、低すぎて気持ちよくなくなっちゃって、レコーディングしながらサビのメロディーを変えました。そんなこと初めてでしたね。「イカロスの夢」もそのメロディー以外はあり得ないというところまで自分の中で確信があったので、まぁ苦しいのも曲に合っていて良いかなという解釈で。

――「イカロスの夢」からの「Noah」、そして「Ares or Thanatos」という流れがもう完璧ですよね。

yo-ka:そうなんですよ、完璧なんですよね。自分が歌詞を書いているからこそ、意味合いの繋がりもわかっていて。「Ares or Thanatos」に関してはギリギリまでサビがなかったので、少し悩みましたけど。

――「Ares or Thanatos」は達也さんの作曲ですが、ロックバンドっぽさが強い印象を受けました。

達也:アルバムのために最初に作ったのがこの曲でした。自分がアルバムを作るとしたらこういう曲が欲しいなというものを数曲書いたんですけど、残ったのがこの曲だったので、これが『VERSUS』に必要だったんだなと。リズムでお客さんを揺らしたいなと思ってそこから作ったので、そういう部分がロックバンドっぽさに繋がっているのかもしれないですね。

――メンバーから見た、達也さんの楽曲らしさはどんなところですか?

佳衣:なんだろうな…ベースの音がデカイ(笑)。

達也:それ、デモの話でしょ(笑)。

佳衣:でも、達也はベースが好きと前から言っていて、好きなアーティストさんも一番カッコいいと思うのがベーシストの方だったりするくらいで。だから、ベースにすごく思い入れがあるのかなと思いますね。割とベースが効いている曲が多い気がします。

――達也さんは、デモ段階で各パートのフレーズも決め込むタイプですか?

達也:ここはこうしてほしいという箇所はあるんですけど、細かいフレーズは任せていますね。イントロの核となるフレーズとかがあれば自分で作るんですけど、そういうもの以外は口で説明します(笑)。「こういうニュアンスのイメージなんだよね」と伝えて、目の前で弾いてもらって「あ、そういう感じがいい!」というやり取りが多いです。

――翔也さんとしては、ドラマーであり、ベースが好きな達也さんが作る楽曲は、プレイのしやすさだったり、こうしたいんだろうなという意図のわかりやすさは、yo-kaさんや佳衣さんの楽曲と違いますか?

翔也:聴いている音楽のルーツや、今も好きなアーティストも一緒だったりして、そういう好みを知っているから「あぁ、こういうことね」と理解しやすいです。多分、ライブを先行してイメージを作るんだと思うんですよね。こういうライブの景色を作りたい曲だったら、こういうフレーズを付けたほうがいいなというのは解釈しやすいですね。

◆歌の一部として考えているような感覚で作った(佳衣)

――「ダンシンインザダーク」はまさに〈生死観念〉というワードから始まります。

yo-ka:色々と考えることはあるんだけど、そんなことどうでもいいじゃんというスタンスで歌っている曲です。結構昔からある曲なんですけど、その当時はこういう曲がDIAURAにはなくて、新しさが強かったんですよね。だから、歌詞もそれまでのDIAURAの書き方を取っ払って書いたんです。今読み返すと、不思議な気分になります。

――いつ頃からあったんですか?

yo-ka:3年くらい前かな。『Triangle』(2014年11月発売)より前ですね。ライブでしかやっていなくて、ずっと出したいとは思っていたんです。アルバムを作るなら入れようということで、シングル『Noah/シャングリラ』(2017年6月発売)のタイミングでレコーディングしたんですよ。なので、『VERSUS』の中ではちょっとおまけみたいな感じで、初回限定盤にしか入っていないんです。

――なるほど。「is DEAD」はタイトルとは裏腹に、前に向かう力強さのある曲ですね。

yo-ka:しかも、前は前でも定まっている道ではなく、他人から見たら踏み外しているかもしれないけど、自分はそこがいいと思って行っているんだという。現在の自分の一番リアルな歌詞だなと思いますね。正しい道なんてわからないので、自分が正しいと思ったほうが正しいというスタンス。理解なんていらねーよ、後から付いてくるだろ、まずは自分の正しさを貫かなければ、なおさら理解なんて得られないだろっていう。まぁ、文句ばっかり言っている歌詞なんですけどね(笑)。

――確かに(笑)。「is DEAD」「IDEA」「ロストチャイルド」という流れもとても綺麗ですね。

yo-ka:意味合いがとても強くなります。

――「IDEA」はライブ映えする楽曲ですね。

yo-ka:こんな曲調なので、歌詞は軽く見られそうじゃないですか。だからこそ、ボディーブローを打ちたかったんですよね。こういう曲ってジャブを連発する曲っぽくて、自分の中でもこれまではそういう先入観があったので、それがまず邪魔だなと思って作りました。それまでの曲調と大分違いますからね(笑)。

――そのコントラストが良いですよね。最後に語り部分を入れたのはなぜですか?

yo-ka:ギターソロが欲しかったんですよね。ライブでその時に思ったことがあれば言葉が変わってもいいと思うし、語りって自由度が高いと思うんです。ライブで色々と遊べたらいいなと。CDに入っているものは思いをぶつけるような語りですけど。

――その語り部分から強く繋がっている「ロストチャイルド」がラストの楽曲です。今までもそうですが、DIAURAにとって「未完」というのは重要なキーワードですよね。

yo-ka:1作目からですからね。自分が正義だと思っていても傍から見たら悪だったり、国、人種が違えば、正義の概念も違ってくる。それを人類皆兄弟とかいう言葉でまとめようとするから、うまくいかないんだよと思うんですよ。理想も人によって違うから、一方的に押し付けるだけの言葉は今歌うものじゃないなと思うし、だからこそ完成することはない。歌詞も音楽もバンドもそうなんですよね。完成形なんてない。だから、未完の未来を彷徨うだけ。それでも「is DEAD」のように、自分が正しいと思うほうへ進まなきゃいけないわけで。

――「ロストチャイルド」は「砂の塔-Tower of Imitation-」で言っていることとも繋がっていますよね。

yo-ka:そうですね。「ロストチャイルド」は迷子という意味ですけど、皆、迷子みたいなもんだなと思うんですよ。知ったような顔をするなという思いで『VERSUS』を作りました。

――今作の中で最もキャッチーな楽曲をラストに収録した意図とは?

yo-ka:もう決め打ちでした。明確な答え、辿り着く場所の提示はこの曲には一切なくて、誰を恨むわけでもなく、中傷するわけでもなく、あくまで答えは自分の中で出すしかないという。「侵蝕」から始まり「ロストチャイルド」で終わるというのは、自分の中では運命でした。「ロストチャイルド」が先にあって、「侵蝕」「砂の塔-Tower of Imitation-」は後半で出てきた曲なんですけど、この2曲ができたおかげで、より「ロストチャイルド」の説得力が増したので、不思議な縁というか、色々な奇跡が起こってできた作品だなと思います。

――ちなみに、「ロストチャイルド」のギターソロはツインっぽいですよね。

佳衣:一人だとライブでは絶対にできないと思うんですけど、最近はそういうことも考えなくなりました(笑)。最初のフレーズを弾いたら、これは追っかけが欲しいなと思ったので、それを素直に入れただけであって。でも、ソロで追っかけというのを今まであまりやったことがなくて、歌の一部として考えているような感覚で作りました。

――今回、新たに取り入れたことはありますか?

達也:個人的にはその時の好みによって音色がすごく変わるんですけど、今回は重低音重視というか、いつもより低めになっていますね。今の自分の好きなドラムを全面に出したいという思いが強かったです。好みが日々変わるので、今改めて聴いてみると、思ったより低いなと思いました。あと、シンプルに叩きたいなと思いながらアレンジとかしていったんですけど、改めて聴いてみると、結構色々と細かいことをやっているなと思ったので、その辺は日々勉強していかなきゃなと思います。自分で思っていることと、第三者として聴いてみると結構違うものだなということが印象的でした。

――今はまた好みが変わったんですか?

達也:また変わりました(笑)。徐々に進化していかなければいけないので、良い方向に変わっていると思います。

翔也:俺は、本当に細かいことですけど、癖付いていた運指を直してみたり(笑)。フレーズを付ける時って、どうしても手癖が出ちゃうんですけど、それを直してみようかなと。ちょっと耳障りが変わるんですよね。同じ音でも弦が違うだけで聴こえ方が変わったりするので、そういう細かいところを変えていって、良い方向に変わればいいなと。弦を変えてみたり、回線を増やしてみたり、日々、色々と模索しています。それはライブにも生かせるので、レコーディングはある種の実験ができるんですよね。冷静に音が聴けるので、曲毎に変えてみたりしました。

――手癖を直すというのは、やり辛くないですか?

翔也:やり辛いですよ(笑)。でも、本当はそっちが正しいんですよ。教科書通りというか。今までやってこなかったので、ちゃんと基礎は覚えておかないとなと。

佳衣:今までギターはカチッとしたものを録りたかったんですけど、今回、本来ならもうちょっと正確に弾くところをあえて粗さを残した部分が結構あります。生っぽさを出したかったんですよね。海外のアーティストさんのを聴くと、あえて残している粗さが結構あって、カッコよかったりするんですよ。そういうのを自分のギターでやってみたかったので、すごく意識しました。

◆音楽を好きでありたい(翔也)

――今作を引っ提げたツアーが12月1日から始まります。東京はなぜかDIAURAが今までやってこなかったO系列の会場を一気にやるということで。

yo-ka:結成して最初の目標の後、次のステップに行こうとなる時に大体皆O-WESTになるんですよね。それが嫌だったんですよ(笑)。当時はそれが自分たちの美学でしたね。O-WESTを通らなかったので、そこを飛ばしてO-EASTをやるのもなということでやっていなくて。今作が『VERSUS』というタイトルなので、あえてやってこなかった会場でやるのも面白いなと。どうせやるなら、全部やりましょうと。

――今までやっていなかったのに、佳衣さんの好きな会場がまさかのO-EASTらしいですね(笑)。

佳衣:多分、昔観たライブの衝撃がずっと残っているんだと思うんですよ。2階の関係者席から観たので、当時の自分にはすごく大きなステージに見えて、こういうところに立ちたいなと思う場所だったんでしょうね。一種の憧れみたいなものがありました。

――DIAURAは大きいライブが終わった後に「終わったぜ!」というふうにならずに、各々が何かを考えている雰囲気ということを達也さんが以前言っていたのですが、今もDIAURAのライブ後はそういう雰囲気ですか?

達也:結構クールなほうだと思いますね(笑)。けど、この前の愚民の日はちょっと違う雰囲気でした。やってやったぞ感がすごくありましたね。でも、基本的には次のことを考えている空気はやっぱり出ます。終わって一息というよりは、さぁ次のステップに進もうか!みたいな感じ。

――現在活動7年目。10年という一つの節目も見えてきました。今後の展望を教えてください。

達也:単純にバンドとしてステップアップしていきたいという思いが強いので、会場もどんどん大きくしていきたいというのはありますね。多くの人に聴いてもらいたい、知ってもらいたいというのが強いんですけど、だからと言って、小さい箱でやりたくないということではないんですよね。小さい箱も好きだし大きな箱ですごい景色も見せたいし、その振り幅をどんどん大きくしていきたいです。

翔也:インタビュー中に振り返って考えていたんですけど、やっぱり色々あるなと。ただ、何周もしていつも思うことなんですけど、やっぱり音楽を好きでありたいと思うんですよね。それを好きな我々を見て、バンドを好きになってもらいたいなと。その中心にあるものだけはブレずにやっていきたいなと思います。

佳衣:自分たちを応援してくれたり、何かを待っていてくれる人たちに、もっと色々なものを発信していきたいなと思います。考えていることをちゃんと伝えたい。驚かせたいという気持ちもあるし、何かしら色々なものを与えたいんですよね。ただ自分たちが音楽をやって、それを応援してというのがずっと続くだけじゃなくて、何かしらの衝撃や刺激も与えたいし、自分たちも受けたいです。

yo-ka:現状維持はもういいかなと思うんですよ。想像の範囲内に収まり続けるのは面白くないし、次の展開としてはDIAURAがDIAURAを超えていきたいんですよね。賛否両論出るようなところに切り込まなければ、発展はないと思うんです。今までを切り捨てるんじゃなくて、今までが大事だからずっとやってきているわけで、このインタビューを読んでも、どういうつもりで曲を書いているかわかると思うんですけど、それってブレるもんじゃないんですよ。DIAURAの活動で、人間として表現者として絶対に進化しているからこそ、新しい境地に行きたい。そこに行ったら、良くも悪くも見えるものがあると思うんです。とにかくポジティブに変えていくことかなと。このバンドで俺が歌詞を書いて、この4人で演奏するんだから、どんな曲であろうと絶対にブレるわけがないんです。だったら、知らないことに挑んでいくほうが、やる側も見る側もハラハラするだろうし。このアルバムを作ってから、そういうことを思いましたね。まだ知らない人たちに届けるためにも、「こっちだよ、気付いて」って言うんじゃなくて、俺たちが変わる。全力でやればDIAURAだったら絶対にカッコよくなるから。

(文・金多賀歩美)

ARTIST PROFILE

DIAURA

<プロフィール>

yo-ka(Vo)、佳衣(G)、翔也(B)、達也(Dr)から成るロックバンド。「独裁的なオーラを解き放つ」という意味合いを持つ『Dictatorial Aura』をコンセプトに、2011年1月22日より活動開始。2012年3月、1stフルアルバム『GENESIS』をリリース。12月には自身初の渋谷公会堂公演を成功に収めた。2014年には47都道府県単独公演TOUR、新宿ステーションスクエアでのゲリラライブを決行。2016年、シングル『ENIGMA』『月光』、ミニアルバム『MY RESISTANCE』をリリース。2017年2月、二度目の中野サンプラザ公演、9月3日「愚民の日」には自身最大キャパとなる豊洲PIT公演を開催。3年ぶりのフルアルバム『VERSUS』を引っ提げ、12月1日より全国ツアーをスタートさせる。

■オフィシャルサイト
http://www.di-aura.com/

【リリース情報】

VERSUS
2017年11月29日(水)発売
(発売元:Ains 販売元:ダイキサウンド)

VERSUS
[初回限定盤]
AINS-34
(CD+DVD)
¥3,780(tax in)
amazon.co.jpで買う
VERSUS
[通常盤]
AINS-35
(CD)
¥2,980(tax in)
amazon.co.jpで買う

【収録曲】

[初回限定盤]
[CD]
01. beyond the death wall(SE)
02. 侵蝕
03. 砂の塔-Tower of Imitation-
04. ロザリー
05. シャングリラ
06. REM
07. 遠い春
08. 「 」phobia
09. イカロスの夢
10. Noah
11. Ares or Thanatos
12. ダンシンインザダーク
13. is DEAD
14. IDEA-現実への回帰-
15. ロストチャイルド
[DVD]
砂の塔-Tower of Imitation-

[通常盤]
01. beyond the death wall(SE)
02. 侵蝕
03. 砂の塔-Tower of Imitation-
04. ロザリー
05. シャングリラ
06. REM
07. 遠い春
08. 「 」phobia
09. イカロスの夢
10. Noah
11. Ares or Thanatos
12. is DEAD
13. IDEA-現実への回帰-
14. ロストチャイルド

【ライブ情報】

●Ains PRESENTS
DIAURA単独公演 2017-2018
「Temptation to Trance Gate」
2017年
12月1日(金)岡山 livehouse IMAGE
12月3日(日)福岡DRUM LOGOS
12月24日(日)札幌PENNY LANE 24
2018年
1月4日(木)umeda TRAD(旧umeda AKASO)
1月5日(金)名古屋ボトムライン
1月8日(月・祝)仙台darwin
1月13日(土)TSUTAYA O-nest(※愚民党FC限定ライブ)
1月14日(日)TSUTAYA O-WEST
1月20日(土)TSUTAYA O-Crest(※愚民党FC限定ライブ)
1月21日(日)TSUTAYA O-EAST

●Ains PRESENTS
DIAURA 単独公演
「Dictatorial Countdown 2017-2018」
12月31日(日)東京キネマ倶楽部