DIAURA

コロナ禍を逆手に取った2020年、そして「愚民の日」の独り立ち

翔也

2020年以降は最近のことになってくるので、読者の方には当時のライブレポやインタビューをぜひ読み返していただきつつ、ここでも少し触れていきたいと思います。コロナ禍真っ只中の2020年はLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でした。3年経って思い返してみると、あれは本当にやってよかったですよね。

全員:(深く頷く)

yo-ka:逆手に取って楽しんでいましたね。早着替えもしましたし。

衣装3パターンでしたもんね。

yo-ka:あれは後にも先にもないですよ。「愚民の日」というものを最初に頭に浮かべた時のような気持ちがこの日にはあって、全部見せたいな、楽しんでもらいたいな、愚民でよかったと思ってもらいたいなと。辛い時期だからこそ、そういうふうに思わせられるものじゃないとダメだなと思ったので、構成や時間の繋ぎ方とか結構色々悩んだんですよ。結果、やろうと思えば何とかなるものだったし、「ENVY」「Hydra」「マリンスノウ」って…すごいっすね。今やれと言われたら躊躇うくらいのエネルギーを使っていましたよ。

約7ヵ月ぶりのステージで、セットリストのほぼ半分が新曲という2020年ならではの構成でした。

佳衣:渋谷公会堂も久々で、コロナ禍のタイミングでもあったので、色々な意味で帰ってきたなという感じがあったんですよね。会場入りして最初にステージに立って客席を眺めた瞬間に、まず感動しました。またこうしてライブができるということにありがたさや嬉しさもあって、すごく鮮明に覚えていますね。早着替えは俺が一番変化が大きかったと思うので、めちゃくちゃてんやわんやで、そこは一番大変だったことです(笑)。

(笑)。結成10周年の2021年は、「愚民の日」がDIAURAにとって最初で最後のUSEN STUDIO COASTワンマンでした。

yo-ka:この時も1曲目「乖離性イデオロギー」は初披露でしたよね?

MV初披露からの演奏初披露でしたね。達也さんが緊張したと言っていたやつです(笑)。

達也:あー、インタビューで言ったのを覚えています(笑)。PCのボタンを押す手がちょっと震えたという(笑)。

この年は攻撃力の高いセットリストだった印象が強いです。本編で「deadly number」が急遽追加されたのもありつつ、結果的に曲数が多かったですね。

yo-ka:俺、セットリストを作る時に前年のやつとか全然考えないんですよ。見もしないし、思い起こそうともしないから、曲数の増減もあまり気付かないんですよね。2021年は確かにちょっと多めでしたね。…「イノセント」「EVER」とかすごいなと思って。どんな気持ちだったんだろう(笑)。2021年って世の中的に希望がない時だったのかな?

この状況はいつまで続くんだっていう時だったかもしれないですね。

yo-ka:多分そういうところに向けた曲たちだったんだろうなという気はします。

この後のインタビューで、翔也さんが「今年はいつも以上にすごくフランクになっていたんですけど、なんでだろうと終わってから考えていて。『愚民の日』というもの自体が独り立ちした感があった」と言っていたのも印象的で。

翔也:長いこと続けてきたら、感覚的にはそんなことも思うのかなというところですよね。俺らが大事にしてきたものではあったんですけど、お客さんもやっぱり大事にしてくれているのが肌感でわかったんでしょうね。だからそんな発言が出たのかなと。

最初の頃は、バンド側が「愚民の日」というものを盛り上げようと頑張っていたけど、それが段々と変化してきたと。

翔也:そうですね。「お祭り感」というワードがちょこちょこ出てきていますけど、やっぱりそれが定着したのかなって。

達也:いつの日か「お祭りだから」というワードがライブ中にも出てきていたので、そういうふうに変わっていったんだなというのは思いますね。ただ、意識して「変えるぞ!」ということではなかったと思うので、徐々に変化していったんだなと。

2022年は初めての会場である横浜1000 CLUBで、セットリストの大半が2020年以降の楽曲だったのが特徴的でした。そして、ライブ前にTwitterで「グミの日」がトレンド入りしていたことをMCで佳衣さんが話していて(笑)。

佳衣:(笑)。それまであまり気にしていなかったんですけど、割とこの辺からDIAURAの名前も目にすることがあったので、嬉しいなと思っていたんですよね。ライブ後にしっかり「愚民の日」がトレンド入りしたので、最後に皆でやってやった感があって、あのまま「グミの日」で終わらなくてよかったなと思いましたね(笑)。

yo-ka:何なら最近、佳衣はずっとグミを食っているんですよ。グミが好き過ぎるんですよ。

佳衣:いただくので、やっぱり消費しないと(笑)。

DIAURAの意志と愚民たちへの愛情が込められた新曲「PROVE」

達也

今年もいよいよ「愚民の日」が迫ってきました。それに向けた新曲「PROVE」が7月19日に配信リリースされましたが、今年、「愚民の日」に先駆けて楽曲を出そうと考えたのは、どのような経緯だったのでしょう?

yo-ka:今年ってコロナ禍以降、声が出せるようになって一発目の「愚民の日」なんですよね。そこが一番デカかったです。バンドにとって一番重要なのはライブで、良い時、悪い時、色々なことが起きますけど、それでも絶対に軸にあって、何よりも守らなければいけないものなんですよね。声が出せなかった時は、その分メンバーも声を出して愚民たちを引っ張っていこうという意識でやってきましたけど、今年は愚民の声が合わさって色々な意味で全員で作り上げることができるんだと思ったら、いつにも増して本当に特別な日になるんじゃないかなというのがあったし、それを分かち合いたくて。じゃあどうしようかと考えたら、やっぱり曲で伝えるのが一番だなと。

なるほど。

yo-ka:MCって記録してもらっていたら「そんなこと言ったな」ってなるけど、曲は聴けばいつでもそこに立ち返れるじゃないですか。言葉で伝えるのも大事ですけど、バンドなので、音楽をやっているので、やっぱり曲だろと。佳衣ともちゃんと話して、「そういう思いで書いて」と言ってできたのが「PROVE」なので、らしくていいなという感じの曲だし、メッセージが乗るなぁと思って。当日を迎えるまでの時間も気持ちを高めていてほしいなと、今年の「愚民の日」は楽しいぞということを、曲を聴いて感じてほしかったんです。

yo-kaさんとの会話を経て、佳衣さんはどんなイメージで曲作りに臨んだのでしょうか。

佳衣:「愚民の日」の曲と言っても選択肢って無限にあると思うんですけど、その中でも今回の「愚民の日」は愚民たちとDIAURAで一緒に向かっていくというドラマ性もすごく大事だと思っていて。それを曲に込めたいなと思ったので、ただ盛り上がればいいとか、ただ綺麗だけじゃなくて、ちゃんと喜怒哀楽があってドラマがあるような曲にしたくて、そこはちゃんと表現できたんじゃないかなと思います。あと、Zepp Hanedaは初めての会場でもあり、最近のDIAURAでは割と挑戦的な場所だと思うんですよね。そういうステージで映える曲と言ったら、DIAURAらしさ、DIAURAの強みでもある王道的な曲なんじゃないかなと思ったので、会場でやるのが今から楽しみですね。

達也さんはデモを聴いた第一印象はいかがでしたか?

達也:らしさもありますし、流れもドラマティックですし、シンプルにめちゃくちゃいいなと思いましたよ。普通にCDシングルとしてリリースできる強さを持っている曲なので、挑戦する「愚民の日」にもふさわしいなと思いました。てっきり「愚民の日」に初披露するものだと思っていたんですけど、今やっているFC限定の東名阪ツアーで披露しちゃおうという話になったので、そういう手もあったかと。実際やってよかったなと思いました。「愚民の日」でさらに盛り上がりが期待できるなと感じられているので、めちゃくちゃ楽しみです。

やっぱりお客さんのノリもいいですか?

達也:そうですね。拳ヘドバンをもっとやってくれと、愚民たちにリクエストもしているので(笑)。

スタッフ:佳衣さんが「三度の飯より拳ヘドバンが好きです」と言ったんですよ(笑)。

佳衣:お客さん自身が思い描く動きもあるでしょうけど、こっちが動きを指定しても何もおかしいことはないなと思うし、俺はこうしてほしいというのを伝えたかったので(笑)。やっぱりこの曲って一体感は欲しいので、そこでバラバラというのも何かなぁと思ったんですよね。だったら、もうこれって指定しちゃおうと。

そうだったんですね。翔也さんは、デモを聴いた第一印象と実際ライブでやってみた感触はいかがですか?

翔也:楽曲が上がってきた段階で、こういうライブが作りたいんだろうなというのがすごくわかりやすかったので、いざやってみて想像通りになったというか。そういう時ってバンドの力が試されるんですけどね。思い描いた通りにできるかどうかは、やっぱりバンドの力次第だと思うので。そこは概ねクリアできていると感じているので、Zepp Hanedaでまたさらに化けてくれたらいいなと思いますね。

歌詞もまさにDIAURAを端的に表すもの+愚民たちへの愛情があって、とても「愚民の日」らしい内容です。yo-kaさんが常日頃言っていることを1曲にギュッとまとめた感じもあって。

yo-ka:それは心掛けたというか、意識せずともそうなった曲ですけど、「PROVE」を作って「愚民の日」の前に愚民たちに届けたいと思った理由そのままみたいな。歌詞を書くというよりも伝えたいことを伝えたという感じなので、下手に喋るよりも、この曲を聴いて歌詞を噛み砕いてもらったら、DIAURAというものの意志がわかるんじゃないかなと思います。むしろそういう歌詞が書けないと、この曲はダメだなと思っていました。

この曲自体がDIAURAの歴史のようにも感じられます。

yo-ka:こうやって過去の「愚民の日」を振り返ってみると、本当に色々なことがあったし、その時その時、色々な感情を持っていたなと。ただ一貫しているのは、何があろうとDIAURAというバンドが大切だったなと思うんですよ。そういう歴史の積み重ねが今なので、その歴史が間違っているのか正しいのか、その正しさを主張するのは自分たちでしかないと思うんですよね。主張するために戦えるのは自分たちだけなので。DIAURAのそういう思いと、そこには愚民たちの存在が常にあるんだよということを、一緒に証明できたらいいなと。それで、すごくシンプルですけど「PROVE」(=証明)というタイトルを付けました。

2023年の「愚民の日」は間違いなく面白いものになる

今年の「愚民の日」はパートシャッフル(Vo.佳衣、G.yo-ka、B.達也、Dr.翔也)での演奏披露もあるということで「愚民党賛歌」の練習動画を観ましたが、バンドを始めたばかりの少年たちのようで、なんだか微笑ましいなと(笑)。

yo-ka:俺、アンプの繋ぎ方なんて未だにわからないですからね。佳衣がいないとできないです。一番練習しているって自信ある人いる?

翔也:俺だと思います(笑)。ドラムって家でできないので、久々に自分でスタジオに予約の電話をして(笑)。あぁ、なんか懐かしいなと。セッティングも慣れていなくて30分くらいかかっちゃうから、小一時間じゃ入れなくて2時間取らないとダメなんですよ。普段経験できないことだから、まぁこれも楽しむしかないかと思って頑張ってはいるんですけど…毎回反省して帰りますよ(笑)。

(笑)。達也さんは練習していますか?

達也:まぁ…しているっちゃしているんですけど(笑)。作曲でベースを持つことはありますけど、曲に合わせて弾くというのが高校生ぶりで。俺、楽器を始めたのがベースからだったので、コピーしていた頃を思い出して、曲に合わせて弾いているのが楽しいモードになっちゃっていますね。だから、練習というより楽しんじゃっていて。それがライブで活きればいいんですけど。

佳衣さんはいかがですか?

佳衣:歌の練習って難しいですよね(笑)。ただ、歌うことに慣れないとなと思って、最近yo-kaと食事に行くと、大体カラオケに行く機会が多いので、そこで色々な曲を歌ってはいます。DIAURAは歌わないですけど(笑)。あと、歌詞はちゃんと頭に入れないとなと思っていて、もうバッチリ。最近FC限定ライブでも「愚民党賛歌」を毎回やっているんですけど、100%口ずさみながら演奏できるくらいなので。

yo-kaさん、ギターの調子は?

yo-ka:俺、あまり練習が好きじゃないんですよね。夏休みの宿題もギリギリになるまでやらないタイプだったので、そんな感じです。ただ、俺は絶対にしっかりやるっていう、その気持ちだけで日々全力で生きています(笑)。現時点で弾くこと自体はできるんですけど、もっと完成度の高いところを目指すという部分で、合宿免許みたいに短期集中型でいこうかなと。8月末くらいから本気でやります。

さて、今年の「愚民の日」全体としては、どんなライブにしていきたいですか?

yo-ka:セットリストで歴史を振り返ってみて、去年は2020年以降の楽曲ばかりだったじゃないですか。それって近年のDIAURAが、メンバーの気持ちが合致できているということだと俺は思っていて。だからこそライブが見える曲の育ち方ができていると思うんですよ。ライブを作るというのは気持ちでやることなので、メンバーの気持ち、愚民の気持ちが高まっていくものにしていくのが一番大事だと思っています。

納得です。

yo-ka:100%気持ちの乗ったものが「愚民の日」には必要だと思っていて。でも、定番でいきますよというわけでは全くないです。それはやっていて俺がつまらないですから。面白い、楽しい、そういうのも全部含めて感情に訴えかけるものを作ろうと思っていますね。そのためには、「愚民の日」に向けて作ったこれまでの楽曲や「PROVE」をどう扱っていくか、それとDIAURAのこれまでがどう混在して、高く爆発させることができるかを考えながら詰めていきます。まぁ、間違いなく面白いものになりますね。それだけは言えます。衣装も変わりますし、一致団結でいきますから。

達也:声が聴けるようになって、もう何回もライブをやらせてもらっていますけど、1回1回やるたびに声が聴けて本当に良かったなと思うんです。その感謝の気持ちを毎回伝えているつもりではいるんですけど、「愚民の日」では最大限に伝えられるようにしたいですし、これがDIAURAだぞというものを見せたいので、楽しみにしてもらえたらなと思います。

翔也:声出し解禁はすごくデカいなと俺も思っていて。今日こうしてセットリストを用意してもらって振り返ってみたわけですけど、2020年のLINE CUBE SHIBUYAの時に愚民たちが声を出せなくて自分も戸惑った瞬間を覚えているんですよね。そこから3年経って、ようやくやりたいことがやれるんだというのもあるので、この日くらい皆で羽目を外して楽しめたらいいなと思います。

佳衣:バンド自身の環境の変化や、自分自身もその都度色々な心境がありましたけど、それでも愚民たちは毎年ちゃんとついてきてくれて。一緒にライブを作ってくれるというのは本当に感謝だなと思うし、まさに「愚民の日」というタイトルがふさわしいなと改めて思いました。今年も愚民たちへの感謝はもちろんですけど、これからもDIAURAについてきてほしいなという思いもありますし、そういうバンドであり続けるためにカッコいいステージを見せたいなと思います。

yo-ka:「愚民の日」って本当に大切な日ですから。元旦みたいなもので、めでたい日でもあるし、俺たちはDIAURAの全部をあげるつもりでやるので、愚民たちは愚民たちの全部を俺たちにくれよっていう気持ちですね。この日だけは何があろうと、そういう日にしたいです。出し惜しみダメ!

(文・金多賀歩美)

DIAURA

yo-ka(Vo)、佳衣(G)、翔也(B)、達也(Dr)

オフィシャルサイト

リリース情報

New Single『PROVE』
2023年7月19日(水)配信
(発売元:フォーラム)

ライブ情報

●「愚民の日2023」
9月3日(日)Zepp Haneda

●yo-ka聖誕祭「Evil’s Night Party2023-The forbidden garden-」
10月31日(火)新宿BLAZE

●ONEMAN TOUR 2023「LIMITLESS FALL」
11月3日(金・祝)F.A.D横浜
11月4日(土)柏PALOOZA
11月11日(土)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
11月12日(日)HEAVEN’S ROCK 宇都宮VJ-2
11月18日(土)郡山HIP SHOT JAPAN
11月19日(日)仙台darwin
11月23日(木・祝)青森Quarter
11月25日(土)札幌PLANT
11月26日(日)札幌PLANT
12月1日(金)名古屋SPADE BOX
12月2日(土)名古屋SPADE BOX
12月9日(土)ESAKA MUSE
12月10日(日)ESAKA MUSE
12月16日(土)福岡BEAT STATION
12月17日(日)福岡BEAT STATION
12月22日(金)新宿BLAZE
12月23日(土)新宿BLAZE

●摩天楼オペラ presents「BLAZE THE TRAIL」
8月23日(水)新宿BLAZE
出演:摩天楼オペラ、DIAURA

●BugLug主催Fes.「バグサミ 2023」
9月16日(土)秩父ミューズパーク(野外ステージ/音楽堂)
出演:BugLug、甘い暴力、Ashmaze.、アルルカン、vistlip、えんそく、キズ、己龍、KiD、ザアザア、ZOMBIE、DIAURA、夕暮れガールスーサイド、夕闇に誘いし漆黒の天使達

●「Bands Shock REVOLUTION ~びじゅある祭2023~」
10月14日(土)服部緑地野外音楽堂
出演:アルルカン、キズ、己龍、DEZERT、DIAURA、BugLug、夕暮れガールスーサイド、Leetspeak monsters、Royz