2021.06.20
DIAURA@日本橋三井ホール
DIAURA 10th Anniversary『INCOMPLETE EDEN』tour

今年1月に結成10周年を迎え、4月に全27曲を収めた2枚組ベストアルバム『INCOMPLETEⅡ』をリリースしたDIAURA。その記念作品を引っ提げ5月からスタートした全17公演に渡るDIAURA 10th Anniversary『INCOMPLETE EDEN』tourが6月19、20日、日本橋三井ホールでの2daysでファイナルを迎えた。

「明日はもっと素晴らしい景色に会えますように」(yo-ka/Vo)、そんな言葉で締め括られた第一夜を経て、グランドファイナルとなる第二夜は「破滅から始めよう」というyo-kaの声を合図に「RUIN」で幕を開けた。ステージには勢いよくCO2が噴出し、フロアは早くもヘドバンの嵐に。カラフルな光が場内を照らし出す中「倒錯症レジスタンス」で満場の拳が上がり、「この世界に俺たちの存在を高らかに示そうか!」とyo-ka。続くダンサブルなナンバー「アウェイクネスダイヴ」でyo-ka、佳衣(G)、翔也(B)がステージ前方へ繰り出せば、達也(Dr)が立ち上がりフロアを見渡しながら「FAKE[s]」へ。

その後も一切手を緩めることなく駆け抜けた前半戦だったが、空気を変えたのは「black sheep under the shallow sleep」。ブルーとピンクの照明が怪しげにステージを染め、奏でられたミディアムナンバーはどこか危険な香りと艶かしさを放っていた。この楽曲は1枚目のベストアルバム『INCOMPLETE』に収録された当時の未発表曲であり、この日の前半戦ラストに配したことは、DIAURAというバンドのストーリーを感じさせてくれるものだった。

なお、DIAURAはこのコロナ禍において、「どんな不自由も、それすら楽しめばいい」という思いのもと昨年9月に有観客ライブを再開させて以降、既に2本のツアーを完遂し、今回が3本目のツアー。さらに言えば、配信ライブを一切行わずに活動を続けてきた稀有なバンドでもある。本公演は感染予防対策の一つとして十分な換気時間を設けるため、本編中盤にメンバーがひとたびステージを去り、二部制のような形を取っていたことを付記しておきたい。すなわち、そのような事情も含めた上で考えられた構成というわけだ。

フロアの拍手が再びメンバーを迎え入れた後半戦。2011年発表の1stシングルc/wであるバラードナンバー「届かぬ手紙」をエモーショナルに奏でると、「レゾナンス」で〈届け、響け、君に。〉と歌い、〈僕が消える前に消える前に証を残したい この世界にたったひとつだけの歌〉――とyo-kaのアカペラから「獄彩」へと繋いだ。そんなDIAURAの存在証明を強く感じさせてくれたブロックを経て、「砂の塔-Tower of Imitation-」を皮切りに本編終盤に突入。「お前たちのマスターは誰だ!?」という恒例のyo-kaの問い掛けに、声を出すことを禁じられている観客が腕を大きく掲げ応えると、ライブ鉄板曲「MASTER」へ。真っ赤な照明が差し、CO2が噴出するステージに立つ4人の姿と、この日一番と言える満場のヘドバンの光景は、最強にカッコいいものだった。さらに、「最愛の愚民たちへ黒の花束を」(yo-ka)と、『INCOMPLETEⅡ』収録の最新曲「君へ黒の花束を」を、ラストにはDIAURAの始まりの曲「失翼の聖域」を届けたのだった。

アンコールでは各メンバーから様々な言葉が伝えられた。
「本当に良い景色で。目がたくさん欲しいなと思いながら演奏していました。ライブが終わった後の『楽しかったです』という一言が本当に嬉しくて、なんならその一言のためにやっていて。皆が元気になってくれたら幸せです」(佳衣)
「10周年のツアーだからということもあって、特別なツアーでした。本編あっという間で…16曲もやったよ! 終わりたくねーなー、ライブって楽しいなー! 最高だなー!」(達也)
「10年やっても、どこを切り取っても気付きがある良いツアーでした。それと、俺らのステージがカッコいいのは当たり前というか、そう心掛けているけど、客席が本当に良い景色でした」(翔也)
「10年という節目、無事に愚民たちと迎えられて、これ以上ない幸せを感じています。最高! まだまだ楽しいことがいっぱいあって、DIAURAが飽きない。より高くなった熱量を持ってやれていると、特にこのツアーで感じました。泥臭くていい。むしろ泥臭くやりたい。このツアー、途中からやたら『気合い』って言っていたと思うんだけど、気合いが入っていないライブはライブじゃないと思って。これからもDIAURAというものを突き通していきたいなと思います」(yo-ka)

そして暴れ曲「Inferiority Complex」を投入し、ラストスパートへ。センターお立ち台での佳衣のギターソロ、その背後でyo-ka、翔也、達也が向かい合った場面での4人の表情が、実に楽しげだった。「欲を言うともっとやっていたいくらい、いろんな感情をもらったツアーでした。今この独裁の庭にいる全員に言わせてください。ありがとう。これからもずっと独裁の庭をお前たちと一緒に描いていきたい。DIAURAのヴォーカルとして思うのはそれだけです。これからも色々なものと戦っていかなきゃいけないと思うので、力を貸してください。一緒に最高の景色を見ましょう。『INCOMPLETE EDEN』=未完の楽園、DIAURAのライブに完成なんてないから、それでいいと思っていて。終わらせる気はないから、これからも未完のまま、どこまでも一緒に行きましょう。10年分の思いを込めて歌いたいと思います」(yo-ka)と、最後に「Garden of Eden」が奏でられ、幸福感に満ちたラストシーンを迎えたのだった。

この日、8月にFC限定東名阪ツアー、9月3日にUSEN STUDIO COASTにて恒例の「愚民の日」公演、10月31日にyo-ka生誕祭の開催、さらに10月6日には全曲新曲の5thフルアルバム『R.I.P.』をリリース、11月3日からはアルバムを引っ提げた全国ツアーを行うことが一挙に発表された。「この4人でどこまでも戦います。お前たちの存在があってDIAURAは最強になる、そう確信しています。だから、どこまでも一緒に戦っていきましょう」と、yo-kaは最後に告げたのだった。

「DIAURAの色は黒」…これは先のインタビューにおいてyo-kaが発した言葉だが、無論、モノクロの世界とカラフルな世界、そのどちらも表現し得るのがDIAURAだ。様々な色の絵の具を混ぜ合わせれば黒になる。それは単色としての黒よりも複雑な黒。あらゆる色彩を描くことによって、より深い漆黒へと進化していく、そんなDIAURAというバンドの10年間の軌跡と本質が表れた一夜だった。未完であること、すなわちそこには無限の可能性がある。彼らが放つ“黒”もまた、より多くの色彩によって際限なく深みを増していくだろう。

◆セットリスト◆
01. RUIN
02. 倒錯症レジスタンス
03. アウェイクネスダイヴ
04. FAKE[s]
05. BUG
06. blind message
07. REM
08. black sheep under the shallow sleep
09. 届かぬ手紙
10. レゾナンス
11. 獄彩
12. 砂の塔-Tower of Imitation-
13. MASTER
14. 君へ黒の花束を
15. IDEA-現実への回帰-
16. 失翼の聖域

En
01. Inferiority Complex
02. UNIVERSE
03. Garden of Eden

(文・金多賀歩美/写真・尾形隆夫)


【リリース情報】
●New Album『R.I.P.』
2021年10月6日(水)発売

[初回盤](CD+DVD)NDG-18 ¥4,400(税込)
[CD]
01. ZERO
02. 死抗回路
03. 乖離性イデオロギー
04. Loop[S]Diver
05. Missing piece
06. Caligula
07. Gate of Labyrinth
08. Hurt
09. その証明
10. Believer
11. Hidden cry
12. RED ROMANCE(bonus track)
13. ミザリー
14. LAST BLOOD

[DVD]
『乖離性イデオロギー』MV

[通常盤](CD)NDG-19 ¥3,300(税込)
01. ZERO
02. 死抗回路
03. 乖離性イデオロギー
04. Loop[S]Diver
05. Missing piece
06. Caligula
07. Gate of Labyrinth
08. Hurt
09. その証明
10. Believer
11. Hidden cry
12. ミザリー
13. LAST BLOOD

【ライブ情報】
●愚民党限定東名阪tour『SECRET GARDEN PARTY#2』
8月15日(日)赤羽ReNY
8月20日(金)名古屋E.L.L
8月21日(土)大阪STUDIO PARTITA

●『愚民の日2021〜スタジオコーストを独裁せよ〜』
9月3日(金)USEN STUDIO COAST

●『Evil’s Night Party 2021』yo-ka生誕祭
10月31日(土)新宿BLAZE

●『R.I.P.-to chaotic future-』tour
11月3日(水・祝)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心
11月6日(土)横浜FAD
11月7日(日)柏PALOOZA
11月13日(土)仙台JUNKBOX
11月14日(日)郡山HIP SHOT
11月18日(木)青森QUARTER
11月20日(土)札幌SPiCE
11月21日(日)札幌SPiCE
11月27日(土)神田SQUARE HALL
11月28日(日)神田SQUARE HALL
12月4日(土)福岡Be-1
12月5日(日)福岡Be-1
12月11日(土)HEAVEN’S ROCK宇都宮
12月18日(土)名古屋E.L.L
12月19日(日)名古屋E.L.L
12月25日(土)大阪BananaHall
12月26日(日)大阪BananaHall

DIAURA オフィシャルサイト
https://diaura.net/