DIAURA

より自分の曲という感覚が強い(翔也)

翔也

「天上へ至るイド」は曲順通りに聴いていくと「ヒロイン」との音色の違いがすごかったです。

佳衣:こういうノリのいいデジタル寄りの曲ってDIAURAにも何曲かあるんですけど、もちろんライブを意識したのもありつつ、ダンスミュージックの中でもクラブというよりはディスコみたいな雰囲気なんですよ。ユーロビートというか。メロディーもちょっと歌謡っぽいメロディーラインになっていて、そういう融合も面白いんじゃないかなという自分の中では割と実験的な1曲ではあります。ライブでやったらどうなるんだろうという思いもあって、実際「愚民の日」で披露した時になかなか良い感触が得られたので、きっとこれからすごく力を付けていく曲の一つになるんじゃないかなと思いました。

イントロアウトロのリフは耳馴染みのあるノリですが、全体的には不思議とありそうでなかった感じですよね。

佳衣:そうなんですよね。絶妙なラインなんです(笑)。割とセオリー通りのシンプルな作りではあるんですけど、実はバックで色々な音が細かく入っているので、そういう意味でも耳障りは賑やかな感じだと思います。あまり最近のデジタルに寄り過ぎてないというのもありますね。

皆さん「愚民の日」で初披露した時の感触はいかがでしたか?

yo-ka:意外や意外、めっちゃノリがいいというか。単純に曲として向き合っている時は、ノリとか自分が求める景色みたいなものを思うと言葉もそれに引っ張られてしまうから、あまりそういうことは考えないんですよ。この曲が何を訴えたいのか、どんな色味でどんな映像があってという観点でしか歌詞を書かないので、自分の中ではノリは度外視なんですよね。それでレコーディングが終わってから「さて、これはどんなノリなんだろう?」というところにやっと考えが向くんです。この曲は本当に「愚民の日」の本番直前に、佳衣と「どんなノリになるんだろうな」っていう話をしました(笑)。それまで一切そんな話もしていなくて。だから、本当に出たとこ勝負。新曲ってそこが面白いと思うので。ここは縦ノリでとか、そういう話ってDIAURAはあまりしないんですよ。やって見えるだろうという感じで実際やったら、すげー良かったなと。

どんな景色になるか想像していなかったんですね。

yo-ka:例えばリズムの組み方とかでドッタンドコタンとかやっていたら、頭を振るんだろうなとかはさすがにわかりますけど、佳衣の曲ってあまり自分の中にない作り方だったりするから、新曲は俺も結構わからないままステージに立つことがあるんですよね。今回は新発見させてもらいましたね。

翔也:俺も正直想像できていなかった部分が大きかったんですけど、あんなにノリノリなんだみたいな(笑)。自分がプレイに対してもっと詰められたら、もっと化けるんじゃないかなというのは正直あったので、ツアーを通して曲がもっと大きくなっていくだろうなという予感はしましたね。リズム的には縦ノリなので、ノリやすいとは思います。

達也:俺も皆と同じ感覚で。この曲ってハイハットをずっと刻んでいるので、実は正面をあまり見ていなかったんですよね(笑)。でも、チラッと見た時に愚民たちがすごく動いているのが見えたので「あっ、こういうノリになるんだ」と思いました。初見であれならツアー中もっともっと熱量が上がるだろうな、ライブで化ける曲なんだなと思いましたね。

レコーディング的にはどうでしたか?

達也:結構狙い通りにいけた曲だなというのは感じていたんですけど、2サビ後のちょっと激しくなる間奏部分が、佳衣ちゃんから「三連に聴こえるようなフェイクを混ぜたリズムにしてみて」と言われて、やり取りが口頭だったのでちょっとわかりにくくて、何回か試した中で奇跡の一発が録れた曲でした(笑)。それは鮮明に覚えていますね。

佳衣:デモの段階でそういうニュアンスは入っていたんですけど、そこが上手く噛み合っていなかったので口頭でやり取りしていて。ちょっと変拍子みたいなノリなので自分でもわからなくなる感じだったんですけど(笑)、最終的に良いのが一発録れたので良かったです。

「After lament」は翔也さんの作曲です。yo-kaさんや佳衣さんが作るような楽曲に狙って寄せるのは無理だから、開き直って自分がやりたいことを詰め込んでいると以前言っていましたが、過去2曲「inner core」(2020年3月発売のシングル『ENVY』c/w曲)、「Loop[S]Diver」(2021年10月発売のアルバム『R.I.P』収録)と比較すると、一番DIAURA色があるように感じました。

翔也:おお、そうですか。自分では今回も全くそういうことは考えずに提出しましたね(笑)。ただ、過去2曲の時とも共通しているのは、選曲会に何曲か持っていくんですけど、いつも選ばれるのは作曲期間内の最後に作った曲なんですよ。だから、多分そういうことなんだろうなと。前半って「こういうものを作ってみよう、こうやってみよう」と頭で考えて作るんですけど、最後で「もう何でもいいやー」と作るとそれが採用されるので、オモロいなと思っています(笑)。だから今回も、思うがままにやってみようとできた曲ですね。

DIAURA色を感じた理由としては、ここは拳なんだろうな、ここは折りたたみなんだろうなとフロアの画が想像できたからなんです。

翔也:なるほど。だとすると、俺ももうヴィジュアル系歴が長くなってきたから、そういう感覚が身についたのかもしれないですね(笑)。

(笑)。今回この曲が選ばれた決め手はどんなところだったんでしょう?

yo-ka:一番大きいのはバランスかな。まず「カタストロフノート」と「ヒロイン」があって、パッと浮かんだビジョンとして「After lament」は救いになりそうな曲だなと思ったので。このシングルにおいての総括というか、締め括れる曲だなと思ったんですよ。だから、これは必要だなと思いましたね。

ちなみに、翔也さん曲としては初めて頭にしっかりイントロがありますよね。

翔也:採用された時に「またイントロないのかい」と思われるのもアレだなと思ったので、もうさすがに付けてみました(笑)。でも今回、メロディーもほぼほぼ採用してくれて。だから、より自分の曲という感覚が強いですね。

ベースはこの曲も結構動きがありますよね。

翔也:絶対に動かしてやろうとかはあまり考えていなくて。今回、レコーディングを収録曲順通りにやってみたんですよ。そしたら若干テンションも変わるのかなと思ったりして挑戦してみたんですけど。そういう部分で、この順番で来たらこれが必要だろうなというのもちょっとあったかもしれないです。

「After lament」に関してyo-kaさんと佳衣さんから見て、自分だったらこうしないだろうなと思った部分はありますか?

佳衣:ド頭のイントロに入る前のクッション部分の音使いが、自分だったら多分こうならないなという感じはあったので、なるほどなと思いましたね。

yo-ka:歌が入りづらい箇所が結構あるんですよ。俺はA型気質で頭を割とカッチリしたいタイプだから、翔也はやっぱりB型なんだなって(笑)。ヌルッと入る感じ。俺が作る場合はヌルッとはいかないので。

達也さんとしては今回の4曲の中ではこの曲が一番叩きやすいのではと想像しましたが、いかがでしょうか?

達也:いつもレコーディングの時はレコーディングモードの叩き方、力の入れ方をするんですけど、この曲は結構ライブのノリに近い動き、力の入れ具合でできたので気持ちよかったですね。それと、いつもレコーディングの時に使うスネアは14インチなんですけど、この曲は13インチのものを使って、それが曲にすごくハマってパーンッという気持ちいい音が聴こえたのが印象に残っていますね。

やっぱりライブができることが幸せ(達也)

達也

改めて今作のタイトル『カタストロフノート』について教えてください。“ノート”が意味するものというのは?

yo-ka:皆が普通に使うノートもあるし、日記帳的な記していくものという意味でもあって。自分の生きている今を記し続けていくという…何かに書き綴らなくても別にいいんですけど、日々記憶って重なっていくじゃないですか。そういうニュアンスで。例えばそれが一つの日記帳だとしたら、書いていた人物がいなくなったとしても、その物自体は残りますよね。そういうところで、作品というものともリンクするなと思って。改めて4曲の歌詞を見てみたら、総じて苦悩なんですよね。苦悩がまず根本にあって、でもそれって生きているうえで絶対に切れないものですから。結果すごく現実的な1枚になったので、共感し得る部分は多々あるんじゃないかなと思いますね。表現をどう飲み込むかですけど。

“カタストロフ”は自然界や人間社会における大変革という意味が一般的ですが、こと劇や小説においては悲劇的な結末、破局を意味することを踏まえると、今回の4曲がとてもしっくり来ます。前半2曲で男女の悲劇を表面的に描きながら、後半の2曲でその本質の部分を描いているというか。

yo-ka:何事もいつか終わるというのが前提なんですよね。それがあってカタストロフというものがまず出てきて。でも皆それに必死に抗って生きているじゃないですか。そういう人間の性根の部分というのも乗せたいし、「天上へ至るイド」で人間から切れない欲望みたいなものを書いていますけど、「カタストロフノート」にも「ヒロイン」にも欲望は流れているんですよね。そうやってずっと矛盾している中で苦悩しているという…だからすごく人間臭いですよね。

最終的には〈破滅的再生〉というワードで終わりますからね。もうこれが表しているなと。

yo-ka:だから「After lament」を語るうえで「天上へ至るイド」は必要だし…もしかすると、曲順を遡ってもらうといいのかもしれないですね。

そうすると今作の本質はわかりやすいかもしれないですね。さて、11月3日から全国ツアー「Sweetest depravity」がスタートし、年明け1月21日には12周年記念公演「BLACK IMPULSE」が開催されます。

yo-ka:周年が言わばその年のDIAURAの始まりなので、2023年をどんな年にしたいかというところもかかってくるじゃないですか。だから「BLACK IMPULSE」というタイトルには、一年の計は年の初めにあるという思いも込めていますね。

達也:「愚民の日」で新曲2曲を披露した段階で好感触だったので、ここから曲が成長していくと思うと、その楽しみもありますし、俺、今年を振り返るとライブのたびに「久々のライブで、すごく楽しかったです!」という感想が多かったなと思ったので、それが純粋な自分の気持ちなんだなと改めて気付きました。なので自分も楽しみつつ、何事もなくまたツアーができればいいなと思います。やっぱりライブができることが幸せでもあり、バンドの行事の中でライブが一番楽しみなので、そこは大切な時間にしていきたいです。

翔也:今年って割りかし手応えを感じるライブが多くて。だから冬ツアーに関してもそんなに不安に思うことはないんですけど、ライブができるのは本当に体があってのことだぞと思います。きっと冬ツアーもこの事情って付いて回るものだと思うんですよ。なので、いつでも会える関係性をずっと保っていけるように、お互い体を大事にしてライブで会えたらなと思います。

佳衣:今回の作品は全てにおいて自分としてはすごく実験的なリリースになったなと思っていて、すごく楽しかったんですけど、そういう実験的な要素を次のツアーでも活かしていきたいなと思っていて。なので、そこに向けて色々考えたり実験してみたりということを繰り返しているんですけど、そういったものでまた新しいDIAURAを見せられればなと思うので、皆も期待して来てもらいたいです。

yo-ka:今作も4曲が全部とても面白いので、セットリストを作らせてもらう立場で結構ワクワク感がすごいんですよ。その曲に込めたメッセージはもちろん、俺の頭に浮かんだ映像をそっくりそのまま転送することは不可能ですけど、歌でそれを少しでも伝えていくことがすごく大切なツアーだと思っています。それに加えて今回のツアーが「Sweetest depravity」=甘美な堕落なんですよね。甘さと毒をどう一つのライブで表せるかというところが自分にかかってくる部分でもあるので、今そこにやり甲斐を感じているところです。きっとすごく面白いライブが生まれていくと思うので、俺も楽しみだし、楽しみにしていてほしいなと思います。堕落しましょう。

(文・金多賀歩美)

DIAURA

yo-ka(Vo)、佳衣(G)、翔也(B)、達也(Dr)

オフィシャルサイト

リリース情報

New Single『カタストロフノート』
2022年10月12日(水)発売
(発売元:フォーラム/販売元:ダイキサウンド)

[Atype](CD+DVD)NDG-23 ¥2,200(税込)

[Btype](CD)NDG-24 ¥1,650(税込)

収録曲

【Atype】
[CD]

  1. カタストロフノート
  2. 天上へ至るイド

[DVD]
「カタストロフノート」MV

【Btype】
[CD]

  1. カタストロフノート
  2. ヒロイン
  3. 天上へ至るイド
  4. After lament

ライブ情報

●yo-ka聖誕祭「Evil’s Night Party 2022」~Dictatorial”DEATH”Hospital~
10月31日(月)新宿BLAZE

●ONEMAN TOUR「Sweetest depravity」
11月3日(木・祝)新横浜NEW SIDE BEACH!!
11月5日(土)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
11月6日(日)柏PALOOZA
11月12日(土)水戸SONIC
11月13日(日)郡山HIP SHOT JAPAN
11月19日(土)札幌SPiCE
11月20日(日)札幌SPiCE
11月22日(火)青森QUARTER
11月23日(水・祝)仙台CLUB JUNK BOX
11月25日(金)HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-1
12月3日(土)名古屋SPADE BOX
12月4日(日)名古屋SPADE BOX
12月10日(土)福岡DRUM Be-1
12月11日(日)福岡DRUM Be-1
12月17日(土)ESAKA MUSE
12月18日(日)ESAKA MUSE
12月23日(金)新宿BLAZE
12月24日(土)新宿BLAZE

●「BLACK IMPULSE」
2023年1月21日(土)Veats Shibuya