DIAURA

正義と悪の繰り返し、その無限地獄のような世界観(yo-ka)

yo-ka

「VERMILLION」の歌詞はどんなところから生まれていったのでしょうか?

yo-ka:『R.I.P.』が「ZERO」から始まって「LAST BLOOD」で終わるという一連の世界観があって、自分の中ではあの作品が「もう一度ゼロから始めよう」という位置付けで、これまでの集大成でもありリセットでもある作品なので、『VERMILLION』はゼロから描いたという感じなんですよね。だから、何にも囚われずに新しい世界観で書こうと思って。それこそ佳衣がリード曲を作ってくる前に二人で話したんですけど、イメージ的には本当に燃え盛る炎なんですよね。その後に生まれるものという漠然とした絵が自分の中で先行して見えていて。その炎の中に何があるんだろうと思った時に、時間軸としては「VERMILLION」の後が「unchain children」なんですよね。今の情勢と妙なリンクがあるんですけど、理不尽に奪われるものがあって、恨みだったりを抱えながら次を夢見て死んでいく、その果てにあるものが「unchain children」という構図があって。だから「VERMILLION」に出てくるワードや描写が「unchain children」の中で出てくるんです。そういう風に掛け合わせながら書いていきました。

「LAST BLOOD」が血が流れ続ける限り…という決意が込められたものだったことから、今作は歌詞からもその次の作品という意思を感じます。

yo-ka:闘争、戦いという感じですね。それがループしているイメージ。善と悪って、めちゃくちゃ難しいじゃないですか。善が悪にも傾くし、正義と悪の繰り返し、その無限地獄のような世界観がこの2曲なんですよね。

「unchain children」では〈未来〉というワードが多用されています。

yo-ka:その未来が希望かどうかはわからないですけど。作っては壊して、その繰り返しが歴史なんじゃないですかね。

サウンド面でも繰り返されるギターとベースのフレーズが印象的です。

佳衣:そうですね。8割方ずっと同じフレーズが流れているような曲なんですけど、そのフレーズからできたわけではなく、サビからできました。妖艶な感じのメロディーを思い付いて、そこからギターのフレーズとかが生まれていったので、この曲はサビがポイントかなと思っています。

こういう落ち着いたテンポ感で、大人っぽいお洒落な雰囲気のノリというのは新鮮です。終わり方もカッコいいですね。

佳衣:今までのDIAURAにはなかったような雰囲気ではありますね。終わり方はお洒落にしたかったです(笑)。あれはデモにはなかったんですけど、レコーディング中に何回もプレイバックをしている間に、自分の中で聴こえてくる音があったんですよね。そういうことってレコーディングでたまにあって。それで後から付け加えたので、当初とはまた違うコードの雰囲気で終わっています。

この曲は女性コーラスもポイントになっているんじゃないかなと。

佳衣:抑え目にはしたんですけど、あれがあることでこの曲の色が変わるんですよね。一度抜いて作っていたんですけど、入れたり抜いたりしつつ、やっぱりあったほうがいいだろうなと。あれがあるだけで全く違うので、この曲の色になっていると思いますね。

リズム隊としては、この新しい雰囲気はいかがですか。

達也:すごく面白いなと思いましたね。ドラマー的には、ここでこういうフレーズを入れようみたいなお洒落ポイントというか、小技を使いたくなる曲だなと思いましたね。ハイハットを細かく刻んでいる部分もあるので、それがまたこの曲調を活かすことができたなと思います。

翔也:選曲会の時に、これが出てきた瞬間に「あ、好き」と思って(笑)。ただこういう曲って、すごく昔にやっていたら絶対できなかったと思うんですよ。身の丈に合ってきたというか、割と最近はこういう曲調も得意になってきて。昔だったらガリガリやるほうが性分に合っていたんですけど、段々こっちのほうが心地よくなってくるなぁっていう。そういうお年頃なんですかね(笑)。

年相応という感じでしょうか(笑)。そして「ブラックアウト」は先ほどお話が出た通り、DIAURA、ヴィジュアル系で慣れ親しんだ曲調です。ファンの皆さんもイントロのヘドバン、Bメロの折りたたみなど、ライブでものすごく自然にノッていましたよね。

yo-ka:まぁ対比じゃないですかね。佳衣の道と俺の道でルートが違うので、その使い分けです。もうこれは本当にシンプルに、脳を使わなくてもいいくらいの曲ですね。

ギターソロ好きのyo-kaさんの作曲ですが、珍しくこれは入っていないなと。

yo-ka:実は最初はあったんですけど、やっぱり無しにしました。勢いに特化したいなと思って。どうしてもソロが出てきちゃうと勢いが削がれる部分はあるので、それは排除しようと。もう気絶するほどに…“ブラックアウト”ですから、失神するまでみたいなイメージですね。

ちなみに、「ブラックアウト」のサビの〈だろう〉部分に入るタムが良いなと。

達也:勢いで、こうやりたいなというアイディアがすごく出てきたんですよね。1サビ終わりの一瞬ある間奏も、折り返しのところでタム回しをしたいなと、デモを聴いた瞬間にすぐ思い浮かびました。

デモには入っていなかった部分なんですね。

達也:そうですね。結構詰め込んだ部分はデモには入っていなくて、これはやりたいなと思って「こういうのどう?」と提案しました。「いや、これは…」と言われたらどうしようと思いつつ、絶対にやりたかったので、それが通ってやりたいようにやれて良かったです。ハマったなぁ!と思いましたね。

拒否されなくて良かったです(笑)。ところで、今作は2020年10月の『最果てに降る雪』以来のシングル作品ということで、あの時は1曲ごとにご自身のパート以外の推しポイントを伺いましたが、今回は3曲の中で何か一つ推しポイントを教えてください。

yo-ka:やっぱり「unchain children」のリフですね。ずっと繰り返すあのリフが、もう優勝じゃないですかね。俺的にはあれがあるお陰で「VERMILLION」の歌詞にも繋がって広がった部分があったので、あの変わった音のリフが今作全体を通して好きです。

佳衣:自分も「unchain children」になるんですけど、1サビが終わった後のドラムからのベースが一瞬ドゥドゥンという感じで入るところがあって。自分の中で最近ああいうフレーズが好きで、気に入っている部分ですね。ベースが美味しいポイントって言うんですかね。

DIAURAはベースが美味しいポイントが結構多いですもんね。

翔也:ね、作ってくれるんですよ(笑)。

佳衣:そうかもしれないですね。作っている段階で、ドラムとかベースの美味しいポイントを割と作りがちなので。自分のギターソロもあまり入れないし。曲全体を通して見ることが多いので、ギター単体でここを目立たせようとかあまり思わないというのもあるんですけど。

さすがコンポーザーです。

佳衣:いえいえ。

翔也:俺も「unchain children」になっちゃうんですけど、サビの抜け方って言うんですかね。ギターとベースで割と近しいフレーズを弾いているんですけど、あそこは俺からは絶対に出ないアイディアだなと。美味しいポイントとして作ってくれていたんでしょうけど、本当にすげーと思いました。弾いているのは俺なので、過去の曲でもベースに関してお客さんから「あそこ良かったです」と言われることがあるんですけど、俺の手柄じゃないぞと、声を大にして言いたいです(笑)。

(笑)。達也さんの推しポイントは?

達也:「VERMILLION」の1サビ前に入るベースのスラップは、美味しいなぁと思って(笑)。佳衣ちゃんはやっぱりそういう美味しいポイントを作るんだなぁと思いながら…支えています(笑)。

来られる状態を作り続けることが、俺らがやるべきこと(翔也)

翔也

今年になって長めのツアーをやるアーティストも増えてきた印象はありますが、DIAURAはいち早く2020年秋から再開して、15~20公演のツアーを既に四度完遂しています。2020年秋と現在では、各地でのライブに変化はありますか?

yo-ka:もちろん2020年に最初にツアーをやった時は、どうしたらいいかわからないという部分が皆あったと思うんですよね。でも、その時と今も何も変わっていなくて、許された枠の中でやれることは全部やりたいというか。もちろん、ライブのやり方は細かく変わった部分はあるんですけど、2020年の段階からやれることをやるという気持ちだけで、それを全力で楽しんでいるだけなんですよね。なので、そこまで変化はないのかな。やるんだったら、「あーあ」とは思いたくないじゃないですか。お客さんだって、「あーあ」となっているバンドを見たくないだろうし。ただ、最初よりは今のほうが楽しめているかな。それくらいですね。

地方公演の雰囲気はいかがですか?

yo-ka:例えばステージと客席の距離とか、箱によって状況が違ったりするんですよ。そういう差は、最初はちょっと戸惑ったというくらいですかね。同じ国なのに全然違うのが不思議なんですけどね。でも、そんなことすらも関係ないと思いますね。今ってフロアに立ち位置の印があるじゃないですか。無闇にその領域を侵すということは、うちの愚民たちはしていないですし、愚民も愚民で、限られた許された自由を楽しみながら守っている。どの地方に行ってもちゃんとそれが見られたので、それを守っていればいいと思うんですよ。

11周年のライブでyo-kaさんが「コロナ禍の2年、何も諦めず、逃げずにDIAURAをやってきたという自負がある」と言っていましたが、まさにDIAURAはツアーもリリースも常に精力的に行ってきました。最後に、4月16日からスタートする21公演にわたる「DAWN OF VERMILLION」 toursに向けて、意気込みをお願いします。

達也:このご時世で色々と制限がある中で、『R.I.P.』という作品を出してやってきたツアーで手に入れたものはすごくあったので、制限はまだ続くと思うんですけど、逆にそれが当たり前かのように、もっともっと楽しんでもらえるように頑張りたいなと思います。

翔也:前回のツアーを経たことで、次のツアーも割ともう自信があるというか、良いものにできるだろうなという感じがしているので、その勢いは絶対に殺さずに、さらに伸ばせるようにしていきたいなと思います。コロナが始まった時にも言ったかもしれないですけど、来る来ないという判断は自分で決めるしかないから、本当に来られない人は無理して来る必要もないと思います。ただその来られる状態を作り続けることが、俺らがやるべきことだと思っているので、そこは徹底的に守りつつ、来られる時になったら来てほしいなと思います。

佳衣:コロナ禍になってから、もう何本もツアーをやってきて、そこで得てきたものもありますし、それでまたバンドが強くなってきた、経験値になってきたというのはあるので、そういうものがバンドの自信になったと思うんですよね。だから、自分たちも自信を持ってツアーをやりたいですし、お客さんにも来てくれるからには自信を持って来て、楽しんでもらえたらなと思います。不安な気持ちはできるだけなくして、今できる環境の中で最大限に楽しんでやれればなと思っています。

yo-ka:前回のツアーが本当に楽しかったんですよね。『R.I.P.』の曲たちがこれまでのDIAURAの曲の世界をより明確にしてくれる場面が多く見られて、自分の引き出しの中にそれがどんどん溜まっていくツアーをやらせてもらって。俺が作る曲って単純に突っ走って暴れるような曲が多いんですけど、改めて感じたのは、俺が好きなのは構築することなんですよね。曲の色をどうやったらもっと深く出せるかとか、それにはこの曲がその曲の前に来ると、もっと色々なものが見えてくるなとか、そういうことを探究していくことが俺はすごく好きなんだということを改めて感じた2021年を過ごしました。『VERMILLION』という作品も、先ほど話したように「VERMILLION」と「unchain children」がすごく密接なもので、濃い目に色々な解釈を持たせることに取り組んだので、ツアーを通してどんな世界観を作ろうかな、作れるかなと、可能性の幅が今回すごくあるんですよね。

シングルなので既存曲と色々な組み合わせができますもんね。

yo-ka:すごく自由なんですよね。だから色々試したいことがあるので、自分自身楽しみながら、好きなように模索しながら、トライアンドエラーというか…エラーはあまり出したくないですけど(笑)、より自分の中での積み重ねを多く作れればいいなと思います。

(文・金多賀歩美)

DIAURA

yo-ka(Vo)、佳衣(G)、翔也(B)、達也(Dr)

オフィシャルサイト

リリース情報

New Single『VERMILLION』
2022年4月6日(水)発売
(発売元:フォーラム/販売元:ダイキサウンド)

[A type](CD+DVD)NDG-20 ¥2,200(税込)

[B type](CD+DVD)NDG-21 ¥1,980(税込)

[C type](CD)NDG-22 ¥1,650(税込)

収録曲

[CD]

  1. VERMILLION
  2. unchain children
  3. ブラックアウト(※C typeのみ)

[DVD(A type)]
「VERMILLION」MV

[DVD(B type)]
「R.I.P. -to chaotic future-Tour Final『R.I.P.-reincarnate from zero-』」LIVE映像3曲

ライブ情報

●『DAWN OF VERMILLION』 tours
4月16日(土)新宿BLAZE
4月17日(日)新横浜NEW SIDE BEACH!!
4月23日(土)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
4月24日(日)柏PALOOZA
5月2日(月)郡山HIP SHOT JAPAN
5月3日(火・祝)仙台MACANA
5月5日(木・祝)青森QUARTER
5月7日(土)札幌cube garden
5月8日(日)札幌cube garden
5月14日(土)高崎club FLEEZ
5月15日(日)HEAVEN’S ROCK 宇都宮VJ-2
5月21日(土)福岡DRUM Be-1
5月22日(日)福岡DRUM Be-1
5月28日(土)名古屋Electric Lady Land
5月29日(日)名古屋Electric Lady Land
6月4日(土)HEAVEN’S ROCK 熊谷VJ-1
6月5日(日)長野CLUB JUNKBOX
6月11日(土)umeda TRAD
6月12日(日)umeda TRAD
6月18日(土)恵比寿LIQUIDROOM
6月19日(日)恵比寿LIQUIDROOM