2026.01.17
DIAURA@神田スクエアホール
TOUR FINAL DIAURA 15th Anniversary「Maddy Circus to “NEXT GARDEN”」

昨年11月より「MADDY CIRCUS COME TO TOWN」(訳:君の街にMADDY CIRCUSがやってくる)と題したツアーで各地を巡ってきたDIAURA。その全16公演のファイナル兼15周年記念公演が2026年1月17日、神田スクエアホールにて開催された。
このツアーは、昨年10月リリースの最新シングル『MADDY CIRCUS』を引っ提げて行われ、最終夜となる本公演には「Maddy Circus to “NEXT GARDEN”」とタイトルが冠された。随所でyo-ka(Vo)が述べていた通り、“次なる独裁の庭”へと向かっていく思いを込めたものだ。また、かつてVifのインタビューで翔也(B)が「表題曲でツアーの印象ってガラッと変わったりもする」と語っていたが、まさにそれが如実に表れた構成でありながら、15周年という節目にふさわしく、バンドの歩んできた軌跡とこれからの未来を提示する一夜となった。

カラフルな照明と、ホーンやピアノの音色によるサーカスの始まりを思わせるオープニングSEの中、達也(Dr)、翔也、佳衣(G)、そして最新作のMV同様にムチを打ち鳴らしながらyo-kaが登場。「MADDY CIRCUS」が幕開けを飾り、〈ここはいつだって背徳を 許容するだろう〉〈ここは君の居場所なんだ 君の世界だ〉と、煩悩から解放された幸福の境地へと誘う。ソリッドかつ疾走感あふれる佳衣のギターワークや、フロアを揺らしたサビでの「ヘイ!」のコーラスが際立つこの楽曲が象徴するように、本公演はDIAURAの硬派な王道の側面よりも、賑やかさと高揚感が押し出されたステージであった印象が強い。実際、当夜のエンディングでyo-kaが「楽しく、愉快なツアーでした」と語ったことも、その空気感を端的に物語っている。
“サーカス”というワードから想起されるワクワクドキドキとした期待感、そのモチーフに沿った世界観を軸に据えつつ、全21曲のうち2011〜2016年制作の楽曲が11曲、2019年が1曲、2023〜2025年が9曲という選曲がなされていた点は、本公演の大きな特徴。初期と近年の楽曲をほぼ同等の比重で並べながら、見事な流れを作り上げたことは、DIAURAの根底にある意志が15年間変わらずに在り続けてきた何よりの証だろう。加えて、年数を重ねるごとにバンドの表現力は確実に深化しており、優に100を超える歴代の楽曲が等しく“今”として鳴り得るからこそ、その組み合わせによって描かれる景色は、限りなく広がっていくのだ。

序盤ブロックに配された「black sheep under the shallow sleep」は、2015年12月リリースのベスト盤『INCOMPLETE』に収録された当時の新曲、つまり今から約10年前に生み出されたもの。言わばコテコテのダークなV系色を色濃くまとったナンバーだったが、当夜のステージでは、そうした印象を超えて成熟した仕上がりを見せ、むしろ今のDIAURAと抜群の相性を発揮していた。また、〈堕落の美学〉〈朽ちていく神の庭で 曝け出そう〉といったリリックも踏まえれば、まさに納得の選曲と言えよう。
さらに、楽曲冒頭でyo-kaが「独裁のこの庭で、もっと自由に」と告げたDIAURA流ダンスチューン「CRIMINAL BEAST」、オリエンタルなムード漂う「TABOO」、達也の力強いドラミングと佳衣・翔也によるユニゾンのリフが冴え渡る重厚なミディアムナンバー「The Redemption」と、活動初期の楽曲が並んだのち、中期のダークメルヘンな歌もの「Mind Mirror」、そしてドラマティックかつ煽り曲の要素も持つ近年の「SICKS」へと展開。楽曲同士のコントラストが際立つ多彩なナンバーが繰り広げられていったが、無論その並びも無作為ではない。例えば、「CRIMINAL BEAST」での〈獣のように欲望に素直になって〉、「TABOO」での〈背徳の甘い香りに誘われ〉など、「MADDY CIRCUS」とのリンクは明白だ。

ここでひとたび暗転し、季節を感じさせる煌びやかなSEを挟むと、白色の光が照らすなか奏でられたのは、柔らかなメロディのキャッチーさとは裏腹に、凍結した心を映し出す「絶対零度」。その余韻を受け継ぐように、極上のバラードに乗せて喪失を描く「朽白」、“君の無い現実”を歌う「Lost November」と、冬を舞台にした2曲が続き、後者ではオーディエンスの温かなシンガロングが響き渡った。
「もっと狂える!? 俺たちとお前ら愚民(ファンの呼称)ども、DIAURAのすべてで、俺たちの手でこのツアーの幕を下ろしましょう」というyo-kaの言葉を合図に、本編最終ブロックへ。ダークかつへヴィーな「DEAR RULER」とメロディアスな「Sleeping beauty」という初期の2曲が、近年のダンサブルなライブチューン「JUDAS」「STARRY INFERNO」を挟む配置となった。
これはあくまで筆者の推察に過ぎないが、絶望の日々を含む紆余曲折を経て、現在の理想郷があるのだという、バンドの軌跡を示した構成とも受け取れる。とりわけラストを「Sleeping beauty」が担ったことは、逆説的にバンドの原点へと立ち返り、心新たに15周年のその先へ向かうDIAURAの決意表明と捉えることもできるのではなかろうか。後のyo-kaのMCで語られた「色々なことがあっても、何よりDIAURAが大切だったんだなと。きっとあの時よりも強くなっていると思います」という言葉は、そうした解釈と重なるように感じられた。

アンコールでは、先に佳衣、翔也、達也が登場。佳衣曰く「このツアーでやってきた、楽器隊の音楽で遊ぼうのコーナー」として、3人によるインストセッションを披露し、フロアの熱を一気に引き上げる。そこへyo-kaが加わり、「ドラスティックダイヴ」「THIS IS MY CULT.」、そして鉄板曲「MASTER」を畳みかけ、白熱の光景を描き出した。
ここで各メンバーから言葉が届けられ、「こうして今、愚民たちと一緒に同じ時間を過ごせていることが、本当に嬉しいです。これからもカッコいい俺たちを見せつけていくので、よろしく!」と達也が宣言すれば、「年を取ると理屈っぽくなってくるのって人に対してだと思っていたんだけど、自分に対してもそうで。このツアーは恥も捨てたし、バンド初期のようなシンプルなことをやってみて、スゲーおもろいなと。いつも言っているけど、今が一番カッコいいと同時に、今が一番楽しいなと思うことをやっていきたいなと思います」と翔也。
佳衣は「今、皆と15周年を迎えられたことがすべてだと思います。いつもライブ、ツアーが待ち遠しい。そんな気持ちを持ち続けていられるのは、皆がいてくれるおかげなので、16周年、17周年と、背中を押し続けてもらえればなと思います」と、愚民たちへ温かなメッセージを贈った。


「正直、まさか15年バンドを続けることになるとは思っていなかったです。DIAURAという存在が、俺たちを繋いでくれたんだと思います。それは誇らしいことだし、なかなかできることじゃないと思います。DIAURAが大好きで、ここで作る音楽、ライブが大好きで、心が負けそうになった時、自分で居続けさせてくれたのは、その気持ちだけです。いつからか“独裁の庭”、“愚民”と名付けたお前たちが、大切なものになっていました。俺たちが音楽を奏で続ける限り、見せていきたい。…なんか解散発表みたいな雰囲気になっちゃったけど(笑)、やるっつってんの! DIAURAは俺たちが愛したものです。これからも愛し合っていきましょう! ずっと共に在り続けてください。この歌を贈ります」(yo-ka)
そんな言葉から奏でられた「ホライゾン」で、同じ“今”を生きるDIAURAと愚民たちの存在証明を、そして「これからも俺たちだけの光射すほうへ」と、DIAURAの始まりの曲「失翼の聖域」をもって、愛情と未来を示す締めくくりとなった。


最後にyo-kaは、「DIAURAはまだまだ音楽が溢れているのでね。それをすべて届けるまでは死ねないんですよ。このツアーを経て、タイトルにあるように“次なる独裁の庭”に向かっていく。一緒に歩みを進めていきましょう。これからも愚民として、DIAURAを愛し続けてください」と語った。
その言葉の後に発表されたのが、4月1日に15周年を記念したベストアルバム『INCOMPLETE Ⅲ』をリリースし、4月12日より全23公演にわたるツアー「独裁の庭」を開催すること。こうして見事に当夜のタイトル「Maddy Circus to “NEXT GARDEN”」が回収される形となった。なお、『INCOMPLETE Ⅲ』には2曲の新曲も収録されるとのこと。記念作品の誕生に期待を寄せながら、愚民たちと共に歩み続けるDIAURAの軌跡を、この先も見届けていきたい。

◆セットリスト◆
01. MADDY CIRCUS
02. FAKE[s]
03. Optimal fiction
04. black sheep under the shallow sleep
05. CRIMINAL BEAST
06. TABOO
07. The Redemption
08. Mind Mirror
09. SICKS
10. 絶対零度
11. 朽白
12. Lost November
13. DEAR RULER
14. JUDAS
15. STARRY INFERNO
16. Sleeping beauty
En
01. ドラスティックダイヴ
02. THIS IS MY CULT.
03. MASTER
04. ホライゾン
05. 失翼の聖域
(文・金多賀歩美/写真・尾形隆夫)
【リリース情報】
●15th Anniversary BEST ALBUM『INCOMPLETE Ⅲ』
2026年4月1日(水)発売
[2CD+DVD+豪華ブックレット仕様]NDG-38 ¥8,800(税込)
<収録内容>
[CD:DISC 1]
01. 乖離性イデオロギー
02. VERMILLION
03. カタストロフノート
04. ANTISM
05. PROVE
06. COLD SLEEP
07. ヴェノミー
08. HELLTOPIA
09. dazzle-消えた弾丸-
10. Ephemeral
11. MADDY CIRCUS
12. never seen(新曲)
[CD:DISC 2]
01. Gate of Labyrinth
02. Loop[S]Diver
03. ブラックアウト
04. 天上へ至るイド
05. UNCONTROL BIAS
06. 愚踊
07. STARRY INFERNO
08. ドラスティックダイヴ
09. SICKS
10. Doomsday
11. JUDAS
12. 愚民党賛歌(再録)
13. 独と毒(新曲)
[DVD:DISC 3]
「独と毒」MV
【ライブ情報】
●翔也生誕祭「Mr.STUPiD 2026」
1月31日(土)Spotify O-WEST
●佳衣生誕祭「dictatorial【K】ingdom Ⅺ」
2月7日(土)Spotify O-WEST
●達也生誕祭「Joie de Vivre 2026」
3月28日(土)Spotify O-WEST
●DIAURA 15th Anniversary TOUR「独裁の庭」
4月12日(日)下北沢シャングリラ -愚民党LIMITED-
4月18日(土)柏PALOOZA
4月19日(日)F.A.D横浜
4月25日(土)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
4月26日(日)HEAVEN’S ROCK 宇都宮VJ-2
5月9日(土)郡山HIP SHOT JAPAN
5月10日(日)仙台MACANA
5月14日(木)八戸フォーミー
5月16日(土)札幌SPiCE
5月17日(日)札幌SPiCE
5月23日(土)金沢AZ
5月24日(日)新潟GOLDEN PIGS RED
5月31日(日)神戸VARIT.
6月2日(火)岡山IMAGE
6月3日(水)広島セカンドクラッチ
6月5日(金)高知X-pt
6月7日(日)福岡DRUM Be-1
6月13日(土)OSAKA MUSE -愚民党LIMITED-
6月14日(日)OSAKA MUSE
6月18日(木)浜松フォース
6月20日(土)名古屋Electric Lady Land -愚民党LIMITED-
6月21日(日)名古屋Electric Lady Land
TOUR FINAL
6月27日(土)Veats Shibuya
