2021.09.03
DIAURA@USEN STUDIO COAST
「愚民の日2021~スタジオコーストを独裁せよ~」
DIAURAがコロナ禍において有観客ライブを再開させた2020年9月3日から丸1年。今年もこの日がやって来た。DIAURAにとって、そして愚民たち(ファンの呼称)にとって、1年で最も大切な日。メンバーが口々に「最初で最後のSTUDIO COASTワンマン」と話した通り、来年1月をもって閉館が決まっているSTUDIO COASTにて「愚民の日2021~スタジオコーストを独裁せよ~」が開催された。
10月6日にリリースとなるニューアルバム『R.I.P.』のリード曲「乖離性イデオロギー」のMVが初披露された後、同曲の生パフォーマンスで幕を開け、最新のDIAURAを提示する形でスタートを切ったこの日。序盤からフルスロットルで展開し、ステージ、フロア共に一切手を緩めることなく終始熱量の高い空間を繰り広げるのがDIAURAのライブの常だが、この日はいつにも増してアドレナリン大放出のパフォーマンスと、それに呼応するオーディエンスによって約2時間に渡り白熱の空間を作り上げたのだった。
それは序盤にyo-ka(Vo)が発した「愚民の誇りを持って、全員で燃え尽きましょう」という言葉がまさに体現された結果となったわけだが、バンドが1月に10周年を迎えたこと、年に一度の特別な日であること、未だコロナ禍にあること、最初で最後のCOASTワンマンであること…そんな様々な状況が重なったことに加えて、この日のセットリストの選曲もそのような結末へ導いた要因の一つだと考える。ほぼ全曲と言っていいほどオーディエンスのヘドバンの嵐が見られる攻めの楽曲セレクトでありつつも、「アウェイクネスダイヴ」「blind message」「GARDEN」「愚民党賛歌」といった『愚民の日』にまつわる楽曲が随所に配され、その全てを通してDIAURAの決意と愚民たちへの愛情がひしひしと感じられるものだったのだ。
無論、DIAURAの楽曲たちはそのどれにも確固たる意志があり、魂が宿っている。「アウェイクネスダイヴ」「NIGHTMARE」は生み出された時期は違えど、共通して“束の間の悪い夢”を歌いながら明日への光を見せてくれ、今日という日も“革命前夜”なのだと示しているようであったし、yo-kaのアカペラによる〈どうして生かされているの〉という「blind message」の曲終わりから、「SIRIUS」へ繋ぎ〈死して報われる明日があるのなら 例えこの身 朽ちるとも君へ〉と強く死生観が感じられた流れもまた、エモーショナルな歌声と共に深く胸に響くものであった。
また、「『愚民の日』はお前たちが主役の日なんだ。DIAURAの日じゃない! 愚民の日!」とのyo-kaの叫びから「EVER」を皮切りに突入した本編ラストブロックにおいて、これでもかと暴れ倒した「Mr.Isolation」は圧巻のシーンだった。佳衣(G)と翔也(B)が前方へと繰り出せば、yo-kaはドラム台の上に立ち、達也(Dr)と顔を合わせつつ「もっと!」とフロアを煽りに煽る。翔也がベースを高らかに掲げ、佳衣がフロアにメロイックサインを向けると、yo-kaは「お前たちの首ちょうだい!」と連呼。〈このまま死ぬまでずっと 愛していてほしい もしも世界が散り散りになってもこの庭で会おう〉というDIAURAから愚民たちへ向けたラブレターとも取れる楽曲を介して、どこまでも熱狂を求め続けた。その勢いと愛情表現は、続けて投入された「GARDEN」「愚民党賛歌」においても同様。そして「DIAURAに、愚民党に栄光あれ!」というyo-kaの言葉をもって、本編を終えたのだった。
アンコールでは各メンバーから感謝の思いが伝えられ、「1年前、拍手だけで戸惑いがあったけど、今では皆の拍手が声に聞こえます。俺の耳がどんどん進化しています」と佳衣が話せば、「今日はすげー1日になってるわ。DIAURAの良い部分が出ていると感じています。俺たちと愚民が時間を共有すれば、素敵な楽しい時間を過ごせると思うので、これからもよろしくお願いします!」と達也。そして、翔也は「マジで後悔ないです! 1年前、次の『愚民の日』はどうするという話になった時に、COASTが空いていると。でも、あなたたちの応援がなければ、踏み切れなかったわけなので、本当にありがとうございます! ルールを守ってもこんな景色になれるんだと自信になりました。来年も今日みたいに楽しい日が迎えられるんじゃないかなと思います」と、感無量の表情を見せた。
同じく1年前のことを思い出したというyo-kaは、「止まっていた一歩を踏み出した日でした。もちろん今も不透明で不安な日々の中だけど、去年の今日から小さな一歩を積み重ねてきて、やっぱりライブってすごいな、楽しいなと素直に思えるようになりました」と、その胸中を語り、「『スタジオコーストを独裁せよ』というタイトルを掲げたけど、楽しむことだけを考えてやってきました。お前たちのことを見ていたら、めちゃめちゃハイになりました。最後の瞬間までもっとハイになろうぜ! めちゃくちゃ楽しもう!」と告げた後、「Beautiful Creature」「Inferiority Complex」を連投。さらに「俺たちの日々はこれからも続いていきます。命続く限り、DIAURAがある限り、音楽を、ライブを作り続けていきたいなと改めて思いました。これからも愚民として俺たちの側にいてください。どんな未来が来ようとも、DIAURAなりの未来を描いて歌うから。これからもよろしく! お前たちの心に届くように歌います」(yo-ka)と奏でられた「Noah」では、本来の歌詞に言葉を足し〈お前たちと生き続けたい〉と歌う場面も。
さらに「お前たちのマスターは誰だ!?」というお決まりの前振りから、「どんな未来が来ようと、お前たちのマスターは俺だ! 愛してるぜ愚民ども!」とyo-kaが叫び、この日のラストナンバーとなったのは「MASTER」。思い返せば1年前の『愚民の日』、本来ラストにこの楽曲が用意されていながらも、披露することが叶わなかった。それは偶然とも必然とも言える結果だったが、それを機にDIAURAは、愚民が声を出して応えられない状況では「MASTER」を演奏しないという考えに至った。だがその後、「意地を張っているのはこっちだけなんじゃないか。堂々とやろう」という考えにシフトし、三度の全国ツアーを行う中で、再びセットリストに組み込まれるようになった。そんなこの1年間を思うと、2021年の『愚民の日』が「MASTER」で締め括られたことは、とてつもなく感慨深いものだった。
「『愚民の日2021』、DIAURA最初で最後のSTUDIO COASTワンマン、きっと忘れないよ。最高の日でした。ありがとう」「愚民たちの力をめちゃめちゃ感じながら迎えたステージでした。まだまだここから楽しいことを仕組んでいくので、全力でついてきてください。これからも共に最高の未来へ行けますように。どこまでも一緒に行きましょう。愛してます」(yo-ka)
この日、音楽と直接的な言葉の両方で、愚民たちへの愛情を最大限表現したDIAURA。そこに“未来”というワードが多く含まれていたことも印象深いものだった。彼らの今後の動向としては、ニューアルバム『R.I.P.』を10月にリリースし、その最新作を引っ提げ11月3日から全国ツアーを行うことは既報の通りだが、ツアーファイナル兼11周年記念公演が2022年1月20日、TSUTAYA O-EASTにて開催されることが新たに発表となった。まずは『R.I.P.』の誕生を心して待ちたい。そして、これから先もDIAURAと愚民たちの相思相愛の関係性が〈変わり続ける世界に変わらないもの〉であることを切に願う。
◆セットリスト◆
01. 乖離性イデオロギー
02. アウェイクネスダイヴ
03. FAKE[s]
04. UNCONTROL BIAS
05. 倒錯症レジスタンス
06. BUG
07. blind message
08. SIRIUS
09. NIGHTMARE
10. Gate of Labyrinth
11. イノセント
12. EVER
13. Mr.Isolation
14. deadly number
15. GARDEN
16. 愚民党賛歌
En
01. Beautiful Creature
02. Inferiority Complex
03. Noah
04. MASTER
(文・金多賀歩美/写真・尾形隆夫)
【リリース情報】
●New Album『R.I.P.』
2021年10月6日(水)発売
[初回盤](CD+DVD)NDG-18 ¥4,400(税込)
[CD]
01. ZERO
02. 死抗回路
03. 乖離性イデオロギー
04. Loop[S]Diver
05. Missing piece
06. Caligula
07. Gate of Labyrinth
08. Hurt
09. その証明
10. Believer
11. Hidden cry
12. RED ROMANCE(bonus track)
13. ミザリー
14. LAST BLOOD
[DVD]
「乖離性イデオロギー」MV
[通常盤](CD)NDG-19 ¥3,300(税込)
[CD]
01. ZERO
02. 死抗回路
03. 乖離性イデオロギー
04. Loop[S]Diver
05. Missing piece
06. Caligula
07. Gate of Labyrinth
08. Hurt
09. その証明
10. Believer
11. Hidden cry
12. ミザリー
13. LAST BLOOD
【ライブ情報】
●「Evil’s Night Party 2021」yo-ka生誕祭
10月31日(土)新宿BLAZE
●「R.I.P.-to chaotic future-」tour
2021年
11月3日(水・祝)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心
11月6日(土)横浜FAD
11月7日(日)柏PALOOZA
11月13日(土)仙台JUNKBOX
11月14日(日)郡山HIP SHOT
11月18日(木)青森QUARTER
11月20日(土)札幌SPiCE
11月21日(日)札幌SPiCE
11月27日(土)神田SQUARE HALL
11月28日(日)神田SQUARE HALL
12月4日(土)福岡Be-1
12月5日(日)福岡Be-1
12月11日(土)HEAVEN’S ROCK宇都宮
12月18日(土)名古屋E.L.L
12月19日(日)名古屋E.L.L
12月25日(土)大阪BananaHall
12月26日(日)大阪BananaHall
2022年
1月20日(木)TSUTAYA O-EAST