2022.01.20
DIAURA@Spotify O-EAST
「R.I.P. -to chaotic future-」Tour Final&DIAURA 11th Anniversary「R.I.P.-reincarnate from zero-」
「タイトルにあるように、俺たちは何度だって生まれ変わる」――1月20日、Spotify O-EASTで開催されたDIAURAの「R.I.P.-to chaotic future-」ツアーファイナル兼11周年アニバーサリー公演「R.I.P.-reincarnate from zero-」にて、全てのパフォーマンスを終えた直後にyo-ka(Vo)はこう告げた。
今ツアーは昨年10月リリースのアルバム『R.I.P.』を引っ提げ行われたものであり、作品及びこの日のステージにおいても1曲目を飾った「ZERO」の歌詞にあるように、活動10年を経たDIAURAが〈もう一度ゼロから始めよう〉という思いのもと展開してきた。リリース時のインタビューでは「自分たちのこれまでの全てを持って生まれ変わるって最強じゃないですか。それができるのが今だと思う」という発言も残していたわけで、それがツアーを進めていくに連れ、“今”に限らず“何度だって”という思いに変化していった…と言うのは語弊があるかもしれないが、つまりは、その思いがより一層強固なものになったからこその、ある種の決意が表れた言葉だったのではないだろうか。無論、進化には変化が伴うものであり、事実DIAURAはこれまでも変化を厭わず活動してきたバンドなのだから。それが“混沌とした未来へ”向かうためのサバイブの仕方に違いない。
巨大なトラスと幾つもの十字架が配され、『R.I.P.』の世界観を具現化した舞台で、この日披露されたのは全22曲。その中心を担ったのはもちろん『R.I.P.』だが、そこに収められた14曲ものナンバー全曲が本編でプレイされた。DIAURAにとってフルアルバムという形としては実に約4年ぶりの作品だったこともあり、これだけの数の新曲がセットリストを占めるのは久々のこと。だが、後のMCで達也(Dr)が「新曲ばかりのセトリだったけど、ライブを重ねていくうちにどんどん曲が成長していって、盛り上がっていくのを感じました」と話したように、11月3日のツアー開始から約3ヵ月、全18公演の最終夜に見せてくれたのは、DIAURAと愚民たち(ファンの呼称)が共に作り上げてきた今ツアーと『R.I.P.』の完成形と言える素晴らしい景色だった。
「ライブとは、ファンと共に作り上げるもの」…これはよく耳にする言葉だが、愚民たちの一体感は現在のシーンの中でも随一と言えるものであり、DIAURAのライブに必要不可欠な存在だ。yo-kaに合わせて一糸乱れぬ振りを見せた「Missing piece」「ミザリー」然り、V系色を全面に打ち出した楽曲コンセプトのノリを共に楽しみ、増幅させた「Gate of Labyrinth」「Hurt」然り、フロアにタオルを旋回させた「Loop[S]Diver」、『R.I.P.』中もっともハードなイントロでここぞとばかりにヘドバンの嵐を巻き起こした「Hidden cry」然り、全ての新曲の個性が確立されたのは、愚民たちの存在があってこそ。それをこの夜に居合わせたオーディエンスたちが、改めて証明してくれたのだ。
なお、翔也(B)の作曲により、DIAURAに新たな風を吹き込んだ「Loop[S]Diver」(曲中、yo-kaに促され翔也が歌う場面も)や、『R.I.P.』以前のDIAURAにはなかったという16ビートのシャッフル曲「ミザリー」が、今現在の彼らのライブの中で良いアクセントになっていたことは、まさにバンドを進化させる変化の一つだと言える。さらに、yo-kaと佳衣(G)の前バンドの曲をDIAURAで初音源化した「RED ROMANCE」は、彼らが過去と向き合うことによって生まれたものだが、本編ラストでもアンコールでもなく、この楽曲の冒頭で銀テープが舞ったことは、本当の意味で彼らが過去を自身の中で昇華させた証のように感じられた。
また、他界した父に向けyo-kaの個人的な感情で制作したというバラードナンバー「その証明」を、今ツアーを通して演奏を重ねてきたこと、そしてこのセットを背に、DIAURAの10周年の終わりという一つの区切りのステージで奏でたことは、yo-kaの人生とDIAURAにとって大きな意味を持つものになったことだろう。〈それでも道は/僕はまだ続いていく〉と歌う、ポジティブなメッセージが込められた「Believer」、さらに「君の心に届くように」というyo-kaの言葉から「Noah」が後に続き、佳衣、翔也に寄り添い、達也と向き合い、オーディエンスの一人ひとりに語り掛けるように歌うyo-kaの姿が印象的だった。
もちろん、「Caligula」や「LAST BLOOD」といったダークサイドに振り切った楽曲、スリリングかつ疾走感があり、DIAURAらしさを感じる『R.I.P.』のリード曲「乖離性イデオロギー」など、彼らの真骨頂である楽曲たちもツアーを経て、より深みを増し、未発表の新曲「ブラックアウト」を含むアンコールでのハードナンバーの連投では、愚民たちと共にこれぞDIAURAのライブと言える熱狂の空間を描き出したことも記しておきたい。なお、鉄板曲「MASTER」の曲中、yo-kaの遊び心から、CO2を噴出させるスイッチを自ら操り「出し切ってやった」(本人談)という微笑ましい一幕も。
11年前に新宿RUIDO K4からDIAURAが始まったことを思い返したという佳衣が、「DIAURAという車に乗ってひたすら走り続けた感覚です。覚えていないくらい周りの景色が速かった。それについてきてくれた皆さんに感謝です。ツアーで一皮も二皮も剥けるバンドなので、最終的には仏のようになるかもしれない(笑)。もっともっとカッコよくなっていかないといけないと思いました」と話せば、翔也は「RUIDO K4の当時はサポートだったけど、yo-kaと佳衣ちゃんがカチコチになっている姿を横から見ていたなと思い出しました。これからも楽しいと思うことにアンテナを向けてやっていくので、よろしくお願いします」と述べたのだった。
「11年で、DIAURAがより大切になったし、愚民たちをより愛おしく思います。コロナ禍の2年、何も諦めず、逃げずにDIAURAをやってきたという自負があるから、これからも愚民たちを引っ張っていきたい。そして最高の景色を見せたい。まだ見たことのない景色を一緒に見よう!」というyo-kaの言葉を合図に、〈君がいればいい〉と歌う愛情溢れる「Reason for Treason」、そしてDIAURAの始まりの曲「失翼の聖域」をもって、この夜は幕となった。ちなみに、アンコールは当初2〜3曲を予定していたようだが、結果的に5曲ものナンバーが繰り広げられたこと、これもDIAURAの愛だと受け止めたい。
この日の序盤にyo-kaが告げた「最高の始まりを迎えるために、最高の終わりにしたいと思います」という言葉がまさに現実のものとなった一夜。最後に4人が向かい合い曲を締め括ったシーンを観ながら感じたのは、DIAURAというバンドはこんなにも美しくカッコいい四角形になっていたのだということ。最高の形で11周年を迎えた彼らは、早くも4月6日にニューシングル『VERMILLION』をリリース、その作品を手に全21公演に渡る全国ツアー「DAWN OF VERMILLION」を開催する。何度だって生まれ変わるのだという決意を胸に突き進むDIAURAが、次にどんな景色を見せてくれるのか。今後も彼らから目を離さないでいたい。
◆セットリスト◆
01. ZERO
02. 死抗回路
03. 乖離性イデオロギー
04. BUG
05. Missing piece
06. REM
07. Caligula
08. Gate of Labyrinth
09. Hurt
10. その証明
11. Believer
12. Noah
13. Loop[S]Diver
14. RED ROMANCE
15. ミザリー
16. LAST BLOOD
17. Hidden cry
En
01. ブラックアウト(新曲)
02. Nameless
03. MASTER
04. Reason for Treason
05. 失翼の聖域
(文・金多賀歩美/写真・尾形隆夫)
【リリース情報】
●New Single『VERMILLION』
2022年4月6日(水)発売
(発売元:フォーラム/販売元:ダイキサウンド)
[A type](CD+DVD)NDG-20 ¥2,200(tax in)
[CD]
01. VERMILLION
02. unchain children
[DVD]
「VERMILLION」MV
[B type](CD+DVD)NDG-21 ¥1,980(tax in)
[CD]
01. VERMILLION
02. unchain children
[DVD]
「R.I.P. -to chaotic future-」Tour Final「R.I.P.-reincarnate from zero-」LIVE映像3曲
[C type](CD)NDG-22 ¥1,650(tax in)
[CD]
01. VERMILLION
02. unchain children
03. ブラックアウト
【ライブ情報】
●「DAWN OF VERMILLION」tours
4月16日(土)新宿BLAZE
4月17日(日)新横浜NEW SIDE BEACH!!
4月23日(土)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
4月24日(日)柏PALOOZA
5月2日(月)郡山HIP SHOT JAPAN
5月3日(火・祝)仙台MACANA
5月5日(木・祝)青森QUARTER
5月7日(土)札幌cube garden
5月8日(日)札幌cube garden
5月14日(土)高崎club FLEEZ
5月15日(日)HEAVEN’S ROCK 宇都宮VJ-2
5月21日(土)福岡DRUM Be-1
5月22日(日)福岡DRUM Be-1
5月28日(土)名古屋Electric Lady Land
5月29日(日)名古屋Electric Lady Land
6月4日(土)HEAVEN’S ROCK 熊谷VJ-1
6月5日(日)長野CLUB JUNKBOX
6月11日(土)umeda TRAD
6月12日(日)umeda TRAD
6月18日(土)恵比寿LIQUIDROOM
6月19日(日)恵比寿LIQUIDROOM