THE MICRO HEAD 4N’S

THE MICRO HEAD 4N’Sの新たな始まりを象徴する『NEW ERA-the beginning-』。未知の先に道がある――

2022年8月に新ヴォーカルKEKEの加入を発表し、11月の新宿BLAZE公演をもって第四期として本格始動したTHE MICRO HEAD 4N’S。そこから約1年の時を経て、遂に現体制初のオリジナルアルバム『NEW ERA-the beginning-』が完成を迎えた。作詞、作曲、アレンジ等あらゆる面で様々な試みがなされ、そのタイトルが示す通り新たなマイフォを象徴する1枚となった今作について、2023年の活動を辿りながら5人にじっくり話を聞いた。


メンバーと一緒にいない時間も常にマイフォのことを考えていた(KEKE)

KEKE

マイフォ単独としてはリテイクベストアルバム『NEW GENERATION』(2022年12月)以来約1年ぶり、5人揃っての登場は昨年9月の始動時以来となります。1年前にZEROさんが、四期完成までのペースはすごく速いと思うと言っていましたが、実際いかがでしたか?

ZERO:もう一瞬じゃないですか。過去のどの期よりも早く馴染んだというか。KEKE君のグイグイがすごいので、もう何年一緒にいたのかわからなくなっていますね(笑)。

TSUKASA:本当に昔からいたような気がして。KEKE君に引っ張ってもらっているような感覚がありますね。

SHUN.:ヴォーカリストらしい資質を持っている人だなと思っていて、ステージ上だけでなく、ステージを下りたところでもそうなので、持って生まれたものみたいなのがあるんだなと。ヴォーカリストとしてステージを支配したり、何だったら楽屋も支配されつつあるんで(笑)、そういった意味でも元からいたような感じはしますね。

kazuya:僕、各期のヴォーカリストに、マイフォを楽しんでほしいといつも言っているんですね。KEKEはしっかり楽しんでいるし、熱量がすごいので、時にめんどくせーなと思う時もあるんですけど、僕の中でそれが信頼に変わっていったんですよね。だから、ライブのセトリや今回のアルバムの曲順も任せたり、ちゃんとメンバーとして任せられるような信用を作ってくれたことに感謝していますね。

KEKEさんとしては、四期としての形ができたなと実感したのはどの辺りでしたか?

KEKE:信用を得るのって多少の時間は必要ですけど、求められている以上のことをやるとか、そういうところから得ていくものだと思うので、メンバーと一緒にいない時間も常にマイフォのことを考えていましたし、そういうものがちゃんと具現化されてきたのって自分の生誕ライブが一つのポイントだったのかなと思います。自分の熱量がピークに達して爆発したのもそこで、だからこそファンの皆さんと一緒にソールドアウトという結果に持っていけたのかなと。自分がメンバーにガッと行けたのもあの時なので、その頃から馴染んだ感じがありましたね。

ステージの形としては2月公演で完成を感じつつ、やはり6月のKEKEさんバースデーから流れが変わった感じはありましたよね。KEKEさんがセトリを組むようになったのもあれ以降ですが、以前まで担ってきたkazuyaさんの感触としてはいかがですか?

kazuya:僕としては良いことだと思っていて。まず、ファンの人たちから良かったという声が大きかったので、そこでの信頼感としてOKかなと。それと、僕が作っている時は僕なりのストーリーがあるんですけど、KEKEの時も彼なりのストーリー、見せ方をちゃんと考えたものになっているんですよね。要はセトリってただの曲の羅列じゃないから、ちゃんと意味合いを持ってやっていることに対して、とにかく彼が見せたいマイフォの表現に乗っかろうと。僕ら4人以上に、彼は僕らの過去の曲も好きでいてくれているから、新曲で埋めようとしないのもいいなと思います。過去の曲をリメイクするのは結構大変なんですけど、彼は躊躇なく入れてくるので(笑)。

KEKEさんバースデーで「火の鳥」(FANATIC◇CRISIS)と「MIRROR」(D’ESPAIRSRAY)も披露しましたが、この2バンドの曲をマイフォでやることは、皆さんすんなり受け入れられました?

SHUN.:若干の不安はありましたよ。それはカバーをやるということに対してですけどね。僕らはTHE MICRO HEAD 4N’Sなので。僕もカバーをやること自体は好きなんですけど、ライブって僕らだけのものではないじゃないですか。そんな中、その曲を知らない人もいたらどうなんだろうなっていう。でも、思った以上にノッていただけて嬉しかったです。

あの日の終演後、ZEROさんは「火の鳥」をやるのはちょっとドキドキしたと言っていましたよね。

ZERO:そうですね。FANTASTIC◇CIRCUSが動いているので、それと比べられると思うとドキドキしますよ。ただ、個人的にはすごく楽しかったですね。誕生日のライブって、その本人のプロデュースになるので、楽しみの一つとしてそういう飛び道具があってもいいと思うんですよ。音楽を楽しむという意味では、一つのアリな形なのかなと思います。

TSUKASA:KEKE君が入りたてのこのタイミングだからこそできることなのかなと思いまして。僕たちを好いてくださっていて、タイトルが神…GODでしたっけ?

SHUN.:「worship god day」=神を崇める日。

TSUKASA:僕ら、神様になってしまったんですけども。

KEKE:TSUKASAさんはちょっとまだ(笑)。

TSUKASA:あ、違う(笑)?

KEKE:嘘です嘘です(笑)。

TSUKASA:自分でも忘れているくらいのD’ESPAIRSRAYの曲名を知ってくれていたり、愛を感じたのと、KEKE君の思いが形にできた良いライブだったんじゃないかなと思います。僕としても嬉しかったです。

KEKE:今、メンバーがそれぞれLuv PARADEとFANTASTIC◇CIRCUSをやっていることや、本人たちと一緒に演奏する楽しみもありましたし、こういうものを入れるのも誕生日ライブだからこそできることなのかなと。ひたすら皆さんに喜んでもらうことを考えていて、他にも四期として初めてやる曲が結構多かったと思うんですよね。自分の思い出や糧にもなりましたし、ファンの方々もメンバーも良かったと言ってくれたので、一生懸命やって良かったなと思いますね。

あのライブで今回のアルバム収録の新曲「LAST」「深海」「WITH」を初披露しましたが、初めてのKEKEさんバースデーということで、加入後の新曲をやりたい気持ちがあったのでしょうか?

KEKE:THE MICRO HEAD 4N’Sにはすごくカッコいいな、素敵だなと思う曲がいっぱいあるので、自分が入ってからのオリジナル曲に対して特別視みたいなものってないんですよね。過去の曲でも僕は自己流に変えていくし、かず兄が新しくアレンジしているので、それはそれで四期の曲なのかなと思うんです。

なるほど。そして8月の12周年ライブは残念ながらZEROさんが欠席でしたが、配信で観ていてどんな心境でしたか?

ZERO:前日の9BALL GAMESも欠席していて二日連続で配信を観ていたんですけど、9BALL GAMESで他の出演者もいて、楽しみながら最後にマイフォを観るという流れで、その翌日に周年だったから普通に観られた部分もあるかもしれないです。もし9BALL GAMESがなかったら、ショック過ぎて観られなかったかもしれないですね。

あの二日間、TSUKASAさんは「普段より下手を見ちゃう」と言っていましたよね。

TSUKASA:そうですね。違和感は確実にあったので、いつもと違うからこそ自分もはじけないとという思いでやっていましたね。

SHUN.:ZERO君がいない分、僕も動かなきゃみたいなところが意識的にはあったと思います。その代償としてフラフラになっておりました(笑)。

ZERO:そこ休憩じゃないんですけどっていう場所で止まってましたもんね(笑)。

SHUN.:ファンの皆も熱気がすごかったので、本当に2〜3曲目で、もうライブ中盤くらいの感覚で…ビックリしましたね。

KEKE:マジでヤバかったっすよね。

TSUKASA:ファンの皆さんもZERO君のことを思ってすごく盛り上がってくれた気がしましたね。

ZERO:配信に皆の声が入るようにって、煽ってたしね。

kazuya:この日は本当にギリギリまで中止にするか悩みましたけどね。やると決めてからは、SHUN.がステージングでカバーするのと同時に、僕は音でカバーしようと思って。ライブver.となると、そのパートのレコーディングデータがなかったりするわけですけど、ないとスッカスカになっちゃうので、新しいエフェクターでベースの音を出したりしました。それも僕は学びになって面白かったなと。マイナスをいかにプラスにするかにフルコミットしたライブでした。

『NEW ERA』というタイトルが今の自分たちに合う(SHUN.)

SHUN.

『NEW ERA-the beginning-』というアルバムタイトルの発案者はどなたでしょうか?

SHUN.:僕です。曲が出揃うまでタイトルは決まっていなかったんですけど、「Life is beautiful」を僕が元々「NEW ERA」というタイトルにしていて、アルバムタイトルもこれが今の自分たちに合うのかなと思ったんです。その後「NEW ERA」だった曲に〈Life is beautiful〉という歌詞があって、レコーディング中に「これがタイトルでもいいかもね」と僕がボソッと言ったら、その場にいたkazuya君とKEKE君も同意で、アルバムと曲のタイトルが入れ替わったという流れでした。

今作はメロディアスな曲が多い印象ですが、これは四期マイフォの方向性を示すものなのか、今作がたまたまこの形なのか、どちらでしょう?

kazuya:たまたまかな(笑)。結果論、冬に出るアルバムというところで、季節感的にはいいのかなと思っていたりします。それと、KEKEの良さが全面に出ていると思いますね。

確かに。ライブのセトリっぽい曲順で、とても綺麗な流れです。

KEKE:客観視した時に、どう始まったらテンションが上がるかな、どう聴いていきたいかなというのを基に組んでいきました。実は1曲目の「Life is beautiful」は元々最後にしていたんですけど、意味合い的にまず新しい時代、新しいマイフォの始まりとしてこの曲を持ってきて、こういう感じの四期ですというところから、野音への道とかの自分たちの思いがこもった「LAST」に繋げました。「サヨナラの先に」と「雪月華」は歌詞でリンクしている部分もあるので繋げて、最終的にこのアルバムを持って皆で頑張っていこうというところで、「WITH」を最後にしましたね。

「Life is beautiful」は9月の主催ツーマン「FACE TO FACE」で初披露しましたが、あの時これを選んだのはどのような経緯だったのでしょうか?

KEKE:自分ら主体で動いているイベントなので、来てくださるお客さんをビックリさせたい、喜ばせたいという気持ちが常にあって。自分も今まで色々なライブに行って、新曲が披露されると嬉しかったので、9月の2本で「Life is beautiful」、10月の2本でさらに違う新曲をやったんですよね。このバンドって本当にメンバーそれぞれがファンを思っていて、そういうところもいいなと思っているので、自分も学びながら色々考えさせてもらっています。だから、初披露の選曲に特に意味合いはないんですけど、新曲をやったこと自体は皆を喜ばせたかったというのが一番大きいですね。

kazuya:これは実は三期の曲で、前アルバムのレコーディングが終わった時に、この曲もできていたのでドラムだけ録っていたんですけど、そのまま三期が終わってしまって。今回の作曲期間中に、そういえばこんな曲があったなと思い出して、ドラムデータだけ残してメロもコードも全部変える、ドラムを聴きながら曲を作るという初の試みをしました(笑)。詞先とかメロ先とかありますけど、これはドラ先(笑)。テンポも尺もノリもガチガチに決まっている中で作るというのは、なかなか面白かったですね。

ものすごい縛りの中で作られたわけですね(笑)。

kazuya:もうちょっと短くしたいなと思いつつも、せっかくだから録った時のままのものに自分がどう乗せられるか、チャレンジだと思ってやってみました。結果、前のものより良い曲になったなぁと。個人的には、ちょっとガービッジな匂いがしていいなと思っています。バキバキに転調が入っているので、ちょっと面倒ですけど、個人的にはサビの一発目のコードは渋いなぁと思ってキュンとしています(笑)。

ZERO:こういうメロディー系の曲で、リズム残しで他を全部変えるってすごいことだなと。しかも、さらに良くするという。やっぱり音楽って第一印象が強く残るので、前のほうが良かったなとなりがちだと思うんですけど、ガラッと変わって良くなるってすごいなと正直思いましたよ。

「LAST」はデモver.音源を12周年ライブで配布し、完成版をシングルとして「FACE TO FACE」公演から発売予定だったのが、無料配布という形に急遽変更されましたよね。

kazuya:普通に発売しても面白くないよねというのがスタートだったと思います。だったら無料配布すればいいんじゃない?って。YouTubeに上げれば皆平等に観られるわけですけど、知らない人はそれすら観ないんですよね。だけど、マイフォのファン以外の方でも、半強制的に100人に渡せば20人くらいは聴いてくれるはずなんですよ。新しく出会う方々の中の2割でも聴いていただければ、YouTubeに上げる以上の意味はあるのかなと。もちろん無料配布でもちゃんとしたものなので、僕らの熱量が伝わってくれたら、それだけでもありがたいなと思います。

KEKE:自分たちの主催イベントでは半強制的に配布しましたけど、それ以外のイベントでは物販とか入口に取りに来てくださいという形だったので、それでも用意したものがなくなっちゃうくらい持って帰ってくれたのは、ちゃんと興味を持ってもらえたんだなという実感が持てて、やって良かったなと思いますね。

ところで、3月にKEKEさんが「昨日kazuyaさんが上げてきた曲がマジで良くて、多分アレがシングルになると思います。マジでカッコよすぎてズルイッす」と言っていたのは「LAST」ですか?

KEKE:あー! そうだと思います(笑)。一発目の衝撃がすごかったんですよね。

kazuya:あれが元々OFIAMの1曲目だったというのが面白いですね。なので、実は僕が歌っているデモがあって。本当は誰かとコラボしようかなと思っていた曲なんですけど、うまくいかなかったので置いていたんですよ。前にZERO君から「マイフォっぽいですよね」と言われたことがあって、今回聴き直したらカッコよかったので、またメロも変えて再構築しました。

KEKE:じゃあ、12月のO-WESTでkazuyaさんが歌っているデモを配布しますか(笑)。

kazuya:地獄やね(笑)。トゥララトゥーラララって言ってる(笑)。

ZERO:歌詞が入ってないデモってなかなかだな(笑)。

確か6月の初披露時点では、ZEROさんの語りは入っていなかったですよね?

kazuya:今回の7曲中4曲をFANTASTIC◇CIRCUSのツアー中に2週間くらいで作ったんですけど、経験上、質っていうのは量をいっぱい作らないとわからないんですよ。なので、ザーッと書いてアレンジは後々修正していきました。「LAST」の間奏は元々ギターソロで、皆は良いと言ってくれたんですけど、僕の中での質として「なんかダセーな、なんか違うな」と思って、ZERO君のパートに変わりました。ここの英語を書いたのはSHUN.ちゃんだっけ?

SHUN.:うん。今までの人生は…みたいなことを言っています。

歌詞はKEKEさんが4回くらい書き換えたということでしたよね。

KEKE:苦労しましたね〜…! まず、わかりやすくっていう注文をいただいていたので、「わかりやすくって何だ!?」みたいな(笑)。共感できるわかりやすさ、パッと見てわかりやすい、ライブでわかりやすい…色々なわかりやすさがあるので、頭の中がグチャグチャになって。三期の「REBIRTH -the 3rd form-」とか、加入して再出発みたいなものを出してきているから、もうそういうのじゃなくていいよねっていう話があったんです。そこで自分との葛藤ですよ。僕はやっぱり四期が一番良いと言われたいという思いがあって、バンドに対する意気込みは半端じゃないので、どうしてもそういうものを一発目の歌詞には持ってきたい気持ちがあったんですよね。

そうなりますよね。

KEKE:だから迷っていっぱい書いちゃったんですけど、そもそもなぜ四期のスタートなのに「LAST」なの?っていうところが一つのフックではあって、その意味はこれが最後のバンドという気持ちで。KEKEが加入する前はマイフォを終わらせようと思っていたという話もあったじゃないですか。そういうメンバーの色々な思いも汲み取って「LAST」になっています。

タイトルありきの作詞だったということでしょうか?

KEKE:そうですね。SHUN.先生が「いいな、それ」って。

SHUN.:この頃、ほぼ毎日KEKE君と歌詞の件で連絡を取り合っていて、「LAST」というワードを聞いた時にいいなと思ったので、そこから歌詞を構築していくのはアリなんじゃない?と話したのは覚えていますね。