OFIAM

始動発表から1年を迎えるOFIAMが最新作『時』に込めたメッセージ。生まれ変わってもまた会いたい人はいますか?

THE MICRO HEAD 4N’Sのkazuya、SHUN.、ZEROによって2021年に始動したプロジェクトOFIAMが、再び前作から3ヵ月というタームで新たな作品『時』をリリースする。表題曲にはkazuyaの歌、SHUN.の語りという二つのVoice要素を軸としたOFIAM史上最もキャッチーなポップチューン「時」、c/w曲にはとことんヘヴィーミュージックに振り切りながらヴォーカルチョップも駆使した「罪」、温かなインストミディアムナンバー「煌」と、振り幅のある3曲が収められた今作。その制作の裏側と、始動発表から1年を迎える今の思いをじっくりと聞いた。


THE MICRO HEAD 4N’S第三期ラストライブから1年が経過しましたが、体感的には早かったですか?

kazuya:OFIAMはずっと実験ばかりしているし、コロナ禍というのもあって慎重に動かなきゃいけなかったし、ずっと考えていたような1年で。結果として早かったのかなぁ。毎日が早いですからね。

ZERO:俺は逆に長く感じますね。1日1日は早く感じるんですけど、振り返ってみるとまだ1年しか経ってないのかと思うので。

SHUN.:僕も同じく、1日1日はすごくあっという間に過ぎるんですけど、年単位で考えるとやっと1年かという感じがしますね。多分、1年の間に色々なことをやっていたせいもあると思うんですよね。色々なことがいっぱいあったなっていう。

「音源を出すこと=打席に立つこと。たくさん打席に立つためにシングルをたくさん作っていきたい」という前回のkazuyaさんの発言通り、1stシングル『棘』(2021年12月)、2ndシングル『声/創』(2022年3月)、そして今回の3rdシングル『時』(6月)と、3ヵ月周期でのリリースとなっています。リリースするということは、曲作りやレコーディングだけでなく付随する色々な作業も発生するわけで、結構大変なのではと。

kazuya:アーティストとしてはどうってことはなくて。まぁ、僕の場合はちょっと特殊ではあると思うんですけど。間にFANTASTIC◇CIRCUSも入ってきたじゃないですか。その他にも作家や色々なことをやっているんですけど、別に大変だなと思ったことはなくて。ただ、アーティストとしての動き以外の部分では確かに大変ですよね。その辺はSHUN.さんに担当してもらっているから、出てくると思うんですけど。

SHUN.:OFIAMは映像制作もあって、僕はそれを裏方の作業とは思っていないので、アーティストの立場でも作業量が増えたんですよね。あと、コロナ禍になって動き方が前とは随分変わったのはもう…大変ですね(苦笑)。どうしたらいいのか未だに見えないところがあります。ライブは配信も増えたり、落ち着いてきた部分もあるとは思うんですけど、作品の届け方はまだ模索している感じです。今まで結構ライブ終わりにイベントをやることが多かったのに、ライブがなくなる=イベントもなくなる、なかなか地方に行けないからイベントもできないとか、そういったところで絶賛今もどうしようかと思っています。

ZEROさんはジャケットのデザイン業が3ヵ月周期で訪れるわけですよね。

ZERO:そうですね。OFIAMに関しては新しい発想や手法、特に今作に関してはMVに登場する絵を入れてみたり、新しいアプローチの仕方が段々とできているので、マイフォとはまた違った面白さというのがありますね。

年齢を重ねて大人になる=人を許せること(kazuya)

kazuya

今作の収録曲は全くテイストの異なる3曲で、とても振り幅がありますが、そういう部分を意識しての選曲なのでしょうか?

kazuya:まず6月くらいにシングルを出したいよねという話がZERO君からあって、とりあえず2~3日で「時」を作って、もうこれでいけるなと。「煌」は僕が入れたかったです。「罪」に関しては実はもうレコーディングは終わっていたんですよ。「棘」と同時期にレコーディングしていて、そのまま止めておいたもので。だから楽曲の振り幅はあまり考えていなくて、時間効率やクオリティーを優先した選曲ですね。

まずは表題曲「時」についてですが、3月13日の赤羽ReNY alpha公演で初披露した際、kazuyaさんがかなり具体的に曲紹介をしていましたよね。「生まれ変わってもまた会いたい人はいますか?っていう投げかけなんです。僕は色々あったけど、今まで出会った人たちにもう一回会いたい。それは友達、家族、メンバーだけじゃなくて、ファンの皆も一緒。離れていっちゃったファンの人も含めて僕はみんな愛しているし、もう一回生まれ変わったら会いたいなと思って作った曲です」と。音楽的なテーマや情景的なイメージではなく、明確なメッセージをもって曲作りをするのはkazuyaさんには珍しいのではと思ったのですが。

kazuya:平たく言うと、後付けですね(笑)。と言うのも、元々はこういう曲を作るつもりはなくて、もっとヘヴィーな曲を作ろうと思っていたんです。それでPCの前に座って作り出したら、もうこのサビのメロディーと歌詞がセットになって頭の中で鳴っていて。「それはいらない。こっちが欲しいから」って僕の中で戦っていたんですよ。でも、そのメロディーが頭の中を占める割合がどんどん大きくなっていっちゃったから、「もういいよ、じゃあ作ってあげるよ」と作っていったらこうなったんですけど、作っている途中で、MCで言ったような意味合いが出てきましたね。そんな曲になったらいいなぁと。

そんな流れがあったんですね。

kazuya:数年前から、やたらタイムリープものが映画やドラマになっていますけど、結局僕も好きなんですよね。前々からこういう曲を作りたいとは思っていたんですけど、たまたま今回それっぽい歌詞ができたので、それをもっと具体化して、なおかつイメージとしては勝手にアニメを作って、勝手にタイアップを取ったみたいな(笑)。あと、アニメのCMを意識して作りました。こうやって喋ってアウトプットすることによって、意味合いが後で頭に入ってくるじゃないですか。自分で言っておきながら「確かに、そういうことだな」みたいな。僕、こういうことはよくあるんですよ。この曲を作っていたら、やっぱり過去に色々なものを抱えている人はいっぱいいるんだろうなぁと思って。僕の場合、嫌だった思い出を全部ひっくり返していくという過去の書き換えを7年前からやっているんです。先日のFANTASTIC◇CIRCUSもその一つですし。色々なことがあったけど、年齢を重ねて大人になる=人を許せることなんだなぁということに行き着いて。そうやって考えていくと、この人たちに出会ったから今の僕がいるってことは、改めて愛であり感謝だなというところに行き着きました。

歌メロの部分の歌詞はkazuyaさんが書いたものなんですね。

kazuya:はい。少し直してもらいましたけど。いつも歌詞とメロディーが同時に出るんですけど、しっちゃかめっちゃか過ぎるんですよ。だけど今回はたまたま上手くハマって。ただ、自分で書いた歌詞を自分で歌ってメンバーに送るのは正直恥ずかしかったです(笑)。それで皆の意見を聞いたら、意外といいじゃんという反応だったからホッとしましたね。

語り部分の歌詞によって、よりストーリー性のある内容に仕上がっていると感じます。kazuyaさんの仮歌詞がありつつ、SHUN.さんはどのように歌詞を構築していったのでしょうか? 

SHUN.:kazuya君からもらったサビの部分の歌詞が、この曲を象徴するようなものだったんですよね。ただ、1番だけだったので、それに近い感じで2番を考えるのは悩みました。あと、リフレインするような感じを、まんまじゃないほうがいいなというのは結構色々考えて。さらに、語りの部分もkazuya君からもらっていた歌詞に少しあって、それでストーリーはある程度できている感じではあったんですけど、全体的にワードを抽象的かつストーリーがわかるような感じにしたいなと思って、構築していきましたね。

なるほど。

SHUN.:あくまで僕個人の考えなんですけど、曲を聴いた人それぞれが、kazuya君が言っていた「もう一度会いたい人はいますか?」という問いに対して思い浮かべる相手がいると思うんです。この歌詞は、僕は一人に焦点を絞ったところもあるので。とは言え、それは架空の人ですけど(笑)。だって、死んだ彼女みたいな感じで書いたから(笑)。そういう風に捉えられないようにはしたつもりですけど、どうしてもそっちの方向性には寄っていますね。

僕と君がすごく明確な内容の詞で、闇や悲痛さを感じるこれまでの「棘」「声」の語りとはカラーがだいぶ異なりますよね。

SHUN.:そうですね。陰だったものが陽になったみたいな(笑)。

それもあってか、「時」のSHUN.さんの声は優しいなと思ったんです。

SHUN.:それ、実は気になっていたところで。今、MVを絶賛制作中で、鬼のように音源を聴いているんですけど、なんでこんな言い方をしたんだろと(笑)。いつもエンジニアさんとディスカッションしながら録っているんですけど、今聴くと僕が想像していたものとちょっと違うな、明るいなと思って(笑)。

kazuya:でも、明るいのはお願いしたところがあって。デモを関係者に聴かせたら、「サビはキャッチーなのに、Aメロになったらお経みたいになってるじゃん」と言われたから(笑)。

SHUN.:ただ、発音のニュアンスなのかな、ちょっと歌詞とのチグハグ感を感じたところもあったんですよね。それがむしろ良いのかもしれないし、勝手に僕の頭の中で鳴っているトーンが違うのかもしれないですけど。レコーディングの時はあまり思わなかったんですよ。でも今、きっと僕500回くらい聴いているんですけど、「あれ? こんな言い方したっけ?」と毎回思うんですよね(笑)。

(笑)。「時」はkazuyaさんの歌、SHUN.さんの語りという二つのVoice要素がありますが、前回ZEROさんが言っていた「今って曲ごとにVoiceパートが振り分けられているけど、1曲の一部分にガンッとあっても面白いなと思う」がまさに具現化されているなと。

kazuya:大体ZERO君とのそういう会話が頭に残っていて、作曲の土台となるもの、曲の卵の卵が生まれる瞬間はありますね。今回もそうで、AメロとかでSHUN.さんがラップして、他の人がサビでメロを歌うみたいな話があって、それも確かに良いよねと。結果的にラップにはならなかったですけど、そのことが頭には残っていたので、それがベースとしてありますね。2000年代にあった、わかりやすく言うとケツメイシの「さくら」とか、ラップが続いてサビでメロウになるみたいな、そのラップ部分がこれは語りですけど、フォーマットとしてはほぼ一緒ですね。

ZERO:可能であれば、やっぱりSHUN.さんにはいつかラップをやってもらいたいなと思いますね。それと、現時点での俺の中のイメージとして、OFIAMだけどちょっとマイフォ寄りの曲というのも、この曲のポイントかなと思っていて。そういう意味ではマイフォが好きな人にも受け入れやすい曲になっていると思うんですよね。そして今、FANTASTIC◇CIRCUSが動き出したり、俺とTSUKASAもLuv PARADEで動き出したりという、多くの人に注目されるであろうタイミングにこの曲を出せることの意味って、この先きっと大きくなっていくんじゃないかなと思います。

そうですね。ところで、デモの歌は全てkazuyaさんが入れていて、曲のカラーによって誰が実際に歌うか決めるということでしたが、メッセージ性だけでなく今回はカラー的にもkazuyaさんっぽいというか、逆に言うとZEROさんではない感じはありますね。

kazuya:今回、デモで歌を入れてみて、実はファルセットも入れてあるんですけど、それが僕の耳には女性の声にしか聴こえなくなっちゃって、今回も生のコーラスを入れてもらったんです。それで完成した瞬間に、「あ、僕でも大丈夫だ」となりました。ある意味デュエットみたいな感じになっているので。僕は別に歌いたがりではないですけど、曲のカラーとしては今回は僕が最適なのかなと思いました。

女性コーラスがかなり入っているのが印象的ですね。

kazuya:前回と同じ方にお願いしたら、今回もまためちゃくちゃいただきました。僕としてはサビを歌ってもらえるだけでよかったんですけど、1言ったら10返ってきて。だから今回もトラック数が多いですし、楽しかったです。

現状、OFIAMの中では最もキャッチーな曲であり、SHUN.さんもライブのMCで「kazuya君に聴かせてもらった時、アニメソングっぽいなと思って」と話していましたが、ジャケットもまさにそんな雰囲気です。ZEROさんもアニメソングっぽいなというイメージはありましたか?

ZERO:ありましたね。ただ、ジャケットを作っている段階でそういうものにしようと思っていたわけではなくて、MVの制作に入るタイミングで、その中に入れる絵のチェックがあったので、これをジャケットに入れたら面白いかなと思って入れただけなんですよね。作っている段階で「そういえば絵があったな」と。結果、今までになかったテイストのものになりました。

そうだったんですね。

ZERO:type A とtype Bで、それぞれ色があるものとモノクロ的なものに分けましたけど、意外と俺、色的にグレーがあまり好きじゃないんですよ。だけど今回グレーを使ってみて、結果的にこういうのも良いなと思いましたね。