THE MICRO HEAD 4N’S

新体制初ステージの記憶とリテイクベストアルバム『NEW GENERATION』完成の裏側。THE MICRO HEAD 4N’Sの総力戦が再び幕を開けた――

去る11月13日、当初の予定から約1ヵ月の延期を経て、ついにTHE MICRO HEAD 4N’S第四期の1stライブが新宿BLAZEにて開催された。運さえも味方につけた奇跡的な初ステージを振り返るとともに、12月13日にいよいよリリースされるリテイクベストアルバム『NEW GENERATION』についてKEKE(Vo)、kazuya(G)、ZERO(B)に話を聞いた今回。ステージや音源、彼らの言葉の節々から、「マイフォらしさ」と「四期らしさ」を軸に、メンバー5人が同じ熱量をもって歩を進めているTHE MICRO HEAD 4N’Sの今が見えてきた。さらに、彼らが思い描く2023年のビジョンも。


既に1ツアーを回ったくらいの関係性でスタートできた(kazuya)

kazuya

先日は1stライブお疲れ様でした! 本来の予定から1ヵ月延期にはなったものの、結果として日曜の新宿BLAZE、声出しOKという好条件が揃って、またマイフォに新たなドラマが生まれました。

kazuya:そうですね。言ってしまえば自分のせいで延期になってしまったんですけど、それによって来られなくなっちゃった人もいるわけですよね。大前提として、そういう方々には申し訳なく思っているのは事実です。だから浮かれているわけではなくて。でも、ピンチをチャンスに変えられたのかなという意識はありますし、一発目としてあの公演になったからこそ生まれた物語という気はしますよね。

ライブを終えて、始動の実感はありましたか?

kazuya:スタートした感じはしていないです(笑)。というのは、スタートするまでに結構コミュニケーションを取っていたし、KEKEも才能なのか努力なのかわからないですけど、僕らに歩み寄ってくれたし、明らかにメンバーの心が開いていくのが手に取るようにわかったんですよ。既に1ツアーを回ったくらいの関係性でスタートできたので、ヴォーカルに対して今までで一番信頼度の高い始動ライブだったかもしれないですね。特に二期、三期というのは決定からスタートが早かったので、やっぱり心配しかなかったんですよ。キャリアの差って絶対に出ちゃうから。

なるほど。

kazuya:ZERO君がよく言うことでもあるんですけど、ライブのステージって穴埋めゲーム的なところがあって、今あそこのポジションが空いたから行こうという、戦略ゲームみたいな感じなんです。ヴォーカルが新加入した時って、動き方によってここに空白が生まれるから行かなきゃとか、自分がギタリスト以外の部分でフォローしなきゃいけないことがいっぱいあるんですけど、今回は特にそういうのがなくて。やっていて面白かったですよ。

ZERO:多分、元々予定していた10月の時点でやっていたら、始動の実感はあったと思います。それが1ヵ月延びたことによって、やっと来たというよりは、何が何でもやらなきゃという気持ちが強くなったというか。ちょっと複雑な感情が入り乱れることになったので、必死というか、あまり始動というものは感じなかったですね。

ZEROさんは近年のライブの中で最も体力的な消耗度が高そうでしたが、何が要因だったんでしょう?

ZERO:OFIAMとはライブのあり方が全く違うのと、kazuyaさんも言ったように最初ってヴォーカルをカバーしてあげなきゃなという気持ちがあるんですけど、今回に関しては意外と自分が自由にできるライブだったので、思っていた以上にやり過ぎたというのはあります(笑)。

KEKE、kazuya:(笑)

ZERO:カバーしなきゃなという考えがあると、自分はある程度セーブできるじゃないですか。だけど、やってみたら「あれ? 自由にやっても全然大丈夫じゃん」と思ったことにより、やり過ぎた(笑)。ブランクがあるにも関わらず感情が優先されて、体がついていかなかったというか(笑)。

そういうことだったんですね(笑)。KEKEさんはいかがでしたか?

KEKE:加入発表をした頃や、その後トーク配信に出演している時とかは自分がTHE MICRO HEAD 4N’Sにいるという実感がまだなかったんですよ。ただ、いざライブをやってみると、皆さんやっぱり男気溢れる方たちで、僕自身も昭和っぽいと前回のインタビューで言っていただいた通り、そういうところがあるので、呼吸感が合うというか。ステージに対しての価値観、ライブのあり方についての考えが似ているせいか、全く違和感なくマイフォのステージの中に溶け込めたのが、音や雰囲気を通して感じられたんです。なので、実感というよりは求めていたバンドのスタイル、メンバーに出会えたなという思いが強くて。「これだ、これだ、これだ…!」みたいな。でも、そこに至るまでにコミュニケーションを取る時間、準備期間が長かったので、メンバーの仲の良さがグルーヴやステージにしっかり出て、それが前から一緒にやっているような感覚に繋がったんじゃないかなと思います。

その熱い思いが、アンコールでのKEKEさんのMCにも繋がっていたのかなと。

KEKE:そうですね(笑)。僕、MCは噛んだり躓くことが多いんですけど、今までやってきた活動の中で一番スラスラ喋れたMCだったなと思って。多少なりともこういうことを喋ろうと事前に考えたりはするんですけど、詰まることなくMCができたのは自分でもビックリしています(笑)。心の声と言いますか、自分の中でのテーマがあったので、それに沿ったMCがしっかりできた自分に拍手してあげたいですね。「よく頑張った!」って(笑)。

音楽をずっと続けてきて良かった(KEKE)

KEKE

本当に5人の熱量が高い、初ステージとは思えないライブでしたが、あの日、最もグッと来た瞬間を教えてください。

kazuya:僕は三つあって。まず1曲目の「HELLO MY CLONE」で久々に声援をいただいたじゃないですか。あれはやっぱり来ますね。僕はイヤモニが片方だけなので、フロアの声が聞こえるんですよ。ただ僕、泣くと嗚咽がエグいので、グッと我慢しましたけどね(笑)。実はもう声出しNGの環境に慣れちゃって、声援の有無はあまり気にしていなくて、そんなにこだわらなくてもよくない?と思っているくらいだったんですけど、やっぱり良いなと思いました。あとはライブが終わって楽屋に戻る時のメンバーが笑顔だったのが良かったのと、コアなスタッフさんたちが笑顔で「やっぱマイフォだよね」と言ってくれたのがすごく嬉しくて。意外と皆の思い出の中にいるんだなと。皆の中でマイフォってこうだよねというのができていて、そのラインに入っているライブだったんだと思います。僕から「どうでした?」と聞いたわけではなく、ああいうふうに言ってくれたのがグッと来ましたね。

ZERO:俺はイヤモニを両耳しているので、あまりフロアの声が聞こえないんですけど、「HELLO MY CLONE」の間奏部分で皆がメンバーコールをした時、音が鳴っていて、なおかつ耳が塞がれていても声が聞こえてきたんですよね。その瞬間に、KEKE君と出会って四期を始めて、延期になったけど声出しがOKのライブになって、色々な奇跡が今ここに詰まっているなと思ってグッと来ましたね。

ちなみに、私はそこで泣きました。

全員:(笑)

KEKE:一つは僕も同じ場面で、「HELLO MY CLONE」の間奏で皆さんの声を聞いた時に、「あっ、自分を呼ぶ声も聞こえる…」と思って。加入した身としては、やっぱり不安じゃないですか。皆さん的に僕に対して、お手並み拝見という部分もあったと思うんですよ。KEKEどんなもんじゃいって。そういった面で果たして自分という存在を受け入れていただけるんだろうかという思いがあったので、あの声が聞こえた時にマイクローンのパワーがすごくて、グッと来たし緊張もほぐれました。それと自分はまだまだ未熟者ではあるんですけど、THE MICRO HEAD 4N’Sって僕の中でヒーローたちの集まりのバンドなので、そういうすごい方たちと一緒にステージに立っている自分を映像で見返した時に、やっと自分の夢に一歩近付けたのかなというふうに思って、音楽をずっと続けてきて良かったなと思いましたね。

あの日のライブ中、想定外だったことはありますか?

KEKE:僕、kazuyaさんのMCにドキッとしました(笑)。

kazuya:脅迫のようなMC(笑)。

KEKE:kazuyaさんって、いつも色々なことを教えてくださったり、言葉をかけてくださったりするんですけど、それは対僕との会話や、メンバーのミーティングだったり、インタビューも取材してくださる方とメンバーだけの空間じゃないですか。だけど、あれだけたくさんのマイクローン、関係者が見ている中で、あのMCをするってすごく勇気が要ることだと思うんですよ。しっかり思っていることじゃないと絶対言えないじゃないですか。それをkazuyaさんがポーンッと言った時に、「わぁぁぁ…!」と思いました(笑)。

kazuya、ZERO:(笑)

KEKE:それだけ覚悟を持ってバンドと僕と向き合ってくれているということが本当に嬉しかったし、ドキッとしましたね。

kazuya:そのMCに関しては当日あまり覚えていなくて、映像で見返したら結構なことを言ってんなーと思ってビックリしました(笑)。いつもは言いたいことをバーッと前日までに全部書き出して、これだけは伝えたいというポイントを覚えておこうとするんですけど、今回は考えても全く浮かばなくて、そんなの初めてのことだったんですよね。もういいやと思ってぶっつけ本番で喋ったらあんな感じになったんですけど、まぁでも本音ですよ。

じゃないと言えないことですよね。

kazuya:僕の想定外だったことは、本番前の気合い入れの時に「KEKEが何かあった時はフォロー頼むね」とメンバーに言ったんですけど、意外とKEKEがしっかりしていて、俺たちのほうが浮き足立っていたという(笑)。モニタリング環境にちょっと辛いところがあったという言い訳は置いておいたところで、結構反省点の多いライブだったんですよね。終わった後に、「お前(自分)がしっかりしろ」と思ったのはビックリしました(笑)。もっと先輩らしく「俺について来い。大丈夫だから」みたいな感じかなと思っていたら、意外と俺のプレイがオロオロしていたというか(笑)。あの日はメモリアルなライブだったから形になったけど、次はもっと頑張らなきゃなと思いました。

ZERO:俺も個人的にすごくトラブルが多くて。「SILVER BULLET」に関してはサビくらいまで音が出てなかったり、ワイヤレスって衝撃で音が途切れるのはしょうがないんですけど、こんなに途切れるものだったっけ?と思ったり、そういうトラブルが想定外なほどありましたね。そのうえ俺もイヤモニの環境があまり良くなくて、もうやるしかないなという気持ちになったのは、そういう部分も要因の一つではありますね。だからライブ中、身体的な疲労感もあったんですけど、実は精神的な疲労感も多い日でした。

リズム隊セッション「Hell or Win」(ZERO作曲の新曲)初披露の感触はいかがでしたか? 見せ方もこだわっていましたよね。

ZERO:俺はそんなに曲作りもしないほうなので、クオリティ云々も含め皆が納得してくれるかなというのは置いておいたとして、楽しませようという気持ちで作ったものに対して、皆が楽しんでくれればいいなとしか思ってなかったです。見せ方に関してはもっと面白いことができるなとは思いましたけど。当日思い付いて、手持ちライトでフロアを照らしましたけど、あれももうちょっとちゃんとした照明でできたらいいなと思ったり。改善の余地はまだ全然ありますけど、やるのかな?っていう(笑)。

本来ハロウィンをイメージした楽曲ですもんね。

ZERO:そうなんですよね(笑)。Twitterとかで反応を見て、改めて音楽で皆を楽しませていけたらいいなと思っているので、色々なところで色々と形にしていけたらなとは思っています。

kazuyaさんのソロ「星に願いを」からの「Nocturne」はドラマティックさが増す流れでした。

kazuya:あれは二期の頃からやっていて、雰囲気を良くするためのものというか。キーを「Nocturne」に持っていって入りやすくするという意味もあります。それと、あの日はリズム隊、SHUN.、僕、それぞれがフィーチャーされるポイントも作りたかったので入れました。ただ、あの「星に願いを」はオリジナルで作っている部分もあって、Bメロっぽい部分は元々ないんですよね。勝手に作っちゃったので、権利的な問題で多分DVDには入れられないと思います(笑)。

なるほど。そしてkazuyaさんがラストのブロックを皆で歌いたくて作った曲「REMEMBER」を始動ライブで歌えたことは大きかったですよね。

kazuya:ちょうどコロナ禍のスタート頃にできた曲で、いつかファンの皆さんが歌ってくれて完成するという、あの部分ありきの曲だったので、ようやくそれが実現できたのはやっぱり嬉しかったですね。