2023.02.18-02.19
THE MICRO HEAD 4N’S VS OFIAM@原宿RUIDO
「OFIAM VALENTINE LIVE」「THE MICRO HEAD 4N’S VALENTINE LIVE」

「OFIAMが本領発揮する瞬間は、THE MICRO HEAD 4N’Sと同時進行になった時」――これは2022年6月のインタビュー時にkazuya(G)が述べた言葉。OFIAMとは、去る2021年5月末に第三期の活動を終えヴォーカル不在となったTHE MICRO HEAD 4N’Sが、バンド本体とは別に新たに立ち上げたプロジェクトの一つ。そして2022年、THE MICRO HEAD 4N’Sに新ヴォーカルKEKEが加入し、11月の1stライブをもって第四期としての活動を本格始動させたことにより、いよいよ“同時進行”が実現可能となったのだ。かくして迎えた2023年2月18〜19日、原宿RUIDOでの「THE MICRO HEAD 4N’S VS OFIAM」と称した2days公演で、ついにこの2バンドが対峙することと相成った。

第一夜は「OFIAM VALENTINE LIVE」。OFIAMとしては昨年8月の1周年記念ライブ以来約半年ぶりのステージかつ、コロナ禍に生まれたプロジェクトゆえこの日が初の声出し可能な公演となった。また、これまでkazuyaがセットリストを構築してきたが、今回はSHUN.(G)が担ったことによる違いも注目の点であり、1曲目を飾ったのが「声」という時点で過去にはない形での幕開けとなったのだった。もがきながらも前を向いて生きることを描いたエモーショナルな楽曲で始まり、始動時のトレーラー映像にも用いられた「命」で現状の持ち曲全曲のラストを締め括ったことは、OFIAMの核となるメッセージを表現する実に美しい展開であった。

「実験的音楽による常識の破壊」をテーマに掲げているのがOFIAM。メンバー全員がVoiceという肩書きを併せ持ち、ヘヴィーなサウンドに乗せたSHUN.の語りのほか、kazuya、ZERO(B)がそれぞれ歌パートを担う楽曲があれば、美しい旋律をしっとりと聴かせるインスト曲「蒼」「煌」、ZEROとSHUN.のシャウトも炸裂するハードナンバー「傷」「神」、さらには語りとラップと歌という三つのVoice要素が合わさった新曲(タイトル未定)、THE MICRO HEAD 4N’Sの「I’m spider」をOFIAM流にアレンジしたダンスチューン、そしてkazuya、ZERO、TSUKASA(Dr)による「COUNTER ATTACK」、SHUN.、ZERO、TSUKASAによる「Born」といったスリーピースでのパフォーマンスまで、まさにあらゆる表現方法で“音楽”を魅せてくれる彼らのステージは中毒性が高い。

さらにこの日のアンコールでは、ゲストヴォーカルとしてOFIAMの衣装を纏ったKEKEが登場。「時」「罰」をそれぞれkazuya、ZEROとのツインヴォーカルで披露するという初の試みで場内を沸かせたのだが、わずか2曲の中でもしっかりとKEKEらしさを見せ、楽曲のカラーにプラスの変化をもたらしたのはさすがの一言に尽きるものだった。

なお、SHUN.進行によるMCでは、クールに話すつもりがどうしても笑いの方向に進んでしまうのがこのバンドならでは。THE MICRO HEAD 4N’Sのファンの呼称がマイクローンであることから、「OFIAMの場合は楽曲と同じように漢字一文字で『友』とか(笑)?」と案を出し自ら却下したものの、尾を引きその後も多用する場面が。これが今後どうなっていくのかも気になるところ。

そして、この日メインコンポーザーであるkazuyaはこんなことを吐露したのだった。
「OFIAMは面白いので、もっと変化させたいなと思っているんですけど、答えがまだ見えていなくて。マイフォがあるから、もっと自由なことができるのにと思っていて。それを今、探している感じかな。優先順位として僕が今一番やらなきゃいけないことは、マイフォを夢に近付けること。でも同時進行でOFIAMも精一杯考えて行動していきます」

これを踏まえると、本公演はTHE MICRO HEAD 4N’SとOFIAMの“同時進行”の第一歩であり、今後OFIAMとして新たな楽曲が誕生する際にその意味合いがより大きなものとなっていくに違いない。つまり、OFIAMというプロジェクトは今、次のフェーズへ進む重要な局面にあると言えよう。今後のスケジュールは未定ながら、次に彼らがアクションを起こす時には彼ら自身の中で新しい答えが見えているのかもしれない。その時を楽しみに待ちたい。

第二夜は「THE MICRO HEAD 4N’S VALENTINE LIVE」。現体制でのステージはイベント出演を含めれば6本目ではあるものの、ワンマンとしてはわずか3本目となるこの日、何より印象的だったのは本来のマイフォの姿が戻ってきたと感じられたことだった。やはりそこにはオーディエンスの歓声や歌声が不可欠であり、この日も大きな役割を担っていたことは間違いないが、それだけではない“何か”が確かにあの空間にはあったのだ。

12月にリリースしたリテイクベストアルバム『NEW GENERATION』で既存曲13曲を再構築したのち、ライブを重ねるごとに四期ver.の楽曲を増やしてきた彼らだが、この日も現体制初披露となる楽曲が供されることとなった。デジタリックな「PARASITIC EMOTION」でスタートを切るという意外な選曲から始まり、バレンタインにちなんだ曲として「Vanilla」、本編後半戦でフロアの熱量をグンと上昇させた「ADDICT」、この日のラストナンバー「Labyrinth」という4曲。つまり最初と最後が初披露曲という構成でもあったわけで、過去2回のワンマンとも趣の異なるものとなったのだった。

なお、「Vanilla」についてはKEKEが個人的に好きな曲であり、デモの歌録りをした際にkazuyaからも「ハマってていいね!」と言われたという。この楽曲を披露する直前にKEKEが述べた言葉は歌詞に沿ったものであると同時にファンへ向けたメッセージでもあった。
「失くしてしまったもの、去っていってしまった人は、二度と自分の元に戻ってこないかもしれないけど、そんな辛い時期も時間は待ってくれなくて、前を向いて歩いていかなければいけない。そんなふうに僕は思います。皆さんも周りにいる大切な人を全力で愛して、全力で大切にしていってほしいなと思います。僕もこのバンドが大好きだし、マイクローンを心から愛しています」

また、ダンスチューン「SCANDALOUS」を皮切りに突入した後半戦において、先述の「ADDICT」では「THE MICRO HEAD 4N’Sの親分そしてお母さん、SHUN.!」というKEKEのメンバーコールから、SHUN.がセンターお立ち台でギターソロをプレイするという一幕も。さらには「REINCARNATION」「MONSTER’S ROAR」「EARNEST GAME」とライブチューンの連投でステージ、フロアともに圧巻の白熱ぶりを見せたのだが、その光景は四期の完成を感じさせるものだった。

本編ラストナンバー「SEVENTH COLOR」ではkazuya、SHUN.、ZERO、TSUKASAが優しい微笑みでフロアを見つめる場面もありながら、曲中にKEKEが「この楽しいという気持ちを忘れないでください。俺たちは音楽を届けることしかできないけど、その音楽で皆さんを幸せにしたいと思っています。俺たちTHE MICRO HEAD 4N’Sについてきてください。いつもありがとう」と告げるという粋な演出でバンドの思いを届け、「今日のマイクローン、300億満点です! ありがとー!」と締め括ったのだった。

アンコールでは、「ちょこっと」という言葉を入れてバレンタインにちなんだエピソードを話すというKEKEからのお題で、メンバーそれぞれが甘い話、切ない話を繰り広げたのち、新しい時代の幕開けを歌う「GLORIOUS BLAZE」を力強くプレイ。次いでオーディエンスの大合唱とともに「銀河鉄道の夜 〜STARDUST EXPRESS〜」を、そしてKEKEとZEROが背中合わせで歌い演奏する姿が何だか妙に美しかった「上弦の月のオーケストラ ~Stella Note Magic~」をもって温かなラストシーンと見せかけて、最後の最後に投入されたのがスリリングなロックナンバー「Labyrinth」。目の前に広がったステージとフロアの一体感、それは筆者が知っている懐かしい景色であり、それこそが先に記した“何か”の正体だった。

包み隠さず記せば、この日のステージで思わぬミスやアクシデントがあったのは事実だし、もしかしたら私たちには見えない部分でメンバー各々反省点もあったかもしれない。それでも第四期としての“形”は早くも完成されたと言っても過言ではないはずだ。そう思わせてくれるステージを彼らはワンマン3本目にして作り上げていたのだ。無論ここからさらにアップデートを繰り返していくことになるだろうが、それはバンドが生き続ける限り永遠に終わることはない。

3月7日には1stライブの模様を収めたLIVE DVD『4th NEW GENERATION at SHINJUKU BLAZE』の発売が控えているTHE MICRO HEAD 4N’Sだが、6月30日のKEKEバースデーライブを前に6月4日、渋谷Star Loungeにてオフィシャル会員・MAIFO PREMIUM会員限定ライブが開催されることが新たに決定した。また、「先日、かず兄が四期の新曲となるものを上げてきてくれました。近い未来、皆さんに届けられるんじゃないかなと勝手に思っています」というKEKEの発言があったことから、四期として初の“新曲”の完成にも期待したい。ライブという空間でのTHE MICRO HEAD 4N’Sとの再会は少し先になりそうだが、その時には必ずや今日を超える景色を見せてくれるだろう。

◆セットリスト◆
【02.18 OFIAM】
01. 声
02. 創
03. 罪
04. 天
05. 証
06. 新曲(NON TITLE)
07. I’m spider
08. 斑
09. 蒼
10. 棘
11. 暁
12. COUNTER ATTACK
13. Born
14. 罰
15. 傷
16. 神
17. 時
18. 煌

En
01. 命
02. 時(with KEKE)
03. 罰(with KEKE)

【02.19 THE MICRO HEAD 4N’S】
01. PARASITIC EMOTION
02. REBIRTH -the 3rd form-
03. WHITE SOUL
04. FACT IS STRANGER THANN FAKE!!!!
05. Deeper Than Black ~闇色の翼~
06. 陽炎
07. Vanilla
08. 星に願いを(kazuya solo)
09. Nocturne
10. SCANDALOUS
11. ADDICT
12. REINCARNATION
13. MONSTER’S ROAR
14. EARNEST GAME
15. PLAY
16. SEVENTH COLOR

En
01. GLORIOUS BLAZE
02. 銀河鉄道の夜 〜STARDUST EXPRESS〜
03. 上弦の月のオーケストラ ~Stella Note Magic~
04. Labyrinth

(文・金多賀歩美/写真・Hiroyuki Tanaka(2月18日-2月19日)、Ryo Koyama(2月19日))


【リリース情報】
●LIVE DVD『4th NEW GENERATION at SHINJUKU BLAZE』
2023年3月7日(火)発売

THIR-0083/THIR-0084 ¥6,000(税込)

<収録曲>
01. HELLO MY CLONE
02. GLORIOUS BLAZE
03. Deeper Than Black ~闇色の翼~
04. 雷鳴
05. SILVER BULLET
06. GENESIS
07. 陽炎
08. Nocturne
09. REBIRTH -the 3rd form-
10. REINCARNATION
11. EARNEST GAME
12. LiaR
13. Hell or Win(rythm solo)
Interlude
14. MONSTER’S ROAR
15. VOLCANATION
16. 銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~
17. 上弦の月のオーケストラ ~Stella Note Magic~
18. REMEMBER
19. Curtain Call

【ライブ情報】
●オフィシャル会員・MAIFO PREMIUM 会員限定LIVE
6月4日(日)渋谷Star Lounge

●KEKE B.D LIVE
6月30日(金)

● 7月下旬より全9箇所を巡るツアー

●Crazy Monsters Halloween Party 2023
10月28日(土)新宿ReNY
出演:Crack6、THE MICRO HEAD 4N’S、KAMIJO(Versailles)、Nicori Light Tours、168、甘い暴力
司会:団長(NoGoD)

10月29日(日)新宿ReNY
出演:Crack6、THE MICRO HEAD 4N’S、Kneklid Romance、Kαin、H.U.G、Dacco、クマムシ
司会:団長(NoGoD)

THE MICRO HEAD 4N’S オフィシャルサイト
OFIAM オフィシャルサイト