2021.08.21
THE MICRO HEAD 4N’S/OFIAM@横浜みなとみらいブロンテ
THE MICRO HEAD 4N’S 10th Anniversary「THE MICRO HEAD 4N’S vs OFIAM」

運命というものが存在するのなら、このバンドはまさに数奇な運命を辿ってきたと言える。これまでに三度のヴォーカル脱退という活動の継続すら危ぶまれる事態に見舞われながらも、そのたびに再生を果たし、「何度でも立ち上がれる」ことを身をもって証明し続けてきた。一つ確かなことは、未来は自ら切り開いていくものだということ。ゆえにTHE MICRO HEAD 4N’Sというバンドは今も生き続けているのだ。

紆余曲折を経て辿り着いたTHE MICRO HEAD 4N’Sの10周年。その記念すべき日を祝うライブが8月21日、横浜みなとみらいブロンテで開催された。掲げられたタイトルはTHE MICRO HEAD 4N’S 10th Anniversary「THE MICRO HEAD 4N’S vs OFIAM」。5月末に第三期の活動を終え、ヴォーカル不在となったTHE MICRO HEAD 4N’Sだが、この公演ではバンドの10年間を表現すべく、第一期に初代ヴォーカリストであるRicky(DASEIN)、第二期に神谷玲(Strawberry Under World)、第三期にTAKA(defspiral)という3名のゲストヴォーカルを迎え、各時代の楽曲を披露することとなった。そして“対バン”相手には、THE MICRO HEAD 4N’S現メンバーによる新たなプロジェクトの一つ、OFIAM。その1stライブとなったのが、今回の公演だ。

kazuya

第一期のステージの幕開けを飾ったのは、THE MICRO HEAD 4N’Sの始まりの歌「HELLO MY CLONE」。“再生”を歌ったこの楽曲は、これまでにあらゆる舞台で演奏されてきた大切な1曲であり、何よりこのバンドの核となるメッセージを持つ。無論、この楽曲が誕生した当時は、これほどまでに再生を繰り返すバンドになろうとは誰も想像していなかったはずだが、この時から今現在も、バンドの意思は変わっていない。そう、〈ピリオドは始まりの合図〉なのだ。

次いでキャッチーな「フォトグラフ」がスタートすると、早くも弦楽器隊は前方へ繰り出す。フロアにはオーディエンスの手が揺れ、メンバーは笑みを見せた。「まだ2曲しかやってないのに、もう感極まっていました。10年やって来られたのは、マイクローン(ファンの呼称)のお陰だと思っています。本当にありがとうございます」とSHUN.(G)。

Rickyは「困難苦難を乗り越えての10年だと思うので、僕は辞めた身ですけど、こうして10年続けてくれて嬉しく思います。本当におめでとうございます」と祝福の言葉を贈り、「当時、初めて正統派ヴィジュアル系バンドのヴォーカルを務めるということで、MCもそれらしく頑張っていたんですけど、3回目くらいで断念したことを思い出しながら、でも今日はそのスイッチを入れて最後までマイフォのヴォーカルとして盛り上げていきたいと思います」と述べたのだった。

「コロナ禍という闇の中で一線の光を皆さんにお届けしたいと思います」というRickyの言葉から、スリリングかつ疾走感のある「雷鳴」、シリアスなムードの中にある美しいメロディーが魅力的な「生命の塔」を続けて披露。そして、第一期ブロックのラストは「この先ずっと…」で締め括られたのだった。何年経っても違和感なく馴染むのがTHE MICRO HEAD 4N’SとRickyの関係性だが、こんなバンドも類稀な存在だろう。

SHUN.

続いて、神谷玲とkazuya(G)が向かい合い、「Nocturne」冒頭のサビのメロディーを二人のみで奏でるシーンから始まった第二期のステージ。その歌声を聴いた瞬間に、第二期の楽曲イメージにピタリとハマる、相性の良さに驚いた人も多かったのではないだろうか。曲中には、後輩の緊張をほぐすためだろうか、ZERO(B)が神谷に寄り添い、優しい眼差しを向ける場面も。次いで披露された「眠れる森の前奏曲~REVOIR~」では、歌詞に描かれたストーリーを情感たっぷりに届けようとする、熱のこもった歌声が印象的だった。

SHUN.は「第二期はメロディアスな曲が多かった印象があると思いますが、そんな曲を甘い声で歌ってくれるヴォーカリスト」と神谷を紹介。神谷は今回の出演に至った経緯として、ZEROから直接連絡があったと話し、「ヴォーカリストなんて、この世にいっぱいいる中で、このステージに立たせていただいている。今日はメンバーの皆様にとっても、マイクローンの皆様にとってもめちゃくちゃ大事な日だと思います。その中で僕にできることは全力で歌でお祝いをさせていただくということだけなので、どうか最後まで楽しんでいってください!」と告げたのだった。

そして、明るい未来を照らし出すかのようなポジティブなメッセージソング「銀河鉄道の夜~STARDUST EXPRESS~」で〈片道切符〉を皆で固く握り締めれば、「この10年で一番のオーケストラを皆で作りたいです」という神谷の言葉と共に、第二期ブロック最後のナンバー「上弦の月のオーケストラ -Stella Note Magic-」の美しい旋律が奏でられ、煌めく光に包まれた温かな空間が広がったのだった。

ZERO

第三期のスタートは重厚なバラードナンバー「陽炎」。一瞬で空間を支配するTAKAの歌声はさすがの一言に尽きる。色気を纏った深みのあるその歌声が1曲目から存分に発揮されたこと、メロディアスな楽曲が並んだ第二期ブロックからの流れ、そしてこの日のセットリスト全曲のバランスで考えても、この位置に「陽炎」を配したことは、実に効果的だったと感じる。

ヘヴィーなサウンドが第三期の特徴と言えるが、その始まりとなった高速ハードナンバー「REBIRTH -the 3rd form-」がここで放たれると、赤と緑の照明が明滅する中、フロアには満場の拳が上がった。もちろん、この楽曲の中にも〈再生〉の二文字が。また、〈破れた翼広げ 何度でも羽ばたけ〉という歌詞が胸を打つ。続けて「LiaR」でさらなる熱狂を描き出した後、「なんや…死ぬほどカッコいいな…ビックリするわ…。普通に紹介しようと思ったけど、一つひとつの動きやフェイクも、めっちゃカッコいいと思って」と感嘆の声を漏らすSHUN.。そして、改めて「個人的に同世代の中では本当にナンバーワンの、最高のヴォーカリストです」と紹介したのだった。

そんな最上級の賛辞を受けたTAKAは、「こんな特別な夜にヴォーカリストとして呼んでもらえて、本当に嬉しく思っています。defspiralは5月に10周年ライブを終えたばかりで、僕たちも節目だったんですけど、長くバンドをやっていると本当に色々なことがあります。どんな困難でも心折れることなくいつでも前進し続けるバンド、THE MICRO HEAD 4N’Sにいつも力をもらっています。最高にカッコいいバンドです。今日はゲストヴォーカルという形ですが、同じ時代を生きた盟友として、メンバーのつもりで楽しみにしていました。次の曲はTHE MICRO HEAD 4N’Sとマイクローンの思いを乗せて送りたいと思います」と述べた。

お互いへの敬意がひしひしと感じられるやり取りを経て、最後に届けられたのは、数年前から原型が存在しつつも、その後コロナ禍の中で育まれ、昨年12月リリースの最新アルバム『The Unfinished Story』のラストに収録された「REMEMBER」。バンドとファンにとって様々な思いが詰まった大切な1曲をもって、第三期THE MICRO HEAD 4N’Sのステージは幕となった。なお、最後にTAKAが発した「これからも共に歩んでいきましょう」という言葉にも感動を覚えた。

TSUKASA

ここで撮影風景ドキュメントが映し出された後、OFIAMの1stライブが開幕したわけだが、まずはこのプロジェクトについて記したい。THE MICRO HEAD 4N’Sはバンド本体とは別に、二つの新たなプロジェクトを始動させることを6月に発表し、その一つ「THE MICRO HEAD 4N’S Still Night」は7月30日に1stライブを行った。そして、このたび1stライブを迎えた「OFIAM」とはkazuya、SHUN.、ZEROによるプロジェクト(TSUKASA(Dr)はサポートメンバー)であり、「実験的音楽による常識の破壊」がテーマだという。THE MICRO HEAD 4N’Sでは元々「クロイツ」というインストゥルメンタルのプロジェクトがあり、それをさらに進化させたものでもある。

事実、まだOFIAMが存在しなかった昨年末の配信ライブの時点で、既にその片鱗を見せていた。年末に披露した楽曲が、現在のOFIAMの「棘」「罪」に当たる。また、OFIAMのステージでの表現方法は映像が必須だが、その点においても昨年末と今年4月のライブで“実験”を重ねてきた。6月の発表時に「去年ライブを観ていただいた方はわかると思うんですけど、僕、しきりに『新しい未来を表現します』と言っていたんですよね」とkazuyaが語ったように、彼らは常に未来を見据えて活動している。すなわち、彼らの様々な言動が未来への伏線となっているのだ。そう考えると、現在進行形の“今”の楽しみが何倍にも膨らむのではないだろうか。

この日のオープニング映像の中には「A new story started. Believe in yourself. Change the world. In the middle of difficulty lies opportunity.」というワードが綴られていた。最後のセンテンスは訳すと「困難の中にチャンスがある」。アインシュタインの名言でもあるが、まさにこれがOFIAMの根源に違いない。

トレーラー映像にも使用されている楽曲「命」で幕を開けたOFIAMのステージは、ジャンルの壁も飛び越えた多種多様な全8曲が披露された。「OFIAMの特徴として、まず見ての通りヴォーカルがいないという。それぞれがVoiceという肩書きで、歌ったり語ったりという実験的なことをやっていたり、映像も全て曲をイメージしたもので、視覚的にも感じてもらえたらと。新しい見せ方ができたらいいなと思います」とSHUN.が語ったように、歌も語りも全て“素材”として他の音と同様に扱うのがOFIAMの表現。THE MICRO HEAD 4N’S本体では普段見聞きすることがない姿を見ることができるのも特別な時間だ。

ZEROが歌を担う「命」、SHUN.が語りを担う「棘」は、毛色は違えど緩急のある構成と混沌としたムードを放つサウンドが印象的で、「斑」ではホーンセクションの音色とジャキジャキしたSHUN.のギターが際立つ。とことんヘヴィーミュージックに振り切りながらヴォーカルチョップも駆使した「罪」、kazuyaが正式には初めて歌に挑戦したという「天」、ZEROが英詞を歌う高速ハードナンバー「神」、kazuyaとZEROのツインヴォーカルによるキャッチーな〈REWRITE〉のリフレインが耳に残る「罰」…と、映像をバックに次々と展開していった。

SHUN.

「皆さんご存知の通りヴォーカリストが脱退して、4人で活動しているわけですけど、ヴォーカルだけ探して、その間活動を一切しないというのは何か違うんじゃないかと。皆で話し合って、少しでも音で表現することができたらと、今できる最大限のことをやっていけたらいいなと思って立ち上げたプロジェクトでもあります。コロナ禍で、ライブに来づらくなったということもあるかもしれないですけど、気持ち的には僕はマイクローンとの絆はより強くなったと思っています。それは皆が僕らのことを応援してくれているのを感じることができたから。なので、僕らも何か返せればというところで、OFIAMやStill Night、もちろん1日も早く次のTHE MICRO HEAD 4N’Sが復活することもそうです。これからどんな未来が待っているかわからないけど、確実なのはTHE MICRO HEAD 4N’Sは動き続けていきますので、皆さんとこれからもずっと一緒にTHE MICRO HEAD 4N’Sを育てていけたらいいなと思います。その内の一つとしてOFIAMもあるということをわかってもらえたらなと。そんな思いも込めて、最後の曲です」(SHUN.)と、鍵盤や弦のメロディーが入ったクラシカルな雰囲気漂う「蒼」をもって、OFIAMのステージは美しいラストシーンを迎えたのだった。

ZERO

さらに、他のメンバーからもメッセージが伝えられた。
「ある意味自分たちだけで完結しない10周年になってしまいましたけど、参加してくれて本当にありがとうございます。個人的には10周年のバンドはこれで2個目になるわけです。でも、THE MICRO HEAD 4N’Sは続いているバンドですし、OFIAMも俺の10年バンドのうちの一つに入れる勢いで頑張りたいなと。今日初めてイヤモニをしてみたんですけど、数をこなしながら慣れていきたいと思います。数をこなすにはライブをいっぱいやらなきゃいけない、ライブをいっぱいやるには皆がいないとできない。この10周年に参加してくれた皆さん、また11周年、その時には第四期が始まっていたらいいなと思いますので、そちらも期待していてください」(ZERO)

TSUKASA

「2~12歳の10年間は非常に長かったけど、THE MICRO HEAD 4N’Sの10年間は早かったなぁ…! それだけ没頭していたんだな。これだけ熱く、このバンドに思いを込められたのは、マイクローンの皆さんがずっと寄り添ってくれたからだと思っています。その中でも唯一、時間が長く感じられたことがありました。それは昨年です。コロナで家からも出られなくなって。でもファンの皆さんを楽しませたいな、心配かけたくないなという思いで配信など色々とやってきましたけど、そういう時間が僕らとマイクローンの絆なんだなと思いました。まだコロナの終息は見えませんけど、どんな形であれ、THE MICRO HEAD 4N’S、OFIAMのこれからを応援よろしくお願いします」(TSUKASA)

kazuya

「10年経って形は変わりましたけど、こうやって笑えるのは一番幸せなのかなと思います。10年間、全ての人に感謝しています。FANATIC◇CRISISというバンドを終えて、僕はもう表舞台に立つことはないなと思ったけど、ひょんなことからこういう形になり。今、ヴォーカルがいない状況になって、世の中的には『もうダメっしょ』みたいな感じがあると思うんです。でも、うちのメンバーは誰一人、そこで終わろうなんて言わなかったから、僕はアイディアと曲を作ることは無限にできるので、じゃあやってみようと。THE MICRO HEAD 4N’Sはいわゆるポピュラリティーな音楽、OFIAMはすごくニッチなんですけど、僕らみたいな音楽家ってどちらも好きなんです。ニッチな音楽をもっとやりたいけど、ファンの方々はそれを望んでいないだろうと思ってずっと隠していたものを、これから出していこうと思って。なぜかと言うと、マイクローンは皆優しいから、僕は信じているんです。僕らの今じゃなくて、未来を応援してくれるって。そう思ってこれからも僕は曲をいっぱい形にして、いっぱい未来に届けます。SHUN.、ZERO、TSUKASAがいて、手伝ってくれるスタッフさんがいて、皆がいてくれれば、もう何でもできます。とうとう4人でやっちゃったもんね、もう怖いものはないよ」(kazuya)

最後に、ゲストヴォーカルの3名を呼び込み、「ここにいる全員と、マイフォと、僕とTAKA君と神谷玲君と、配信を観ている皆さんで、総力戦ブチかましたいと思います!! 行けるかーい!」というRickyの言葉を合図に、THE MICRO HEAD 4N’S自身のことが描かれた「Curtain Call」をプレイ。「改めまして、THE MICRO HEAD 4N’Sおめでとう! そしてOFIAM始動おめでとう! 次のTHE MICRO HEAD 4N’Sに期待して、俺たちも音楽頑張ります!」とRicky。そして、SHUN.から「今日、この人たちがいなかったら、懐かしい曲、いろんな曲はできませんでした。ありがとうございました!」と感謝の言葉が伝えられ、この記念すべき特別な一夜は幕を下ろしたのだった。

人生とは選択の繰り返しだ。この10年間、THE MICRO HEAD 4N’Sは活動を止めずに歩み続けることを選んできた。例えこの先にどんな運命が待っていたとしても、それは自らの力でいかようにも塗り変えていくことができるのだと、彼らは示してくれている。「Curtain Call」の歌詞にあるように、諦めない日々が奇跡を呼ぶのだから。

◆セットリスト◆
【第一期THE MICRO HEAD 4N’S】
01. HELLO MY CLONE
02. フォトグラフ
03. 雷鳴
04. 生命の塔
05. この先ずっと…

【第二期THE MICRO HEAD 4N’S】
06. Nocturne
07. 眠れる森の前奏曲~REVOIR~
08. 銀河鉄道の夜~STARDUST EXPRESS~
09. 上弦の月のオーケストラ -Stella Note Magic-

【第三期THE MICRO HEAD 4N’S】
10. 陽炎
11. REBIRTH -the 3rd form-
12. LiaR
13. REMEMBER

【OFIAM】
14. 命
15. 棘
16. 斑
17. 罪
18. 天
19. 神
20. 罰
21. 蒼

【THE MICRO HEAD 4N’S】
22. Curtain Call

(文・金多賀歩美/写真・KURO)


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