2017.1.12
Misaruka@高田馬場AREA
「この身が朽ち果てて、やがて灰になるとしても」

1月12日(木)、高田馬場AREAを舞台にMisarukaがバンド生命(人生)を注ぎ込み挑んだワンマン公演。タイトルへ「この身が朽ち果てて、やがて灰になるとしても」と記したように、彼らはこの日のライブに、内容や集客面に於いての結果次第ではバンドの進退さえ賭けていた。同日には、2月22日に発売となる3rdフルアルバム『WHAT DO YOU WANT?』の会場先行リリースも実施。

先に動員面を伝えるなら、この日は187人を動員。フルハウスまでは届かなかったとはいえ、相応に場内を埋める観客たちを集める成果を導き出していた。それが引き金というわけではないが、Misarukaは、この日の公演の翌日に解散を発表した。そのニュースに関しては、彼らのホームページで確認して欲しい。ここでは、当日のライブの模様をお伝えしたい。

勇壮で荘厳なSE「-Florida umbra,」に乗せ幕が開くと同時に、そこへは人形と化したメンバーたちの姿があった。ライブは、哀切な歌が胸をグッと掻きむしる「-Sin-」から幕を開けた。「この手を上げていけるか!!」、想いを、何より気合いを全身から放ち、大勢のファンたちを煽るメンバーたち。妖艶シンフォニックでロマネスクな楽曲にも関わらず、ここまで熱を感じさせるのはメンバーの気迫が生み出したもの。

ゴシックでシンフォニックな香りを振りまきながら、何より黒い妖気を放ち、Misarukaは「-Unacceptable-」を突き付けてきた。「もう何も考えなくていい、ぶっ壊れていこうぜ!!」、何時も以上に、その演奏には熱が漲っていた。身体や楽器を通し伝わる気迫に、今宵はなんと鬼気せまる勢いがあったことか。

「狂っていこう。ここはお前たちが抱え込んできたものをすべて吐きだす場だ」。儀式の司教となったメンバーたちが、赤黒く滾る音と熱い塊を「-violet-」に乗せ、舞台上から投げつけてきた。理性を壊してゆく演奏に触れ、ただただ騒ぎ狂えばいい。それをこの日のMisarukaは、何よりも求めていた。序盤に作りあげた痛い高揚は、華麗に舞い狂うMisaruka流の様式美ナンバー「-Medousa-」を通し、妖美な熱を抱えながら、触れた人たちを快楽渦巻く奈落へと引き込んでいった。

「最高のライブは僕たちだけでは作れない。ここにいる全員の力を貸してくれ、いいか!!」「みんなの拳と声をくれ、聞かせろ!!」
ruiとファンたちとの絶叫のやり取りから、演奏は「-Prince-」へ。美しく華やかさを抱きながら駆け上がる演奏。胸をうっとり潤す歌が、この日は沸騰した想いとなり、心をギュッと抱きしめていた。間奏ではrinのギターの演奏に身を捧げてゆく場面も。何時もは温もりを持った歌声を前へ出してゆくrui自身も、この日はピッチのずれさえ気にすることなく、終始気迫をぶつけ続けでいた。なんて気持ちを昂らせたステージングだ。

「-Inzio della tristezza-」のSEを挟み、舞台は中世の場へ…。まるで舞踏会の宴の場の中、美しく軽やかな演奏へ身を委ね軽やかにステップを踏むような感覚だ。「-Loiseau blue-」が、会場にいる人たちを一夜の姫や王子へ様変えていった。お洒落な宴の音色が触れた人たちの心を華やかに上品に染め上げては、宴を彩る貴族たちに変えていた。

「今年はいろいろ改革的なことをやってやろうと思います」。身体に熱した血を注ぐように流れたのが、ゴシックでハードでシンフォニックな「-悲劇のソリスト-」だ。美しさをフロアーへ注ぎながらも、そこへは魂を滾らせる熱情が確かに湛えられていた。その演奏に触れ、場内中の人たちが右や左へ後ろへと集団となってモッシュしてゆくのも納得だ。

力強い手拍子が場内へ響きだした。螺子のいかれた妖艶な狂い人に化したruiが、「-Calling-」に身を預け、舞台上で舞い歌いながら恍惚に酔っていた。意識を高揚へと誘う!? その痛い美しさに、ただただ身を寄せていたかった。演奏は、ふたたび華激さを持って天へ羽ばたきだした。「-Misty-」が心に嘆きを注ぎながら。華やかな音色の階段を場内に作り出し、会場中の人たちをどんどん空へと駆け上がらせていた。

「ここに集まった最愛のお前たちにこの歌を贈ります」。会場中を美しく華やかな興奮と高揚で染め上げるように「-Juliet-」をMisarukaは奏でた。なんて心に無垢な光を降り注いでゆく歌だ。いろんな心の穢れを取り払い、ただただ純真な想いのままこの歌に寄り添っていたかった。輝き放つ熱狂に、眩しい笑顔を浮かべズッとズッと抱かれていたかった。あのとき君に出会ったからこそ、今、この喜びを感じれているのも確かな真実だ。

この日より会場先行リリースとなった最新アルバム『WHAT DO YOU WANT?』の中から、作品のメイン曲となる「-情熱の紅い薔薇と共に散る-」を初披露。ジプシーミュージックのような民族音楽的な要素も導入。激しくもメランコリックな、まさに滾る情熱を振り翳し踊るに相応しい楽曲だ。歌詞に綴った想いは、情熱どころか情念さえ感じさせる。恋が人を盲目にするのなら、この歌は、触れた人の感覚を情熱的な倒錯の世界へ陶酔させてゆく。

昨年夏に新宿ReNYでのワンマン公演のタイトルに掲げていた「-Reinion-」は、情熱の血潮が熱い波紋となって広がってゆく雄大で熱情的な楽曲だ。大きな会場が似合う楽曲だからこそ、巨大なホールで、この情熱的でドラマチックな歌に身体中を包まれながら溺れてみたい。

「救済の光を今、あなたに…」。重厚な演奏轟く「-Maria-」に合わせ、場内中の人たちが大きく頭を揺さぶり、身体を前へ前へと深く傾けてゆく。感情の奥底から熱を沸き上がらせてゆく歌が、歓喜を求める気持ちの鼓動を打ち鳴らしていく。身を熱く震わせる楽曲に意識が溺れてゆく。むしろ、そうしていたかった。

「この身が朽ち果てて、やがて灰になるとしても、我等の魂は語り次がれるだろう。同志たちよもう何も恐るることはない。そなたらの人を慈しむ心がこの乱世を、人の心を救うだろう。私と共にゆこう…神の身元へと…」
ruiの言葉へ導かれ、雄大な「-amakusa-」が唸りを上げて場内を浸食してゆく。ここは神の世界!? とても神々しくも清らかな陶酔の地!? スケールあふれた荘厳な音絵巻きの中へ、大勢の人たちが魂を捧げていた。

「別れを悲しむ気持ちを歌にしました」。心に幾つもの涙の滴を零すように、悲愴さと哀切な音色で胸を悲しみに浸すよう、切なくも美しいミッドメロウな「-この歌よソラに届け-」が、この空間を悲しみの色に染め上げていった。「この歌よ空へ届け」、ruiはどんな想いを彼方の地へ放っていたのだろうか!?

「今、この一瞬はもう二度と戻らないから、全員手を上げろ!!」。熱い手拍子が炸裂。「お前たちは手を叩いてるんじゃない、僕らと心を繋いでいるんだよ。今を、生きろ!!」。滾る熱を放ちながら「-Rogation-」が場内に羽ばたきだした。気持ちを揺さぶる音に乗せ、会場中の人たちが頭を振り乱し、熱狂の中へ嬉しく溺れてゆく。理性!? そんなものはMisarukaの演奏に吹き飛ばされてしまえ!! ただただ、想い込み上げるままに彼らへ想いを捧げよう。それ以外、今、ここに何が必要だと言うんだ!? そう彼らの演奏は叫んでいた。

「お前たちは何が欲しい!? お金では変えないものを求めてお前たちはここに来てるんだろうが!! それをくれてやるよ!! 最高の時間を作ろう」。本編最後を飾ったのが、1ヶ月限定で発売し幻の名盤として語り継がれてきた、ライブでつねに熱狂と興奮を生み出している「-What do you want?-」だ。ダークでラウドでシンフォニック、何よりも、感情を突き上げる嬉しい高揚を注ぎ込んでゆく。誰もが無我夢中でタオルや拳を突き上げ、狂乱の宴を彩る狂い人と化していた。延々と続く逆ダイの応酬。右へ左へ跳ね続けるモッシュの風景。大勢の人たちが黒い熱狂とくしゃくしゃの笑顔のもと、全力でMisarukaの演奏と戯れていた。

情感たっぷりに歌いあげたruiのアカペラからの幕開け。アンコールは、Misarukaの歴史を担ってきた「-Jester-」からふたたび物語を描きだした。ドラマを語るように、この空間に、触れた人たらの心のスクリーンにピエロ(僕)の情熱的な恋心が映し出されていた。

「お前らの抱えている悩みとか苦しみや悲しみを全部ぶつけてこい。僕が全部食らってやるよ!!」。今宵の宴の最後を絶叫と熱狂で彩るように「-Rosary-」が解き放たれた。Misarukaは、彼らを求める人たちの陰る黒い心を全部熱狂を通してむさぼり喰らっていた。観客たちも、漆黒の交響音楽に身を浸し、感情をすべて浄化することで、明日ヘ歩みだす無垢な心を手にしていた。きっとMisarukaのライブには、そんな関係性がずっと脈付いていくのだろう。

これからのMisarukaだが、すでにご存じの方も多いかも知れないが「解散」を発表した。彼らが悩みに悩んだすえに導いた答えだけに、そこは素直に受け止めよう。むしろ、最後の雄姿をしっかりとあなたの心に焼き付けて欲しい。今は、それだけを伝えたい。

◆セットリスト◆
SE. -Florida umbra,
01. -Sin-
02. -Unacceptable-
03. -violet-
04. -Medousa-
05. -Prince-
SE. -Inzio della tristezza-
06. -Loiseau blue-
07. -悲劇のソリスト-
08. -Calling-
09. -Misty-
10. -Juliet-
11. -情熱の紅い薔薇と共に散る-
12. -Reinion-
13. -Maria-
14. -amakusa-
15. -この歌よソラに届け-
16. -Rogation-
17. -What do you want?-

ENCORE
01. -Jester-
02. -Rosary-

(文・長澤智典)


【リリース情報】
New Album『-WHAT DO YOU WANT?-』
2017年2月22日(水)発売

[全国流通盤A-TYPE](CD)
SWMR-19 ¥3,240(税込)完全限定1000枚
(発売元:Starwave Records 販売元:FWD Inc.)

[A-TYPE CD収録曲]
01. -Partire dalla fine-
02. -What do you want?-
03. -天涯孤独の少女-
04. -悲嘆のソリスト-
05. -Maria-
06. -Reunion-
07. -Misty-
08. -Departure-
09. -この身が朽ち果てて、やがて灰になるとしても-
10. -情熱の紅い薔薇と共に散る-
11. -この歌よソラに届け-

[ライブ会場&通販限定盤 B-TYPE](CD+DVD)
SWMR-19B ¥3,240(税込)完全限定1000枚
(発売元:Starwave Records)

[B-TYPE CD収録曲]
01. -Partire dalla fine-
02. -What do you want?-
03. -天涯孤独の少女-
04. -悲嘆のソリスト-
05. -Maria-
06. -Reunion-
07. -Misty-
08. -Departure-
09. -この身が朽ち果てて、やがて灰になるとしても-
10. -情熱の紅い薔薇と共に散る-
11. -この歌よソラに届け-
[B-TYPE DVD収録曲]
2016年6月29日新宿ReNYライブ映像全曲収録

オンラインショップでのご購入
http://dlonline.ocnk.net/

【ライブ情報】
●Misaruka LAST TOUR
2017年4月1日(土)神楽坂TRASH UP!
2017年4月6日(木)仙台Space Zero
2017年4月7日(金)新潟CLUB RIVERST
2017年4月16日(日)浜松Force
2017年4月18日(火)福岡graf
2017年4月20日(木)心斎橋JUZA
2017年4月21日(金)名古屋HOLIDAY NEXT
2017年4月28日(金)新宿HOLIDAY (-TOUR FINAL-)

●Misaruka 解散ワンマンライブ-Finale-
Starwave Records Presents
2017年5月30日(火)高田馬場AREA
OPEN 18:00 / START 18:30
ADV ¥3,500 / DAY ¥4,000(D代別)
出演:Misaruka

<プレイガイド詳細>
A:e+(2017年2月4日10:00〜より発売開始)
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002214367P0030001
入場順:A→当日券
※バンド予約無しMisaruka LAST ONEMAN LIVE

Misaruka オフィシャルサイト http://misaruka.syncl.jp/