2025.05.31
Ruiza@池袋EDGE
「Ruiza東名阪ONEMEN TOUR[Alive 〜fill in the「 」〜]」

D(無期限活動休止中)のギタリスト・Ruizaが、ゲストミュージシャンを迎えたバンド編成での新たなソロプロジェクトをスタートさせた2025年。1月にソロ名義でのミニアルバム『Alive』を発表し、その音源制作から参加していたSeth(Vo/Moi dix Mois)、Tsunehito(B/D)、美景(Dr)と共に、“Ruiza BAND”として精力的に活動を展開している。
「あっという間でした。いろんなことを感じて、いろんなことをやってきたなと。凝縮された3ヵ月だったなと思います」「まだ3ヵ月かぁと。2年くらい一緒にやっているような感覚で。すごく歯車が合って、しっくり来ています」とは、5月31日に行われた初の東名阪ツアー「Alive 〜fill in the「 」〜]」最終夜でRuizaが述べた言葉。
Ruiza BANDが本格始動したのは、去る2月22日に行われた「Ruiza Birthday Live「Alive」」。以降、およそ3ヵ月の間にRuiza主催イベント「BURNING SOUL vol.2」の開催や、他イベントへの出演を重ねながら、この東名阪ツアーが始動ライブ以来のワンマン公演となった。つまり、当夜はわずか4本目のワンマンのステージだったわけだが、先に記したRuizaの言葉は、彼だけでなく、メンバー全員に共通する思いでもあるようで、客観的に見ても、その良好な関係性は明らかである。だからこそ、凄まじいスピードでバンドとしての一体感を高めている彼らが、このワンマンツアーでさらなる進化を遂げることは必至だった。


かつてのステージよりもたっぷりと時間をかけて、美景、Tsunehito、Seth、そしてRuizaの順に登場したオープニング。それぞれがマイクレスで気合いの声を叫び、〈夢の続きを君に見せるから その手を離さない〉と歌う、彼らの始まりを象徴する「生々世々」でトップギアのスタートを切ると、「思い切り飛ばしていくぞ!」というSethの一言を合図に、早くもハードナンバー「魔儀」が放たれ、フロアには圧巻のヘドバンの嵐が巻き起こった。
『Alive』のリリース以降、ライブを重ねるごとに新曲を増やし続けているRuiza BANDのレパートリーは、現時点で未音源化曲を含め全11曲。当夜その全てを披露していく中で、各曲の進化はもちろん、楽曲同士が生み出す相乗効果も感じられるステージとなった。


「ツアーファイナルということで、全身全霊でいこうと思うので、皆さんかかってこれますか!?」(Ruiza)との投げかけから繰り出されたのは「黎明」。いわゆる煽り曲でありながら、イントロのトリッキーさや間奏での変拍子など、良い意味で一筋縄ではいかないのがなんとも魅力的で、ステージの熱量に呼応するように、オーディエンスによる特大のOiコールが響き渡った。
続いて、青く染まった薄明かりの中、〈忘れないで ここにいて〉という歌い出しが印象的な「追憶」へ。この曲もまた、様々な展開を見せるナンバーだが、照明の効果や、SethとTsunehitoが手をゆらゆらと舞わせながら披露したパフォーマンス、さらにそこへバラードナンバー「Swallowed」が続いた美しい流れによって、深海を思わせる世界観がよりいっそう色濃いものとなった。加えて、「Swallowed」でRuizaがエレキギターから紡いだ、まるでアコースティックギターのような柔らかな音色も忘れがたい。
次曲冒頭の同期音が流れ出すと同時にSethがひとたびステージを後にし、インストゥルメンタル「alma」を経て、そのアウトロでの心音とともにSethの再登場で「奈落」をプレイ。『Alive』でも同様の曲順がとられているように、実に見事なライブ運びを見せ、ギターソロ、ベースソロ、楽器陣3人によるユニゾンのキメと、見応え抜群のパフォーマンスを繰り広げた。



そして、ここで披露されたのが、今ツアーで初お目見えとなった新曲「夢幻」。エモーショナルかつ艶かしさも漂う、大人のミディアムナンバーといった趣は、ハードな「奈落」とキャッチーな「with you」の間に配されたことで、秀逸なグラデーションを描き出した。和やかなメンバー同士の絡みが見られるのも嬉しさを伴う、多幸感溢れる「with you」では、「主役は君たちです」というSethの言葉もありながら、オーディエンスによる温かなシンガロングが響き渡った。
「(Dの無期限活動休止からソロプロジェクト始動に至るまで)時間がかかってしまったので、待たせてしまった分、皆の心を満たしてあげたいなと。俺も満たされたいし」と、今ツアータイトルにある「Alive 〜fill in the「 」〜」に込めた思いを明かしたRuiza。そして、「これからも一丸となってやっていきますので、よろしくお願いします」と告げたうえで、「皆とぶつかり合って、熱を高めていきたいと思って作った曲。デカい声をください」と、シャウトを多用した爆裂ナンバー「残響」を投入。さらに『Alive』の表題曲すなわちRuiza BANDを象徴するキラーチューン「深層」をもって、本編を終えたのだった。
なお、始動ワンマンや主催イベントのステージ、さらには今ツアーの大阪・名古屋公演でも本編ラストを飾ってきた「with you」が、当夜このように異なる配置となったのは、意外性を感じるものでもあった。だが、その後に続いたRuizaの言葉や楽曲から意図を推察すれば、納得の構成だったと言える。それは、持ち曲が増えたことにより可能となった側面もあるにせよ、ツアーファイナルのみの形であったことを考えると、改めて〈僕は時を止めはしない〉というRuizaの決意表明でもあったのではないだろうか。


アンコールでは、「とっても感極まっています。ツアーを通して、メンバーがすごくカッコいいなと思いました」(美景)、「やるごとにバンド感がどんどん増していっているのが嬉しくて。Ruiza BANDに参加できて本当に嬉しいし、それを皆に観てもらえるのが喜ばしいことだなと思います」(Tsunehito)、「長い期間やっていると思っていたら、今年動き出したばかりだった(笑)。本当に2〜3年やっているような。仲良くやらせてもらっています」(Seth)と、それぞれ実感のこもった言葉が届けられた。
4人の和やかなやり取りが繰り広げられる中、Ruizaが「一応、僕のソロなんだけど(笑)。本当にバンドのようになれているのが嬉しいな」と率直な思いを吐露する場面も。さらに、「8月9日、Sethさんバースデーの激ヤバライブで、会場限定シングルを出そうと絶賛レコーディング中です」という嬉しい発表が飛び出したのだった。
当夜は「残響」「魔儀」「黎明」といったハードチューンの再プレイによって、白熱のラストシーンを迎えたわけだが、「黎明」を演奏する直前にRuizaが「この先の未来を皆と共有できたらいいなと、この曲を最後に選びました。7月までライブがないので、深く深く胸に刻まれるように」と述べていたことを付記しておきたい。


そして、Sethから「東名阪を終えて、本格的に走り出したRuizaをどうか最後まで見届けてください!」という温かな言葉もありながら、メンバーがステージを後にすると、一人残ったRuizaがセンターお立ち台の上へ。オーディエンスの歓声を全身で受け止め、マイクレスで「7月まで長いけど、忘れんなよ! 溜まるものを溜めて、俺たちにぶつけに来てください!」と締めくくったのだった。
Ruiza BANDの今後の動向としては、7月のイベント出演を経て、8月から10月にかけて、主催イベントツアー「BURNING SOUL vol.3〜10」を開催、さらに東京、札幌、神戸でのワンマン公演「Genesis of the world」が決定している。新作の誕生に期待を寄せながら、さらなる進化を遂げていくであろう彼らの歩みを見届けてほしい。
◆セットリスト◆
01. 生々世々
02. 魔儀
03. 黎明
04. 追憶
05. Swallowed
06. alma
07. 奈落
08. 夢幻
09. with you
10. 残響
11. 深層
En
01. 残響
02. 魔儀
03. 黎明
(文・金多賀歩美/写真・さかもと)
【ライブ情報】
●SPEED DISK PRESENTS~森羅万象tour’25#2
7月26日(土)大阪RUIDO
7月27日(日)名古屋E.L.L
8月2日(土)池袋EDGE
●Ruiza主催イベントTour「BURNING SOUL vol.3〜10」
8月19日(火)仙台ROCKATERIA
8月21日(木)札幌Crazy Monkey
9月5日(金)HOLIDAY NEXT NAGOYA
9月14日(日)浦和NARCISS
10月5日(日)博多DRUM SON
10月6日(月)広島SECOND CRUTCH
10月7日(火)心斎橋FANJ-twice
10月25日(土)渋谷REX
●Ruiza ONEMAN LIVE「Genesis of the world」
東京〜玄色の刻〜
8月9日(土)青山RizM
札幌〜濃藍の刻〜
8月22日(金)札幌Crazy Monkey
神戸〜白銀の刻〜
11月2日(日)神戸live music club PADOMA