2025.05.26
defspiral@SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
defspiral 15th Anniversary Live「MOONLIGHT SYMPHONIA」

2025年、defspiralが活動15周年のアニバーサリーイヤーを迎え、これまで以上に精力的な動きを見せている。その始まりとなった2〜3月開催のツアー「CHRONO TRAVELER」では、各会場での2days公演を活動前期と後期に分けた選曲に、両日共通の最新曲を織り交ぜた構成で展開。バンドの15年間の軌跡を辿りながら、現在進行形のdefspiralを提示する内容となり、彼らにとっても大きな意義を持つ初のコンセプトツアーとなった。
それを経て、4月に開催されたTAKA(Vo)の節目となるバースデーライブ「HALLELUJAH」では、盟友たちが集結。defspiral、Luv PARADE、TRANSTIC NERVEの3ステージを通して“終わらない物語”を描き出し、バースデーライブであると同時に、この公演もまた、彼らの過去・現在・未来を象徴するステージとなったことが記憶に新しい。

そして5月26日、SHIBUYA PLEASURE PLEASUREを舞台としたdefspiralの15周年アニバーサリーライブ「MOONLIGHT SYMPHONIA」は、ゲストに横山和俊(Key、Noise/H.U.G)、Rookie Fiddler(Vn)、Jumpei(Vn/Nostalgic Cinema)、斎藤孝太郎(Vc)を迎えて開催。本公演の象徴的なシングル『Nitefall』もリリースされたこの日、表現に重きを置いたステージにより、いくつもの忘れがたいハイライトが刻まれ、まさに記念公演にふさわしい特別な一夜となった。
「Nitefall」のモチーフをゲスト陣が奏でる生SEをバックにdefspiralの4人が登場し、RYO(B)のベースフレーズから幕開けを飾ったのは、ジャジーなアレンジに振り切った「Arcoromancer」。ライブチューンとして知られる原曲からの大胆な変貌ぶりが、実に印象的なオープニングを演出した。なお、通常はメンバーのソロ回しを含む楽曲だが、当夜はゲスト4人によるソロパートが加えられた。それは彼らの紹介を意図した、バンドの温かな計らいだったに違いない。


次いで、MASATO(G)がストラトからアコースティックギターに持ち替えた「Serenade」では、前曲のムードを引き継ぎつつも、軽快なリズムに乗せてフロアから自然とハンドクラップが湧き起こった。後のMCで「しっとりしたライブが似合うバンドになりましたね。若い頃は『俺はアコギなんて弾かない』と言っていました(笑)」(MASATO)と語った通り、この日の本編前半では、「Serenade」に加えて「夢見る蜉蝣」「光の世界」でもアコギを演奏しており、それは本公演ならではの光景の一つだった。また、鍵盤の演奏のみならずパッドも叩く横山が、随所で和樹(Dr)とアイコンタクトを交わす場面が見られたが、昨年、H.U.G のステージで二度の共演を重ねた経験が、本公演に活かされたという。


「『MOONLIGHT SYMPHONIA』へようこそ。今夜は15周年の特別な夜です。じっくりと楽しんでいきましょう」というTAKAの挨拶を経て、観客に着席を促したうえで披露されたブロックでは、ストリングスによる効果が際立つことに。「HYSTERIA」「ARCANA」では楽曲のスリリングな緊張感を増幅させ、それに触発されるように「ARCANA」でTAKAのヴォーカルアプローチも熱を帯びた。一方、ベースと歌のアンサンブルが心地いい「夢見る蜉蝣」では、メランコリックな陰影を生み出し、さらにTAKAによるアカペラでの〈世界よ見せてくれよ 鮮やかなその色を〉という一節が曲の始まりを告げた、美しきミディアムナンバー「光の世界」では、その叙情性がいっそう深く響き渡ったのだった。




そして、想定外の光景を繰り広げたのが本編中盤の2曲。まず、なんとTAKAと横山の二人編成というミニマムな形態で「STARDUST」が奏でられた。一般的に、ミュージシャンにとって音の引き算とは勇気を要するものだと耳にするが、弾き語りでのソロステージも頻繁に行っているTAKAにとっては、そういった意味での不安はなかったのだろう。とはいえ、自信と覚悟がなければ踏み込めない領域でもあるはずで、ここでヴォーカリストとしてのTAKAの表現力が遺憾なく発揮されることとなった。また、マニピュレートを主軸に活動している横山にとって、これほど鍵盤がフィーチャーされるステージは、自身のキャリアにおいても極めて稀なことで、その緊張感は並々ならぬものだったという。
その後、TAKAとバトンタッチする形で、MASATO、RYO、和樹が登場すると、横山を含めた4人編成で「PULSE(instrumental)」をプレイ。この楽曲は、2019年発表のEP『recycled』に収録されたRemixバージョンをベースに、今回のインスト用に新たなアレンジを施したもの。原曲が持つ疾走感あふれるライブチューンのイメージをガラリと覆し、跳ねるようなリズムに、ゴリゴリと唸るベース、エモーショナルなギターが重なり合って響いた。


TAKAが再登場し、「PULSE(instrumental)」から見事なグラデーションで繋げたのが、インダストリアル色の強い「ULYSSES」。その“幸福を追い求める物語”を経て、深い愛情を歌う「HALO」へと続き、圧倒的な求心力で観る者を惹きつけた。ここで「そろそろ皆、踊りたくなってきたよね!?」というTAKAの一言を合図に、defspiralのメンバーのみでの演奏に。ロックンロールナンバー「IGNITE THE NITE」で場面転換しつつ、ダンサブルなシャッフル曲「ALEGRiA」へと展開。“幸せの青い蝶”(「ULYSSES」)から、“楽園に咲く赤い花”(「ALEGRiA」)へ――そんなストーリーの流れも、実に美しいものだった。

本編最終ブロックでは、再びゲストミュージシャン4人を迎え入れ、重厚なロックバラード「明日への階段」、〈旅路の果て 再び出会うその時まで〉というリリックで締めくくられる「月の荒野」で、未来へと続く道を示した。そして、「今夜のような心穏やかな時間が続くように願っております。私たちの音楽が皆の心に寄り添うように祈りを込めて、最後に贈ります」(TAKA)という言葉を添えて届けられた「Nitefall」で、温かな空気が場内を満たしたのだった。なお、「明日への階段」「Nitefall」は、音源においてもストリングスが際立つ楽曲であり、今回のステージでの演奏は、ある意味で“完成形”と呼ぶにふさわしい、ひとつの到達点だったと言えるのではないだろうか。


アンコールでは、TAKAが「いつものライブとは、一味も二味も違いますね。好きだなぁ。ヴォーカリスト冥利に尽きるぜ」と吐露すれば、普段とは異なるシンプルなドラムセットで臨んだ和樹が、実は本公演のタイトル「MOONLIGHT SYMPHONIA」にちなみ、シンバルを三日月型に配置していたという、粋で遊び心あふれる試みが明かされる一幕も。
また、特別な編成・アレンジでの演奏について、RYOが「どう感じ取ってくれるかなと、すごく不安でしたけど、やっぱり振り切って実践してよかったなと思います。15年、これまでのいろんなことを思い出しながらライブをやっていました」と語ると、MASATOは「時間をかけて、このライブのためにアレンジして、あっという間に終わってしまう。すごく儚い時間を僕たちは生きているんだなと、しみじみ思いましたね。この儚い時間を楽しみながら生きていきたいなと思いました」と述べたのだった。

メンバー4人が横一列に並び、アコースティック形態で披露されたのは、ファンへの愛情が詰まった「SATELLITE」と「千の花束」。それらを歌う直前、TAKAが口にしたメッセージを記しておきたい。
「いつか全ては過ぎて、終わってしまうんですけど、これまで皆さんと重ねてきた時間、この瞬間が永遠に続けばいいなと今まで何度思ったかわかりません。そんな思いを込めた曲(「SATELLITE」)」
「バンド自体の形は変わっていっていますけど、和樹を迎えて、より音楽に夢中になってやっています。過去がどうこうじゃなくてね。音楽が、バンドが楽しいし、限られた時間の中、素敵な人生、時間を重ねていきたいと強く思うようになりました。ライブではいつもそんなことを感じています。一緒に時間を重ねてくれてありがとうございます。本当に特別な夜になっていると思います。Freaks(ファンの呼称)の皆へ感謝の思いを込めて作った曲(「千の花束」)」

最後にはゲスト陣を含めた8人での「CARNAVAL」のパフォームでフロアを揺らし、「defspiral&defspiralオーケストラでした!」というTAKAの言葉をもって、この記念すべき夜は終幕を迎えたのだった。
ただし、defspiralの15周年イヤーはまだまだ終わらない。7月7日にFC限定ライブ「STARLY NIGHT LOUNGE」、7月25日にRYOのバースデーライブ「LOVELY LOTUS NIGHT」が控えているほか、8月10日から10月10日にかけては、全14公演にわたるツアー「Nyx Nitefall: Eclipse」の開催が決定している。そのタイトルから察するに、昨年末に行われたツアー「Nyx Nitefall」の続編的な位置づけと捉えてよさそうだが、同時に新たなdefspiralを体感できる場となることは間違いない。おそらくその頃には、さらなる新曲がお目見えするのではなかろうか。defspiralの今後に期待を寄せながら、この先も彼らと多くの愛しき時間を重ねていってほしい。

◆セットリスト◆
01. Arcoromancer
02. Serenade
03. HYSTERIA
04. ARCANA
05. 夢見る蜉蝣
06. 光の世界
07. STARDUST
08. PULSE(instrumental)
09. ULYSSES
10. HALO
11. IGNITE THE NITE
12. ALEGRiA
13. 明日への階段
14. 月の荒野
15. Nitefall
En
01. SATELLITE
02. 千の花束
03. CARNAVAL
(文・金多賀歩美/写真・intetsu、山中裕介(FlickBox))
【リリース情報】
●New Single『Nitefall』
2025年5月26日(月)発売
・ライブ会場およびオフィシャルウェブショップにて販売
・各種サブスクリプションサービスにて配信
<収録曲>
01. Nitefall
02. 夢見る蜉蝣(MOON LIGHT SYMPHONIA mix.)
03. 月の荒野(MOON LIGHT SYMPHONIA mix.)
【「Nitefall」MV】
【ライブ情報】
●defspiral FC ONLY LIVE「STARLY NIGHT LOUNGE」
7月7日(月)渋谷Star lounge
●defspiral presents RYO Birthday Party 2025「LOVELY LOTUS NIGHT」
7月25日(金)新宿 Zirco TOKYO
●defspiral tour 2025 “Nyx Nitefall: Eclipse”
8月10日(日)新横浜NEW SIDE BEACH!!
8月16日(土)名古屋Heart Land
8月17日(日)静岡Sunash
8月23日(土)郡山CLUB #9
8月24日(日)仙台ROCKATERIA
8月30日(土)長野CLUB JUNK BOX
8月31日(日)金沢vanvanV4
9月11日(木)川崎SerbianNight
9月12日(金)目黒THE LIVE STATION
9月20日(土)高松DIME
9月21日(日)岡山PEPPERLAND
9月27日(土)大阪yogibo HOLY MOUNTAIN
9月28日(日)京都MOJO
10月10日(金)Veats Shibuya
●姫路Beta30周年記念イベント「Novastalgia」
11月2日(日)アクリエ姫路 大ホール
出演:MASCHERA(michi.、HIRO、TOMO)、illumina、defspiral、Psycho le Cému、Neu:NOIZ
●「hide Birthday Party 2025」
12月13日(土)CLUB CITTA’
出演:hide、Chirolyn、defspiral、DIE、DJ-INA、JOE、PATA、木村世治、桃知みなみ(Opening DJ) and more…