THE MICRO HEAD 4N’S

作曲って楽しいもんだなと思った(ZERO)

ZERO

さて、c/w曲についてですが、「DESIRE」はフロアのノリが想像できるロックチューンですね。

kazuya:僕の作曲ってメンバーとの会話が結構大きかったりするんですよ。昔、ZERO君が「こういう感じの曲欲しいですよね」と言ったところから「SYNCOPATED LOVERS」を作ったし、「星アル」も結局はファルセットを使いたいというとこで作ったし。この曲も歌謡テイストなサビが欲しいというKEKEからのリクエストで作りました。

KEKE:僕らってポップさが売りの部分もありますけど、主な活動はやっぱりライブだから、必然的にライブが盛り上がる曲は必要で。ただ、人に知っていただく機会という部分では絶対キャッチーなほうがいいから、このシングルはそれも入っているし、ライブで武器になる激しい部分も入っていて、すごく良いんじゃないかなと思いますね。

この曲は全体的にギターが印象的です。

kazuya:この曲はシンセのアレンジが思い浮かばなかったから、ギターでやるしかないかと思って。僕、今3つバンドをやっている中で結論として出たのは、作曲する時って自分のパートが一番おろそかになるんですよ。「星アル」も自分のパートはほとんど目立たないし、「DESIRE」も本当はそうなるはずなんですけど、これは僕が頑張らないと曲がなかなか寂しい感じになってしまうので、アレンジャー目線で結構考えましたね。イントロが一番悩んだかな。最初に作ったパターンがありきたりでちょっと嫌だったので、はじけてみるかと。メジャーでもマイナーでもないから、何のコードを当ててもぶつかるんですよ。だからもう3度を抜いて1と5度だけで、明るくも暗くもない状況にしたというのが僕の中では結構珍しいかなと思います。ただ、この曲で面白いのは、実はAメロの2〜3小節で地味に転調しているんですよ。普通に聴けると思うんですけど、コソッとやっているのが結構好きかな。この曲はとにかくギターを死ぬほど考えましたね。

歌詞は「星アル」の対になっているのかなと?

KEKE:いや、全然(笑)。「黎明」には〈太陽〉、「DESIRE」には〈月夜〉という言葉が入っているんですけど、「星屑のアルペジオ」だから宇宙みたいな繋がりのある言葉を入れたらいいんじゃない?って案をZEROさんからもらいました。「DESIRE」はデモが上がってきた時に〈禁断の愛を頂戴〉というワードが僕の中で一発目に出てきて。僕、このメロディにはこの歌詞を入れたいというのが、デモを聴いた段階で出てくる時があるんですよ。「星屑のアルペジオ」もサビでそのワードがパンッと出てきたので、タイトルに決めました。

そうなんですね。

KEKE:表題曲はキャッチーなポップスで、c/w曲はそうじゃない方向に行きたいよねという話がバンド内であったので、〈禁断の愛〉を膨らませていったら、不倫とかそういうところに行き着いて。メンヘラチックな女性を主人公に書いてみました。別れるつもりもないのに「もう別れる」って言ったり言われたり、そういうのを都合よく使われてメンヘラになって、でも寂しがり屋で、みたいな。僕自身も寂しがり屋なので、ちょっとそういう要素も入れてみたりして。最終的には主人公の女性はまた他の男性に行ってしまうんですけど。

ちなみに、対なのかなと思った理由は、「星アル」が男性目線で〈君は誰の腕の中に 抱かれてる〉、「DESIRE」が女性目線で〈私はそっと また誰かの腕で 今日も眠る〉と歌っているからで。

KEKE:あー! 本当だ! じゃあ対にしときましょうかね(笑)。でもこれ、偶然ですわ。すごい。ただ、対として捉えると、男の人も女の人もめっちゃ引きずってて、もうわけわからんことになりますけどね(笑)。何を見せられてんじゃい!?っていう(笑)。

全員:(笑)

確かに(笑)。「黎明」はZEROさんの作曲だそうで。周年ツアーの初日に「今年中に1曲作りたい」と宣言していましたが、あの時点で曲作りが進んでいたのでしょうか?

ZERO:実は、この曲は今年の頭ぐらいにはできていて、その時点では使い道がなかったので、自分で歌おうかなと思っていたんです。自分が作る曲ってバンドサウンド主体のものが多くて、色々シンセも使いたいなという気持ちは常にあったんですけど、今までは入れることができなくて。その欲求を晴らすために、適当にシンセを主体に作った曲がこれだったんですよ。今回ここに入ってきたのは、作ろうと思っていたものができなくて、でもこの曲があったらちょっと面白いかなと、そんなきっかけで提出しました。

この曲が今作に入ったのは、新しさがキーだったのでしょうか?

kazuya:3曲のうち、ここはZERO君よろしくねって任せていたんです。それで今回上がってきたものが、僕的にはZERO君が作った曲の中でレベチに良いと思ったんですよ。ものすごく音楽してるというか、すごいなと思っちゃって。メンバーの成長って嬉しいですよね。だから、僕としては作曲者のイメージをなるべく壊さないように、自分の色をちょっと入れようと思って取り組みましたね。

ZERO:ただ、本当に吐き出すために作った曲だったので、バンドでやるにはどういうものになるのか、サビぐらいしか見えていなくて。小さいライブハウスだとあんまり想像できないんですけど(笑)。ちなみに、自分の曲で最後の最後まで楽しく制作できたのが初めてで。いつもはどこかしらに苦しみがあったんですよ。もうどうしたらいいのかわかんないし、自分ではどうにもできないみたいなことが今まではあったんですけど、これはミックスのチェックでやり取りしていても、こうしたい、ああしたいって、最後まで本当に楽しくて。作曲って楽しいもんだなと思いましたね。

新たなZEROさんの扉が開けましたね。この曲にはラップも含まれますが、歌録りはスムーズにいきましたか?

KEKE:実はラップだけ僕がメロディを考えたんですよ。なので、その部分は歌録りも苦労しなかったですね。ヒップホップで使われる用語で〈24/7〉という歌詞を入れていて、普通に聴いたら何のことかわからないと思うんですけど、24時間、週7日、要は毎日っていう意味なんです。他にも〈boom boom〉とか自分のヒップホップ好きなところを要素として取り入れたくて、それっぽいラップにしてみました。僕の大好きなRickyさん(初代ヴォーカル)もマイフォでたくさんラップを入れていたので、負けじと良いラップができたらいいなと思って。

〈艱難辛苦〉という言葉のチョイスも特徴的ですよね。

ZERO:漢字苦手なのに(笑)。

KEKE:調べました! 作詞する時は調べたり、日常生活の中でも、どういう意味なんだろうって調べたりするんですけど、そういうのを書いているメモ帳があって。何か引っかかりが欲しいなと、今回はこういう言葉を入れましたね。

曲タイトルを考えたのはZEROさんなんですよね?

ZERO:KEKE君から「そういうの苦手なんで」って振られて(笑)。〈昇る太陽〉という歌詞が印象的だったので、そのままタイトルにしてもよかったんですけど、イメージ的に響きが綺麗な「黎明」にしました。ちなみに最初、〈昇る〉が〈登る〉になっていて、間違えたままにしてやろうかと思いましたけど(笑)。

KEKE:いや、ダメです(笑)。「黎明」の歌詞って暗く見えがちですけど、そういうつもりで書いてなくて。ZEROさんの曲って自分を鼓舞する歌詞が多いので、悲しいことも色々あったけど、それでも模索して大切なものを見つけていこうよみたいな思いで書きました。人って幸せのパワーより恨みとか悲しさ、 悔しさのパワーのほうが強いイメージが僕はあって。そういうことがあったからこそ、こうなりたいみたいな。誰かの背中を押せる曲になったらいいなと思っています。

ところで、この曲はギターソロからその後のブロックの部分が、なかなか複雑なドラムだなと思って。

TSUKASA:はい、これはライブが心配な曲です。練習に練習を積み重ねるしかないですね。その部分も含めて特にサビのドラムは、長年連れ添ってきたZERO君の、こういう感じでいきたいんだなっていう感覚が1回聴いただけでわかったので、ZERO君の音楽の趣味が表現されているなと思いました。なので、長年の感覚が自分の中にも呼び戻されてきながらアレンジしたのが楽しかったです。広いところで演奏するイメージが湧いております。野音ですね!

アウトロなしで潔く終わるのも特徴的ですが、これはkazuyaさんのアレンジによるものですか?

kazuya:この曲は、僕はギターアレンジしかしてないです。ZERO君とTSUKASA君の曲の特徴としては大体3度がなくて、1と5の進行が多いんですよ。なので、3とか7とか9のギターを入れるとkazuyaっぽくなるから、そういうのを足したぐらいですね。

ZERO:結果的にkazuyaさんが入れてくれたギターによって、音楽的にもちゃんと良いものになったと感じています。それと、コーラスやパッド系をもうちょっと入れたほうがいいとkazuyaさんからアドバイスをもらって、そこは試行錯誤しました。終わり方は、この曲ってラップがあったり、間奏も色々こだわったりして、パターン数が多くなっちゃったので、もうこのまま綺麗に終わらせちゃおうという感じで。

改めて、それぞれタイプが異なる3曲ですが、KEKEさんはどの曲も似合いますね。

KEKE:でも、「黎明」は喉が枯れますよ。一番レコーディングで苦労しました。録っていて声ガラガラやん、みたいな。

ZERO:最後に録ったしね。「DESIRE」の後だったし、いけるかな?っていうぐらいの喉の調子だった。でも、俺の曲は割と荒々しいほうがkazuyaさんの曲とのコントラストもできると思うので、その感じが好きですね。

どっぷりと沼にハマってほしい(TSUKASA)

TSUKASA

さて、12月1日からツアーが始まりますが、各公演でセットリストが結構変わってくるようですね。

TSUKASA:ツアーで各公演これだけ変わるのって初めてかなという気はしますね。

KEKE:アルバムのツアーだったら、やっぱりその曲たちを中心にと思うので、過去のツアーでもあまりセットリストは変えていないんですよね。今回、もちろん『星屑のアルペジオ』が軸ではあるんですけど、マイクローンも各会場いろんな場所に来てくれるので、それぞれ違うマイフォを見せられたらいいなと。すごく考えて作ったセットリストなので、どれも自信を持って見せられます。

ファイナルはkazuyaさんの50歳バースデーです。O-WEST公演自体が「前回を超えないと、その次は難しい」との発言もありながら、既に券売状況が昨年より良いそうですね。

kazuya:まだ初動だけの数字ですけどね。この業界って今、縮小してきているじゃないですか。ごく一部、伸びている方もいらっしゃいますけど、基本人口が減っていると思うんです。それは誰もがわかっていて、そんな中で勝負するのは無謀なんですけど、ちょっと伸びているというのは発見でもありました。今までおよそでしかわかっていなかったのを、明確な数字で出してみたら、意外と過去2年のファイナルの初動より良かったんです。ただ、ここからの伸び率ですけどね。

TSUKASA:ツインペダルも買い替えましたし、バラエティ溢れるセットリストでツアーがすごく楽しみです。色々思い出が蘇るような曲も組み込まれているので、例えばマイフォとちょっと離れてしまった方も、ぜひ遊びに来ていただきたいですし、今のマイフォはこういう感じなんだなって、ビックリできると思います。『星屑のアルペジオ』で初めて知ってくれた方も、そこからどっぷりと沼にハマってほしいなと思いますので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。

ZERO:先日FCライブで久しぶりの曲もやって、会場を見渡した時に皆ノリ方を覚えてねーなと思って(笑)。だから、これを読んでいる方は特にしっかりと過去曲の振り付け、ノリ方を復習して、音が鳴った瞬間に体が勝手に動くように準備してきてもらいたいなと。2024年、本当に色々と動きが変わってきましたけど、集大成として盛大に盛り上げたいので、たくさん友達に声をかけてもらって、皆で楽しく締めくくれたらいいなと思います。

kazuya:個人的には今、ファンタでもツアーをやっていて、向上心が爆上がりしていて、毎日いろんなことを学びながらやっているんですね。その思いや知識を持って、マイフォのツアーがすごく良いスタートを切れそうだなと思っています。それと、今回メジャーで出すのは、より多くの人に聴いてもらうためですけど、自分らが売れたいってこと以上に、応援してくれているファンの人たちに、高らかにマイフォいいでしょって思ってもらいたいんですよ。僕らが本当に野音に行ったら、皆さん胸を張って「マイフォやっぱりスゲーっしょ」って言えると思うんですよね。そして、強くないと人は守れないってことも、もう大人だからわかっているじゃないですか。例えば僕がメンバーを守るにしても、お金も力もなかったら、それは口だけでしかないから守れない。本当にバンドやファン、スタッフを守るためにも、今回こういう選択をしてリリースするってことが、少しでも伝わったら嬉しいです。

KEKE:色々なところで言っていますけど、今回のO-WESTは「マイフォって年末O-WESTだよね」ではなくて、あくまでリベンジが大前提としてあって。去年の数字を超えたいという思いで、手売りチケット企画をしてみたり、泥臭くても自分らでできることを探しながらやっていこうと。同じところでずっと足踏みするわけにもいかないし、メジャーに行ったからには僕らもそういうフィールドで戦う意識を持って取り組んでいるので、去年よりもさらにできることをやって、最終的に皆で「やれることやったね」って終われるようにしたいです。僕はマイクローンもメンバーという認識でやっているつもりで、これを読んでいる人はもう仲間だと思うので、ぜひマイフォを応援していただきながら、最後に皆で「よかったね」と言えるツアーにしましょう。

(文・金多賀歩美)

THE MICRO HEAD 4N’S

KEKE(Vo)、kazuya(G)、SHUN.(G)、ZERO(B)、TSUKASA(Dr)

オフィシャルサイト

リリース情報

New Single『星屑のアルペジオ』
2024年12月4日(水)発売
(日本コロムビア)

[PREMIUM BOX盤](CD、DVD、PREMIUM Tシャツ、ジャケットカード4種、オフィシャルイベントQRコード付き応募カード)THIR-0103/0104 ¥10,000(税込)※オフィシャル限定

[通常盤](CD)QAFJ-10026 ¥1,500(税込)

収録曲

[PREMIUM BOX盤CD]

  1. 星屑のアルペジオ
  2. 星屑のアルペジオ Original Karaoke

[PREMIUM BOX盤DVD]
・星屑のアルペジオ Music Video
・星屑のアルペジオ Music Video KEKE Solo Ver.
・星屑のアルペジオ Music Video kazuya Solo Ver.
・星屑のアルペジオ Music Video ZERO Solo Ver.
・星屑のアルペジオ Music Video TSUKASA Solo Ver.

[通常盤CD]

  1. 星屑のアルペジオ
  2. DESIRE
  3. 黎明
  4. 星屑のアルペジオ Original Karaoke
  5. DESIRE Original Karaoke
  6. 黎明 Original Karaoke

ライブ情報

●THE MICRO HEAD 4N’S TOUR2024 星屑のアルペジオ
12月1日(日)HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-4
12月6日(金)名古屋ハートランド
12月7日(土)心斎橋BEYOND
12月15日(日)Spotify O-WEST

●『Aiming』Multiple
2025年2月4日(火)EDGE Ikebukuro
出演:THE MICRO HEAD 4N’S、IKUO、XANVALA

●ダウト確変継続的参MAN LIVE「取扱注意-極-」
2025年2月14日(金)赤羽ReNY alpha
出演:ダウト、THE MICRO HEAD 4N’S、Moi dix Mois

●メリー×EDGE Ikebukuro Presents 「FIRST CONTACT」
2025年2月22日(土) EDGE Ikebukuro
出演:メリー、HOLLOWGRAM、THE MICRO HEAD 4N’S
※2024年8月16日振替公演