2023.12.15
THE MICRO HEAD 4N’S@Spotify O-WEST
THE MICRO HEAD 4N’S TOUR2023「NEW ERA」

「“無印マイフォ”の始まり」――これは最新アルバム『NEW ERA -the beginning-』の完成後、メンバーらが度々口にしていた言葉。2022年11月に新ヴォーカルKEKEを迎えた“第四期”としての初ステージを踏み、同年12月にリテイクベストアルバム『NEW GENERATION』を発表したTHE MICRO HEAD 4N’Sだが、2023年、精力的なライブ活動を展開しながら、遂に現体制初のオリジナルアルバムを作り上げた。その作品を手に東名阪を巡った「THE MICRO HEAD 4N’S TOUR2023「NEW ERA」」も、現体制初のワンマンツアー。かくして12月15日、kazuya(G)の誕生日当日にSpotify O-WESTで迎えた最終夜、5人が見せてくれたのは“四期マイフォ”ではなく、バンドとしての強度を増した真の“無印マイフォ”の姿だった。

実際この日、ZERO(B)から「名古屋と大阪でもワンマンをやって、やっと本当の意味でTHE MICRO HEAD 4N’Sが復活できた気がします」、TSUKASA(Dr)から「今日がTHE MICRO HEAD 4N’S始まって以来一番楽しいかも! 記憶を更新しちゃった!」という発言が飛び出したことは、このツアーがどれだけのものであったかを物語っていた。また、これが自身初のワンマンツアーだというKEKEは、「人生初のワンマンツアーがTHE MICRO HEAD 4N’Sなんて幸せ」と、その喜びを直球で表し、本ツアーはあえて最小限のスタッフで回ったことから、ある種の試練を共にしたメンバー間の結束力も、さらに高まったようだった。

KEKE
kazuya
SHUN.

これまでTHE MICRO HEAD 4N’Sのバースデーライブは、誕生日を迎える当人のプロデュースdayとなることが常だったが、今回はあくまでツアーファイナルということに重きを置いたもの。そんなこの日のステージは、アルバム同様に「Life is beautiful」で明日への扉を開く温かな幕開けとなり、今年下半期のステージでプレイを重ね、既に彼らの鉄板のライブチューンとなった、音源としては現体制初のオリジナル曲「LAST」で勢い付けると、「さぁ、ウォーミングアップは終わりだ! マイクローン(ファンの呼称)、やれるかー!?」とのKEKEの言葉を合図に、センターでkazuyaとSHUN.(G)が向かい合ってのプレイから「EARNEST GAME」がスタート。ステージ、フロア共に序盤とは思えぬ熱量を放ってみせたのだった。

ここでKEKEが、この日の模様は配信のみならず映像作品になることに触れ、「皆さんとの思い出のDVDにしたいと思っているので、一緒にそういうものを作りませんか!? 声を聞かせてくれ!」と叫ぶと、「Labyrinth」で満場のOiコールが響き渡り、ステージ上では早くもZEROの高速回転が。

そこからラウド系の方向性が強かった三期の楽曲「DOWN」「陽炎」が最新作収録の「UNREQUITED」を挟んだ流れは実に自然で、作品の中では唯一のヘヴィーナンバーの立ち位置にある「UNREQUITED」が、エモーショナルなミディアムバラードとして響いてきたのが印象深い。また、その曲終わりから、KEKEがマイクスタンドを自らスッとセンターに置き、ドラマーによるカウントなしの歌先行で「陽炎」に入った場面は絶妙な流れで、ヴォーカリストにとってはなかなかな緊張感だったのではと推測する。

ZERO
TSUKASA

「VANILLA」をはじめ、最新作のリード曲「雪月華」、メンバー内での人気も高い「サヨナラの先に」と、しっとり聴かせるメロディアスな楽曲たちが並んだ中盤ブロックを経て、「名古屋大阪マジでヤバかったので、東京が一番ヤバいところ見せてやろうぜ!」(KEKE)と、メンバーコールを含むダンスチューン「I surrender」へ。TSUKASAがダークカラーのサングラスをかけてプレイすれば、いつの間にかそれをかけたSHUN.と、向かい合ったkazuyaが驚く表情を見せるなど“わちゃわちゃマイフォ”が顔を覗かせ、さらに「REINCARNATION」「BREAKING & SHOUT OUT!!!!!」と熱量の高いナンバーを畳み掛けた。

なお、「BREAKING & SHOUT OUT!!!!!」は現体制としては今ツアーで初めてラインナップに組み込まれた既存曲だが、難易度の高いラップセクションで弦楽器隊の3人がKEKEを囲み凝視しながらプレイするという1シーンも。しっかりと成功させたKEKEは「言えたー!」と歓喜の声を上げたのだった。

本編最終ブロックとなった「WHITE SOUL」の演奏後には、「マイクローン、マジでいい顔してるぜ! 多分俺たちもいい顔してると思うけどな! このツアーで俺たちはメンバーとの絆、そして皆さんとの絆が今まで以上に強くなったと思います! この気持ちを皆さん忘れないでください。無謀だと言われている野音に絶対行くぞ! 絶対にこなしてやろうぜ!」とKEKE。

アルバムのラストに収録されている、まさに仲間との絆を歌ったキャッチーな「WITH」では、歌詞に準えてKEKEがZEROと体を〈ぶつかり合って〉みたり、〈うるさいくらいが丁度いいから〉と自身を指したり、誕生日を迎えたkazuyaに〈歳を取って シワが増えて 衰えようとも〉の部分で絡んだり。次いで、光輝く未来へ向かうメロディアスな「銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~」では、センターに4人が集結しつつKEKEがTSUKASAに向けて拳を上げたり、SHUN.と互いのお尻で押し合ってみたり。〈70億の 偶然が生んだ この瞬間に〉(「WITH」)、〈70億色の星屑の中に〉(「銀河鉄道の夜」)という歌詞のリンクもある2曲で見られたこれらの光景は、今のTHE MICRO HEAD 4N’Sを象徴するのに十分過ぎるシーンだった。

ZERO/KEKE
ZERO/kazuya

その後、アンコールを求める声の代わりに、すぐさまkazuyaを祝う「Happy Birthday」の大合唱が響き渡った場内。メンバーが再登場し、伝統の儀式(?)であるSHUN.による歌唱「ヘッピーバースデー」とケーキが贈られると、kazuyaから言葉が届けられた。

「20歳の時にO-WESTのステージに立って、まさかこの年齢(49歳)まで音楽をやっているとは思わなかったし、一度は社会に戻れるかなとアルバイトもしてみたけど、kazuyaにはできなかったね(笑)。そこから覚悟を決めて本気で音楽に取り組んで、今こうして素晴らしい仲間に出会えたことは誇りですし、応援してくれる方がいっぱいいる。毎年言っていると思うけど、本当に今が一番楽しいんです。僕の人生、今がピークなんです。多分来年またピークなんです。僕は覚悟を持って自由に生きていて、皆が知っている“kazuya”という人生をフルに生きようと思っています。そして、ZERO君が本当のマイフォの復活に感じたと言っていたけど、僕もまさに今日それをすごく思います。四期が始まった時に言ったことが全てで。THE MICRO HEAD 4N’Sは本当にこれが最後の章だと思います。そこにKEKEが入ってくれて、あの時言ったのは、もしKEKEが辞めることがあっても絶対に彼を責めちゃいけなくて、ダメなのは俺。それくらい覚悟を持ってやっていて、それは今も変わらない」

そして「これからも頼みますよ」と言ったkazuyaに対し「任せてください」とKEKEが応え、二人が拳を突き合わせた場面を経て、「関係者の方、スタッフ、メンバー、マイクローン、自分にとって本当に大切で、一人ひとりが仲間だと思っています。色々と悲しいニュースもありますけど、僕らも皆さんも健康で、こうやってまたライブで集まれたらいいなと思っています。皆さん約束してください。お願いします。そんな大切な皆さんに次の曲を贈りたいと思います」と告げたKEKE。kazuyaが奏でるギターとKEKEの歌のみで始まり、5人の音が重なり合った「声なきスマイル」で、今触れ合える人との時間の尊さを伝えると、些細なことも分かち合って歩んでいきたいと歌う「深海」を続け、温かな空気が場内を満たしたのだった。

SHUN./KEKE
ZERO/KEKE

その後のラストスパートでは、SHUN.のタイトルコールからこの日一番のハードナンバー「REVERBERATIONS」でステージ、フロア共に暴れ倒すと、マイフォ自身のことを歌った「Curtain Call」では特大のOiコールが響き渡り、「これが世界一カッコいいバンド、THE MICRO HEAD 4N’Sでした!」というKEKEの絶叫をもって終幕…となるはずだったが、彼の希望により「もっと皆と気持ちを一つにして終わりたいんです。俺がこのバンドで最初に歌った曲をやらせてください」と正真正銘、予定になかった「HELLO MY CLONE」を最後の最後にプレイ。曲中にKEKEが涙を堪えるような様子もありながら、5人の全身全霊のパフォーマンスで幕を下ろしたのだった。

この特別な一夜の模様は映像作品として3月にリリースされることに加えて、今後の動向として2月18日の会員限定イベント、4月21日のSHUN.50歳バースデーライブ開催、そして5月には『NEW ERA -the beginning-』に続く“NEW ERA”第二章となる新作アルバム『NEW ERA -evolution-』のリリースと新規ツアーの開催も決定と、2024年5月までのスケジュールがこの日一挙に発表された。新作については、kazuyaから「結構攻撃的なダークめなものが入ると思うので、期待してください。でも、まだまだありますので。今、発表したものはさわりです」という気になる言葉があったことも付記しておきたい。

「ヴォーカリスト、センターの人間として率先して引っ張っていけるようになりたいと思います」(KEKE)、「僕的には四期という言葉がなくなればいいなと思っています。来年の今頃、これがTHE MICRO HEAD 4N’Sだというふうになれたらいいなと」(kazuya)と語っていたのが、1年前。あれから1年を経た今、それが現実のものとなったことを実感させてくれた一夜は、まさに無印マイフォの始まりを示すものだった。

「バンドってスゲーいいなと、自分らでやりながら思っていて。これが今の時代に合っているのかどうかとか、そんなのどうでもよくて、マイクローンと一緒に楽しめる空間をただひたすら追い求めていけば、この輪に入りたいという人も自ずと増えていくんじゃないかなと思う」とは、この日KEKEが発した言葉。THE MICRO HEAD 4N’Sは今、過去最強の状態にあると断言していい。新時代に突入した彼らの輪に、より多くの人々が加わっていくことを願ってやまない。

◆セットリスト◆
01. Life is beautiful
02. LAST
03. EARNEST GAME
04. Labyrinth
05. DOWN
06. UNREQUITED
07. 陽炎
08. VANILLA
09. 雪月華
10. サヨナラの先に
11. I surrender
12. REINCARNATION
13. BREAKING & SHOUT OUT!!!!!
14. WHITE SOUL
15. WITH
16. 銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~

En
01. 声なきスマイル
02. 深海
03. REVERBERATIONS
04. Curtain Call
05. HELLO MY CLONE

(文・金多賀歩美)


【配信情報】
●THE MICRO HEAD 4N’S TOUR2023「NEW ERA」
2023年12月15日(金)Spotify O-WEST
アーカイブ配信中
チケット販売期間:12月22日(金)21:00まで

【ライブ情報】
●THE MICRO HEAD 4N’S MEMBERS ONLY VALENTINE EVENT「OFIAM vs THE MICRO HEAD 4N’S」
2024年2月18日(日)SHIBUYA Star Lounge
1部:OFIAM
2部:THE MICRO HEAD 4N’S

●SHUN. BIRTHDAY LIVE HALF CENTURY BOY
2024年4月21日(日)青山RizM

●TOUR2024 -evolution-
2024年
5月5日(日)川崎Serbian Night
5月18日(土)名古屋HeartLand
5月19日(日)梅田Zeela
5月25日(土)池袋EDGE

【リリース情報】
●LIVE DVD『THE MICRO HEAD 4N’S TOUR2023「NEW ERA」LIVE at Spotify O-WEST』
2024年3月6日(水)発売予定
¥6,000(税込)

●New Album『NEW ERA -evolution-』
2024年5月発売予定

THE MICRO HEAD 4N’S オフィシャルサイト