自分が今までしてこなかった挑戦は、今やりたい(ZERO)

次に「DECADENCE」ですが、このワードについて調べると「衰退の中に美を見出す」というのがデカダンスの概念で、「退廃と美」「快楽と崩壊」といった相反する要素を内包した言葉とのことで、だから今作のテーマにはまるんだなと納得でした。
KEKE:タイトルは僕が考えたんですけど、この曲を聴いた瞬間に「DECADENCE」というワードがバーンッと出てきて、そこから広げていきました。曲調的にもダークなイメージがあったので、闇と光とするならば、闇が強い感じをイメージして歌詞を書いていたんですけど、これも割とメロディが難しかったので、どう持っていこうかと。いつもとは違って、同じサビを繰り返していくというのが、自分の中での挑戦でもありました。この曲にも新しいものを入れていきたいなという部分で、わざとそうしましたね。
この曲は何と言ってもサビのメロがすごく新鮮だなと思いました。
KEKE:これ、結構考えましたよね。レコーディング中に変えたり。
kazuya:パンチが弱かったから、音階を変えましたね。語弊がある言い方かもしれないですけど、KEKEからの発注としては「手を抜いた曲を作ってくれ」ってことで。これは我々の中でよくある会話なんですけど、要は「星屑のアルペジオ」みたいな神経質な曲じゃなくて、サラッといけるような曲が欲しいという。で、締切が1月8日だったんですけど、何となく今年の仕事は今年のうちにみたいな感じで、大晦日に大至急作りました(笑)。細かいところで難しいコードも入っているんですけど、聴感は結構サラッとした曲ですね。あと、前作が結構ポップな曲だったので、「このバンド、なんでもできまっせ」みたいなところを見せようと、あえてちょっと激しめの、しかもドロップチューニングのkazuyaらしくないギターを付けました。
昨年、久々にライブで復活して以来結構やっていた「PRISONER」を思い起こして。あのタイプの最新ver.が「DECADENCE」みたいな部分もあるのかなと。
kazuya:作っている人が一緒ですからね。今、メジャーとインディーズというのを僕らは選択してやっていて。メジャーは不特定多数に聴かせるものだから、幅広く取れるようなことをチョイスするし、今回はオフィシャル販売なので、マイクローン(ファンの呼称)だけに向ければいいと僕は思うんですよ。自分たちのファンに楽しんでもらえる音楽作り、メジャー版とはちょっと違う感覚で作っているのはありますね。だから、ハード系なものが出てきたり、そこはちゃんと考えてやっています。
ZERO:新機材導入の恩恵がある中で、レコーディング前にkazuyaさんとの会話で、この曲はスラップみたいなイメージという話が出て、ちょうど俺も同じことを考えていたので、この曲に対する認識は同じなんだなと思って。久しぶりにスラップをちゃんとやってバッキバキにしてみたら、割とハードになりました。サビは結構ルート弾きですけど、指で弾いて引っ掛かりをつけてみたり。今回は新機材を含めて、全体的に楽しいレコーディングだったなと思います。そこまで悩むこともなく、割と衝動的に色々やったなっていう。
そして、「COLOR」はZEROさんの作曲ということで。
ZERO:12月のツアー中や年末年始にも曲作りをしていたんですけど、なかなか出してもいいかなと思える曲ができずに、締切ギリギリで、もう出さないとまずいぞっていうタイミングに10時間で作って、そのまま皆に送った曲です。結構悩んで、ロックだからヘヴィーな感じでいこうかとか色々考えたんですけど、やっぱり今自分が作りたい形のものがいいかなと思って、この曲になりましたね。パターン的にはAメロとサビですけど、サビっていう認識はそもそも俺の中にもない曲で。同じメロディで、楽器のテンション感で違う風に聴かせるみたいな感じのテーマで作っていて。厳密には同じメロディではないですけど、そういうイメージで作った曲ですね。c/w曲だし、変なことをやってもいいかなと。
これは一体どこがサビなんだろう?と思って聴いていました(笑)。
ZERO:ですよね。なかなかへんてこな曲ができましたけど、そういうのも面白いかなと思って。そのうち、イントロから終わりまでバックの演奏が全部同じ、繰り返してるだけで変わっていくみたいなのを作りますよ。色々遊びで挑戦してみたいなっていう。今、作曲のモチベーションがすごく高いので、自分が今までしてこなかった挑戦は、今やりたいんですよね。
いいですね。この曲は全パート難しそうですが、いかがですか?
TSUKASA:まだ1回も通して叩いたことがないですね。レコーディングはパンチインが割と普通なので大丈夫なんですけど、ライブはかなり練習しないと。この曲はドラムがAメロBメロで大体同じことをやっていて、最後のほうでちょっと変わってきたりするんですけど、間のスパイスみたいなところが一番難しいなと思いました。出来上がって聴いてみた時に、サビがないのかな?という思いは僕も抱いたんですけど、ドリーム・シアターというバンドの「Erotomania」のように、最後までハラハラドキドキしながら聴けちゃう、ものすごく芸術性のある曲になっているんじゃないかなと思いますね。
kazuya:最初聴いた時、サビがなくてよくわからんなと(笑)。ずっとクエスチョンだったんですけど、kazuyaルールとして、メンバーが作ったものは、どんな曲でもボツにはしないと決めているんですよ。で、どんな曲でも良くしようという努力はもちろんします。正直よくわかんないけど、とりあえず僕は全力で乗っかろうと。ZERO君の要望として、いろんなギターフレーズを作るよりも、いわゆるkazuyaテンション、ナインスとかセブンスのコードを入れてほしいみたいなのは聞いていたから、僕はベーシックに入っているものに対してカラーを付けていって、ちょっとマイフォっぽくしたぐらいかな。完成してみたら、カッケーなと思いました。ただ、とにかく難しい。どうリズムを取ればいいの?みたいな。ライブで弾けるかどうか、どうごまかそうかなって考える感じで。
ZERO:2Aは特に難しいですね。
kazuya:わかんねーとかグチグチ言いながら、1小節ずつレコーディングしました(笑)。僕、今ZERO君の作曲モチベが上がってるのってすごくいいなと思ってて。多分、メンバーの中で一番伸び代があると思うんですよね。ゴールがどこかまだわからないぐらい期待値が高いから、僕としては楽しみだなと。ZERO君はリズム重視で、メロディ重視の僕とは正反対の曲の作り方だから、そういうところでマイフォとしての音楽の幅が広がるのはすごく良いと思うし、いつかメインになるような曲も書くんだろうなと、楽しみですね。
この曲は当然KEKEさんも難しいですよね?
KEKE:聴いた瞬間にAメロとか、これライブで歌えるか?みたいな。いや、そもそもこれリズム合ってんのか?って最初思ったんですよ。で、ZEROさんに「これ、どうなってます?」って、隣に座ってソフトを開いて一緒に確認してもらったりして。結果レコーディング当日まで抽象的なオーダーがあって(笑)。淡々と歌ってほしいと言われたんですけど、淡々とって色々あるじゃないですか。
ZERO:抑揚を付けずに。
KEKE:俺、思ったことがあって。歌詞についても自分がダメだと思うものは当然出さないので、良いと思ったものだけを出しているわけですけど、そのうえでZEROさんは、ここの言い回しをもっと引っ掛かりがあるようにしたほうがいいよとか言ってくれるんです。今回、歌い方も明らかに四期に入ってから今まで1回もやったことのないような歌い方をしているんですけど、この人って俺の新しい引き出しを開いてくれる人なんだなと思って。今、出来上がった音源を日々聴いているんですけど、この曲を聴くたびにそれを強く思います。そういうメンバーがいるのっていいなと。自分にとっては大きいことですね。
いいお話。
KEKE:ただ、作詞はめちゃめちゃムズかったです。Aメロは言葉が詰まっていて、ラップっぽいメロディがすごく難しくて。最初はここでも同じワードを繰り返して入れていたんですけど、ZEROさんから「そういうイメージじゃねーんだよな」って言われて(笑)。kazuyaさんからも「新しいことやりたいっていう気持ちが見えすぎ!」って言われて(笑)。自分が行き過ぎたものにブレーキをかけてくれたり、今回はそっちじゃないよって止めてくれるのはすごくありがたいことだなと思います。歌詞の内容としては、劣等感があって、キラキラしている人を見て影響を受けて、自分の色も変わっていくみたいなことが言いたいんですけど、今回、全曲通して〈影〉という言葉が入っていて。光と影という3曲共通のテーマを書けて面白かったなとも思いますけど、なるべく今後はタイトル先行の曲は書きたくないなっていう(笑)。
一緒に坂道を登っていただきたい(TSUKASA)

さて、今年は12月13日の神田明神ホールに向けての1年ですが、まずは春のツアーが山形と東名阪で開催されます。初日はTSUKASAさんの地元山形でのバースデーライブかつ、最上川司さんとの二部制ということで。
TSUKASA:そうですね。今思ったんですけど、「閃光のディストーション」ツアーということは、この3曲全部やるってことです。そのうえ最上川と合わさると、ちょっと早めに練習したほうがいいなと思いますね。特に「COLOR」の。
kazuya:確かに(笑)。
KEKE:「COLOR」ってバンドでできんの?って思っちゃった。めっちゃムズいっすよ。
ZERO:慣れたらできると思うよ。ライブではもうちょっと抑揚を付けて歌い切っちゃってもいいかなとは思うけど。
TSUKASA:このツアーを通して、そういう新しい部分も見せられると思いますし、今年のマイフォの出だしとしては、新鮮に思えるんじゃないかなと。誕生日もマイフォとしては主役になるのが久しぶりなので、すごく楽しみですし、神田明神ホールに向けた坂道の良い駆け上がりになればいいなと思っています。マイクローンの皆さんも一緒に坂道を登っていただきたいので、どうかお力をお貸しください。
ZERO:今回のシングルは特にやるのがすごく楽しみで。ライブをやりたくなる3曲だなと思って。ツアーを通して、それをどう完成させていくかというのと、また次に繋がるツアーになったらいいなと思うので、ツアー中にもまた曲のネタを作ってみようかなと。そういうところでも常に刺激のあるツアーにしたいなと最近思うので、何かまた自分の糧に一つでもなるようなツアーにしていけたらいいなと思います。
kazuya:個人的なことを言うと、去年12月14、15日とライブをやって、正直燃え尽き症候群がすごくて、仕事もしたくないような感じになっていたんですけど、今すごく機材に投資したり、ようやく2025年のkazuyaがスタートしたなみたいな感覚になっていて。ライブに対しても、音源制作に対してもモチベが上がってきているので、楽しみですね。今年は多分、サウンド感としてはすごくレベルアップすると思うんですよ。ツアーはPAさんも連れて回ることにしたので。今年は一音楽家として結構楽しくなっていくんじゃないかなと思っています。そのスタートが今回のツアーで、早くも次回作を作りたい意欲があったり、久しぶりにテンションが上がってきている感じかな。
今回はファイナルがあえて東京ではないというのも特徴です。
kazuya:ファイナル東京無難じゃねえか説って、昔からずっと思っていて。絶対地方のほうが変なテンションでおもろいんですよ。東京だと関係者が多かったり、キャパが大きくなって、バンドがちょっといい子ちゃんになる部分ってあるじゃないですか。東京でのファイナルって、一つ区切りができちゃって、何かちょっと雰囲気や気合の入れ方が地方と違うんですよね。だから今回のファイナルは結構おもろくなるなと、もうやる前からわかっているというか。良い意味でのツアーの流れがちゃんとできるんじゃないかな。
KEKE:マイフォとしては新しい挑戦もしつつ、神田明神に繋がるようなツアーにしたいと思う反面、今回がメジャーじゃなくインディからの発売で、ターゲットを絞ったシングルなので、はちゃめちゃなツアーにしたいなと思っています。前回の「星アル」ツアーや、前々回の「まだ僕」ツアーは、新しく入ってきた人に向けてみたいな部分が強くて。もちろん今回も、初めて観る人も楽しめるセットリストにはしているんですけど、攻撃的な選曲なので、かなりライブ感がある、まさに今作のサブテーマのロックで攻撃的っていう部分に沿った内容になります。だから、いい子ちゃんじゃなくて、皆でワチャッとできたらいいなと思いますね。ファイナルの名古屋は、良い意味できっと僕のテンションが一番おかしくなるんでしょうね(笑)。
ちなみに、「2024年よりもさらに動きます」と宣言していたので、今後も色々ありそうですね。
KEKE:もう早く全てを言いたい! 最近、自分がやりたいことを、より言うようになってきていて、それに対していつもマイフォは乗っかってくれるスタイルなんです。これから大変ではあるんですけど、今自分が考えている大きなものもあって、自分が言ったからには責任を持ってやらなきゃいけないので、それを成し遂げた時に、人間的にもヴォーカリスト的にも明らかに変わると思います。だから、ここからまだまだ成長していくことはもう確定しているくらいです。マイフォって「今日チケット代が1,000円高いのは、こういう理由だよ」とか、ファンに対して結構何でも言うじゃないですか。そういったこともこれから多分言っていくと思うので、それも含めて楽しんでもらえたらなと思います。
(文・金多賀歩美)
THE MICRO HEAD 4N’S
KEKE(Vo)、kazuya(G)、SHUN.(G)、ZERO(B)、TSUKASA(Dr)
オフィシャルサイト
リリース情報
New Single『BEHIND THE LIGHT』
2025年3月10日(月)発売
収録曲
- 閃光のディストーション
- DECADENCE
- COLOR
- 閃光のディストーション Original Karaoke
- DECADENCE Original Karaoke
- COLOR Original Karaoke
ライブ情報
●THE MICRO HEAD 4N’S LIVE TOUR 2025 「閃光のディストーション」
3月9日(日)山形ミュージック昭和セッション
3月29日(土)池袋EDGE
4月4日(金)心斎橋BEYOND
4月5日(土)名古屋ハートランド
●タイトル未定
12月13日(土)神田明神ホール
●「見世物小屋は終わらない」
3月11日(火)EDGE Ikebukuro
出演:BugLug、DuelJewel、SLAPSLY、THE MICRO HEAD 4N’S、sugar
●「ホントノミリョク」
3月24日(月)渋谷REX
出演:BugLug、THE MICRO HEAD 4N’S、ACME、Chanty、sugar