2024.12.15
THE MICRO HEAD 4N’S@Spotify O-WEST
「TOUR 2024 星屑のアルペジオ」

THE MICRO HEAD 4N’Sの2024年はとにかく激動だった。2月よりSHUN.(G)が療養中のなか、前進すること、攻めることが最大の守備だという考えに至った彼らは、4人体制でアルバム『NEW ERA -evolution-』(5月発売)の制作を進めたものの、その時点ではバンドとして不安定な状態だったという。だが、完成させた作品を手に巡った5月開催のツアーにおいて、メンバー内の意思疎通を図ったことで結束力を高め、7〜8月に開催した13周年アニバーサリーツアーは、その形をより強化させる結果となった。

また、それらの動きと並行して『まだ僕らを知らない君へ』(6月)、『星屑のアルペジオ』(12月)と2作のシングルをメジャーレーベルからリリースし、それぞれオリコン週間ROCKシングルランキング9位、12位を獲得するという良い流れも生まれた。

KEKE
kazuya

その最新作『星屑のアルペジオ』を引っ提げ12月に行われたツアーは、全4公演、期間で言えばわずか2週間という短いものだったとはいえ、ライブを重ねるごとにバンド自身の内面の変化が顕著に表れていた2024年のTHE MICRO HEAD 4N’Sにとって、このツアーもまた大きな意味合いを持つものとなったのだ。そして、このたびSpotify O-WESTで迎えたファイナル公演は、リーダーでメインコンポーザーのkazuya(G)の50歳という節目の誕生日でありつつ、あらゆる場でメンバーらが口にしていた通り、昨年の数字を超えることを目標とした公演で、この日に向けてがむしゃらに努力を積み重ねてきた。

結果、昨年を50人上回る動員を記録し、見事リベンジを果たすことに。「ほんのちっぽけな数字かもしれないですけど、右肩下がりと言われているこのシーンの中で、50人という数字は良い意味であり得ない数字だと思っています。ただ、それはここにいる皆さんと僕らを含めて、皆で集めた数字だと思います。この数字は本当に奇跡だと思います」とはKEKEの言葉。事実として彼の加入後、その熱量がバンド内に良い空気をもたらしただけでなく、並々ならぬ思いと行動力が周囲を巻き込み、数字としても成果を出してきた。

ZERO
TSUKASA

一致団結した時の力がどれだけのものであるかを、再び証明してくれた当夜。全21曲を繰り広げていく中で、そのステージからもバンド内の良いムードやファンと一丸となった現在のTHE MICRO HEAD 4N’Sの姿が見て取れた。幕開けを飾った「上弦の月のオーケストラ ~Stella Note Magic~」では、フロアを見渡しながら歌うKEKE、ステージ前方で微笑みながらプレイするkazuya、ステップを踏み、フロアを見て頷くZERO(B)、力強くも軽やかなビートを刻むTSUKASA(Dr)と、王道のマイフォらしさを感じられる光景が広がり、ダンスチューン「MOON & BUTTERFLY」ではオーディエンスに向け「そうそうそう、その顔が見たかった!」と嬉々として叫んだKEKE。

実のところ本調子ではなかったKEKEが「DESIRE」の曲中で咳込む場面があり、曲終わりにTSUKASAへの合図で一呼吸置きつつも、次曲「VOLCANATION」では危うさが残った。だが、kazuyaがキラースマイルで陽のムードを保ち、ZEROが威勢のいいシャウトで盛り立てると、最後は4人が円になってのキメとなった。もちろん当人たちにとって本望ではない状況だったにせよ、このシーンは互いにフォローし合うバンドの結束が垣間見えた瞬間でもあった。

中盤ではリクエストの多かった曲だというミディアムナンバー「GENESIS」に次いで、最新作に収録された「黎明」を披露。バンドに新たな風を吹き込んだZERO作曲によるこのナンバーは、打ち込みが主軸であるゆえツアー前の時点ではライブでの画が見えていないとメンバーが述べていたものの、打ち込みメインのセクションとバンドサウンドによるサビの緩急が実にドラマティックなコントラストを描き出していたのが印象深い。

kazuya/ZERO
kazuya/KEKE

もちろん、記念すべきkazuyaの誕生日ならではのメニューも組み込まれた。「50歳をテーマにした曲を作ったらどうかというアイデアがあったんだけど、初めてNGを出したな。テーマが重過ぎた(笑)。歴代のイントロを組み合わせた組曲みたいなものを作ろうと思ったんだけど、全然カッコよくないなとボツりまして」と前置きしつつ、「僕、人生で一度もソロ活動をしたいと思ったことがないんです。なぜかと言うとバンドが好きだから。人と一緒に物を作るのが好きなんだよね。でも、コロナ禍初期に、自分だけで完結できるような音楽を初めてやってみようかなと思ったの。それが僕にとって最初で最後のソロのイメージかな。バンドがやりたいのは、要は寂しがり屋だからで、根本は人と繋がっていたいんですよ。だから、皆と繋がれるようなイメージで作った曲」と述べ、披露されたのがOFIAM(マイフォの楽器隊のみでのプロジェクト)の「煌」。

タイトル通りの眩い光が煌めく中、ギターでメロディを奏で、温かな空気が場内を満たすと、KEKEの再登場で〈僕らは 未来に 手を伸ばすの〉という歌始まりが印象的な「ユメノツヅキ」、そして「ナノメートルノスレチガイ」を続け、しっとりと聴かせるブロックとなった。さらに、この後の本編最終ブロックを含め、kazuyaの真骨頂と言える美メロ曲が並ぶことになったのは、当夜の特徴の一つだと言えるのではなかろうか。

その最終ブロックを前にKEKEが述べたのが、先に記した動員のこと。そのうえで「これからも大きなステージを目指して皆で頑張っていこうね。5年後、10年後、ずっとTHE MICRO HEAD 4N’Sを続けていきましょう。大好きなメンバー、ここに集まってくれた皆、本当にありがとうございます! ライブができることが当たり前じゃないって思わされました。この先もずっとずっと皆で笑顔を大切にしながら頑張っていこうぜ!」…そんな言葉の後「「今」=「全テ」」でセンターに3人が並ぶ光景が見られれば、2024年のマイフォを示すシングル曲「星屑のアルペジオ」「まだ僕らを知らない君へ」をもって、本編を締めくくったのだった。

ZERO
TSUKASA

アンコールでは、この日に向けてKEKEと「手売りチケット2人旅」を実施してきたTSUKASAが「この日をどれだけ吠えてきたか。各地でKEKE君と一緒に吠えてきて、今日があります。今日、マイクローン(ファンの呼称)じゃない方もいると思うんですよ。そういう方のために僕、穴を掘りますから、マイフォの沼にどっぷり浸かってください!」と言えば、ZEROは「メンバーの誕生日をライブで祝えるのって最高ですよね。O-WESTと言えば色々な思い出があるんですけど、何度もこうやって立たせてもらえているのも、皆さんのお力添えあってこそだと思っているので、長い間応援してくれてありがとうございます」と感謝の思いを述べた。

改めてkazuyaが自身の誕生日に触れる中で、「結局人生で大切なのは、演技力と努力だと思っていて。僕はキャッチコピー“実力以上の運”で生きているので、ポジティブなことを言っていると、意外とそうなるよ。皆、自分の人生を生きてよ。会いたい人と会ってください。遊びたい時に遊んでください。騒ぎたい時に騒いでください。仕事したけりゃしてください。それでいいと思うんだ。ただ、毎日を楽しんでほしい。僕、スゲー楽しんでるもん。これが僕が50歳まで生きて思ったことです」と実感のこもった言葉を残した。

kazuya
KEKE/kazuya

その後、バースデーケーキ&プレゼントが贈られた祝福の一幕を経て、仲間との絆を描いたキャッチーな「WITH」をプレイするという見事な流れとなり、メンバーの微笑ましいじゃれ合いが繰り広げられれば、続くハードなライブチューン「MONSTER’S ROAR」「FLY TO REBORN」の連投では、バンドとファンが一体となって共に戦いに挑んでいるような凄まじいパワーを放出したのだった。

kazuya/KEKE
KEKE

そして、ここでKEKEが語ったのは、現在および2024年のTHE MICRO HEAD 4N’Sの核心に迫るもので、彼が数字にこだわってきた理由でもあった。
「今年を振り返ると、がむしゃらという言葉では表せられないほどの日々を過ごしてきました。5月のステージで、SHUN.さんのお休みに触れるのはいったん最後にして、皆の心の中に留めておいてもらえたら嬉しいという話をしました。いつSHUN.さんが帰ってくるのか、僕らもわからなくて。13年を支えてきた4人のうちの1人が、ピースが一つ欠けるというのは、計り知れないバンドの危機だと僕は捉えたんです。このO-WEST、去年は良いライブができて、そういう意味では成功だったんだけど、数字としては成功とは言えなくて。今年はリベンジという形で悔いがないように色々やらせてもらったんですけど、ここでマイフォにとって起爆になるような、もっとちゃんとした波に乗れるような流れを作らないと、バンドが壊れてしまいそうな気がしたんですよ。これはメンバーの総意ではなく、僕個人が思っていることです。だからこそがむしゃらに走り抜けて、去年よりも絶対に数字を入れて、結果として残したかったんですよね。怖かったから。でも、確実に俺たちが目標に掲げていた始動ライブよりも動員を入れるということが、叶ったと思います。皆さんも一緒にがむしゃらに駆け抜けてくれた1年だったと信じています」

泥臭くても、外野からどう見られても構わないというスタンスで、彼らはこの日に向けてやれることをやってきた。その熱意が周囲を突き動かし、数字という形で結果に表れたのだ。結果が全てだと言うならば、これは一つの成功であるし、結果に辿り着くまでのプロセスこそが重要だとするならば、4人が一枚岩となって活動し続けた末に身を結んだことこそ、やはり成功だと言えるだろう。

全員の明るい未来へ向かって「銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~」を奏で、「こんなに熱くなれるバンドってないと思うんだよね。ヤベー、また泣きそう」と、kazuyaの胸に飛び込んだKEKE。そして、「今日をきっかけに何かが変わったと思います。一つになるって悪くないでしょ? どんな状況でも僕は皆を巻き込める台風の目になりたいなって。それで皆がちょっとでも笑顔になって、THE MICRO HEAD 4N’Sが一歩一歩大きくなれるように、これからも頑張りたいと思います。最高に愛してます!」(KEKE)と告げ、4人はステージを後にしたものの、鳴り止まない声に応えてラストにはバンド自身のことを歌ったロックナンバー「Curtain Call」を。

フロアにこの日一番のOiコールが鳴り響き、まさに全員が一つになると、「これが世界一カッコいいバンド、世界一うるさいバンド、そして野音へ行くバンド、THE MICRO HEAD 4N’Sでした!」とのKEKEの言葉をもって締めくくり、最後には4人でハグを交わし、2時間半にわたった一夜は終幕を迎えたのだった。

この日、新たに様々な発表があった。2025年2月15日に渋谷近未来会館にてバレンタインライブ、3〜4月にツアー「閃光のディストーション」、さらに“NEXT PHASE”として1年後の12月13日に神田明神ホール公演を開催することが決定。また、春のツアーでは会場限定シングルが販売される。なお、本ツアーはあえて小箱の会場を選び、ロックで攻撃的な内容になるそう。加えて、初日の3月9日、TSUKASAのバースデーライブである地元・山形公演は、最上川司とマイフォの二部制のステージとなる。

初のホールワンマンについて、「一歩一歩確実にやっていくために、少しキャパ上げになっているんですよ。目標がより明確になっていたほうが、頑張れるじゃん。だから皆、また来年1年、一緒に頑張ってもらっていいかな?」と投げかけたKEKE。さらに「発表したのはほんの一部なので、今年よりもスゲー動きます」との気になる発言も。2024年最後の満月の夜、何かが変わったことは確かだ。バンドとファンの関係性は様々あれど、仲間として一緒に挑み、前進していくのが彼らの形。また新たな未来に向けてTHE MICRO HEAD 4N’Sと共に歩を進めようではないか。

◆セットリスト◆
01. 上弦の月のオーケストラ ~Stella Note Magic~
02. SEVENTH COLOR
03. MOON & BUTTERFLY
04. EARNEST GAME
05. 慟哭のGYPSY
06. DESIRE
07. VOLCANATION
08. GENESIS
09. 黎明
10. PRISONER
11. 煌(OFIAM)
12. ユメノツヅキ
13. ナノメートルノスレチガイ
14. 「今」=「全テ」
15. 星屑のアルペジオ
16. まだ僕らを知らない君へ

En1
01. WITH
02. MONSTER’S ROAR
03. FLY TO REBORN
04. 銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~

En2
01. Curtain Call

(文・金多賀歩美/写真・春川眞)


【配信情報】
●「THE MICRO HEAD 4N’S TOUR2024 星屑のアルペジオ」
2024年12月15日(日)Spotify O-WEST
アーカイブ配信中
視聴期限:2024年12月22日(日)23:59まで

【リリース情報】
●New Single『閃光のディストーション』
2025年3月9日(日)より会場限定販売

【ライブ情報】
●Valenntine ONEMAN LIVE
2025年2月15日(土)渋谷近未来会館

●THE MICRO HEAD 4N’S LIVE TOUR 2025 「閃光のディストーション」
2025年
3月9日(日)山形ミュージック昭和セッション
3月29日(土)池袋EDGE
4月4日(金)心斎橋BEYOND
4月5日(土)名古屋ハートランド

●タイトル未定
2025年12月13日(土)神田明神ホール

THE MICRO HEAD 4N’S オフィシャルサイト