2022.11.13
THE MICRO HEAD 4N’S@新宿BLAZE
「THE MICRO HEAD 4N’S 4th NEW GENERATION」
波瀾万丈、紆余曲折…一体どんな言葉が適切なのだろうか。THE MICRO HEAD 4N’Sとは、つくづく稀有な運命を辿るバンドだ。前ヴォーカルの脱退により第三期の活動に終止符を打った日から1年余りを経た2022年8月、彼らは新ヴォーカルKEKEを迎え入れ、ついに第四期の活動をスタートさせることを発表した(KEKE加入の経緯は先頃公開したインタビューをぜひお読みいただきたい)。その始動となる1stライブは本来10月19日にSHIBUYA WWW Xで行われる予定だったが、メンバーの新型コロナウイルス感染により急遽延期に。しかしながら、そこからわずか1ヵ月後となる11月13日に新宿BLAZEにて振替公演が実現することとなった。
すなわち当初の予定から変更になった結果、会場はまさかのキャパ上げ。かつ競争率の高い日曜のこの場が瞬時に確保できたことは奇跡としか言いようがない。加えて、この日は実に約2年9ヵ月ぶりに観客の声出しOKという条件まで揃ったのだ。2011年の結成から現在に至るまで、身をもって「何度でも立ち上がれる」ことを証明し続けてきた彼らの強い思いが、周囲の人々を巻き込み、さらには運さえも味方につけたのだと思えてならない。
そんな三拍子揃った好条件のなか開催された「THE MICRO HEAD 4N’S 4th NEW GENERATION」。オーディエンスのハンドクラップと歓声がメンバーを迎え入れるという久々の光景が広がり、THE MICRO HEAD 4N’Sの始まりの曲「HELLO MY CLONE」、次いで「GLORIOUS BLAZE」へ。“再生”と“新しい時代の幕開け”を掲げた楽曲をもって、バンドの根底にある強固な意志を示す、始動一発目のステージにふさわしいスタートを切った。曲中にはセンターお立ち台に上がったKEKEの咆哮が響くなど、彼を象徴する言葉としてメンバーが口々に言っていた“男気”溢れるパフォーマンスが序盤から早くも炸裂。続く「Deeper Than Black 〜闇色の翼〜」では「さぁ来いよ、BLAZE!」(KEKE)と煽り、拳で応戦するフロアに対して満足気に頷く姿も見られたのだった。
「改めまして、THE MICRO HEAD 4N’S四期ヴォーカルKEKEです。よろしくお願いします!」と、KEKE自身が誰より待ち望んでいたであろうステージでの挨拶もようやく果たすことができた。終盤のMCの中で「初ライブな気がしない」(KEKE)という言葉もあったように、その後も5人は様々な場面を経ながら終始高い熱量と幸福感に満ちたステージを展開していったわけだが、「皆の声を聞けて、すごく安心したというかホッとしたし嬉しかったし、いろんな感情がワッと出てきて。一期で初めてステージに立った時と似た感情を思い起こしました。5人でステージに立てたのも、KEKE君が入ってくれて、ここにマイクローン(ファンの呼称)がいるからですよ。ありがとうマイクローン!」とSHUN.(G)がその率直な思いを告げる一幕もあった。
「ここからめちゃめちゃ駆け足でいくので、皆さん声と拳と首の準備はいいですか!? マイクローンの皆さんのお手並み拝見いたします」というKEKEの言葉を合図に突入した後半戦。kazuya(G)、SHUN.、ZERO(B)、TSUKASA(Dr)のエモーショナルなパフォーマンスと〈破れた翼広げ 何度でも羽ばたけ〉という歌詞が胸を打つ「REBIRTH -the 3rd form-」、KEKEが巨大フラッグを手にし、オーディエンスとのOiコールの掛け合いを楽しんだ「REINCARNATION」と、改めて力強く“再生”を歌う2曲を続ければ、「俺らと一緒にスリルのあるゲームしませんか!?」(KEKE)とライブお馴染みの「EARNEST GAME」、ハードナンバー「LiaR」の連投でさらに熱量を上げ、ステージ、フロアともに騒ぎ倒したのだった。
なお、中盤でのkazuyaソロによる「星に願いを」のインストカバーからメロディアスな「Nocturne」に繋いだ場面、後半でのZEROとTSUKASAのリズム隊セッションによるダークメルヘンな「Hell or Win」初披露から、SHUN.が加わりソロをプレイした後「MONSTER’S ROAR」へ繋いだ場面は、ライブ全体における良いアクセントとなっていたが、メンバー個々がフィーチャーされると同時に、何でもアリ精神のマイフォらしさも表れたセクションだったと感じる。
そして本編終盤。「今日が再出発の日なので、この先、皆さんと明るい未来に向かってTHE MICRO HEAD 4N’Sというバンドを大きくしていきたいと思っているんですけど、ついてきてくれますか!? 次の列車に乗ってくれますか? 乗り遅れるんじゃねーぞ!」(KEKE)と言い放ち披露した「銀河鉄道の夜 〜STARDUST EXPRESS〜」ではフロント4人がセンターに集結するシーンもありながら、ラストにはオーディエンスとの合唱を。次いで「皆さんと一緒に素敵な虹のハーモニーを歌いたいと思います! 一緒に奏でましょう!」と、七色の光がステージを照らす中「上弦の月のオーケストラ -Stella Note Magic-」を奏で、温かな空間を作り上げたのだった。
アンコールでは、ZEROが「とりあえず、最初に一言だけ言わせてください。ただいマイフォ!」と微笑ましい姿を見せつつ、「THE MICRO HEAD 4N’S=MAIFO、逆から読むとOFIAMということで、しばらくOFIAMの活動をしてきましたけど、これだけの人が待っていてくれたと思うと本当に嬉しいなと思います。何にせよ、俺たち4人が頑張ってもヴォーカリストがいないとTHE MICRO HEAD 4N’Sというバンドはできませんので、この荒波に飛び込んでくれたKEKE君に感謝したいと思います」と述べれば、TSUKASAは「感極まってますか!? 誰よりも俺、感極まっている! 第四期始動おめでとう! ありがとう! オリゴ糖! ということで、本当にこの日が来ることが待ち遠しかったんですけど、マイフォの楽曲たちが1年半前に止まっちゃって、そこからずっと眠っておりました。でもStill Nightという形でアコースティックで演奏できたおかげで、皆との絆をここまで繋いで来られたと思います。ただ、やっぱりTHE MICRO HEAD 4N’Sがないと、帰る場所ってないと思っているんですね。帰る場所があるっていいねぇ! KEKE君入ってくれてありがとう!」と、その思いを伝えた。
THE MICRO HEAD 4N’Sを愛する人たちにとっては周知の事実だが、改めて補足するとバンド本体の活動が叶わなかったこの1年半、4人は立ち止まることなく、ヴォーカルレスで実験的な音楽を生み出すOFIAMと、THE MICRO HEAD 4N’S の既存曲をアコースティックアレンジのインストゥルメンタルで表現するStill Nightという二つの新プロジェクトを立ち上げ、活動を続けてきた。その経験はバンドの血となり肉となり、現在のTHE MICRO HEAD 4N’Sに活かされているわけだが、今後もこの三つの活動を並行して行っていくことが公言されており、それぞれの進化に期待が高まる。
さらにこの後語られた、リーダーのkazuyaと新ヴォーカルKEKEの言葉は極めて重要だった。現在のTHE MICRO HEAD 4N’Sがどのような思いで未来を歩もうとしているのか、その決意をぜひ多くの方に知ってほしい。
「3月に本当は(マイフォを)終わらせようと思っていたんです。でもKEKEと出会って、コイツの未来にフルベットしたいなと急に思っちゃったんだよね。僕もちょっと歳を重ねたのかな、彼を一流にしたいなという気持ちが強くなってきて。これから僕らはKEKEを全力でバックアップして、全力で夢を掴みにいこうと思っています。もし、数年後にまた脱退するようなことがあったら、その時はKEKEを責めずに僕を責めてください。それくらい責任を持って彼とTHE MICRO HEAD 4N’Sを歩もうと思っています。そして無謀ですけど、僕らは野音でやりたいともう言っちゃったんだよね。そこを目指すためにはどうしたらいいかと考えました。12月31日にイベントが2本ハシゴで入っていますけど、イベントもガンガンやっていこうと思っています。多過ぎだよと言われるかもしれないけど、頑張っていきます。本当に良いバンドだったら勝てます。勝てなかったら、それくらいのバンドだったってことです。それくらい覚悟を持って、今後僕らは歩んでいこうと思っています。お願いです。この先も応援してください。よろしくお願いします」(kazuya)
「こんなにもたくさんの人が、マイフォのために予定を空けてくれたということが本当に嬉しくて、感謝の気持ちでいっぱいです。本当に皆さん優しい兄さんたちで何の不安もないというか、むしろ皆さんといると熱がブワーッと出てくるんですよね。心の底の底の底からマイフォに加入して良かったなと思っています。僕は、kazuyaさんSHUN.さんZEROさんTSUKASAさん、皆さんがやっていたバンドのファンでした。でも今は、見ての通り一緒にステージに立っています。僕は音楽を始めて14年になるんですけど、過去にメンバーの皆さんにいただいた元気やパワーを、今度はTHE MICRO HEAD 4N’Sの音楽を通して世の中に発信して、皆さんの背中を押していくことが僕の務めなのかなと思っています。このメンバーでやれて本っ当に幸せです。メンバー大好きです。先ほどkazuyaさんがTHE MICRO HEAD 4N’Sをなくそうかなと思ったと言っていたじゃないですか。インタビューでも読んだ方はわかると思うんですけど、僕も聞いてなくてあの時に知って「えっ!?」と思って。こんなにも素敵なマイクローンがいて、素敵なメンバーがいて、最高のスタッフチームがいて、こんな素敵な楽曲も持っているのになくしてしまうのはもったいないと心から思います。僕自身は一度始めたものは自分の手でやめたくないという人生の歩み方をしてきたので、未来に何があるかわからないですけど、信用していただいて大丈夫かなと思います。僕は野音が終点じゃなくて一つの通過点だと思っているので、もっともっと上に行きたいです。別に笑われたっていいと思っていて。実現できるできないは置いておいて、自分がKEKEというヴォーカリストとして生まれて、そこに向かうということに意味があると思っているので。僕、結構生意気だったりすると思うんですけど、今後もTHE MICRO HEAD 4N’S、そしてKEKEをよろしくお願いします!」(KEKE)
ここで「皆さんが今日のライブで感じたこと、僕らの熱量とか、頭の片隅でいいので、ずっっっと覚えていてください」というKEKEの言葉から奏でられたのは「REMEMBER」。コロナ禍の中で育まれ、バンドとファンにとって様々な思いが詰まった1曲を、始動のこのステージでようやく皆で歌うことが叶ったという事実は感慨深い。そして、KEKEが「最後にどうしても皆さんと歌いたい曲」だという「Curtain Call」がこの日のラストを飾った。THE MICRO HEAD 4N’S自身のことが描かれたこの楽曲は、これまでも幾度と彼らのステージで演奏されてきたが、思い返せば昨年の10周年記念公演のラストナンバーでもあった。1年前のあの時4人だったTHE MICRO HEAD 4N’Sは、今、確かに5人のTHE MICRO HEAD 4N’Sになったのだ。
〈僕らは今 同じstageに立つ仲間となり〉〈君と出会えたんだ〉という箇所でKEKEがフロアを指差しながら歌っていた光景が印象的だったが、実はこの日、「銀河鉄道の夜」で本来の歌詞から歌い変えて〈他の誰でもない あなたたちの未来へ!〉と歌い叫んだ場面や、「上弦の月のオーケストラ」での〈君と一緒に〉の部分でも、KEKEは同様の動きを見せていた。それはつまり、ステージにいる5人だけでなく、マイクローンと共にTHE MICRO HEAD 4N’Sというバンドが生きていること、ここから先も一緒に歩んでいきたいという思いの表れだったのではないだろうか。
満面の笑みが溢れたカーテンコールを終え、kazuya、SHUN.、ZERO、TSUKASAの4人がステージを去った後、最後にKEKEは「最高の初ライブになったと思います。大ベテランのメンバーですけど、四期メンバー一丸となって本気で野音目指しているので、応援していただけると嬉しいです。マジで行きたいので、ぜひ僕らと一緒に素敵な景色を見に行きましょう! 本日はありがとうございました!」と締め括ったのだった。
今後のTHE MICRO HEAD 4N’Sの動きとしては、12月13日にリテイクベストアルバム『NEW GENERATION』リリース、12月15日にリリース記念&kazuyaバースデーライブ@渋谷近未来会館の開催、12月31日にイベント「REX COUNTDOWN ’22-’23」@渋谷REXと「FINAL 2022」@EDGE Ikebukuroの出演が既に決定しているが、この日の終演後、さらなる新情報が一挙に発表された。2023年2月にTHE MICRO HEAD 4N’S vs OFIAMの2daysライブ、6月30日にKEKEのバースデーライブ、さらに7月下旬より全9箇所を巡るツアーの開催が決定。どうやら2023年は怒涛の展開になりそうだ。
波瀾万丈でも紆余曲折でもいい。ただ、諦めない日々が奇跡を呼ぶことをTHE MICRO HEAD 4N’Sは再び示してくれた。5人の物語は始まったばかり。彼らの総力戦に覚悟して臨みたい。
◆セットリスト◆
01. HELLO MY CLONE
02. GLORIOUS BLAZE
03. Deeper Than Black 〜闇色の翼〜
04. 雷鳴
05. SILVER BULLET
06. GENESIS
07. 陽炎
08. 星に願いを
09. Nocturne
10. REBIRTH -the 3rd form-
11. REINCARNATION
12. EARNEST GAME
13. LiaR
14. Hell or Win
15. MONSTER’S ROAR
16. VOLCANATION
17. 銀河鉄道の夜 〜STARDUST EXPRESS〜
18. 上弦の月のオーケストラ -Stella Note Magic-
EN
19. REMEMBER
20. Curtain Call
(文・金多賀歩美/写真・Hiroyuki Tanaka、Ryo Koyama)
【リリース情報】
●RETAKE BEST ALBUM『NEW GENERATION』
2022年12月13日(火)発売
[PREMIUM BOXセット完全限定盤](CD+フォトブック)THIR-0079 ¥10,000(税込)
フォトブック:完全撮り下ろし40ページ
[通常盤](CD)THIR-0079 ¥3,500(税込)
[CD]※共通
01. HELLO MY CLONE -type R-(Backing Vocal:Ricky)
02. 雷鳴
03. EARNEST GAME
04. SCANDALOUS
05. SEVENTH COLOR
06. Nocturne
07. Deeper Than Black 闇色の翼
08. 銀河鉄道の夜~STARDUST EXPRESS~
09. 上弦の月のオーケストラ Stella Note Magic
10. 眠れる森の前奏曲 REVOIR
11. REBIRTH -the 3rd form-
12. FACT IS STRANGER THAN FAKE!!!!
13. REMEMBER
【ライブ情報】
●「『NEW GENERATION』RELEASE ANNIVERSARY & kazuya B.D -music is a part of my life 2022-」
12月15日(木)渋谷近未来会館
●「REX COUNTDOWN ’22-’23」
12月31日(土)〜2023年1月1日(日)渋谷REX
出演:ACME、アンフィル、KiD、SPLENDID GOD GIRAFFE、ZOMBIE、DaizyStripper、直、THE MICRO HEAD 4N’S、mitsu、ユナイト、我が為
●「FINAL 2022」
12月31日(土)EDGE Ikebukuro
出演:Awak、アマミツゝキ、怪人二十面奏、鐘ト銃声、SPLENDID GOD GIRAFFE、DuelJewel、heidi.、The Benjamin、THE MICRO HEAD 4N’S、マチルダ、ミスイ、mitsu、夜、LIPHLICH、LAY ABOUT WORLD
●THE MICRO HEAD 4N’S vs OFIAM 2DAYS LIVE
2023年2月
●KEKE B.D LIVE
2023年6月30日(金)
●2023年7月下旬より全9箇所を巡るツアー