2025.12.13
THE MICRO HEAD 4N’S@神田明神ホール
「THE MICRO HEAD 4N’S “A NIGHT TO REMEMBER”」

「去年、頑張ってO-WESTのチケットを売って掴み取った神田明神ホールなので、楽しむ気持ちと、私たち皆でこの会場を埋めることができた、開催することができたという気持ちを胸に、今日、俺たちのライブを観てください!」――KEKE(Vo)がこう告げたのは、12月13日に行われたTHE MICRO HEAD 4N’Sにとって初のホールワンマンとなる神田明神ホール公演「A NIGHT TO REMEMBER」の序盤でのこと。当夜の全貌に触れる前に、その言葉の背景にある、本公演に至るまでの経緯を振り返っておきたい。
遡ること約1年前。2024年12月15日開催の「TOUR 2024 星屑のアルペジオ」ファイナル・Spotify O-WEST公演で、THE MICRO HEAD 4N’Sは現体制における最高動員数を更新した。それは、前年の同会場での数字を超えることを目標に掲げ、泥臭くがむしゃらに努力を積み重ねてきたバンドの熱意が周囲を突き動かし、ファンと共に一丸となった末に実を結んだものだった。
そこで発表されたのが、約1年後の2025年12月13日に神田明神ホール公演を開催すること。O-WESTからさらにキャパを上げた会場、すなわち1年かけて目指す新たな目標だったわけだが、なんと開催まで約半年を残す6月時点でソールドアウトを達成するという、大変喜ばしい結果となったのだ。
無論、この1年間の活動自体も実に精力的なものだった。3月にシングル『BEHIND THE LIGHT』、7月にリテイクベストアルバム『NEW GENERATION 2』、11月にシングル『Silent Contrast』と、計3作・全19曲もの音源リリースに加え、それらに伴うツアーの開催やイベント出演など、活発な動きを見せてきた。こうした歩みは、2026年の結成15周年イヤーへ向けた攻めの姿勢の表れと捉えていいだろう。

迎えた2025年の集大成となる一夜。最新ヴィジュアルと同様の漆黒の衣装に身を包んだKEKE、kazuya(G)、ZERO(B)、TSUKASA(Dr)、華美な装飾を排したシンプルなステージセッティングは、レーザーライト等の照明演出が際立つとともに、バンドの実力を浮き彫りにする潔い形でもあった。ホール公演とはいえ、彼らにとってはライブハウスのステージの延長線上にあるもの。これまで積み重ねてきた時間と経験、思いを結実させた、今現在のベスト・オブ・マイフォの表現を魅せたのだった。
その幕開けを飾ったのは「生命の塔」。人生をRPGに擬え、どこまでも高みを目指して道なき未来を開拓していくことを力強く歌うこの楽曲は、挑み続けるマイフォの姿そのものであり、まさに今宵のスタートにふさわしい1曲だ。KEKEがマイクスタンドを大きく掲げたシーンも印象的で、〈俺達の名を残すending roll〉という最後の一節が雄々しく響き渡った。そこに続いたのが、退廃的かつ攻撃力のある最新作のリード曲「Naked Shadow」で、「生命の塔」が持つ硬派なダークさとも実に親和性が高く、次いでキャッチーなロックナンバー「WHITE SOUL」が、冒頭2曲との鮮やかな明暗のコントラストを生み出した。

鈍い赤の光が差し込み、kazuyaのギタースクラッチが不穏なムードを漂わせた「PRISONER」を皮切りに場内の熱量を上昇させていったブロックでは、アッパーチューン「ADDICT」でのギターソロや、ライブ登場率の高い「EARNEST GAME」でのラップなど、昨年より療養中のSHUN.(G)の存在を確かに感じさせる流れとなった。そして、オーディエンスの手が揺れた「PARASITIC EMOTION」で場面を転じ、次なるブロックへと流れを繋いだ。
本編中盤では、マイフォの真骨頂とも言える“聴かせる”美メロ曲が並ぶことに。TSUKASAによる軽快なリズムに乗せてキャッチーなメロディが光る「星屑のアルペジオ」、冒頭の〈僕らは 未来に 手を伸ばすの〉という一節で、KEKEとオーディエンスが真っ直ぐに手を伸ばした光景が忘れがたい「ユメノツヅキ」、そしてドラマティックなバラード「INFINITE ∞ FUTURE」へと続き、力強くも温かな空気が場内を満たした。

「ここからもっとテンション上げて、もっともっとこのライブが皆の記憶にこびりつくくらい暴れていきたいんですけど、皆さんいいですか!?」というKEKEの言葉を合図に、後半戦に突入。オーディエンスと共にメンバーコールを繰り広げる「I surrender」で、普段と順番を変え、最後は諸事情により長尺となったkazuyaのターンに。その流れで、12月15日に誕生日を迎える彼へのバースデーサプライズが用意されていた。TSUKASAの美声による「Happy Birthday」歌唱から、プレゼントの“目録”が贈られたのち、「I surrender」の続きを再開。
ZEROのベースソロ、kazuyaのギターソロも映えるトリッキーなダンスチューン「PURPOSEFULLY」をフックに、打ち込みとバンドサウンドの緩急が魅力的な「黎明」、温かさと切実な感情が交錯する「眠れる森の前奏曲 〜REVOIR〜」と、カラーは異なれどフロアの空気を掌握する2曲でKEKEのエモーショナルな歌声が響き渡った。

ここでKEKEが、マイフォ初のホールワンマンに触れ、「THE MICRO HEAD 4N’Sの“初めて”を俺のヴォーカルでできたというのは、すごく嬉しいです! まだまだ皆といろんな景色を見たいし、やれることはまだまだあると思うので、これからも皆で力を合わせていこうぜ!」と投げかける。さらに「あの曲やっちゃおうかな。これが俺たちの今年の流行語大賞だ! せーの!」と音頭を取り、オーディエンスの「TSUKASA、やっちゃってー!」という声を合図に、「REINCARNATION」へとなだれ込んだ。
ZEROがゴリゴリとしたベースを轟かせ、フロアに無数のフラッグが揺れる光景も見られながら、抜群の一体感を築き上げたのち、本編ラストナンバーとなったのは、最新作収録の「Time is limited〜君が君でいられる時間を〜」。マイフォ王道のキャッチーなメロディに乗せて届けられるタイトル通りのメッセージは、当夜のクライマックスにふさわしいものであると同時に、kazuyaが日頃抱いていた思いから生まれたという背景を踏まえれば、誕生日を目前に控えたタイミングでの本編の締めくくりとしても、実に意味深い選曲となった。演奏を終え、「これからもファンとバンドマンじゃなくて、同じメンバーとして支え合って生きていこうな! 大好きだ!」(KEKE)と叫び、4人がひとたびステージを後にすると、2026年の新たな情報が一挙にスクリーンに映し出された。
2月15日に恒例のFC限定バレンタインライブを開催。3月に待望のニューアルバム『Marvelous Mad Hope』をリリースし、その作品を引っ提げて3〜4月に全7公演の「TOUR2026 『-M M H-』」を行う。また、結成15周年を記念した11ヵ月連続ツーマンシリーズ「B-EAST」の4〜6月公演として、wyse、RAZOR、defspiralとの対バンが決定。さらに「B-EAST」を経て、2026年を締めくくる12月18日には、THE MICRO HEAD 4N’Sのワンマンライブ史上最大キャパとなるSpotify O-EAST公演を開催することを発表した。

4人が再登場し、「俺たちは来年の15周年を本気の戦いと思いながら、皆と一緒に駆け抜けていきたいなと思います」とKEKE。また、各メンバーからも言葉が届けられた中で、「kazuyaさんの誕生日間近ということもあり、岐阜の地でお父さんとお母さんの愛の育みによって、生まれていただいて本当にありがとうございます!」(TSUKASA)、「これからもたくさんの名曲を残していくと思うので、皆の声、思いをたくさん、これからも届けてあげてほしいなと思います」(ZERO)と、あらためてkazuyaの誕生日を祝福する一幕も。
それらを受け、kazuyaは「私の目標はというと、いつも通り自由に生きます。自分の人生を思い切り生きるというのは変わらず、これからもそうしていきます」「また来年も、この言葉を言いたいです。今年も皆さんのおかげで僕をミュージシャンでいさせてくれて、本当にありがとうございます。心から感謝しています」と述べたのだった。そして、2026年の活動に向けて語ったkazuyaとKEKEの言葉が以下の通り。
「(O-EAST公演について)ぶっちゃけ、まぁまぁな勝負だなと思っています。でも、もしズルズルに滑ったとしても、どんなに恥をかいても、何十年後かには誰もそんなことは知らないわけでさ。だったら思い切り生きたほうがいいじゃんっていう考え方。ただ、今まで以上のことをやらなきゃいけないと思うし、来年が最後くらいの勢いでやらないと、勝てない気がします。でも、戦うなら思い切り戦いたいし、もしズルッといっても、それはそれで笑おうや、みたいな感じに思っています」(kazuya)
「音楽をやっている以上、俺は夢を見続けたい。この神田明神ホールも夢を見続けたからこそ、夢を口にしていったからこそ、それに共感してくれた皆が協力してくれて、俺はこのステージに立っていると思っている。(O-EASTは)ちょっと飛び級かもしれないけど、そのために『B-EAST』があると思っているし、じゃれ合うだけじゃなくて、本気のぶつかり合いのツーマンイベントにしたいと思っている。11ヵ月あって、来られないこともあるだろうけど、気持ちは来年1年、どんな時でも俺らと一緒に戦ってくれたら嬉しいなと思う。皆で一緒に夢を見て、その結果、ちゃんと夢を現実にできたら最高じゃない? 皆がいると思ったら、俺たちも強く戦えるし、逆に皆も孤独を感じたら、俺たち、そして隣にいる人たち、仲間なんだなと思って1日1日を生きてください」(KEKE)

そんな言葉の後に奏でられた、今を生きることを歌う温かな「REMEMBER」「声なきスマイル」は、ひときわ胸を打つものだった。さらに、ハードナンバー「FLY TO REBORN」で再びフロアの熱量を引き上げると、「上弦の月のオーケストラ 〜Stella Note Magic〜」「銀河鉄道の夜 〜STARDUST EXPRESS〜」で光り輝くオーラスへ。KEKEがZERO、kazuya、TSUKASAと順に寄り添いながら歌う場面や、センターに3人が集結する眼福な光景もありながら、「もっともっと仲間を増やして、本当に日比谷野音を埋めて、アイツらやりやがった、私たちやったぜって皆で言いたいです!」「俺たち、もっと強くなるから! もっと大きくなるから!」と叫んだKEKEの言葉も、強い印象を残した。
かくして2025年を締めくくったTHE MICRO HEAD 4N’S。先述の通り、2026年はさまざまな予定が控えているわけだが、すでにアレンジ段階に入っているという新作アルバムには、メンバー全員がそれぞれ手掛けた楽曲が収録されるとのこと。その完成に期待を寄せつつ、THE MICRO HEAD 4N’Sにとってまさに勝負の年となる2026年、夢を現実にするべく、彼らと共により多くの人々がその戦いに挑んでいくことを願いたい。
◆セットリスト◆
01. 生命の塔
02. Naked Shadow
03. WHITE SOUL
04. PRISONER
05. ADDICT
06. EARNEST GAME
07. PARASITIC EMOTION
08. 星屑のアルペジオ
09. ユメノツヅキ
10. INFINITE ∞ FUTURE
11. I surrender
12. PURPOSEFULLY
13. 黎明
14. 眠れる森の前奏曲 〜REVOIR〜
15. REINCARNATION
16. Time is limited〜君が君でいられる時間を〜
En
01. REMEMBER
02. 声なきスマイル
03. FLY TO REBORN
04. 上弦の月のオーケストラ 〜Stella Note Magic〜
05. 銀河鉄道の夜 〜STARDUST EXPRESS〜
(文・金多賀歩美/写真・春川眞)
【リリース情報】
●New Album『Marvelous Mad Hope』
2026年3月発売
【ライブ情報】
●ファンクラブ限定 “バレンタインギグ”
2026年2月15日(土)
●TOUR2026 『-M M H-』
2026年
3月7日(土)山形ミュージック昭和セッション
3月8日(日)HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-4
3月14日(土)川崎セルビアンナイト
3月21日(土)福岡INSA
4月4日(土)浜松FORCE
4月5日(日)名古屋ハートランド
4月18日(土)梅田zeela
●THE MICRO HEAD 4N’S presents MONTHLY 2MAN「B-EAST」
2026年
1月10日(土)川崎セルビアンナイト
出演:THE MICRO HEAD 4N’S、DuelJewel
2月14日(土)川崎セルビアンナイト
出演:THE MICRO HEAD 4N’S、FEST VAINQUEUR
3月15日(日)川崎セルビアンナイト
出演:THE MICRO HEAD 4N’S、XANVALA
4月12日(土)川崎セルビアンナイト
出演:THE MICRO HEAD 4N’S、wyse
5月16日(土)川崎セルビアンナイト
出演:THE MICRO HEAD 4N’S、RAZOR
6月27日(土)川崎セルビアンナイト
出演:THE MICRO HEAD 4N’S、defspiral
●2026年12月18日(金)Spotify O-EAST ワンマン
