2025.06.29
THE MICRO HEAD 4N’S@渋谷REX
KEKE BIRTHDAY LIVE「Worship god day」

「いろんな人が呼びかけてくれて、この数字に結びついています。マイクローン(ファンの呼称)のすごさをいつも感じているけど、数字という結果で改めて思い知らされました!」――これは6月29日、渋谷REXを舞台としたTHE MICRO HEAD 4N’Sの「KEKE BIRTHDAY LIVE『Worship god day』」において、この日の主役であるKEKE(Vo)が発した言葉。
思い返してみれば、誰よりも“数字”にこだわってきたのは、他ならぬ彼自身だったのではないだろうか。2022年にKEKEが加入して以降、その熱量はTHE MICRO HEAD 4N’Sに良い空気をもたらしただけでなく、並々ならぬ思いと行動力が周囲を巻き込み、数字としても確かな成果を生み出してきた。その転機となったのが、2023年に原宿RUIDOで初開催された「Worship god day」でのソールドアウトという結果で、これを機にTHE MICRO HEAD 4N’Sへの風向きが明らかに変わった。翌2024年に目黒鹿鳴館で行われた同公演では、前年を上回る動員を記録し、迎えた2025年、「Worship god day」史上最高の動員数を更新したのだった。
また、今年12月13日に予定されている、THE MICRO HEAD 4N’Sにとって初のホールワンマンとなる神田明神ホール公演も、開催まで約半年を残す現時点で早くも完売という快進撃を見せている。無論それは、バンドはもちろん、マイクローンを含む彼らに関わるすべての人々が一丸となって築き上げた結果にほかならない。

KEKEへの誕生日プレゼントとしてkazuya(G)が急遽制作したという新たなSEをオープニングに、「MONSTER’S ROAR」でのフルスロットルの幕開けから、様々な場面を経ながら全20曲が繰り広げられた当夜。「今日は俺がやりたいようにやってる」「でも、俺が楽しいってことは、皆も楽しいってことじゃん!?」などとKEKEが述べたように、この日ならではの特別メニューで終始幸福感に満ちたステージとなった。
本編中盤、サウンドのみならず歌詞表現においても連なりのある3曲が並んだブロックは、印象深いものだった。打ち込みとバンドサウンドによる緩急のコントラストが映える「黎明」で、〈生かされた理由を解いて 強く生きて 昇る太陽〉と力強く歌い上げ、変則的なリズムパターンと構成が特徴的な「COLOR」で人の光と影を描き出したのち、人生をRPGに擬え、どこまでも高みを目指して道なき未来を開拓していく姿を歌った「生命の塔」で、ドラマティックな展開を見せた。いずれも生きることを表現した、強いメッセージ性を持つ楽曲たちは、まさに生誕公演にふさわしいものだと言えよう。余談だが、現体制で「生命の塔」を初演奏したのが、2年前の「Worship god day」公演だったという事実も感慨深い。
そして、このバースデーライブでは「Worship god day」(=神を崇める日)に掛けて、KEKEのリスペクトの思いから、カバー曲も披露されることが恒例となっており、今年は「FINAL CALL」(D’ESPAIRSRAY)、「ONE -you are the one-」(FANATIC◇CRISIS)で会場を沸かせた。その曲終わりで、「これが俺の一番の特権だと思うんだよな。ディスパもファナも、やっぱカッケーよ。でも、マイフォもカッケーよ。前を向いて歩いていこうぜ!」(KEKE)と「PLAY」に繋ぎ、キャッチーなメロディにのせて〈たった一つだけだっていい 自分の生きる意味を 自分の存在証明〉というリリックが響き渡ったシーンは忘れがたい。

また、時系列は前後するが、例えば「TSUKASA、やっちゃってー!」とのKEKEの合図で「REINCARNATION」に入った場面、「やっぱ俺の誕生日と言ったら、“親分”にギターソロを弾いていただきたいんですよね」(KEKE)と、「ADDICT」で現在療養中のSHUN.(G)によるソロが同期で流れたこと、ZERO(B)がこのバンドで初めて作曲した「The Wings Of Wind」や、メインコンポーザーkazuyaの真骨頂であり、激動だった2024年末時点でのマイフォ史上最高傑作「星屑のアルペジオ」が組み込まれた点など、節々からメンバー愛、バンド愛も感じられた。
「浮雲」「まだ僕らを知らない君へ」を届けたのち、「俺たちのやったことは間違ってないんだなと。だから今日、動員が増えたし、神田明神ホールもソールドしたんだぞ!」(KEKE)という言葉をもって本編を締めくくり、4人がひとたびステージを後にすると、フロアからは「Happy Birthday KEKE」の大合唱が鳴り響いた。そこへ先に一人で再登場したKEKEは、自身が歌う理由について語り始めた。
「音楽を始めたのが17歳。今年で34歳なので、人生の半分音楽をやってきました。自分の人生を振り返ると、ヤンチャだったので人の道から外れてしまった時もあるし、毎日死んじゃいたいと思う時もありました。でも、憧れているミュージシャンを見て、『自分もああなりたい』と思うことで生きてきた。そして、気付けば『ああなりたい』というより、自分も音楽で人に勇気を与えたり、人の人生を1ミリでも豊かにできたらなと、そう思うようになって、今こうしてマイフォのヴォーカルをやらせてもらっています。もちろんバンドも楽しいだけじゃなくて、色々なトラブルもあるんですよ。気持ちが折れてしまいそうになる時もあるけど、僕らには夢がある。だからいつもこんなに元気でバカなんです。『KEKEを見て元気が出た』と言ってもらえたら、やっている意味があるなと。こういう思いを持って歌っていることを知ってもらえたら嬉しいです」

そして、kazuya、ZERO、TSUKASAが姿を現し、ケーキとプレゼントで改めてKEKEの誕生日を祝福。「とにかく行動力がすごい! 尊敬します」とTSUKASAが話せば、この日のステージで使用していた、“今日一日が詰まったピック”をあげたというZEROは、「過去を振り返ったり、色々なきっかけをKEKE君が作ってくれて。来年はどんな無茶振りがあるんでしょう」と笑顔を見せた。
ここでkazuyaが「今日は本音を話そうかな」と切り出し、「noteにも書いたように去年末から不安障害がひどかったんだけど、薬を飲むようになって復活して今、やる気がすごいんです。SEも昨日1時間で作ったんですよ。まだアルバム発売前なのに、3日で新曲5曲できちゃったし。それくらいやる気がすごいんだよ。マイフォちゃん、来年にかけてスゲー勝負しようと思っている。“Dead or Alive”くらい。でも、大丈夫。俺たちはマイフォを終わらせないし、KEKEが引っ張っていってくれると思います」と告げたのだった。

こうしてアンコール1曲目に披露されたのは、温かな空気に包まれた「ユメノツヅキ」。〈僕らは 未来に 手を伸ばすの〉という一節でKEKEとオーディエンスが真っ直ぐに手を伸ばした光景も美しく、そこから一気に場面転換してみせたハードナンバー「FLY TO REBORN」では、マイフォとマイクローンが共に戦いながら突き進む姿を描き出した。さらに「銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~」では、これまでにも〈他の誰でもない あなたたちの未来へ!〉と本来の歌詞から歌い変えることが多かったセクションにおいて、当夜〈他の誰でもない 俺たち一人ひとりの未来へ!〉と歌い叫んだ場面が印象的だった。
いずれも未来へ向かうことを示す楽曲がアンコールに並んだ中で、当夜のラストナンバーとなったのは、KEKEがどうしてもこの曲で締めたかったという「閃光のディストーション」。その披露直前、「マイクローンということを誇りに思ってください! (中略)自分の意志を持ってください! 君は君のままであれ!」と、歌詞に沿った言葉を投げかけた。オーディエンスへの強いメッセージであると同時に、彼自身の決意表明でもあったように思う、そんな楽曲をもってこの夜は幕を閉じたのだった。

KEKEにとって一つの節目となったこの日、幾度も「幸せ」という言葉を口にしていたこと、最後の最後に「マイクローンが大好きです。大好きだー!」と叫んだことも書き留めておきたい。そして、THE MICRO HEAD 4N’Sは現メンバーでのリテイクベストアルバム第2弾『NEW GENERATION 2』を7月27日にリリース、その収録曲「ユメノツヅキ」の先行配信がこの夜からスタートした。
7月31日にはZEROの地元であるHEAVEN’S ROCK熊谷VJ-1にて、彼のバースデーライブ「Promised Land」が控えているほか、8月には14周年アニバーサリーツアー「NEW GENERATION」、10月にFEST VAINQUEURとのツーマンツアー「head:vain」、さらに前述の通り12月13日に神田明神ホール公演の開催が決定している。また、11月15日にZEROとTSUKASAがD’ESPAIRSRAYとして、11月16日にkazuyaがFANTASTIC◇CIRCUSとして出演する、幕張イベントホールでの大規模イベント「CROSS ROAD Fest」を前にした11月14日に、THE MICRO HEAD 4N’S はKEKEの加入3周年記念ライブを開催することがこの日、伝えられた。
前述のkazuyaの発言もあった通り、2025年下半期にとどまらず、どうやらその先にも怒涛の展開が待ち受けているようだ。「神田明神ホールのソールドアウトで思ったでしょ? 俺ら、ちょっと上に行ってるかも?って」とはKEKEの言葉。THE MICRO HEAD 4N’Sのさらなる快進撃に期待したい。


◆セットリスト◆
01. MONSTER’S ROAR
02. REINCARNATION
03. ADDICT
04. The Wings Of Wind
05. 慟哭のGYPSY
06. EARNEST GAME
07. ICARUS
08. 黎明
09. COLOR
10. 生命の塔
11. FINAL CALL(D’ESPAIRSRAY)
12. ONE -you are the one-(FANATIC◇CRISIS)
13. PLAY
14. 星屑のアルペジオ
15. 浮雲
16. まだ僕らを知らない君へ
En
01. ユメノツヅキ
02. FLY TO REBORN
03. 銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~
04. 閃光のディストーション
(文・金多賀歩美/写真・春川眞)
1日密着! KEKE BIRTHDAY LIVE「Worship god day」の裏側
会場入り・私服チェック
リハーサルまでの準備時間
リハーサル風景
楽器・機材などもチェックしておきましょう
まもなく本番です!
たくさんの愛情
(文/写真・金多賀歩美)
【リリース情報】
●RETAKE BEST ALBUM『NEW GENERATION 2』
2025年7月27日(日)発売
[通常盤CD]THIR-0110 ¥3,800(税込)
<収録曲>
01. 光の世界
02. 生命の塔
03. BREAKING & SHOUT OUT!!!!!
04. PRISONER
05. SILVER BULLET
06. Calling
07. ユメノツヅキ
08. l surrender
09. REINCARNATION
10. INFINITE ∞ FUTURE
11. BABEL
12. フォトグラフ
13. 「今」=「全テ」
[PREMIUM BOX盤(オフィシャル限定)]¥12,000(税込)
内容:ALBUM『NEW GENERATION 2』、DVD「ユメノツヅキ」MUSIC VIDEO他、アクリルフォトスタンド(140mm×140mm×5mm)、ジャケットカード4種、オフィシャルイベントQRコード付き応募カード(応募期日あり)
【「ユメノツヅキ」先行配信】
【ライブ情報】
●ZERO BIRTHDAY LIVE Promised Land
7月31日(木)HEAVEN’S ROCK熊谷VJ-1
●14th Anniversary Tour「NEW GENERATION」
8月3日(日)仙台ROCKATERIA
8月16日(土)北堀江club vijon
8月17日(日)名古屋ハートランド
8月24日(日)横浜ReNY BETA
●THE MICRO HEAD 4N’S × FEST VAINQUEUR 2025 2MAN LIVE TOUR「head:vain」
10月3日(金)HOLIDAY NEXT NAGOYA
10月4日(土)大阪RUIDO
10月13日(月・祝)高田馬場CLUB PHASE
●THE MICRO HEAD 4N’S “A NIGHT TO REMEMBER”
12月13日(土)神田明神ホール
<イベント出演>
●BugLug主催Fes. 『バグサミ2025』
7月22日(火)Spotify O-EAST、Spotify O-WEST、Spotify O-Crest、Spotify O-nest、duo MUSIC EXCHANGE、club asia(全6会場)
●FACE TO FACE in KUMAGAYA
7月30日(水)HEAVEN’S ROCK熊谷VJ-1
出演:THE MICRO HEAD 4N’S、Luv PARADE
●RAZOR主催イベント 剃⼑負け in ⾚⽻埋葬GIGS
8月13日(水)赤羽ReNY Alpha
出演:RAZOR、THE MICRO HEAD 4N’S
●Crazy Monsters Halloween Party 2025 DAY.1
10月25日(土)新宿ReNY
出演:Crack6、THE MICRO HEAD 4N’S、DuelJewel、DOG inThePWO、BabyKingdom、色々な十字架/司会:NoGoD団長