2024.06.30
THE MICRO HEAD 4N’S@目黒鹿鳴館
KEKE BIRTHDAY LIVE「Worship god day」

THE MICRO HEAD 4N’Sへの風向きが明らかに変わってきていると感じたのが、今からちょうど1年前、2023年6月30日に行われたKEKE(Vo)の生誕公演だった。2022年11月にTHE MICRO HEAD 4N’Sでの初ステージを踏んだ彼にとって、その夜が加入後初の自身のバースデーライブであり、そこにかける並々ならぬ思いと行動力が周囲を巻き込み、見事ソールドアウトという結果をもたらした。

あれから新作音源の発表や多くのライブを重ねてきたことはもちろん、バンド自身にとって試練とも言える2024年2月以降の状況を打破するべく、5月開催のツアーを通して、よりバンドとしての結束力を高めたことは記憶に新しい。その一つの壁を乗り越えるきっかけを作ったキーマンもまたKEKEであり、さらに6月19日に初のメジャーレーベルからリリースした最新シングル『まだ僕らを知らない君へ』は、オリコン週間ROCKシングルランキング9位を獲得するという良い流れが生まれた。

KEKE
kazuya

かくして迎えた2024年6月30日、昨年同様「Worship god day」という冠で開催された本公演は、めでたく前回の数字を上回る動員を記録。また、当夜の会場となった聖地・目黒鹿鳴館は、ビルの老朽化により2024年末での退去が決定していることから、THE MICRO HEAD 4N’Sにとっておそらく現在地の鹿鳴館ラストステージでもあり、何より4〜5歳の頃からバンドキッズであったと公言するKEKEの誕生日当日にこの会場を確保できたことは、まさに奇跡的と言えよう。

そんな様々な意味合いを持ったこの夜は、KEKEによれば「俺が今出せるベスト・オブ・マイフォ。感謝の思いを伝えるためにセットリストを組んだ」とのことで、新旧の楽曲たちで1ステージにおける起承転結を作り上げることを前提としつつ、久々の披露となるナンバーも組み込まれ、さらにメッセージ性の観点からも実に見事なストーリーを描きながら、全21曲が繰り広げられたのだった。

ZERO
TSUKASA

現体制初演奏となったのが、活動第一期の楽曲「光の世界」と、第三期の楽曲「NOW or NEVER」。イントロのピアノの音色が鳴ると同時に幕が開き、しっとりと、だが力強く歌い上げた「光の世界」は、曲終わりに「2024年6月30日、KEKE BIRTHDAY LIVE『Worship god day』始めます」とKEKEが告げたように、ここから始まる舞台のオープニング的な役割を担っていたのが印象深い。そして、kazuya(G)によるロック色の強いリフ押しの「NOW or NEVER」は前半戦の起爆剤として投入され、そこに「REBIRTH -the 3rd form-」を畳み掛けた流れが凄まじい熱量を生み出すことに。

立て続けにプレイした最新アルバム『NEW ERA -evolution-』収録の2曲は、シリアスかつキャッチーな「REGRET」でのkazuyaとZERO(B)によるトリッキーなリフのユニゾン、勢いのあるロックチューン「INSPIRE」でのベースソロからギターソロへと繋ぐ場面がやはり見応え抜群で、KEKEとTSUKASA(Dr)がアイコンタクトを取り、笑みを見せる一幕も。

中盤ではヘヴィーなロックバラード「陽炎」を皮切りに、聴かせる楽曲たちを。中でも〈些細な事も 分かちあって 歩みたい〉と歌う温かなミディアムナンバー「深海」において、〈間違ってもいい 君の思うまま 飾らないその言葉で 僕に聞かせて〉の一節で、胸を強く打ちながら歌うKEKEの姿が印象的だった。

そして、後半戦への入口となったのが「The Wings Of Wind」。ファン投票により最新シングルのc/w曲として現体制でのリメイクver.が収録されたことからも、その人気の高さが伺える荒々しくも疾走感のあるナンバーで、kazuya、ZERO、TSUKASAの楽器陣が向かい合ってプレイしたシーンや、現在療養中のSHUN.(G)のパート部分で、KEKEがアンプに向かって咲いたシーンも忘れ難い。

KEKE
kazuya

また、「Worship god day」(=神を崇める日)に掛けて、KEKEのリスペクトの思いから昨年はギター隊、リズム隊それぞれの歴史の中にある「火の鳥」(FANATIC◇CRISIS)、「MIRROR」(D’ESPAIRSRAY)のカバーが披露されたゆえ、今年は何が待ち受けているのか想像を巡らせていたわけだが、ここで供されたのが「ピンクスパイダー」(hide with Spread Beaver)と「ROSIER」(LUNA SEA)。冠+目黒鹿鳴館という場所に沿った、まさに納得の選曲でフロアを湧かせた後、ダンスチューン「I surrender」へ。ステージ、フロア共に実に楽しげな様子が見て取れ、「マイクローン(ファンの呼称)最高だ! ずっと一緒にいような!」とKEKE。思い返せば、「I surrender」にメンバーコールのセクションが入るようになったのが、1年前の同日だという事実も感慨深い。

さらに、再生と新しい時代の幕開けを掲げた「GLORIOUS BLAZE」「REINCARNATION」を力強くプレイし、「俺たちは、こんなに素晴らしいファンを持って幸せです」(KEKE)という言葉から、THE MICRO HEAD 4N’Sと彼らを愛する全ての人たちの輝かしい未来へ向かって、「銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~」での多幸感に満ちたシンガロングをもって本編を締め括ったのだった。

ZERO
TSUKASA

オーディエンスによる「Happy Birthday」の大合唱で迎えたアンコール。メンバーからケーキとプレゼントが贈られ、「真面目な意味で、こいつについていきたいなと思ってもらえるようなヴォーカリストになりますから、目を離さずTHE MICRO HEAD 4N’Sを見といてください!」とKEKEが新たな歳の抱負を述べれば、「入ってくれたことがありがたいんですけども、その前に生まれてきてくれてありがとうだね」(TSUKASA)、「これからもっともっとTHE MICRO HEAD 4N’Sを盛り上げてくれる立場に、3年、4年と経てばもっと貫禄が出てくると思うのでね。期待しています」(ZERO)といった温かなメッセージが。

また、リーダーであるkazuya、そしてこの日の主役KEKEから、愛するマイクローンへの言葉が届けられた。

「『まだ僕』が皆さんのおかげで9位になりました。これは皆さんの愛のバロメーターだと思っています。だからシンプルに嬉しかったですし、今回たくさんラジオとかでプロモーションしたのを聞いてくれたり、皆でやっている感じがすごく楽しくて。メジャーで出す大きな理由の一つは、メンバー、スタッフ、ファンの子が皆で一つになりたいなと思ったからで、今、ちょっとずつそうなって来ていると思うんです。ちょっと火種がついたんじゃないかなと思って。その小さな火種を大事に守って、もっともっと大きくしたいなと。まず、その一つ目が次のツアーだと思うんです。小さな火種を夏のツアーでちょっと大きくして、まだ口頭でしか発表していないですけど、12月15日にO-WESTでやります。確実に前回を超えないとダメだと思うので、そこでまた大きな火種を作って、そして僕らはさらにさらに進んでいきたいと思っています。今後もTHE MICRO HEAD 4N’Sを好きでいてください。僕らは皆が大好きなので、今後ともよろしくお願いします」(kazuya)

「今、THE MICRO HEAD 4N’Sはメジャーということをきっかけに小さな火がついて、メラメラと燃え始めているわけで、これをもちろん僕らは守っていくけど、皆さんの協力がないと、この火はもっと大きくなっていかないんです。だから皆さん、この先もTHE MICRO HEAD 4N’Sを大きくしていくというところで、協力してくれますか? SHUN.さんを皆でビックリさせたいじゃん。色々な山があり谷があり、そういう苦悩を乗り越えて掴むから、きっと夢というのには価値があって。その価値を今後も皆で一緒に、必死に走って泣いて笑って掴んでいきたいと思います。今日は皆さんの笑顔を見るために一生懸命頑張らせていただきました。皆さんの笑顔が僕らのエネルギーになるし、これからも一緒に切磋琢磨して愛し合っていきましょう。この先ずっと、楽しいマイフォを続けていきましょう」(KEKE)

そんな言葉の後に披露されたのは「この先ずっと…」、そして渾身のタイトルコールの掛け合いから「FLY TO REBORN」。バラードと白熱のハードチューンという真逆のベクトルでありながら、2曲に共通するのは“終わらない”ことで、そこに「まだ僕らを知らない君へ」を続けると、曲中でKEKEが各メンバーに絡みにいく微笑ましいシーンも見られながら、この特別な夜は終幕を迎えた。はずだったが、鳴り止まないアンコールに応え、「やっぱり終わりは始まりの曲でしょ!」(KEKE)と、最後の最後に全身全霊の「HELLO MY CLONE」を届けたのだった。

ZERO/KEKE
KEKE/kazuya

〈美しい出会いが 未来を奏でる〉〈新しい出会いは 笑顔になれるから〉と歌う「光の世界」で始まり、タイトル通りまだTHE MICRO HEAD 4N’Sと出会っていない人たちへ向けたメッセージソング「まだ僕らを知らない君へ」が当初ラストを締め括る予定だったこと。それらが示すのは、当夜はKEKEのバースデー公演であると同時に、7月28日からスタートする13周年アニバーサリーツアー「まだ僕らを知らない君へ」の前哨戦の意味合いも含むものだったということではないだろうか。

先頃公開したVifのインタビューをはじめ、この日も「すっごいところから(曲を)引っ張り出してきてる」(TSUKASA)、「今日以上にヤバい曲が盛り込まれています」(ZERO)という発言があった通り、これから始まるツアーでは当夜以上に現体制初演奏となる過去曲も組み込まれる模様。「まだまだ仲間が足りない! もっともっと仲間を見つけに行こうぜ! 次のツアーは自分らにとっても一つの壁だと思うし、絶対成功させたいという思いで、まだ僕らを知らない人たちを探しに行きたいと思います!」(KEKE)とのこと。このわずか1年の間に、一度は逆風にも吹かれたTHE MICRO HEAD 4N’Sだが、再び風向きは変わったのだ。その風をも味方につけながら、今ある小さな火種が、多くの人たちの力と共に燃え盛る炎へと変貌を遂げることを願ってやまない。

◆セットリスト◆
01. 光の世界
02. WHITE SOUL
03. EARNEST GAME
04. NOW or NEVER
05. REBIRTH -the 3rd form-
06. REGRET
07. INSPIRE
08. 陽炎
09. 深海
10. サヨナラの先に
11. The Wings Of Wind
12. ピンクスパイダー(hide with Spread Beaver)
13. ROSIER(LUNA SEA)
14. I surrender
15. GLORIOUS BLAZE
16. REINCARNATION
17. 銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~

En1
01. この先ずっと… 〜Ballad version〜
02. FLY TO REBORN
03. まだ僕らを知らない君へ

En2
01. HELLO MY CLONE

(文&1枚目写真・金多賀歩美/写真・土屋誠)


【リリース情報】
●New Single『まだ僕らを知らない君へ』
2024年6月19日(水)発売

[PREMIUM BOX盤(個数限定)]¥8,000(税込)
内容:CD、DVD、PREMIUM Tシャツ、ジャケットカード4種、オフィシャルイベントQRコード付き応募カード

[CD]
01. まだ僕らを知らない君へ

[DVD]
・「まだ僕らを知らない君へ」Music Video
・「まだ僕らを知らない君へ」Music Video KEKE Solo Ver.
・「まだ僕らを知らない君へ」Music Video kazuya Solo Ver.
・「まだ僕らを知らない君へ」Music Video ZERO Solo Ver.
・「まだ僕らを知らない君へ」Music Video TSUKASA Solo Ver.

[通常盤]QAFJ-10025 ¥1,500(税込)
[CD]
01. まだ僕らを知らない君へ
02. The Wings Of Wind
03. この先ずっと… 〜Ballad version〜
04. まだ僕らを知らない君へ Original Karaoke
05. The Wings Of wind Original Karaoke
06. この先ずっと… 〜Ballad version〜 Original Karaoke

【ライブ情報】
●THE MICRO HEAD 4N’S 13th Anniversary Tour「まだ僕らを知らない君へ」
7月28日(日)池袋EDGE
8月3日(土)川崎セルビアンナイト(※THE MICRO HEAD 4N’S Still Night公演)
8月4日(日)川崎セルビアンナイト
8月11日(日)心斎橋DROP
8月12日(祝・月)名古屋ell SIZE
8月25日(日)赤羽ReNY Alpha

THE MICRO HEAD 4N’S オフィシャルサイト