2023.12.26
defspiral@池袋EDGE
「defspiral ONEMAN TOUR 2023 “Butterfly Euphoria”」

11月22日に開幕したdefspiralの2023年末ワンマンツアー「Butterfly Euphoria」がMASATO(G)の誕生日当日となる12月26日、池袋EDGEにて最終夜を迎えた。

今ツアーは初日から3曲もの新曲が披露されるという嬉しい驚きを伴ったものであったことは、前回お伝えした通り。そこでは初日ということを鑑みて詳細な内容を記すことは控えたが、それらの楽曲たちが今ツアーの重要なパーツとなったことは確かで、最終地点で一体どんなステージが繰り広げられたのか、今回はその結末をお伝えしたい。

TAKA
MASATO

改めて記すと、「Butterfly Euphoria」とは、前ツアー中に誕生した「Alegría」の主人公がButterflyであり、オーディエンスをButterflyに喩え、Euphoriaすなわちライブを通して皆で陶酔したり幸福になっていく光景を表したものだという。つまり、今ツアーがそういうものであってほしいという彼らの願いと、前ツアーの続編的な意味合いも持つ。

この夜、現体制で生み出された楽曲を軸とし、そのツアータイトルに沿った構成であったことから、全体の流れやストーリーとしては初日と共通ながら、マイナーチェンジがなされていた。シングルとして「Alegría」と共に収録された「FLASH」が物語の始まりを告げ、起爆力抜群の「VIVA LA VIDA」「PULSE」で一気に加速させると、ツアータイトルの発端となった「Alegría」から「楽園へ行こう!」(TAKA)と繋いだのは、まさに「PARADISE」。ちなみに「Alegría」には〈楽園に咲くという花〉との歌詞もあるわけで、この後に続いたブロックも実に見事な流れだったのが印象深い。

RYO
和樹

TAKAの歌とRYOのベースのアンサンブルも魅力的な新曲には、「Alegría」や「FLASH」と共通する〈花びら〉という歌詞が含まれており、曲調的にもこの2曲に通じるお洒落さとダークかつアンニュイ感が漂う。その後の「GHOST」への流れも自然で、〈踊ろう〉〈酔いしれていさせて〉といった歌詞もありながら、闇堕ちさせていくような感覚に。そこに2曲のムードを引き継ぎつつテンポアップして「HYSTERIA」を、そして〈ハジケ飛んで踊ろう〉と歌う「AQUA」では、まさにオーディエンスが飛び跳ねる光景が。これら4曲だけでも完結できるような、起承転結のある構成が実に素晴らしいものだった。

TAKA
MASATO

そして、MASATOが紡ぐアルペジオからミディアムナンバー「光の世界」へと繋げば、この後披露された新曲は、実はその仮タイトルからして極めて美しい流れで、さらに和樹(Dr)のドラミングが映える重厚なロックバラード「明日への階段」と、聴かせるナンバーが続いたブロックを経て、「めでたい日なんで、2023年デフ納めしようぜ! 新曲だけど、持ち前の反射神経で楽しんでいこうぜ!」(TAKA)と、本編最終ブロックに投入されたのは初日にはなかったさらなる新曲。実のところ初日の終演後、新曲がツアー中に追加されることはあるのかメンバーに尋ねた際に、「追加します!」とTAKAが意気込んでいたのだが、それが早々に現実のものとなったらしい。

RYO
和樹

満場のOiコールが鳴り響いた疾走感溢れる「Arcoromancer」を皮切りに、ラストスパートへ。「やっと本性を見せてきたな。その仮面を脱いで素顔を見せてみなよ。羽ばたいていこうぜ!」(TAKA)と、鉄板のダンスチューン「MASQUERADE」をプレイ。そして、〈今届けこの夜を超えて このメロディに乗せて〉と歌う「SILVER ARROW」を届けると、現体制初の音源に収められた楽曲でもある「流星」が本編ラストナンバーとなったわけだが、最終セクションの英詞部分をTAKA、MASATO、RYOが共に歌い、最後に和樹の一打が入って締め括った場面はあまりにも美しい光景だった。

オーディエンスによる「Happy Birthday」の大合唱に迎えられMASATOが再登場すると、感謝の思いを述べた後「皆、ソワソワしてるのよ。俺もソワソワしてる(笑)」と、この日だけのスペシャルステージに。パートチェンジしたメンバーを迎え入れると、「気が気じゃない(笑)」(RYO)、「縦(ヴォーカル、ドラム)が頼りなさ過ぎる(笑)!」(TAKA)などといったMCで場内に笑いが起きつつ、Vo.和樹、G.RYO、B.TAKA、Dr.MASATOで「バンビーナ」(布袋寅泰)を披露したのだった。

「色々あった2023年、その中でも布袋さんの横でギターを弾けたことがすごく大きくて(※音楽特番で布袋のサポートメンバーとして出演)。バンドを始めた頃に聴いていた曲を聴くと、すごく熱くなるんだよね」と、その選曲理由を明かし、「皆も聴くと熱くなるアーティストがいると思うけど、皆にとってdefspiralがそういうバンドになれたらなと。もう1曲、今日の日にピッタリな曲を選んできたので、聴いてください」と、リズム隊は本来の立ち位置に戻り、Vo&G.MASATO、G.TAKAで、生きることを歌った「BRILLIANT」を、そこからこの編成のまま再びの「バンビーナ」をプレイしたのだった。

ここで改めてバースデーケーキと大合唱でMASATOを祝福した後、「年を重ねる度に、バンドでもっともっと楽しみたいという思いが募っております。本当に今が一番楽しいんですよ。楽しいし、これからもっと楽しくできるなと確信しています。良いことばかりじゃなかった2023年ですけど、生きていること、こうやって楽しめることの大切さが身に沁みてわかった1年でした。今日も最高でした」とTAKA。

そして、「バンドへの情熱がどんどん高くなる一方で、悔しい思いもたくさんありますので、もっともっと飛躍の年にしていきたいと思います。最高の2024年に一緒にしていきましょう! この巡り会えた奇跡に」と、「IRIS」で再びフロアを揺らし、多幸感溢れるキャッチーで温かな新曲を届けると、ダブルアンコールでは「もう言い残すことはない。あとは楽しみしか待っていない。2023年ありがとう! 最高の2024年を迎えに行こうぜ!」と「LOTUS」をもってこの特別な一夜は幕となったのだった。

最終的に今ツアーで披露された未発表の新曲は4曲。それぞれがタイプの異なる楽曲であり、セットリストの中で適材適所に配されたことで、既存曲たちと見事な調和を生みながら、ストーリー性をも増幅させる結果となった。

なお、「この物語はまだまだ終わりません」と、来春にアルバムを出すこと、その作品を引っ提げて3月24日の初台DOORSを皮切りにツアーを開催することがこの日新たに発表となった。ビルの老朽化により退去が決定していることから、おそらくdefspiral最後のステージになるであろう目黒鹿鳴館や、彼らにとって初の会場も含む全15公演。ファイナルはdefspiralの1stシングルリリース日(2010年)でもある5月26日、和樹が正式加入した(2022年)地である赤羽ReNY alphaにて開催される。2024年、まずは待望の新作完成を心して待ちたい。

◆セットリスト◆
01. FLASH
02. VIVA LA VIDA
03. PULSE
04. ALEGRiA
05. PARADISE
06. 新曲
07. GHOST
08. HYSTERIA
09. AQUA
10. 光の世界
11. 新曲
12. 明日への階段
13. 新曲
14. Arcoromancer
15. MASQUERADE
16. SILVER ARROW
17. 流星

En1
01. バンビーナ(布袋寅泰)
02. BRILLIANT〜バンビーナ(布袋寅泰)
03. IRIS
04. 新曲

En2
01. LOTUS

(文・金多賀歩美/写真・@Lc5_Aki)


【配信情報】
●defspiral ONEMAN TOUR 2023 “Butterfly Euphoria”
2023年12月26日(火)池袋EDGE
アーカイブ配信中
視聴期限:2024年1月9日(火)23:59まで

【ライブ情報】
●defspiral tour 2024 “ULYSSES”
3月24日(日)初台DOORS
3月30日(土)姫路Bata
3月31日(日)大阪RUIDO
4月6日(土)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
4月7日(日)前橋DYVER
4月14日(日)新横浜NEW SIDE BEACH!!
4月20日(土)金沢vanvan V4
4月21日(日)京都MOJO
4月28日(日)川崎Serbian Night
5月6日(月・祝)目黒鹿鳴館
5月10日(金)名古屋ell.FITS ALL
5月11日(土)柳ヶ瀬ants
5月18日(土)仙台spaceZero
5月19日(日)郡山CLUB #9
5月26日(日)赤羽ReNY alpha

defspiral オフィシャルサイト