2024.05.26
defspiral@赤羽ReNY alpha
「defspiral tour 2024 “ULYSSES” Final & 14th Anniversary Live」

現体制初のフルアルバム『ULYSSES』を完成させ、3月末よりスタートした全15公演にわたるツアー「defspiral tour 2024 “ULYSSES”」のファイナル兼14周年記念公演が、defspiral始動記念日の5月26日、2022年に和樹(Dr)が正式加入した地でもある赤羽ReNY alphaにて行われた。

フルアルバムとしては実に6年4ヵ月ぶりとなる、まさに待望の作品『ULYSSES』は、昨年リリースしたシングル3作品の6曲に加え、昨年末開催の前ツアー「defspiral ONEMAN TOUR 2023 “Butterfly Euphoria”」において披露してきた新曲4曲、さらに完全未発表の2曲という全12曲を収録したもの。こうした流れから、今ツアーは前ツアーから続く物語であると捉えることもできるわけだが、この最終夜で彼らが見せてくれたのは、表現と熱量を共存させながら作品の世界観を完全再現した、まさに『ULYSSES』の集大成と言えるものだった。

TAKA
MASATO

大型LEDを常設した会場の特性を活かし、VJによる映像演出を取り入れながら、ファイナルにふさわしいステージを展開したこの日。作品のキーとなるユリシス、すなわち“幸せの青い蝶”が背面に舞う中メンバーが登場し、歌詞にある睡蓮の花をはじめとした鮮やかな映像と共に、作品同様「ULYSSES」が楽園への幕開けを飾った。

「『ULYSSES』の世界へようこそ! 最高の夜を掴みに行こうぜ!」というTAKA(Vo)の言葉の後に演奏された「FLASH」では、TAKAとMASATO(G)が向かい合い、歌とギターの掛け合いを魅せれば、スリリングな「ARCANA」ではエッジの効いたMASATOのギターはもちろん、一定のリズムを刻むRYO(B)のベースプレイと、アタック感の強い和樹のドラミングが冴える。ベースが要と言える「夢見る蜉蝣」は、defspiralの新境地を開いた、特殊かつ大人のロック感がたまらない1曲で、〈廻れ廻れ〉〈踊れ踊れ〉と歌うサビに合わせてオーディエンスが手をクルクルと回す光景も。

「ツアーで作品を皆と共有して、皆に浸透していくのは嬉しくて堪らないです。過去最高傑作ができたと思います」とは後にTAKAが述べた言葉だが、音源化とステージを重ねたことで、『ULYSSES』の1曲1曲がより洗練されていったのは間違いない。

RYO
和樹

薄暗いステージに白色の明かりが揺蕩うように差し込み、空気を一変させたのが中盤の「MOBIUS the Basement」。コロナ禍での配信ライブ時、2017年発表の「MOBIUS」にアンビエント系アレンジを施したものを、さらに改良したのが今回の形だそうで、ゆったりとしたテンポ感と少ない音数の中、TAKAの心地よい歌声が響いた。次いでMASATOが紡ぐアルペジオから、歌とギターのみで1フレーズ演奏した後にオールインするという流れが実に美しかった「光の世界」をじっくり聴かせると、重厚なロックバラード「明日への階段」へ。元々圧倒的なパワーを持つ楽曲だが、回を重ねるごとに凄みを増し続けるのは圧巻の一言。さらにそこに続いたのが「HALO」で、「明日への階段」との闇と光の対比が実にドラマティックだった。

後半戦では、ライブの光景を描いたという「EUPHORIA」で〈“この瞬間こそが” Euphoria〉と、幸福を追い求める物語の発端となった「ALEGRiA」で〈痺れるくらいの “皆の”笑顔を見せてくれよ〉と、本来の歌詞に言葉を付け足して歌う場面も。背景には再び蝶が舞い、TAKAも蝶を表すように手をヒラヒラとさせていたのが印象的だ。ミラーボールが回り、ダンスチューン「MASQUERADE」で飛び跳ねた後は、和樹のバスドラが轟くメロディアスな「流星」、そしてdefspiral史上最もキャッチーと言っても過言ではない多幸感のあるギターロック「SATELLITE」、そしてアルバムのラストナンバー「月の荒野」で〈旅路の果て 再び出会うその時まで〉と『ULYSSES』の世界を完結させたのだった。

TAKA
MASATO

曲の煽りはあったにせよ、ほぼMCなしで存分に表現することを完遂した本編を経て、アンコールではこのツアーを振り返る一幕も。周知の事実として、和樹の胃腸炎により初日となるはずだった公演が急遽中止になり、当夜を含めツアー中に話題として触れる場面が多々あったこともあり、「初のアルバムツアー、ここまで来られて本当によかったです」と、和樹が実感のこもった言葉を述べれば、「今回のツアーは一度として同じライブはなかったんですよ。毎回あれをやってみよう、これをやってみようと色々試して。一回りも二回りも成長できたツアーになりました」とRYO。MASATOからは「どの会場もマジで最高でした! そして今日も最高でした! defspiral、伸び代しかないなと。俺ら、まだまだいけるよ!」と、頼もしい言葉を聞くことができた。

また、RYOが「来年15周年だよ。15ってすごいね!」と話せば、TAKAが「15周年の話が出ましたが、3人はもう30周年くらいの仲なんですよ。和樹は2周年…和樹がいなかったら、今のdefspiralはない! これからもまだまだ走り続けますので、よろしくお願いします。いつまでも我々はここに、ステージにいますので」と告げたのだった。

RYO
和樹

そして、バンドロゴを背景に、14周年への思いとファンへの愛情が凝縮された楽曲の数々を。14年前のこの日にリリースした1stシングル「DIVE INTO THE MIRROR」、「これからも一緒に歩いていきましょう。感謝を込めて」(TAKA)と、10周年アニバーサリーソングとして2020年に発表した「千の花束」、そして〈出会えた喜び〉を歌う「IRIS」、さらに「AURORA」では、〈その胸に立てた野望の旗を 風上に翳せ〉と歌う場面でTAKAがマイクスタンドを力強く掲げた姿も印象的で、「未来を共に迎えに行きましょう!」と呼びかけ、オーディエンスに向けて「俺たちの誇りです」と告げステージを後にしたのだった。

ダブルアンコールで披露されたのは「LOTUS」。鉄板のライブチューンでありながら、「EUPHORIA」と共通するワードやクラップが含まれ、ロータスの花をモチーフにした歌詞で描かれているのは、まさに『ULYSSES』の物語とリンクするもの。この楽曲がラストを担うのは珍しいことではないにせよ、あまりに完璧な締め括りであると同時に、それはすなわちdefspiralの楽曲の根底に一切のブレがない証でもあると言えよう。「最高にカッコいいバンド、defspiralでした! これからも輝き続けていきますので、よろしくお願いします! 輝かしい未来で会いましょう!」というTAKAの言葉をもって、この記念すべき夜は終幕を迎えたのだった。

defspiralの今後の動きとして、8月より主催ツーマンイベントを開催することが新たに発表されたが、「15周年に向けて色々企んでいますので、期待していてください」(TAKA)との言葉もあった通り、さらなる今後にも期待が高まる。この愛おしい奇跡が、末長く続いていくことを願ってやまない。

◆セットリスト◆
01. ULYSSES
02. VIVA LA VIDA
03. PULSE
04. FLASH
05. PARADISE
06. ARCANA
07. 夢見る蜉蝣
08. MOBIUS the Basement
09. 光の世界
10. 明日への階段
11. HALO
12. EUPHORIA
13. ALEGRiA
14. MASQUERADE
15. 流星
16. SATELLITE
17. 月の荒野

En1
01. DIVE INTO THE MIRROR
02. 千の花束
03. IRIS
04. AURORA

En2
01. LOTUS

(文・金多賀歩美/写真・インテツ)


【リリース情報】
●New Album『ULYSSES』
2024年3月22日(金)配信
2024年4月14日(日)CD発売

配信リンク

[CD](3面デジパック仕様・ブックレット20P)SSCPC-0027 ¥3,500(税込)
※ライブ会場&オフィシャルサイトにて販売

[収録曲]
01. ULYSSES
02. VIVA LA VIDA
03. FLASH
04. ALEGRiA
05. EUPHORIA
06. ARCANA
07. 夢見る蜉蝣
08. 光の世界
09. 明日への階段
10. 流星
11. SATELLITE
12. 月の荒野

【ライブ情報】
●defspiral presents monthly 2man event “Psychedelia”
8月23(金)高田馬場CLUB PHASE
出演:defspiral、メリー
9月13(金)高田馬場CLUB PHASE
出演:defspiral、Neu:NOIZ
10月14(月・祝)高田馬場CLUB PHASE
出演:defspiral、H.U.G

defspiral オフィシャルサイト