2023.08.27
THE MICRO HEAD 4N’S@青山RizM
「12th Anniversary Be awesome」
2011年に始動し、これまでに三度のヴォーカル脱退という事態に見舞われながらも、そのたびに再生を果たしてきたTHE MICRO HEAD 4N’S。昨年8月、新ヴォーカルKEKEの加入が発表され、現体制となりちょうど1年が経過した今、THE MICRO HEAD 4N’Sは明らかに大きく変化し、バンドとしてとても良い状態にある。そんな彼らが、結成12周年を祝う記念公演「12th Anniversary Be awesome」を8月27日、青山RizMで開催した。
思い返せば、昨年のこの時期は先述の発表タイミングでありバンドの準備期間であったことから、THE MICRO HEAD 4N’Sとしての周年ライブはなく、楽器隊メンバーによってバンド本体とは別に2021年に始動させたプロジェクト、OFIAMの1周年記念公演が開催された。つまり今宵、THE MICRO HEAD 4N’Sとしては2021年以来2年ぶりの周年ライブ開催となったことも感慨深い。
またこの日、後方までオーディエンスで埋め尽くされたフロアの様子は、彼らと特別な記念日を祝う場にしては少なからず狭さを感じるものであったが、それは発表時にメンバー自身が口にしていた通り、2023年のマイフォにとってホップ・ステップ・ジャンプのホップに当たるのがこの日ゆえ。そして何より重要だったのは、ZERO(B)の新型コロナウイルス罹患により、急遽4人体制でステージに臨むことになった点で、この日のZEROの立ち位置には彼のベースが置かれ、ライブの随所でメンバーがZEROに触れる場面があったことが印象深い。
前日も4人体制でdefspiralとのカップリングツアー「9BALL GAMES -4th-」のファイナルを新宿BLAZEで終え、バンドのみならず2daysライブとなったオーディエンスも多かったはずのこの日、幕開けを飾ったのはデジタリックな「PARASITIC EMOTION」。ステージや客席の天井に設置されているこの会場特有のLEDパネルが明滅する様は、まさにこの楽曲のムードにも打ってつけだ。
そこから「眠れる森の前奏曲 ~REVOIR~」までの前半戦、特に5曲目「陽炎」までは、活動第一期、第二期、第三期の順に楽曲が配されていたわけだが、これはKEKEによる選曲で、意識的にこの順を取ったという。近年ではバースデーライブを除くマイフォの通常のライブでのセットリストの構築は、メインコンポーザーであるkazuya(G)が担ってきたが、6月のKEKEバースデーライブをきっかけに今回もKEKEが担当し、今後もそれがレギュラーの形となっていく予感。
これもバンドの変化の一つであり、実際この日のKEKEによれば、MCを含めたストーリーの流れが作りやすいと実感したそうで、良い効果をもたらしているようだ。それは言葉を発する立場であるヴォーカリストとして、一つのステージを作り上げるうえで極めて重要な部分に違いない。また、序盤のMCの中で「加入発表から約1年だけど、12年やっている風」と自身を表現したKEKEだが、それは他のメンバーにとっても同様のようで、セットリスト然り、彼がメンバーの信頼を得ている証でもあるだろう。
「歌を聴いてもらうゾーンはここで終わり」(KEKE)と、この日デモver.の音源が来場者に配布され、9月に完成版がシングルとしてリリースされることが決定している新曲「LAST」を皮切りに、よりフロアの熱量を上げるライブチューンが繰り広げられた中盤ブロック。「EARNEST GAME」ではSHUN.(G)がこれでもかとヘドバンをしながらプレイし、フロアの抜群の盛り上がりにTSUKASA(Dr)が笑みを見せれば、〈何かが掴めるかもしれない〉という一節をKEKEが力強く叫んだシーンも印象的。そこに続いた再生の歌「REBIRTH -the 3rd form-」では、ZEROの語りセクション前にKEKEが「ZEROー!!」と絶叫、過去最高に熱い「REBIRTH -the 3rd form-」となった。
さらにセンターお立ち台でのSHUN.のギターソロにフロア皆で咲いた「ADDICT」、楽器隊のみの演奏かつSHUN.の煽りで暴れ倒したハードナンバー「REVERBERATIONS」を経て、OFIAMも2周年であることから、その楽曲たちを久々に披露した。混沌とした音像で心に刺さったトゲを表現した「棘」、kazuyaのギターが主メロを奏でるメロディアスな「暁」、もがきながら生きることを描いた悲痛な「声」、そしてkazuyaが歌パートを担うキャッチーな「時」。現体制のTHE MICRO HEAD 4N’Sが始動したことで、作曲者が同じであるOFIAMの活動がなかなかできずにいた近頃ではあるものの、「ライブだけであれば、また来年やろうかな」というkazuyaの発言があったことも付記しておきたい。
KEKEが再登場し、波の音に歌とSHUN.のギターが重なる「M-4」(新曲)から始まった本編終盤。どこかセンチメンタルな雰囲気を持つミディアムナンバーは、その後に続いた第二期を象徴する美しいメロディーの「Nocturne」との相性も抜群で、そこからガラリとムードを一変させ「ZEROさんに、俺の帰る場所はやっぱりあそこだ、早く帰りてーって言わせたくないですか!?」というKEKEの言葉からZEROコール、そして鉄板曲「REINCARNATION」に突入。途中SHUN.のギタートラブルが発生したものの、仕切り直して再び熱量を上げると、「銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~」ではオーディエンスの大合唱が響き渡り、「もっともっと素敵な景色を皆で見に行こうぜ! 約束だー!」というKEKEの言葉をもって本編を終えたのだった。
なお、ここでSHUN.がZEROのベースを高く掲げ、アンコールではダンスチューン「I surrender」の曲中、各メンバーコールをするセクションでのZEROパートにおいて、KEKEがベースを持ちセンターお立ち台に上がる一幕も。そして、ラストには「メンバーや皆さんとの絆を歌った曲」だというメッセージソング「M-5」(新曲)を演奏し、「誰一人欠けることなく、この先も皆で笑顔で歩んでいこうぜー!」(KEKE)と、年に一度の記念日を締め括ったのだった。
最後に、アンコールで語られたメンバーの言葉を届けたい。
「こうして複数の人数と一緒に、一つ屋根の下じゃないけど、同じ釜の飯も食べてないけど(笑)、行動をずっと共にするというのは(中略)とにかく絆の深さを感じます。そして今日来られなかったZERO君は、この中で一番長い24年くらいの付き合いなので、ずっと同じリズム隊として歩んできて、ZERO君のお尻を眺めてきました。これからも皆と一緒にライブだったり旅行だったり、共にしていきたいと思います。本当に皆さんのおかげで自分も救われている部分があります。皆さんに元気を届けられるように、そして皆さんからも元気をもらって、僕は巣立っていきまーす! 過去の自分から巣立っていきます!」(TSUKASA)
「すげーライブって感じがしました。12年間めちゃめちゃ色々なことがありました。何か一個だけには絞れません。だけど一つ言えるのは、その最高の思い出の一つが、お世辞でもなく今日だと感じました。ありがとうございます。めちゃめちゃ素晴らしいオーディエンスだと思いました。次のライブではZERO君が来て全てのピースが揃って、マイクローン(ファンの呼称)も今日いる人たちが友だち2〜3人ずつ連れてきて(笑)、今日を超えるライブができると思います。トラブルはいっぱいあったけど、それを超えるくらいの皆の熱量を感じました」(SHUN.)
「12年前、僕やSHUN.ちゃんは結構ヤバい状態で。でも、この12年間で本当に色々なことを経験させていただいて、皆さんから自信というものをいただいた気がしています。12年前は自分のことが大嫌いだったし、何も自信がなかった。全てが怖くて。でも今の僕は自信しかないというか、自分をすごく好きだし、人生で初めて長生きしたいなという感覚が起きているの。そういうふうに僕を前向きにさせてくれたのは、ファンの皆さんとスタッフの皆さん、何度転んでも立ち上がってくるメンバーと、新加入と言いながら中身は12年くらいの最高のヴォーカリスト。最後の夢としては最高かなと思っています。今年12月15日、O-WESTがあります。僕の誕生日ではあるんですけど、それはどうでもよくて、そこを埋めたいです。埋めたら倍の世界を見せたいと思っています。勝負かけてやろうかなと。でも、あれ?っていう感じだったら、もう一回やり直せばいいと思うの。人生っていつもそうじゃん。転んでももう一回やればいいだけのことだから、本当に大したことねーから。これからもよろしく」(kazuya)
「加入を発表してから約1年、振り返るとマジであっという間でした。1年間って別に短い時間ではなくて、ライブの本数はそこまでやってないんですけど、早いなと感じるほどメンバーとマイクローンとの距離が近くなって、それだけ濃厚な時間を皆と過ごしてきたんだなと思います。過去のヴォーカリストが3人お辞めになってきましたけど、この体感で1年ということは、10年、20年、30年、40年でもいけるかなと。この先も皆と過ごしていけたらなと思います。これからもよろしくお願いします!」(KEKE)
「昨日の『9BALL GAMES』ファイナルに引き続き、お休みさせていただいておりますが、そんな中でもこうやって会場に足を運んでいただき、ありがとうございます! 今夜は12周年の集大成、でもこのライブはまだ俺たちの歴史の通過点。今日いなくて寂しいかもしれないけど、そんなこともあったねぇと思えるよう、最高の色でこれから塗り替えていくので、これからもTHE MICRO HEAD 4N’Sをよろしく! 最後に一つだけ…悔しいです!(ザブングル風)」(KEKEがZEROのメッセージを代読)
終わってみれば全22曲、3時間に近いフルボリュームのステージとなったこの日。昨今のTHE MICRO HEAD 4N’Sの中では比較的多い曲数と長い時間をかけて、堪能し尽くすことができた周年記念日らしい一夜だった。
今後のTHE MICRO HEAD 4N’Sとしては9月23日〜11月17日に全5公演の主催イベント「FACE TO FACE」が控えているほか、イベント出演も続々と決定している。また、12月の東名阪ツアーの日程が新たに発表されたことに加えて、年内にフルアルバムのリリースも予定されている。これらの様々な展開についてKEKEが述べた言葉を残しておこう。
「正直、ついていくのにもライブの本数が結構多いなと思ってしまうかもしれないんですけど、やっぱりこの業界、ライブバンドが多くて、どうしてもライブで勝ち取っていかなきゃいけなくて。まずは自分らで主催をして、いろんなバンドと戦って、どんどんTHE MICRO HEAD 4N’Sを広めてお客さんを増やしていこうと。最近あまり口にしていないですけど、野音に行きたいというのはメンバー全員心の底から思っていて、もちろん皆さんも思ってくれていると思います。そのためには、ホップ・ステップ・ジャンプがここからもっと具体的になっていくので、ちょっとでもお時間や余裕があったりしたら、THE MICRO HEAD 4N’Sのライブに来て、一緒にメンバーとして戦ってほしいと思います」
一致団結した時の力がどれだけのものであるかは、去る6月30日のKEKEバースデーライブのソールドアウトが物語っている。THE MICRO HEAD 4N’Sが自ら戦いに挑もうとしている今、彼らを愛する人たちの輪が、より大きな輪となっていくことを願ってやまない。
◆セットリスト◆
01. PARASITIC EMOTION
02. WHITE SOUL
03. GLORIOUS BLAZE
04. Fall Into Darkness
05. 陽炎
06. VANILLA
07. 眠れる森の前奏曲 ~REVOIR~
08. LAST
09. EARNEST GAME
10. REBIRTH -the 3rd form-
11. ADDICT
12. REVERBERATIONS
13. 棘(OFIAM)
14. 暁(OFIAM)
15. 声(OFIAM)
16. 時(OFIAM)
17. M-4(新曲)
18. Nocturne
19. REINCARNATION
20. 銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~
En
01. I surrender
02. M-5(新曲)
(文・金多賀歩美/写真・MAKOTO TSUCHIYA)
【リリース情報】
●New Single『LAST』
2023年9月23日(土)発売
(ライブ会場、THE MICRO HEAD 4N’Sオンラインショップにて販売)
THIR-0090 ¥1,000(税込)
【ライブ情報】
●THE MICRO HEAD 4N’S 主催イベント「FACE TO FACE」
THE MICRO HEAD 4N’S vs DaizyStripper
9月23日(土)青山RizM
THE MICRO HEAD 4N’S vs FEST VAINQUEUR
9月24日(日)青山RizM
THE MICRO HEAD 4N’S vs KOHTA
10月6日(金)青山RizM
THE MICRO HEAD 4N’S vs heidi.
10月7日(土)青山RizM
THE MICRO HEAD 4N’S vs FEST VAINQUEUR vs KOHTA vs SPLENDID GOD GIRAFFE
11月17日(金)代官山UNIT
●TOUR 2023「NEW ERA」
12月9日(土)名古屋ハートランド
12月10日(日)OSAKA RUIDO
12月15日(金)Spotify O-WEST
●HOLLOWGRAM ROAD TO DECADE 2023 “Aurum#2”
10月20日(金)Zirco tokyo
出演:HOLLOWGRAM、The THIRTEEN、umbrella、THE MICRO HEAD 4N’S
●Crazy Monsters Halloween Party 2023
10月28日(土)新宿ReNY
出演:Crack6、THE MICRO HEAD 4N’S、KAMIJO(Versailles)、Nicori Light Tours、168、甘い暴力
司会:NoGoD団長
10月29日(日)新宿ReNY
出演:Crack6、THE MICRO HEAD 4N’S、Kneklid Romance、Kαin、H.U.G、Dacco、クマムシ
司会:NoGoD団長
●D主催「Mad Tea Party Vol.37」
11月5日(日)新宿BLAZE
出演:D、GOTCHAROCKA、luz、THE MICRO HEAD 4N’S、H.U.G
●「ホントノミリョク」
11月29日(水)渋谷REX
出演:BugLug、THE MICRO HEAD 4N’S、DaizyStripper、SPLENDID GOD GIRAFFE