2022.12.15
THE MICRO HEAD 4N’S@渋谷近未来会館
「『NEW GENERATION』RELEASE ANNIVERSARY & kazuya B.D -music is a part of my life 2022-」
新ヴォーカルKEKEの加入により、第四期としての活動をスタートさせたTHE MICRO HEAD 4N’S。去る11月13日に新宿BLAZEにて1stライブを行い、いよいよ本格始動となった彼らの2本目となる公演が12月15日、渋谷近未来会館で開催された。
タイトルにあるように、この日は12月13日に発売された新体制初の音源作品であるリテイクベストアルバム『NEW GENERATION』のリリース記念兼kazuya(G)のバースデーライブ。ゆえにアルバムに収録された全楽曲+kazuyaの歴史を表現するセットリストとなることが事前に予告されており、先頃公開したVifのインタビューにおいてkazuyaは「FANATIC◇CRISISに関してはFANTASTIC◇CIRCUSとして今活動しているので、やる必要がないということで、OFIAMの曲や1stライブで外されちゃった曲を入れて、前回と比べるとポップ色が強いライブになるかな」と述べていたのだった。
『NEW GENERATION』はシングル曲をメインとした第一期から第三期までの楽曲を、新体制の第四期として再録したベスト盤。そこに収録されているのは全13曲であることから、1公演の大半を占めるのは当然それらになるわけだが、前回のステージでは披露されなかった収録曲4曲がどんな表情を見せてくれるのか、アルバム曲以外の選曲が何になり、どのような配置で供されることになるのか…ただでさえおめでたい日であることに加え、様々な興味が尽きない公演であることは確か。また、先のインタビュー時にZERO(B)が「四期の完成は意外と近いと思うんですけど、そのペースがすごく速いと思う」と話していたこともあり、純粋に新体制2本目のステージという事実だけを考えても、期待を膨らませずにはいられないものだった。
最終的にこの日披露されたのは、アンコールを含め全19曲。意図したものか偶然かは定かではないが、新体制初披露曲は見事なまでに全編に散りばめられていたのだった。無論、その全てがTHE MICRO HEAD 4N’Sの歴史を彩ってきた楽曲たちだが、「歌う人が変われば、新曲のように聴こえる」(KEKE)というのはまさにで、本当の意味での“新曲”が存在しない現段階において、元来のマイフォらしさと第四期としての表現を存分に魅せてくれたのは、KEKEのヴォーカリストとしてのポテンシャルの高さが大きな役割を担っていることは間違いない。また、「10年一緒にやっているような感じ」(SHUN./G)、「長年連れ添ったメンバーのよう。僕の一方通行ではなくて、ちゃんとこうしたいということを言ってくれるから、すごく今『バンド』」(kazuya)と言わしめるほどの良好な関係を築いているようで、彼の存在がバンド内に良い連鎖をもたらしていることは、このステージを観ていれば明らかだった。
1stライブやアルバムを体感した人々は既に実感していることと思うが、様々な声色を使い分けながら、どんな楽曲も原曲が持つ魅力に自身の色をプラスさせるヴォーカリストとしての力量は目を見張るものがある。それは単に歌唱力ではなく、表現力という言葉がしっくりくる。例えば、幕開けを飾った「SEVENTH COLOR」や披露すること自体が久々となった「WHITE SOUL」では、そのキャッチーなメロディーをまるで光り輝くように歌い、三期を象徴する攻撃力の高い「FACT IS STRANGER THAN FAKE!!!!」では狂気を孕んだ熱さを見せ、「眠れる森の前奏曲 〜REVOIR〜」では歌詞のストーリーをリリカルに表現、「PLAY」では瑞々しいアオハル感さえ醸し出し、四期ver.のアレンジでよりEDM色を強くしたダンサブルな「SCANDALOUS」には危険な香りを加えてみせた。さらに、後半に投入された「REBIRTH -the 3rd form-」「EARNEST GAME」「LiaR」に至っては、この日一番の熱量をフロアにぶつける姿が印象的だった。
また、先述の通りkazuyaの歴史を表現するうちの一つとして、バンド本体の活動が叶わなかった2021年に立ち上げたプロジェクトOFIAMの楽曲も組み込まれた。全編ギターソロの「暁」、kazuyaが歌に挑戦した「時」と、本人曰く「実験的で思い入れのある曲」でありOFIAMの中でもkazuyaをフィーチャーした2曲が披露されたのだった。
「我慢して我慢して戦ってきたから今があると思います」というSHUN.の言葉もあったように、この日は1stライブに引き続き声出しが可能な公演として実施され、あらゆる場面でオーディエンスの歌声やメンバーコールを聞くことができたわけだが、中でも実に3年ぶりの光景となった「Happy Birthday」の大合唱は格別。kazuyaは「最高! ありがとう! やっぱりいくつになっても嬉しいものですね」と笑みを見せ、こう話を続けた。
「今年は人生で一番くらい幸せな1年でした。好きなことをやっているんだけど、言ってしまうと辛いことばっかり。でも、そのご褒美が今年一気に来ちゃったなぁみたいな感じ。十代の頃から憧れていた野音で、また前のメンバーと一緒にやれたり、3月にもうマイフォを閉店しようかなと思っていたけど、急にKEKEと出会って、まさかこんなに仲良くなるとは思っていなかったし。アイツからのLINEが鳴ると、なんか声が聞こえるんだよね。うるせーなと(笑)。バンドって面白くて、本当に仲良くなると足音で誰かわかるんだけど、それに近くて。そういう関係性になれたのって幸せだと思うし、やっぱり今日もライブをやっていて楽しいもんね。この先も多分楽しくなると思います。(マイフォで)野音に行くために、来年いっぱい頑張ります。イベントも出ますよ。腕を組んで観ている人たちを振り向かせるようなライブをやっていこうと思いますので、応援よろしくお願いします!」(kazuya)
そして現在の5人の関係性がありありとわかる、笑いに溢れたある種コントのようなやり取りでメンバーからケーキとプレゼントが贈られたのち、4人からも言葉が届けられた。
「まずは、お誕生日おめでとうございます! kazuyaさんと10年以上一緒にいるわけですけど、歳を重ねていくと、無事にこの日を迎えられることの幸せを感じます。俺、何気に諦め悪いんですよ。kazuyaさんが諦めようと思っていたと言っていましたけど、俺はそれを説得するつもりもあったし、SHUN.さんも諦めなかったので。もしSHUN.さんが諦めても、kazuyaさんが諦めても、俺は絶対諦めないので、繋いでいきます。この5人で新しいTHE MICRO HEAD 4N’S、この先へと続く近未来へ向けて走っていきますので、よろしくお願いします」(ZERO)
「本日はkazuyaさんのお誕生日、誠におめでとうございます! 出会って今、11年くらいですか。このバンドを引っ張ってくれるリーダーの誕生日ということで、感極まっております。バンドのことも個人的にも色々とお世話になっていまして、頭が下がらないというか上がらないというか(場内爆笑)。僕はこのバンドに神様と仏様がいると思っていまして。神様は言うまでもなくkazuyaさんのことで、仏様がSHUN.さん。SHUN.さんは仏様みたいに世界一優しい人だと思います。kazuyaさんは世界一、道を切り開いてくださる力を…モーゼのように(場内爆笑)。僕の中ではそのくらいに思っているんですけども。ですから、忠誠を誓っているんです。僕もこのバンドを死ぬまでやりたいと思っていますし、ずっとkazuyaさんについていきたいと思っています。今後ともよろしくお願いしたいのと、KEKE君が入ってくれて…この人、めっちゃ面白いよ!? ロックのヴォーカルって結構トゲトゲしいイメージがあって近寄りがたいわぁというのがあると思うんですけど、いやぁ面白いなぁ…! ぜひKEKE君をこれからもよろしくお願いします」(TSUKASA/Dr)
「kazuyaさんへのリスペクトが止まらないんですよ。色々なことを知ってるし、優しいし、スタイルいいし。THE MICRO HEAD 4N’Sの過去の曲を聴いて、自分の声に合う曲を探したりするんですけど、僕、kazuyaさんが作るメロディーのファンなんですよ。僕も大人ですけど、マイフォの中ではまだ子供なので、こういう大人になりたいなと本当に思うし、kazuyaさんの背中をこれからずっと隣で追いかけたいなと、ついていきたいなと思います。これからも素敵な曲を書いてください。お願いします!」(KEKE)
「僕はkazuya君と一番長い付き合いで、十代の頃から一緒にやらせていただいて、今年もこうやってファンの皆の前に一緒に立てるのはやっぱり嬉しいですね。これからあと何回立てるかわからないけど、死ぬまでこうやってステージ上で一緒にいられたらいいかなと思っています。これからも色々な素敵な楽曲を作っていただき、バンドを引っ張っていただけたらと思っています。今日もこのステージに立てるのは、メンバー一人ひとりの力もあると思うし、初代(Ricky)が繋いでくれてKEKE君が入ってくれて、この5人がようやく揃って、そしてマイクローン(ファンの呼称)がここにいてくれて、それでTHE MICRO HEAD 4N’Sだと思います。これからも一緒にTHE MICRO HEAD 4N’Sを作っていきましょう。そしてkazuya君、また来年も再来年も祝えるといいですね」(SHUN.)
そんな言葉たちの後に奏でられたのは「REMEMBER」「この先ずっと…」「HELLO MY CLONE」の3曲。そこには今日という日が記憶に残るものとなり、この先もずっと一緒に歩んでいこうというメッセージ、そしてTHE MICRO HEAD 4N’Sの始まりであり第四期の始まり、1stライブの1曲目でもあった“再生の歌”で締め括ることで、その決意をより確かなものとして示しているように感じられたのだった。
「2023年、もっと激しい年にしましょう!」というKEKEの言葉もあったように、THE MICRO HEAD 4N’Sの今後の動向としては、12月31日にイベント「REX COUNTDOWN ’22-’23」@渋谷REXと「FINAL 2022」@EDGE Ikebukuroの出演が控えており、2023年1月27日にZIZ、DuelJewelとのスリーマンライブ@EDGE Ikebukuro、2月18〜19日にTHE MICRO HEAD 4N’S vs OFIAMの2daysライブ、6月30日にKEKEのバースデーライブ、さらに7月下旬より全9箇所を巡るツアーの開催と、続々とライブの予定が決定している。
この日の終演後、2月のライブ詳細が発表となったことに加え、kazuyaがパンクシーンのレジェンドたちが揃うスーパーバンド“EX-FIVE”に加入することが発表された。その情報解禁を前に、彼はこの日のライブ中こんな言葉を告げていた。「今、複数のプロジェクトに関わっていたり、複数の仕事をしています。めちゃめちゃ忙しいけど、めちゃめちゃ自分のためになっています。全ては線として繋がると思っています。その言葉だけ覚えといてください。僕は頑張るよ」――現在THE MICRO HEAD 4N’SはOFIAMとStill Nightという二つのプロジェクトを持ち、kazuyaとSHUN.はFANTASTIC◇CIRCUS、ZEROとTSUKASAはLuv PARADE、TSUKASAは最上川司としても活動している。だがそれはあくまでTHE MICRO HEAD 4N’Sがあってこそのものであることは確かで、この日5人から語られた数々の言葉はバンドへの深い愛情と結束力を象徴するものだった。第四期としての形が完成間近にある今、ぜひその目でTHE MICRO HEAD 4N’Sの現在地を確かめてほしい。
◆セットリスト◆
01. SEVENTH COLOR
02. WHITE SOUL
03. FACT IS STRANGER THAN FAKE!!!!
04. Deeper Than Black ~闇色の翼~
05. 雷鳴
06. 眠れる森の前奏曲 〜REVOIR〜
07. Nocturne
08. 暁(From OFIAM)
09. 時(From OFIAM)
10. PLAY
11. SCANDALOUS
12. REBIRTH -the 3rd form-
13. EARNEST GAME
14. LiaR
15. 銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~
16. 上弦の月のオーケストラ 〜Stella Note Magic〜
En
17. REMEMBER
18. この先ずっと…
19. HELLO MY CLONE
(文・金多賀歩美/写真・Kuro)
【リリース情報】
●RETAKE BEST ALBUM『NEW GENERATION』
2022年12月13日(火)発売
[通常盤](CD)THIR-0079 ¥3,500(税込)
[CD]
01. HELLO MY CLONE -type R-(Backing Vocal:Ricky)
02. 雷鳴
03. EARNEST GAME
04. SCANDALOUS
05. SEVENTH COLOR
06. Nocturne
07. Deeper Than Black 〜闇色の翼〜
08. 銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~
09. 上弦の月のオーケストラ 〜Stella Note Magic〜
10. 眠れる森の前奏曲 〜REVOIR〜
11. REBIRTH -the 3rd form-
12. FACT IS STRANGER THAN FAKE!!!!
13. REMEMBER
【ライブ情報】
●「REX COUNTDOWN ’22-’23」
12月31日(土)〜2023年1月1日(日)渋谷REX
出演:ACME、アンフィル、KiD、SPLENDID GOD GIRAFFE、ZOMBIE、DaizyStripper、直、THE MICRO HEAD 4N’S、mitsu、ユナイト、我が為
●「FINAL 2022」
12月31日(土)EDGE Ikebukuro
出演:Awak、アマミツゝキ、怪人二十面奏、鐘ト銃声、SPLENDID GOD GIRAFFE、DuelJewel、heidi.、The Benjamin、THE MICRO HEAD 4N’S、マチルダ、ミスイ、mitsu、夜、LIPHLICH、LAY ABOUT WORLD
●「cultivate common values ♯4」
2023年1月27日(金)EDGE Ikebukuro
出演:ZIZ、THE MICRO HEAD 4N’S、DuelJewel
●「THE MICRO HEAD 4N’S VS OFIAM」
OFIAM VALENTINE LIVE
2023年2月18日(土)原宿RUIDO
THE MICRO HEAD 4N’S VALENTINE LIVE
2023年2月19日(日)原宿RUIDO
●KEKE B.D LIVE
2023年6月30日(金)
●2023年7月下旬より全9箇所を巡るツアー