2022.12.17
Luv PARADE vs H.U.G@赤羽ReNY alpha

H.U.G

ex.D’ESPAIRSRAYのKaryu(G)、ZERO(B)、TSUKASA(Dr)によるLuv PARADEが今年再始動し、6月と9月には主催イベント「DEVIL’S PARTY 2022」をSpotify O-EASTにて開催してきたが、このたび赤羽ReNY alphaを舞台に行われたのは、Luv PARADEと同時に動き出したH.U.Gとのツーマン公演。H.U.Gは“Karyu Session BAND”として、ヴォーカルのryo(HOLLOWGRAM)、マニピュレイターの横山和俊との3人編成で6月の「DEVIL’S PARTY」にて初ステージを踏み、9月の同イベントからバンド名を“H.U.G”とし、正式始動となった。つまり、Luv PARADEとH.U.Gの両ステージに立つKaryuに至っては“一人ワンマン”という一夜を迎えることとなった。

ryo(Vo)

先攻はH.U.G。先述の通りこの3人が共にステージに立つのは今回で三度目、H.U.Gというバンド名では二度目にして、初のサポートメンバーを迎えたバンド編成での公演になることが事前にアナウンスされており、Karyuの長年の悪友(親友)だというNAOKI(B/FANTASISTA、ex.Kagrra,)と、Angeloで約10年の歳月をKaryuと共に過ごしてきたTAKEO(Dr/Angelo、ex.PIERROT)がその役割を担った。ちなみに、ryoと横山和俊もKaryuとは長年の付き合いながら、今年初めて共にバンドを組んだわけで、言わばこのステージはKaryuの音楽人生における重要人物たちが集結したものであるとも考えられる。また、TAKEOにとっては1月のAngelo活動休止前ラストライブ以来初のステージであり、実に11ヵ月ぶりの表舞台となったことも付記しておきたい。

Karyu(G)

機材トラブルにより無音の中メンバーが登場せざるを得なくなるといういきなりのアクシデントに見舞われながらも、初っ端から新曲「DON’T DOUBT」を叩きつけたH.U.G。インダストリアルロックなヘヴィーサウンドが印象的なKaryuらしさが光る楽曲であり、これはやはりこのバンド編成だからこそ本領を発揮するものに違いない。なお、過去2ステージでヴィジュアルをガラリと変えてきた彼らだが、ロック色が強い今回の新たな装いはこの新曲のイメージにもピタリとハマる。

次いで前回のステージで初披露した「DROP」では早くもフロアが一体感のあるノリを見せ、ファルセットとシャウトを駆使したryoの歌声が際立つ「熾-OKI-」から、深淵なる音の渦へと誘う「Marry of the blood」(D’ESPAIRSRAY)へ。元々ryoと横山によるユニットTAGの楽曲であるゆえ打ち込み要素が強い「Flash dancers」は、三度目のパフォーマンスにしてもはやH.U.Gの鉄板曲と言えるほどの魅力を放っていた。また、MCでは久々のステージとなったTAKEOに話を振る場面もあり、「すごく気持ち良くやらせていただいています。大人しく見えるけど、中ではメラメラ燃えていますので、音と一緒に受け止めてもらえたらと思います」と、安定の彼らしい姿を見せてくれたのだった。

横山和俊(Manipulator)

後半では「昨今の世界情勢とか、追い詰められた逃げ場のない人たちへ向けた愛の歌なんだけど、争いとか戦争は人と人同士でしか生まれないから、心に愛を持って生きていきましょうという歌です」というryoの言葉から、さらなる新曲「LOVE THAT NEVER ENDS」を初披露。ドラマティックでエモーショナルな、これまでのH.U.Gにはなかったミディアムナンバーが誕生した。そこから一転、「騒いでください!」(ryo)と突入した「HUG」では、KaryuとNAOKIがスイッチしたり、横山とTAKEOがアイコンタクトをとりながら同じビートを叩いたりと、バンド編成ゆえのこれまでとは異なるステージングも見られた。

ラストナンバーへと入ろうとしたところで、再びのトラブル(横山曰く、「HUG」の途中でインターフェースの電源が落ちていたとのこと)が発生したのだが、「こういう時は皆でもっと楽しんでくれれば、良い思い出になるよ?」(ryo)という言葉をきっかけにryo、Karyu、NAOKI、TAKEOの4人がセッションで繋いだ場面はさすがの一言。気を取り直して「今度こそ確実に届きますように」(ryo)と、キャッチーな「HEART」でこの日のステージを鮮やかに締め括ったのだった。

Luv PARADE

後攻はLuv PARADEのステージ。ゲストヴォーカルはこれまで同様にTAKA(defspiral)が務めたわけだが、Karyu、ZERO、TSUKASAが定位置についたのち、TAKAが黒のレースの布で目を覆っているヴィジュアルで登場したのがなんともエロティックで、かなりのインパクトだったことをまずお伝えしたい。メンバー3人がLuv PARADEというバンドをTAKAありきで考えていることはもちろんだが、これはTAKA自身も“ゲストヴォーカル”という域を越え、Luv PARADEの一員としてステージに立っている意識の表れの一つでもあるのではないだろうか。ちなみに終演後のTAKAに話を聞いたところ、あの目隠しは彼自身のアイディアとのことで、まさに筆者の考えに確証を得た気がした。

TAKA(Guest Vo)

Luv PARADEは11年ぶりの再始動を機にカバー曲の選曲基準を熟考し、自分たち自身とは全く異なるジャンルかつ女性ヴォーカルの楽曲をセレクトするという結論に行き着いた。その点では過去2ステージで披露してきた「Toxic」(Britney Spears)、「Poker Face」(Lady Gaga)、「HYPER BALLAD」(Bjork)を今回も引き続きプレイしたわけだが、ツーマンということで当然曲数を追加する必要があり、今回新たにお披露目となったのが「BAD GUY」(Billie Eilish)と「sk8er boi」(Avril Lavigne)だった。

Karyu(G)

1曲目を飾ったのが「BAD GUY」であり、また意外な選曲とアレンジに度肝を抜かされることになったのだ。TAKAのフェイクはやはり絶品であるし、Karyu、ZERO、TSUKASAによる重低音のアウトロはもはや別の新曲(良い意味で)。また、こんなにも激しく妖艶なこの曲を他では聴くことができないであろう「Toxic」や、「好きにやってください!」(TAKA)とスタートしたラヴパ流ロックver.のダンスチューン「Poker Face」はもう完全に彼らの鉄板曲となったし、「HYPER BALLAD」は広大な景色を思わせる音作りとTAKAの圧倒的な歌唱力が観る者を一気に引き込んでいく。

中盤から後半は彼らの歴史を彩ってきた楽曲たちを。「皆でダンスフロアにしましょう」(TAKA)と「LOVE IS DEAD」(D’ESPAIRSRAY)ではカラフルな照明が明滅する中ハンドクラップが鳴り響き、続いてTAKAのシャウトが空間を切り裂いたハードナンバー「BITE THE BULLET」(the Underneath)を、そしてフロント3人が前方へと迫り出しD’ESPAIRSRAYの代表曲「MIRROR」が投入されれば、フロアは待ってましたと言わんばかりの白熱ぶりを見せたのだった。

ZERO (B)

アンコールでは、あの瑞々しいキュートな「sk8er boi」がヘヴィーでアダルトなロックナンバーに変貌を遂げたかと思えば、「初のツーマンなのでセッションをしようかな」というTAKAの言葉を合図にryoと横山がケーキとともに再登場し、サプライズでKaryuの誕生日を皆で祝福。「僕がきっかけではあるんですけど、メンバーの皆さんにスケジュールを合わせてもらって、こうやって活動できているのも皆さんのお陰なので…全員に感謝しています!」と、Karyuはその思いを告げたのだった。そして、過去2回のステージではヴォーカルレスで演奏されていたD’ESPAIRSRAYの「DEATH POINT」をTAKAとryoのツインヴォーカルでプレイし、フロアに上がる満場の拳とともにラストシーンを迎えたのだった。

TSUKASA(Dr)

この日、両バンドから新情報が発表された。H.U.G は2023年3月24日にSpotify O-WESTにて待望の1stワンマンライブを開催。今回同様にNAOKIとTAKEOがサポートを務める。「まだ動き出したばかりで突っ走っているバンドなので、フルサイズのワンマンになるかわからないけど、お試しという感じでH.U.Gだけのタイムスケジュールで動いてみたいなと思っていますので、ぜひ皆さん集まってください」(ryo)とのこと。

そしてLuv PARADEは、2023年3月に初の東名阪ワンマンツアーを開催。こちらもこれまで同様にTAKAがゲストヴォーカルを務める。「来るって約束してもらっていいですか?」(Karyu)、「ハードル高いですけど、楽しんでいこうぜ!」(ZERO)、「今年は寅年なので、兎を追いかける勢いで行くぜー!」(TSUKASA)、「特殊なバンドだけど、何でもアリでいいんじゃないですか」(TAKA)とのこと。また、両バンドがワンマンということで、Karyuは「曲数が足りないというプレッシャーと戦って頑張ります」という言葉も残したのだった。それぞれがどんなステージを魅せてくれるのか、ぜひ見逃さないでほしい。

◆セットリスト◆
【H.U.G】
01. DON’T DOUBT
02. DROP
03. 熾-OKI-
04. Marry of the blood/D’ESPAIRSRAY
05. Flash dancers/TAG
06. LOVE THAT NEVER ENDS
07. HUG
08. HEART

【Luv PARADE】
01. BAD GUY/Billie Eilish
02. Toxic/Britney Spears
03. Poker Face/Lady Gaga
04. DEVILS’ PARADE/D’ESPAIRSRAY
05. HYPER BALLAD/Bjork
06. LOVE IS DEAD/D’ESPAIRSRAY
07. BITE THE BULLET/the Underneath
08. MIRROR/D’ESPAIRSRAY

En
09. sk8er boi/Avril Lavigne
10. DEATH POINT/D’ESPAIRSRAY

(文・金多賀歩美/写真・岡本麻衣(ODD JOB LTD.))


【ライブ情報】
●Luv PARADE Tour PANDEMONIUM
ゲストヴォーカル:TAKA(defspiral)
2023年3月3日(金)OSAKA MUSE
2023年3月5日(日)名古屋 SPADE BOX
2023年3月8日(水)duo MUSIC EXCHANGE

<Luv PARADE/Karyu FC同時先行(抽選)>
2022年12月28日(水)12:00~2023年1月10日(火)23:59
<一般発売(先着)>
1月28日(土)10:00〜

Luv PARADE オフィシャルサイト

●H.U.G 1st Showcase One-Man Live「SHOWCASE01」
2023年3月24日(金)Spotify O-WEST
※詳細は後日発表
※FC先行販売は2023年1月を予定

H.U.G オフィシャルサイト