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Plastic Tree

Plastic Tree

約2年ぶりとなるニューアルバム『十色定理』が完成。
個性豊かな“十色”のPlastic Treeに酔いしれる。

約2年ぶりとなるPlastic Treeのニューアルバム『十色定理』が遂にリリースを迎える。新録曲全てにおいて1曲の作詞作曲を同じ人物が手掛けるという新たな試みにより、メンバー4人×各2曲=8曲が生み出され、シングル曲を加えた全10曲が収められた今作。さらに完全生産限定盤として、「10」という数字をキーワードに、前代未聞と言える超豪華仕様のBOXセットが完成した。タイトル通り十色の個性が強く打ち出された今回の作品について、Plastic Treeの4人にじっくりと話を聞いた。

◆作った人が曲を最後まで看取るみたいな形(有村竜太朗)

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――全員揃っての登場はアルバム『doorAdore』(2018年3月)以来となります。

有村竜太朗(以下、竜太朗):あら、意外と結構経ちましたね。

――今作のタイトル『十色定理』は、収録曲10曲の全体像が見えてから決まったのでしょうか?

竜太朗:何回かタイトルのミーティングがあったんですけど、最終的に決まったのは曲が全部出揃って、レコーディングの終盤だったと思います。

――四色定理(「平面上のいかなる地図も、隣接する領域が異なる色になるように塗り分けるには4色あれば十分だ」という定理)から着想を得た造語ということで。

竜太朗:はい、これは正君の案でした。

――10曲全てが異なる色を目指しての制作だったのか、結果異なるものになったのかで言うと、どちらになるのでしょうか。

長谷川正(以下、正):そこは偶然の一致みたいなところはあるんですよね。曲の内容的にも、特別バラエティーに富んだものにするとか、そういうコンセプトがあったわけではないので。ただ、皆が持ち寄った曲が各々キャラクター性が強くて、10曲並べた時にそれぞれの色があって、本当にタイトル通りのものになったなと思います。

――色々な角度のプラらしさが全部盛りの作品だなと思いました。

正:そうですね。10曲というのはアルバムのサイズ感で言うと決して多いほうではないんですけど、それで十分バンドの持ち味を出せているなと思います。

――シングル曲を除いて、それぞれ詞曲の作者が同一という今までにない形ですが、これに関しての発案者はどなたなんですか?

竜太朗:僕ですかね。全員2曲ずつになったのは何となくそうなっただけなんですけど。前回は作曲者と作詞者が違って、コンポーザー的な部分で色々とミックスしてやっていたんですけど、今回はどの曲もそれぞれ良い形で個性が強く出ていたので、プリプロも逆にスムーズで。アイディア出しとか、そのままやったほうがいいところは、そのままやったり、そういう作業がすごく早く進んだので、自分の中では順調だなぁという感じがあったんですよね。だったら最後の大仕事の歌詞書きは、作った人が曲を最後まで看取るみたいな形がいいんじゃないかなと言ったら、皆「今回はそうかもね」という感じになりました。だから割と後のほうで決まったんですけど、結果良かったんじゃないかなと思います。

――歌詞の産みの苦しみは普段と同じでしたか?

正:やっぱり歌詞を書くという作業自体は、一緒じゃないですかね。

竜太朗:自分の曲でも人の曲でも、同じですね。曲が持っている元々の意思みたいなものによるというか。気まぐれに書いたものがハマる場合もあれば、熟考に熟考を重ねて全て計算ずくで書かないと壊れちゃうものもあるし。

――個性が強いというお話もありましたが、割とどれが誰の曲かわかりやすいなと。皆さん、自分の色を濃く出そうという意識はありましたか?

正:それぞれ何か考えはあるんでしょうけど、聴く限り、それぞれがやりたい曲なんだろうなという感じはデモの段階からありましたね。

――アキラさんはいかがですか?

ナカヤマアキラ(以下、アキラ):あんまり考えないね。例えば100曲並べた時に「俺を見つけてくれよ!」っていう、わかることを置いていくみたいな考え方ではないけど、もちろん一聴してカッコいいものを書きたいし、スルーされるような曲は書きたくないというのはあるよね。それが俺らしさを出したいのかと言われれば、そうなのかもしれない…という答えでいいでしょうか(笑)。

――意図して自分らしさを出しているわけではなく、好みを出すと、そういう結果になるということでしょうか。

アキラ:まぁ…好んでいるんでしょうね(笑)。出来たものに対してあまり深く自分で解析を入れたことがないので、そう言ってもらえるのであれば、そうなのかもしれないねぇ。

――ケンケンさんはいかがですか?

佐藤ケンケン(以下、ケンケン):んー、カラー…難しいですね。今回に関してはストック曲から出したんですよ。どちらも5~6年くらい前の曲なんです。3人が作らなそうな曲を作るということと、ライブを自分なりに想定して、イメージしながら作るというやり方なんですけど…だから、自分っぽさということではないのかもしれないです。自分っぽさではなく、3人っぽくない曲という感覚で作りました。

◆プラのアルバムの導入ってこういう感じかなと(長谷川正)

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――シングル曲以外の各曲について順に伺っていきたいと思います。正さん作詞作曲の「あまのじゃく」が1曲目ですが、オープニングSEのような始まり方で、冒頭インスト部分が約2分あってからメインイントロに入っていきます。これは1曲目を想定して作ったのでしょうか?

正:そうですね。結果そうならなくてもいいかなとは思いつつ、何となくイメージとしては1曲目かなというスタートでした。

――こういう楽曲を1曲目に入れられるのがプラの強みだなと思います。

正:らしさという部分で言えば、プラのアルバムの導入ってこういう感じかなというのも自分の中であって。冒頭の部分は、過去にそういう演出でライブをやったことがあったんですよね。「テント」かなぁ。ナカちゃんのギターから始まって。ああいうのをちゃんと作品として残しておくのもいいかなと思ったんですよね。

――なるほど。これは別れの曲という解釈でいいのでしょうか?

正:色々と解釈ができるとは思います。ただ、決して前向きなものではないとは思うんですけど、曲から連想して出来た歌詞ですね。

――まさに楽曲のムードが表現されている歌詞ですが、春、恋、幻、嘘…随所にあるワードが儚くて綺麗で切ないのが、正さんらしいなと。

正:これはフォークですね(笑)。まぁやっぱり歌詞に関しては、曲の印象に則って書いたというのが強いです。

――浮遊感の塊のような曲で、サビのヴォーカルがずっと高いキーを漂う感じですよね。

竜太朗:サビ以外は逆に割と低いんですけどね。ちょっと変わったタイプの曲だったので、そこはとても難しかったし、歌を把握するまで時間がかかって、結構最後までデリケートな曲でしたね。やり甲斐がある曲でした。

――ちなみに、この楽曲は7分超えなんですよね。

正:そうですね(笑)。他が割と凝縮された曲が多いので、こういうのが1曲くらいあっても面白いかなと。

――『doorAdore』の時も「いろつき」が7分超えで、インタビュー時の皆さんの反応が面白かったです(笑)。

竜太朗:何て言ってました(笑)?

――「本当ですか。ウケる」「わー、そうか!」と(笑)。

全員:(笑)

正:アウトロが長かったからね(笑)。

竜太朗:フェードアウトするつもりが、気まぐれでまた戻したから(笑)。

――2曲目はアキラさんによる「メデューサ」ですが、イントロのインパクトがアキラさんらしいなと。だけど、曲としてすごく変わっているわけではなく、バンド感のある曲ですよね。

アキラ:ありがとうございます! これはパッと書いたら「わ、これは割と良い曲なんじゃん?」と思って、シングル『潜像』(2019年9月)の時にc/w用として持って行ったんですけど、その時は「IC」になったので、じゃあアルバムでいいやくらいのフットワークの軽さでした。で、アルバムの制作時期になって、やっぱりこれをやっておくかという感じで選んだんですけど、「ちょっとこれすげー良い曲だな、ビックリしちゃう」って、人の曲の感想を言っているみたいな感じになっちゃって(笑)。

――客観的にカッコいいと思えるのは、良いことですよね。

アキラ:もう客観的にならざるを得ない感じで、「すげー良い曲じゃん」って言いながら作業してたね(笑)。

――歌詞もアキラさん節だなと。

アキラ:そうかな(笑)。いつもの書き方ではいかんと思って、もっとキッチリやらなきゃいけないなと意識して書いたんですよ。それも書きながら意識したのではなくて、最初から「よし! 良い曲だなと思った気持ちを忘れずに頑張ろう!」と。他の曲は手を抜いているみたいに捉えられそうだけど、そういうことではないですよ(笑)。

――(笑)。〈マネキンヘッド〉がめちゃくちゃパワーワードだなと思って。

アキラ:マジですか! そう言っていただけるとありがたいです。

――歌詞を覚えるのが難しそうだなと思ったのですが、いかがでしょう?

竜太朗:まだバンドとして実演はしていないので何とも言えないんですけど、多分そんなことないと思いますよ。レコーディングの時、いつもいっぱいいっぱいなのはどの曲も一緒なんですけどね。まぁ、確かにこの曲は字数は多いですね。

――「C.C.C.」は「プラっと語リー酒」のトレーラー映像で、竜太朗さんが「タイトルは何でもよくて」と言っていましたが。

竜太朗:あれは誤解を与えてしまいそうな言い方ではあるんですけど(笑)、何でもよかったとも言えるし、あだ名みたいな名前でいいかなという感じだったんですよね。歌詞も曲に触発されて割と気分で書いたものだったので、あまり熟考してという形ではなく、曲に沿って素直に書いていったという感じで。テーマを決めたわけでもなく、ズラズラズラっと書いちゃったので、「あれ、タイトルどうしよう」と変に悩んじゃったんですよね。最終的にはメロディー的に一番残るところで、自分の中で遊んだ感じで付けました。すごくくだらないんですけど、サビの〈愛しい 狂しい 眩しい〉〈恋しい 哀しい おかしい〉で全部「しい」と言っているので、そこから。

――あ、なるほど!

竜太朗:それと、ザ・タイガースの「シー・シー・シー」(1968年7月リリースのシングル)という曲の動画を見ていて、あの時代に皆で〈シーシーシーシー〉言っているの、すごくお洒落だなと思って(笑)。そういう個人的な感覚で付けました。曲自体も、僕のイメージとしてはあまり深く考えずにやれる曲というか。適当に楽器を持って、適当に歌ってジャカジャカやって、好き勝手ノッていればいいというイメージだったので、タイトルもあだ名みたいな感じがいいなと思ったんです。

――トレーラー映像の中で、アキラさんから「ほぼ丸投げだったね。録りに来ない」という発言もありましたが(笑)。

竜太朗:レコーディングに関してですね。リズム録りには行ったんですけど、ギターやベースは俺が言うところでもないしなぁと。この曲に対しての音像のこととかは、俺より二人のほうがよっぽど得意分野だし、愛してくれているだろうという感じで。プリプロも順調だったし。まぁ、録りはほとんどの曲がスタートと自分の録りの時以外、丸投げですけどね(笑)。一応、毎日顔は出すんですけど、大体終わっちゃってるんですよ(笑)。

――(笑)。この曲はギターソロもカッコいいなと。

アキラ:ありがとうございます! カッコいいと言われるようにやってみましたっ。

――プラの場合、ギターソロの有無はかなりマチマチなので、「おっ、これは入っている!」と思って。

アキラ:確かに、今回は3曲くらいしか弾いてない。いつもそんなもんか。そしたらカッコいいの弾こう!って思うよね。

――ライブでの見どころでもありますね。次はケンケンさんによる「remain」です。先ほどのお話の通り5年程前からあった曲とのことですが、それが今回再び浮上したきっかけというのは?

ケンケン:んー、やっぱり出ている曲の中で、この「remain」と「月に願いを」は違う感じの曲かなと思って。

――Aメロのギターフレーズが印象的だなと思ったのですが、デモ段階からこのような形だったのでしょうか?

ケンケン:ド頭のエレキは、元々はアコギのイメージだったんですけど、アキラさんからの提案でエレキになりました。結果、良かったですね。この曲は最初のイメージから割と変わりましたね。元々はもうちょっとこじんまり、チョコチョコやっているようなイメージだったんですけど、俺が思っている以上にアメリカンな感じになりました。

――ABメロの歌メロは絶妙な音の流れ方をしているなと。不安定な感じというか。

竜太朗:あー、滑っているメロディーなんですよね。

――そして、サビの切なさがキュンと来ます。

ケンケン:メロディーもちゃんと見直してくれたので、こっちの運びのほうがいいんじゃないかという意見を取り入れつつ進めていきました。もうどこだったか忘れちゃいましたけど。

竜太朗:多分サビじゃないですか(笑)。サビを作ったのは正君じゃないかな(笑)。ABはケンちゃんのままだけどね。サビとDメロはバンドで結構見直しました。

ケンケン:忘れちゃうもんですね。どこをどう変えたか、もう覚えてないです。

竜太朗:自分が作っていたデモを聴けばわかると思う(笑)。