特集-Special Feature-

◆時間を止めるような生き方はくだらないし意味ないよ

KOHTA

――アルバムとしてオープニングと同様にエンディングも大切だと思いますが、どのようなエンディングを描くべく、「RESISTANT BACTERIA」をラストに持ってきたのでしょうか?

キリト:リアルで目を背けたいような色々な感情を積んでいくんだけど、やっぱり最後にはそれを踏まえて開き直る強さというか。色々な辛い感情やどうにもならない現実を並べておいて、最後に「で?」っていう(笑)。例えば、「こんなに辛いんです」っていう話を僕が相談されたとするじゃないですか。「なるほどね」って本当に親身に聞くんですよ。そして最後に「辛いのはわかった。で、どうする?」っていうところに繋げなきゃダメなんです。力強さ、前に向かうポジティブな気持ちに繋げる。そこで「色々辛いから、もうダメだね」で終わっちゃいけない使命感は多少は持っているんですよ(笑)。そういう意味で、この楽曲はそういう強さがありますよね。色々なものに対する答えというか、『HETERODOX』=異端、異教という言葉を逆手に取って、「evil」「胎動」とか精神的にギリギリな状態を並べながらも、最後には「だからどうした」と言えるくらいの開き直りの強さがこの曲にはあります。

――サビの部分の歌詞も、ファンの方々はグッと来るだろうなと思います。

キリト:こういう言葉を待っている人たちもいっぱいいると思うし、作っている自分の感覚としては「胎動」で言っているような、未来に不安を持っている幼い時の自分に対して言っているようなところもあります。そのために今の自分が強くなきゃいけないとか、どこか過去の自分に対して責任を持とうとしている今の自分というのが常にいる気がするんですよね。

――ライブのMCでもよく「過去も後悔は何一つない」と言っていますよね。

キリト:人間が生きているというのはゲームじゃないから、何か違うなと思ったからってリセット、リスタートできるわけではないじゃないですか。一見そう見えたとしても、同一線上の変化だと思うんですよ。なかったことにはできない。バンドが変わろうと、例えば離婚して再婚しようと、会社を変えようと、それでリセットされるわけではなくて、その人の流れというのは1本の線上にあるでしょ。そういう意味で、切り捨てる気がないというのは、そういうことがあった上で今があるから、結局全て必要だったということになりますよね。

――そうですね。でも、言い切れるというのはすごいことだし、ファンの方々にとっては何よりも心強いと思います。

キリト:真剣に生きていれば、絶対にそうなると思いますよ。生きていれば、誰だって色々な波がありますよね。それが結構平坦な人もいれば、波が激しい人もいるだろうけど、誰もが良い時も悪い時もある。だけど、過去を振り返って良い時のことばかり見て今を生きるという、そんな生き方は悲しいじゃないですか。それをどう評価するかというのは他人の価値観であって、自分の価値観で考えれば、何がどうであろうと過去より今のほうが良いんですよ。それは毎日真剣に生きてきたからこそ言えるんだと思います。例えば、PIERROTが解散してから11年間、僕が引きこもっていたとしたら、この間の横浜アリーナ(7月7日、8日に行われたPIERROT×DIR EN GREYによるジョイントライブ「ANDROGYNOS」)は有頂天になって、どうにか過去に戻ろうとしているかもしれないですけど(笑)、さらさらそんな気はなくて、そこから11年間真剣に生きてきているから、何が大事なのかは言わなくてもわかるでしょっていう。ファンの人たちの中にはどうしても時間を進められない人もいるかもしれないけど、少なくとも僕は真剣に生きているんですよ。

――それは伝わっていると思います。

キリト:そういう人たちには、どんなに波があろうと、過去より今のほうが良いと言える生き方をしなきゃつまんないでしょ、時間を止めるような生き方はくだらないし意味ないよって言いたい。気持ちはわからなくもないけど、時間なんて自分の意思で止められるもんじゃないからって(笑)。

――「Resolve」にも〈踏み出せば変わりゆく 戻れないことを受け入れ 扉開く〉という歌詞がありますね。

キリト:そうそう。去年より今年のほうが良いし、今年より来年のほうがもっと強くなっているだろうし、という生き方を僕はしてきたつもりで。でも、皆がそういう生き方ができればいいんでしょうけど、なかなかそうもいかない人もいるかもしれないので、だからこそこういう考えが少しでも伝わればいいなと思うんですよね。

――時が止まってしまっている方に、ぜひ聴いてほしいし読んでほしいですね。

キリト:僕はバンドでメジャーデビューしたのが26歳で今45歳。およそ20年経っていますけど、20年前の自分より今の僕のほうがあらゆる面で…可愛いですよね(笑)。外も中も、今のほうが優れていますよ(笑)。だから、過去より今なんですよ。そういう風に自分を信じて生きていれば、案外そうなっていくものだと思うんですよね。26歳でデビューした頃は、10年後、20年後の自分のほうがどんどん良くなっていくとは、1ミリも思っていなかったですからね。

◆誰にも負けないということ

TAKEO

――先ほど今年の横浜アリーナのお話が出ましたが、2014年のPIERROT再結成(10月24日25日@さいたまスーパーアリーナ)と今回では、キリトさんの中で感覚の違いはありましたか?

キリト:あんまりないですね。ブランクとかも関係なくて、PIERROTのキリトとしてステージに出ればPIERROTのキリトになっていて、Angeloのキリトとして出ればAngeloのキリトになっているから、意識しなきゃというのも全然なくて、勝手にスイッチが変わるというか。

――2014年のステージを終えた後のインタビューで、「登りかけの山をきっちり登るのがすごく楽しみなことだなと。そういう意味で今のAngeloというのは、頂上に到達する力を十分に持っているから、その景色を見なきゃいけない」と言っていましたが、今のお気持ちとしてはいかがですか?

キリト:今もその気持ちは変わらないです。思い描いている通りに物事は進んでいますよ。怖いくらいに(笑)。不思議と繋がっていくんですよね。

――では今後のAngeloの展望を教えてください。

キリト:僕が今歩いている道は、参考にする前例がどこにもないんですよ。だから、自分の感覚でどこまで研ぎ澄ましていくかでしかないと思っているんです。周りをあまり見ていなくて、とにかく自分の中で鋭く磨き上げているだけなので、僕がやっていることに対するちゃんとした評価というのは、もしかしたら…死後50年後くらいになるかもしれない(笑)。世間が理解するのに、どうしても時間差があるからね。それは…困るけど(笑)。でも、作品やライブ、バンドの動きに関して誠実に向き合っていれば、ちゃんと音楽に対して手を抜かずに向き合っていれば、必ず結果は伴うと思っています。

――ちなみに、「この5人で必ずトップを取る」ということも言っていますが、キリトさんにとってのトップとは?

キリト:…誰にも負けないということですね。ただ、音楽というのはスポーツや格闘技と違って、わかりやすい結果ではないから、そうなるとやっぱり向き合う気持ちというか、どこまで真剣か、どこまで命懸けでやるかというところになると思うんですよ。そういうところでちゃんとやっていきたい。そうすれば、結果誰にも負けないバンドになっていると思います。わかりやすくCDのセールスやライブの動員がどうかということを突き抜けているところだから、いちいちそれを口にしなくてもファンの人の中では1番だろうし、自分にとってもそうであれば、既に1番なのかもしれないけど、この日本の音楽業界の中で商業的にやっているという意味では、誰にでもわかる結果というのも出していかないといけないと思っています。

(文・金多賀歩美)

ARTIST PROFILE

Angelo

<プロフィール>

キリト(Vo)、KOHTA(B)、TAKEO(Dr)の3人により結成され、2006年8月に正式デビュー。2011年8月、Karyu(ex.D’espairsRay)とギル(ex.ヴィドール)のギタリスト2名を迎え入れ、新生Angeloとして動き出す。同年10月、5人での初のアルバム『BABEL』をリリース。その後もリリース、ライブ活動を精力的に展開。2015年にはパシフィコ横浜公演を成功に収め、『FACTOR』『RESULT』のEP盤2作をリリース。2016年、アルバム『CORD』をリリースし、TOKYO DOME CITY HALLにて10周年記念ライブを行った。また、夏恒例の主催イベントは2017年で5回目を迎えた。ニューアルバム『HETERODOX』を手に、10月4日には豊洲PITでの11周年記念ライブ、11月から全国ツアーの開催が決定している。

■オフィシャルサイト
http://angeloweb.jp

【リリース情報】

『HETERODOX』
2017年9月27日(水)発売
(発売元:ブロウグロウ 販売元:ソニー・ミュージックマーケティング)

HETERODOX
[初回限定盤]
(CD+DVD)
IKCB-9556~7
¥3,500+税
amazon.co.jpで買う
HETERODOX
[通常盤]
(CD)
IKCB-9558
¥2,800+税
amazon.co.jpで買う

【収録曲】

[CD]
01. SINGULAR
02. STRING
03. HETERODOX
04. ORIGIN OF SPECIES「ALPHA」
05. evil
06. Scheme
07. 胎動
08. Resolve
09. 際限ない渇き
10. RESISTANT BACTERIA

[初回限定盤DVD]
「evil」Music Video

【ライブ情報】

●Angelo 11th Anniversary「HETERODOXY」
10月4日(水)豊洲PIT

●Angelo Tour「REVERSAL OF HETERODOXY」
11月17日(金)EX THEATER ROPPONGI
11月22日(水)TSUTAYA O-EAST
11月23日(祝・木)YOKOHAMA Bay Hall
11月28日(火)新宿BLAZE
11月29日(水)新宿BLAZE
12月7日(木)umeda TRAD(旧AKASO)
12月9日(土)名古屋DIAMOND HALL
12月14日(木)広島CLUB QUATTRO
12月16日(土)熊本B.9 v1
12月17日(日)福岡DRUM LOGOS
12月23日(祝・土)札幌PENNY LANE24
12月25日(月)TSUTAYA O-EAST(FC限定)
12月30日(土)仙台Rensa