2012.11.27

Angelo@赤坂BLITZ

Angelo Tour 12-13「REFLECTIONS IN THE RETINA」

 

 

Angeloがニューアルバム『RETINA』を引っ提げ、全国ツアーをスタートさせた。ツアー初日、『RETINA』の楽曲を体感できるこの日を待ち望んでいたオーディエンスで赤坂BLITZは埋め尽くされていた。

 

オープニング映像が映し出されると、たちまち場内はAngeloという世界の空気に包まれる。そしてもちろんアルバムの収録曲でステージは幕を開け、新たな始まりを予感させてくれる。次々と披露される『RETINA』の楽曲たち。初日かつ初演の緊張感もありながら繰り広げられるその景色は、一瞬たりとも目が離せない。そんなある種特別な日、『RETINA』を聴きこんできたオーディエンスは、ようやくその音を体感できる嬉しさを放出するかのように、思い思いに暴れまくる。

タイトルトラック「RETINA」はアルバムの最後に収録されていながら、今後のAngeloの方向性の一つとなる重厚な楽曲。良い意味でアルバムのラストらしからぬこの曲が後半戦への起爆剤となった。「LOVE STORY」「FEATHER」でAngeloの決意と覚悟を改めて感じる。そしてステージは「SEVEN DEADLY SINS」から一層激しさを増し「PLOSIVE」まで熱を上昇し続け本編は終了となった。

 

アンコール、柔らかな光に包まれた舞台に優しく紡がれる音。オーディエンスはAngeloからのまっすぐな深い愛を全身で受け取る。すると空気は一変、ラストに向かいもちろん暴れ曲へと突入。完全燃焼を約束し、メンバーは勢いよくステージ前方に繰り出す。無邪気に暴れ回る彼らとそれに応えるオーディエンス、双方の熱が充満したその景色はとても美しかった。

ツアーは始まったばかり。ここから各地を巡り『RETINA』の楽曲がどんな成長を遂げるのか、楽しみでならない。また、途中のMCで、2月22日、23日の渋谷公会堂公演が発表された。キリト(Vo)の誕生日である24日の公演がないことを残念がるファンたちに対し「前夜祭として二日間愛してくれればいいじゃないか」とキリト。より強力に深化しているであろう『RETINA』の楽曲と愛に満ちた二日間をぜひ多くの人たちに感じてほしい。

 

 

この日のAngeloのステージを観ながらロックの原点を思った。元来“ロック”は心の叫びであり、その根源は社会に対する反抗心や怒りが主体だったんだよなと。キリトはライブのMCでも現在の音楽シーンや社会に対する疑問を冗談交じりに言ってのける。そして、バンドのフロントマンである彼の口から語られるその言葉とAngeloが作り出す音楽には、寸分の矛盾も生じない。「僕はミュージシャンなので、作品としてそういう世界観を作るだけで、それを聴いて何を感じてくれるかは自由」とキリト本人は言うが、その世界観のブレの無さこそがAngeloに引きつけられる要因の一つでもあり、彼らが生み出すものは大きな説得力をもつ。そんなAngeloに改めて魅了された一夜。次なる景色が観られる日を楽しみに待ちたい。

 

 

(文・金多賀歩美)