Angelo

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新生Angeloとして第1弾シングルとなる『Calvary』に込められた想い、5人体制となったバンドの今をキリト(Vo)とKaryu(G)が語る!

2011年、結成5周年を迎え、新たにKaryu(ex. D’espairsRay)、ギル(ex.VIDOLL)のギタリスト2人が加入し5人体制となった新生Angelo。アルバム『BABEL』をリリースし全国ツアーを駆け巡り、驚異のスピードで進化を遂げる彼らが次なる作品『Calvary』に込めた想いとは。話を聞くうちに、Angeloというバンドのリアルな今の姿が見えてきた。

◆愛ってすごく脆いものだと思っていて(キリト)

――新生Angeloの名詞代わりのアルバムとなった『BABEL』がコンセプチュアルな作品だったわけですが、それに続いて今回の『Calvary』が3曲とも聖書が題材ということで。これは『BABEL』から繋がっていると解釈して良いのでしょうか?

キリト:そういう意味もあります。『BABEL』もそうなんですけど、キリスト教というか聖書のモチーフを持ってくることと同時に、今の現実社会で起きている出来事をそういうものと被せているというか。もともと聖書って預言書の役割という解釈の仕方もあるじゃないですか。例えば最近起こった大災害っていうのはもしかしたら聖書で言っていたこのことなんじゃないか、みたいなリンクのさせ方もある。それをあえてモチーフに持ってきて置き換えたストーリーと、現実社会の今をどう生きるべきなのか、これをダブルミーニングで被せたという感じですね。

――PVに渋谷の街並みが入っていたりするのは、そういった意味合いが。

キリト:そうですね。

――「Calvary」には精神的な苦悩という意味もあるようなんですが?

キリト:あんまり苦悩は無いですね。決意表明というかもっとポジティブな力強さがあるというか。

――PVでキリトさんの後ろにある十字架に果実のついた蔦が絡まっているのが、「Forbidden Fruit」(通常盤3曲目に収録)を思わせて、今回のシングルは3曲で1つの作品なんだなと。一貫して結末が受身では無く能動的に未来を切り拓いていくという強い意思みたいなものを感じました。

キリト:そうですね。

――『BABEL』の1曲目がKaryuさん作曲のナンバーでしたが、今回もタイトル曲がKaryuさん作曲というのは意図的だったんでしょうか?

キリト:単純に一番良いと思う曲をシングルの表題曲に持ってくるし、アルバムの1曲目にしてもこの曲が相応しいんじゃないかというものを持ってくる。僕はチョイスするときは楽曲単位で考えますから、誰が作ったとかいうのは関係ないです。

――今回シングルをリリースするということで、各々楽曲制作をされて。何曲くらい出たんですか?

Karyu:アルバム作れるくらいですかね。

キリト:10曲くらいかな。

――楽曲が決まってから、タイトルと歌詞はどちらが先に?

キリト:タイトルですね。

――そこはコンセプチュアルという部分で?

キリト:先にコンセプトを決めて情報を発する必要があったんですよ。そして歌詞に関してはそのあと歌録りまでに作りました。なんとか間に合わせたという。なので、タイトル・コンセプトが先でした。…こんなこと初めてでした(笑)。

――そうなんですね。では普段は…?

キリト:普段は歌詞もある程度ざっくり作って、そこからタイトルを抽出するんですけど。今回は全くのゼロからタイトルだけを先に考えた直後に提出して、直後に公にしました(笑)。

――1月21日の名古屋でのライブで初披露されたそうですが、手応えはいかがでしたか?

キリト:本当に盛り上がっていましたよ。

Karyu:Angeloのファンって吸収力というか対応力がすごいなって。何回も聴いたかのような感じで盛り上がって。

キリト:あらかじめ言いますからね。そういうことにしろよって(笑)。

Karyu:でも本当にそうなっちゃうから、すごいですよね。

――さすがですね。今回サウンド的にはすごくロック色が強くてギターが前面に出ているなと感じたんですが、ツインギターであるKaryuさんとギルさんのやり取りはどんなふうに進んでいくのでしょうか?

Karyu:「Calvary」に関してはもう出来上がっていたので、これは(自分が)弾いて、これは(ギルが)弾いてという感じでしたね。他の2曲は僕もアイディア出してギルがアイディア出して、作曲者が「こうじゃない?」という感じでまたやって…伝わりますかね?この感じ(笑)。

――大丈夫です(笑)。コミュニケーションはすんなり?

Karyu:そうですね。アレンジに関してはさすがだなと思うところもあるし。お互いにちょっと欠けている部分があるんですね、そういう部分を上手く補い合えているなと思いますね。

――ベストコンビネーションなんですね。そして「SEVEN DEADLY SINS」で気になっていることが。「浅はかな愛の唄」というフレーズの部分が、ヴォーカルに歪ませた音が重ねられていて。そこにキリトさんの想いが集約されているのかなと。ここが楽曲の核になるんでしょうか?

キリト:強調していますよね。浅はかな愛の唄が世の中に溢れているなと思って。要は自分なりの愛情表現だったり…例えば愛って大切なものを守るとか、そのために戦うとか、それを言い出せば世の中にある戦争そのものも愛が根源になっているという考え方もできたりする。それはもう人それぞれの考え方で無限だと思うんですよ。だけどいま巷に溢れている愛の唄、平和の唄っていうのは、僕みたいなひねくれた男からするとちょっと浅はかに見えちゃうっていう。それは僕のひねくれた性格からくるものでもあって。だからこそ、僕が感じる愛を伝える唄というのは、時に表現がきつかったり、時に突き放したり、時に残酷だったりする言葉がいろいろ入り組んだ上での愛情表現だったりすることが多いので。まぁ多少アンチテーゼは入っていますけどね。世界中が「愛だぜ」って叫んで、みんな肩組んで、「いっせいのせ」で武器を捨てて、国境も無くして、「地球幸せじゃん」「宇宙万歳」って言えるんだったらそれでいいと思っていますよ。だけど人類はみんなが幸せを望んでいるはずなのに、なぜ核兵器を捨てない国があるのか、軍隊を捨てない国があるのか。そうやって保たれている平和、愛、これが今の現実なんだよっていう。愛ってすごく脆いものだと思っていて。ギリギリのもので保つのが愛や平和だと僕は思っているんですよ。

――今のお話を聞いて、このタイトルに「浅はかな愛の唄」というフレーズがすごくしっくりきました。

キリト:そういう人間の原罪というか、もともと持っている欲望…否定されがちな汚いと言われるような欲望、これを持っているのが人間だし、それを否定し続けたら矛盾が永遠に続くんじゃないかという想いもあって。だったら、それがあるのが人間で、汚れているし欲望もあるし罪も背負っているし、だけど生きなきゃいけない、だけど独りじゃ生きられない。じゃあどうやって付き合っていけばいいんだろう、思想も違う四方や敵対するかもしれないような人種と。それでも右手で握手して左手で殴り合わなければいけないのが国と国の付き合いだったりする、人間と人間の付き合いだったりする。こういうギリギリの緊張感で保って共存しなきゃいけないんじゃないかな人間てっていう考え方。綺麗事ばっか言うなよっていうことじゃないですか。

――本当によくわかりました。あとこの楽曲のサウンド面では個人的に「限りのある~」のブリッジがすごく素敵だなと思って。

キリト:あー。ありがとうございます。

――ここですごく救われる感が。

キリト:惚れますか?

一同:(笑)

キリト:すみません。

◆自分で自分に惚れます(Karyu)

――そして3曲目「Forbidden Fruit」はKOHTAさん作曲ですが、AngeloとしてはKOHTAさんの作品は3曲目ということで。出揃った楽曲の中からこれだっていうものが?

キリト:「Calvary」があって「SEVEN DEADLY SINS」があってという並びで考えたときに、僕の中で今回のシングルのコンセプトがライブに直結したヘヴィーな曲激しい曲、そういうコンセプトの上でバラエティーをつけたかったので。そういう意味ではテンポ感だったり曲のタイプが良い感じでバラエティーがついたなと。

――たしかに。「Forbidden Fruit」はイントロからヘヴィーなナンバーが好きな人にはたまらない曲だなと。楽曲の重さとサビの明るさのギャップ、さらにベースソロからギターが重なり合っていくところがすごくかっこよくて。5人なんだなということを感じるサウンドでした。今回の制作中、改めて「5人なんだな」と実感したり意識したりした出来事はありますか?

キリト:んー…出前注文する時とか。

一同:(笑)

――量がね(笑)。

キリト:5人前なんで(笑)。まぁそれは冗談ですけど。

Karyu:KOHTAさんの曲を制作しているときですね。一番みんなのアイディアが組み込まれた曲で、それぞれの良さが出て「あ、5人でやってる」感というのは一番出ていると思います。

キリト:原曲から一番形が変わったので、化けたというか。だからすごくバンドで作った感は強いですね。

――ライブで早く観たいなと思いました。アルバムのリリースがあって取材日現在ツアーの後半ですが、Karyuさんは加入してみてここまでの感想はいかがですか?

Karyu:俯瞰で見てもすごいバンドだと思いますね。成長率というか、曲にしても仕上がるテンポ感というか。『BABEL』にしてもほぼアドリブ的な感じで作ってきているんですよね。それでこの仕上がりっていうのが、やっぱりすごいバンドなんだなって。

――意外と客観視されているんですね。そのすごいバンドの中に自分がいるっていう…。

Karyu:はい。自分で自分に惚れます(笑)。