2019.11.21
Plastic Tree@市川市文化会館
Plastic Tree Autumn Tour 2019「holographic boy , imitation girl」

ロックを基軸に、幅広い音楽性で進化を続けるバンドPlastic Tree。9月4日に42枚目となるニューシングル『潜像』をリリースし、Plastic Tree Autumn Tour 2019「holographic boy , imitation girl」と題したツアーを行っていた彼ら。11月21日にバンドの地元である千葉の市川市文化会館でツアーファイナル公演が開催された。

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この日、台風19号のために延期されたPlastic Treeのツアーファイナル振り替え公演が開催された。10月12日に開催されるはずであったその公演は、秋ツアーの集大成でもあり、また今年で結成25周年を迎える彼らが、結成当時に想いを馳せて準備を重ねてきた特別な公演だった。

待ちに待ったその1曲目は今ツアーの定番「1999」。そして間髪入れずに「恋は灰色」へと続く。待ちに待っていた心を開放し、一斉に手を差し伸べる客席。続く「パラノイア」では、いつも以上にアグレッシブな竜太朗のアクションが、メンバー自身もこの日を楽しみにしていたことを伝えた。

MCを迎えると、竜太朗が「市川ただいま、やっと来られました」と挨拶。そしてこの日について「あの台風でその日の開催が絶望になり、やむなく中止となり、今日を迎えました。まずは今日を作ってくれた方々に感謝感激ザザ降りザザ鳴りです」と、竜太朗らしい言葉で語った。そして次なる曲は「今日は晴れてよかったです。台風去って、晴れのち『水色ガールフレンド』」。メンバーの口から直接語られた今日の主旨をしっかりと受け止めた海月たちが、かわいらしい振付でステージに気持ちを投げ返す。そして「グライダー」。爽やかな中に懐かしさを感じる楽曲が続き、曲が終わると頭上に掲げられたエンジェルのオブジェが暗闇に浮かび上がった。続く「シオン」では、天使に見守られる会場に美しいメロディーが響き渡り、まるで去りし日々を癒す鎮魂歌のようだった。

正が勢いよく叫んでから話し出す。台風についてあの日は本当にやらなくてよかった、と振り返り、また、今宵限りの特別仕様として用意されたオブジェについて言及。頭上の天使は、彼らが結成当時ホームグラウンドとしていた市川CLUB GIOに思いを馳せ、メンバーたっての希望で再現されものだという。「実際はこんなに大きくなかったけどね」と天使を見上げながら笑いを誘った。

中盤では9月にリリースされた最新シングル『潜像』のカップリング曲「IC」、はじけるような勢いが溢れる「エグジスタンシアリスム」、そして展開によってノリが次々と移り変わる「テトリス」で客席とバンドの一体感を高めていく。

大歓声の中、竜太朗が「楽しんでますか? こんなに待ったツアーファイナルもなかなかないので」と、数か月前の記憶を互いにたぐりながら、ツアー中、各地で竜太朗が展開してきた“スーパーギャグ”を交え、笑いどよめきながらの曲紹介。新曲「潜像」を披露した。そして、アキラの超高速カッティングによる「アイラヴュー・ソー」と、ご機嫌なロックチューンが続く。「ユートピアベリーブルー」で一転、ディスコになる客席。メンバーも所狭しと跳びまわり、客席の際まで近づいて同じリズムに身体を弾ませた。「念力」では、凄まじい低音によるうねりに合わせて、2017年の春ツアーで配布された「念力発光器」が客席を青く彩った。ものすごい熱気で、ステージと客席の温度が同じになる。

「楽しいねえ、楽しい時間もどんな時間も過ぎて行ってしまいますけど、何度でも巻き戻して再生したいので、僕らとどうか一緒に歌っててください」と紹介された「リプレイ」では、ステージ上方に紗のスクリーンが降り、そこにPlastic Treeの歴史とともに歩んだ原風景ともいうべきモノクロ写真の数々が投影されていった。当ツアーのテーマである新譜「潜像」は、そのミュージックビデオにもフィルム写真の現像に使用する暗室が登場しており、「holographic boy ,imitation girl」と題された今ツアーのお立ち台には暗室を思わせる赤いランプが内蔵されている。またその際の美術協力でもある寫眞館ゼラチンのモノクロプリントが会場の演出として無数に貼りめぐらされていた。その作品の数々が、心の叫びともいえる歌声に乗って大きくスクリーンに映し出されては移り変わっていく。まるでスクリーンを主役に引き立てるような暗い照明の中、一心不乱に掻き鳴らすメンバーたち。そのさまには胸を締め付けるものがあった。

しんと静まり返った会場に流れ出す「影絵」。セピアに染まるステージで、竜太朗が振り絞るように歌う。やがてその手に一束の紙。そこには、先ほど頭上に投影されていた写真の数々が焼き付けられている。まるでゆめとうつつの狭間をさまようかのような表情で頭上高く放り投げた最後の一枚が、はらりと床に落ちる音が聞こえた気がした。

アンコールでは、今ツアーで恒例となった「ケンケンがサイン入りドラムヘッドをプレゼントするコーナー」その名も『佐藤劇場』が最終回を迎え、惜しくも開催されることのなかった10月12日の分と、振替のこの日11月21日の分のプレゼントが用意された。さらには、この2つの日に挟まれた正のバースデーケーキも登場。その直後に演奏された「ガーベラ」が、11月の誕生花であることも心憎い。アンコール2曲目の「藍より青く」では、海月たちの大合唱にメンバーが耳を澄ました。

ダブルアンコールでは、竜太朗が改めて天使を見上げ、「あの頃を一番思いだせる曲」として「サイコガーデン」を披露。広大な市川市文化会館が、一瞬にして90年代のライブハウスになる。アキラと正のコーラスを共に叫ぶ海月たちの海に特効の銀テープが降りそそぎ、そして間髪入れずに「バリア」。それはまるであの頃のGIOへの、時空を超えた招待状のようであった。「楽しいので終わりたくない」「ファイナルな気がしない」などなど、口々にこの日への想いと感謝を伝えていくメンバー。竜太朗が銀テープについて「10月12日のままですが」と謝罪をするが、それもまた紛れもない彼らの歴史のひとつである。

そして最後は、これを聴かねば終われない「メランコリック」。心地よさそうに奏でる彼らの姿と音から、この日の約束を果たせた安堵感と充実感があふれるように伝わってくる。そして竜太朗の「千葉から生まれたPlastic Treeでした!」という言葉とともに、満を持して最後の音を打ち鳴らすと、すべての演奏が終了した。

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奇しくもふるさとの会場でのライブ延期を余儀なくされた彼らにとって、刻々と深刻さを増していく被害状況は、心を痛めずにいられるものではなかった。その千葉の復興のため、この日の物販エリアには募金箱が設置され、振替公演限定デザインTシャツの収益全額とともに「がんばろう!千葉 千葉県災害義援金」へ寄付することを決定。多くの募金が集まり、またTシャツも完売となった。

Plastic Treeの年内の活動は、毎年恒例となった年末公演を残すのみ。12月28日(土)パシフィコ横浜国立大ホールにて、「ゆくプラくるプラ~海月リクエストまひるのうた編~」「ゆくプラくるプラ~海月リクエストよなかのうた編~」の昼夜2公演を予定している。結成25周年に令和を迎えたPlastic Treeが次に見つめるものは何か。その進化はまだまだ終わらない。

◆セットリスト◆
01. 1999
02. 恋は灰色
03. パラノイア
04. 水色ガールフレンド
05. グライダー
06. シオン
07. IC
08. エグジスタンシアリスム
09. テトリス
10. 潜像
11. アイラヴュー・ソー
12. ートピアベリーブルー
13. 念力
14. リプレイ
15. 影絵

EN
01. ガーベラ
E02. 藍より青く
WEN
01. サイコガーデン
02. バリア
03. メランコリック


【リリース情報】
New Single『潜像』
2019年9月4日(水)発売

[初回限定盤A](CD+DVD)VIZL-1633 ¥1,800+税

[CD]
通常盤と同内容
[DVD]
「潜像」Music Video

[初回限定盤B](CD+ブックレット)VIZL-1634 ¥1,800+税

[CD]
通常盤と同内容
※豪華フォトブックレット付属

[通常盤](CD)VICL-37495 ¥1,200+税

[CD]
01.潜像
02.IC
03.潜像(Instrumental)
04.IC(Instrumental)

【配信情報】
Plastic Treeの旧作品はiTunes Store、レコチョク、mora主要サイト他、LINE MUSIC、Apple Music、AWAなど定額制音楽ストリーミングサービスでも一部楽曲配信中
iTunes Store:https://itunes.apple.com/jp/artist/plastic-tree/id151146953
レコチョク:http://recochoku.jp/artist/2000006145/
mora:http://mora.jp/artist/132118/all
Apple Music:https://itunes.apple.com/jp/artist//id151146953
LINE MUSIC:https://music.line.me/artist/mi0000000000fa7f16/album
AWA:https://s.awa.fm/artist/a25d92622945603ed217/?playtype=copy_artist&t=1492197063

【ライブ情報】
Plastic Tree年末公演2019
【第一幕】
ゆくプラくるプラ
~海月リクエストまひるのうた編~
12月28日(土)パシフィコ横国立大ホール
[開場/開演] 13:30/14:00

【第二幕】
ゆくプラくるプラ
~海月リクエストよなかのうた編~
12月28日(土)パシフィコ横浜国立大ホール
[開場/開演] 17:30/18:00

チケット料金:全席指定7,000円(税込)
※3歳以上有料/3歳未満入場不可

<チケット販売スケジュール>
プレイガイド1次先行:2019年10月4日(金)12:00~10月7日(月)23:59
市川市文化会館公演記念先行:2019年10月11日(金)12:00~10月15日(火)23:59
プレイガイド2次先行:2019年10月18日(金)12:00~10月21日(月)23:59
プレイガイド3次先行:2019年10月25日(金)12:00~10月28日(月)23:59
プレイガイド4次先行:2019年11月1日(金)12:00~11月5日(火)23:59
プレイガイド5次先行:2019年11月12日(火)12:00~11月18日(月)23:59※イープラスのみ
一般発売:2019年11月23日(土)10:00~

<プレイガイド>
・イープラス
・ローソンチケット [Lコード]73164
・楽天チケット
・チケットぴあ [Pコード]163-738

Plastic Treeオフィシャルサイト http://www.jrock.jp/plastictree/
レーベルサイト http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A023907.html