ライブレポート

2017.3.10
the GazettE@国立代々木競技場第一体育館
十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」

the GazettEが、国立代々木競技場第一体育館で十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」を行った。かつて彼らが掲げていた「大日本異端芸者」の名を冠してのライブとあって、昨年9月の発表からこのライブへの期待は高まり続け、チケットはもちろん即日完売。さらにライブ数日前にはメンバーのTwitterのアカウントが「RUKI」から「流鬼.」に、「REITA」は「れいた」へと変わったことも更なる燃料となった。

この日のチケットを手にした幸運な13,000人が隅々まで埋め尽くした代々木第一体育館。開演直前、「代々木に咲いた桜吹雪、散らせるもんなら散らしてみろい!」という影アナの言葉に応える咆哮が熱い。
そんな熱気溢れる会場に突然の暗転と沈黙が訪れた。アリーナ席の上空に光が差し、静かに降り注ぐ桜吹雪が照らし出される。その幻想的な景色に目を奪われていると、突如地鳴りのような和太鼓が轟き、宙にはレーザー光が飛び交った。光に導かれるままにステージに目をやれば、左右に「大日本異端芸者」「暴動区愚鈍の桜」の巨大な幟。そのステージ後方、ひときわ高い壇上に白い軍服に身を包んだ5人が姿を現すと、悲鳴のような大歓声が沸き起こった。

麗が鳴らした哀愁のあるギターの1音で、早くも曲目を察した客席から興奮に満ちた歓声が起こる。会場中を狂喜乱舞させたのは2004年リリースの「貴女ノ為ノ此ノ命。」。この日にふさわしい幕開けにヴォルテージは急上昇。流鬼も〈不安に気が狂う〉のパートで狂おしく頭に拳を打ち付け、激情を露わにした。

「代々木、声聴かせろ!」という煽りと共に投下されたのは、こちらも2004年リリースのナンバー「舐〜zetsu〜」。拳とOiコールが視界を埋め尽くし、さらには「揺らしてくれ代々木! 3、2、1…」の声で総員ジャンプ! 文字通り大激震を起こした。

「代々木、楽しんでるかい? 今夜は祭りだからよ、ここにいるやつら全員で盛り上げていくぞ! 俺らがどこまでも引っ張って行ってやるからよ!」
と、REITAが奏でる低音でスタートしたのは、〈さくら さくら 花吹雪〉の歌詞がこの日にふさわしい「Back drop Junkie[nancy]」。「頭頭頭頭―――!」というRUKIの苛烈な煽りにヘドバンの嵐が巻き起こる。そんな会場を見まわしたRUKIから満足げに「ごくろうさん」の一言が投げかけられたのだった。

一転して劇的なシーンを作り出したのは「Sugar Pain」。暗闇の中、緋色のライトに照らし出された葵がギターをかき鳴らし、轟音が空気を揺らす。その指が唇にそっと触れて投げキッスをすると、官能的な表情と相まって極上の妖艶さを見せた。ラストでは再び赤い光を浴びた葵が手を差し伸べ、糸が切れたように崩れ落ちたその瞬間に暗転するという心を揺さぶるワンシーンとなった。

篝火の光と立ち込めるスモーク、禍々しい紫のライトの下、流鬼の〈愚流リ愚流リ〉の独唱でスタートした「蜷局」、先日行われたインタビューでREITAから「『これ知ってるの?』みたいな曲が上位だった」というエピソードで名前が挙げられた「Last bouquet」と続く。
この日のセットリストは事前に行われたファン投票で選ばれた曲で構成されたわけだが、1曲1曲、曲が明らかになるたびに沸き起こる歓喜の悲鳴に、どれだけ期待を裏切らないラインナップであったかが伝わってくる。

「今日さ、いつもと違う曲ばかりやってるけど…お前らノリがわかんないんだろ。思い出そうとしたらどんどんどんどん先に進んで行っちゃうから、どうせついていけてないんだろ。頭使ってんじゃねーよ! いつものお前ららしくないんじゃないの? 派手にやろうぜ!」
そんな“お見通し”と言わんばかりの煽りで客席に“いつものお前ら”を取り戻させたRUKIは、沸き起こるOiコールと拳が視界を埋めた「ワイフ」でREITAと肩を組み、その頭をポンポン叩いたりと実に楽しそうだ。麗も上手下手の花道、さらにステージを所狭しと駆けまわり、「Ruder」ではギターソロでお立ち台に立つ麗に葵が頬にキスをするというおまけつきで客席を熱狂させたのだった。
ラストはこの流れにとどめを刺すように「関東土下座組合」を投下。the GazettE流の多幸感に包まれた怒涛の展開で本編を駆け抜けた。

アンコールでは戒から「楽しいですね。みんな楽しそうな顔はしているんだけど、体が動いてないんだよね。復習しとけって言ったろ! 大日本異端芸者やるんだから! まだまだここからだからな。行くぞ代々木!」という激が飛び、広い広い会場にマイクレスで「かかってこい!」と叫んでアンコールの開幕を高らかに宣言。妖しいベースの音色に心躍る「泥だらけの青春」が投下された。RUKIが麗のプルオーバーの裾をめくってその美脚を披露するというサービスも差し挟みつつ、RUKIの「聞かせて―!」の声に客席が〈「ダメな大人にはなりませぬ」〉の大合唱で応えるやり取りは完璧。メンバーも客席も全員が心から楽しんでいる姿が印象的だった。

ダブルアンコールの声に応え再びステージに登場したメンバー。この極上の空間に酔いしれる客席に、RUKIからこんな言葉が投げかけられた。
「15年間、the GazettEという人生を歩んできていろんな景色を見てきました。俺たちは今も大日本異端芸者という名前を心に刻んでいます。この先もヴィジュアル系でいることは変わらないし、ヴィジュアル系でいることに誇りをもってやっていくつもりです。すごく長い道のりの中で不安になって、自分たちを見失いそうになったこともあったけど、the GazettEとして15年間誇りをもってやって来れたのは、信じてついて来てくれたみんながいてくれたからだと思っています。本当にありがとね。
そして俺たちはthe GazettEの未来に今でも夢を見続けています。俺たちは何年たってもまだまだ見ていない景色を目指して最高なライブを作っていくことを約束するから、俺たちはお前たちを離したりしねーから、安心して俺らについて来いよ!」

降り注ぐ銀テープの雨の中、「愛してます」という言葉と共に奏でられたのは、この日のラストを飾る「未成年」。万雷の拍手の中、涙ぐむ葵とREITAを横目にRUKIから一人一人にマイクが手渡された。

麗「今日までの道のりは本当に長かったんですけど、葵が号泣するのも無理ないなってくらい…(笑)。良い景色をありがとうございました」
戒「大日本異端芸者っていう時代の1ページが積み重なって今に繋がっているんだなとヒシヒシと感じていました。繋げることができたのはみんなの力だと思っています。これからもみんなと一緒にthe GazettEを大切に守っていきたいです」
葵「…泣いてねーし! 本当にこいつら大好きだなと思って。彼らと一緒にやって、みんながいて、僕は本当に幸せだと思いました。15年ありがとうございました。これからも一つ、どうしようもないやつらをよろしくお願いします。…泣いてねーし!」
REITA「お疲れ様でした。本当にあの…今日は喋れねぇ(涙)。本当にありがとうございました。お疲れっした!!」

そんな様子にRUKIから、「胸がキュンとしますよね。可愛いやつらでしょ? 自画自賛するわけじゃないけど、なかなかいないぜ、こんなバンド」という愛ある言葉が贈られ、ラストは始まりとループするかのように桜吹雪に彩られながら、この特別な夜を占めくくった。

まるで夢のようなひと時を堪能したこの日。「春の夜の夢」と言えば儚く短いことの例えだが、この夜は記憶に深く刻まれる強烈かつ濃密な時間となった。この夢の続きは、4月12日から全国で5公演行われるFC TOUR HERESY LIMITED TOUR17 十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」追加公演へと舞台を移し、さらにその先には8月19日に行われる約9年ぶりの富士急ハイランド・コニファーフォレスト公演が待ち受けている。5人がこの春、そして真夏の夜にどんな夢を見せてくれるのか、楽しみでならない。

◆セットリスト◆
SE
01.貴女ノ為ノ此ノ命。
02.舐〜zetsu〜
03.十四歳のナイフ
04.センチメンタルな鬼ごっこ
05.Back drop Junkie[nancy]
06.Sugar Pain
07.蜷局
08.飼育れた春、変われぬ春
09.Last bouquet
10.Cassis
11.ザクロ型の憂鬱
12.COCKROACH
13.ワイフ
14.Ruder
15.The $ocial riot machine$
16.関東土下座組合

EN
01.泥だらけの青春
02.赤いワンピース
03.「春ニ散リケリ、身ハ枯レルデゴザイマス。」
04.☆BEST FRIENDS☆
05.LINDA〜candydive Pinky heaven〜

W-EN
01.未成年

(文・後藤るつ子)


【ライブ情報】
the GazettE LIVE IN SUMMER 17「BURST INTO A BLAZE 3」
[日程]8月19日(土)
[会場]富士急ハイランド・コニファーフォレスト
[開場 / 開演]16:00 / 17:00
[チケット料金]全席指定¥8,000-(tax in)
[チケット一般発売日]7月8日(土)10:00
[問い合わせ]DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00~19:00)
[SPECIAL SITE]http://the-gazette.com/15/0819/