ライブレポート

2016.6.5
DEZERT@Zepp Tokyo
「DEZERT presents 【DEZERT ONEMAN LIVE TOUR 2016【楽しい食卓ツアー】FINAL】」

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1月に発売したアルバム『最高の食卓』を手に行い続けてきた全国ツアーも、6月5日
日)Zepp Tokyoでついにファイナル公演を迎えた。「DEZERT presents 【DEZERT ONEMAN LIVE TOUR 2016【楽しい食卓ツアー】FINAL】」と題されたこの日のライブ、会場にはびっしりの観客たちが蠢いていた。

よくDEZERTのライブに対して「狂気を孕んだ」という言葉が用いられるが、彼らのライブには、むしろ希望や光が満ちている。この世界には、闇や絶望へ浸ることへ快楽や未来を求める人たちもいる。そう、すべては解釈の仕方だ。こんなにもドス黒くて生々しくて痛い幸福は、ここにしか無いと先に伝えておこう。

この日のライブのアンコールで、千秋は「バンドを演ることも、生きることも無意味だ!!」と叫んでいた。同時に、何度も彼は「生きてるか!!」と声を張り上げていた。それは、自分自身へも向けた言葉だったのか!? DEZERTは絶望を歌う。だけど、その歌に触れていると心に救いを覚えてゆく。その理由…!? それを、今から説き明かそうじゃないか。

絶望の淵から彷徨い出るように流れ出した黒い演奏。巨大なスクリーンには音がブレイクするたびにメンバーの姿がシルエットで浮かび上がっていた。幕の降りた場内。miyakoの歪みを上げたギターと衝撃を与えた破裂音を合図に、DEZERTのライブは始まりの咆哮を上げた。緩急活かした暗鬱な「「あー。」」に合わせ、会場中の人たちが一斉に頭を振りながら暴れてゆく。「この歌には救いはない」「この場所には救いはない」。救いがないなら狂えばいい。舞台上の絶叫に立ち向かう形で騒ぎ奉ればいい。

「始めましょう」。身体中から魂を振り絞り暴れ狂えと言わんばかりに、千秋の声が熱狂を連れてきた。「「君の子宮を触る」」が、観客たちを絶望の奈落へとガンガンに引きずり込んでゆく。痛い衝動が、なんて快楽を呼び起こしてゆくことか…。

腹の奥底へと響く音の衝動。黒く重く唸る調べが、身体を揺さぶってゆく。絶望のシュプレヒコールを上げろとでも言わんばかりに。『「肋骨少女」』が精神に鈍い衝撃を与えていた。その音の拳は、舞台上へ傾づきたくなるくらい甘美な嬉しい痛みと慈愛に満ちていた。手を上げ踊り狂う観客たち。放たれる音の痛みが、とてもとても心地好い。

「お前たちの遺書を書こう」。彼らは歌いかけてきた「暗い未来ですか??」と。DEZERTの歌は、絶望という奈落の底から光を見ていた。会場中の人たちも、闇の宴の中、射し込む希望を肌に感じながらも、「「遺書。」」というドス黒い激情に触れ、理性を壊し、ただただ暴れ狂っていた。これぞ快楽を導く昂揚歌だと言わんばかりに。そう、「これが暗い未来ですか??」…。

唸りを上げて駆けだした演奏。「大塚ヘッドロック」を合図に、満員の観客たちが一斉に左右に走り出した。千秋の指示に導かれるように大勢の観客たちが熱狂の中で蠢いていた。踊り狂えばいい、ただただ感情へ導かれるままに騒ぎ尽くせばいい。なんて頭を震撼させる、嬉しいくらいに昂揚を連れ出す黒いグルーヴなんだ。

「愛すべきみなさんのため、僕は本気でこのラブソングをここに届けます」、その言葉を合図に、激烈で重厚な「「殺意」」が鉄槌を食らわすほどの衝撃を持って襲いかかってきた。客席で歌い叫ぶ千秋。螺子の外れた感情を持って、その絶叫を誰もが愛おしく受け止めていた。理性はとっくに壊れている。その勢いを、止めるなんてとてもナンセンスだ。

一転、刹な色を携えながらも、闇の底を這いずりまわるように、DEZERTはゆったりと「「追落」」を響かせだした。絶望に包まれながら、底へ底へと沈みながらも、何処か浮遊してゆく感覚が気持ちいい。黒く心を塗りつぶし堕ちてゆく感覚の、なんて心地好い良いことか。絶望に浸りたい人ほど、絶望を導く旋律は愛おしい子守歌になる。

ともに歌おうと鼓舞するように流れたのが、ヘヴィなマーチングナンバー「おはよう」だ。スクリーンには、次々と言葉が映し出されてゆく。お前なりの生きるための答えを導き出せと言わんばかりに。今日が終わる前にその意味を感じとれと突き付けんばかりに。DEZERTの歌はとても希望に満ちている。ただ、その言葉が常軌や常識を否定しているだけのこと…。

空間を活かした痛いセッション。刺を射す音に包まれながら、千秋は歌いかけてきた「包丁の正しい使い方〜思想編~」を。清濁活かした演奏が、狂気と狂喜に支配された頭をガンガン攪拌してゆく。なんてサディスティックな快楽だ。SaZの重くうねるベース音が場内に染み渡ってゆく。「生きてる奴は声あげろ」「死んでる奴も声あげろ」!!。鋼のような豪音を轟かせた歌と演奏が会場中を支配した。凄まじい音の唸りに抱かれ、この身さえもぶち壊してくれと言わんばかりの勢いで、誰もが身体を折りたたみ快楽に溺れていた。まさにここは狂った宴の場。「何度も何度も同じことを繰り返す」「直視しろ」とけしかける千秋。観客たちは逆ダイし、何度も何度も雄叫びを繰り返していた。途中、千秋がSaZからベースを奪い取り演奏。SaZが、ベースを手にした千秋が客席に降りて客たちを煽れば、今度はmiyakoからギターを奪い取り、千秋がふたたび客席へ降りて煽っていた。そう、狂うことにルールなんかいらない。必要なのは野獣な感覚。導かれるがまま、ただただ狂えばいい。

「俺はお前たちが嫌いだ、これが君たちへの教育だ」。観客たちの歌と絶叫のやり取りを通し、場内をヘドハンの渦へと染め上げた「「教育」」。「ぶっ潰す!!」、轟音な衝撃を次々とぶつけながら、場内を暴れ奉る様に変えた「「不透明人間」」。理性を叩き壊す気狂った宴は、沸点した熱をもっともっとと煮え立たせていた。

「すっげぇ汚くてうざくて偽物っぽくて、だけどこれが僕たちの正しい歌だ」。場内中から沸き上がった雄叫び。誰もが、自分たちの心に光を指し示す昂揚のエールとして「「セイオン」」を熱狂で抱きしめていた。醜い音が、汚い音が、最高の快楽のように。

深い深い奈落の世界へと導いた演奏。〈答えはきっと真ん中にあると思うんだよ〉客席中央で絶叫する千秋へ左右に分かれた観客たちが突進してはグチャグチャにまみれだした。もみくちゃにされながらも、客席のど真ん中で千秋は叫び続けていた。それが至上の快楽だと言わんばかりに。「包丁の正しい使い方〜終息編~」が連れ出した狂った絶頂の奉り。続く「「秘密」」でも、ヘドバンのバトルに酔い狂う観客たち。「まわりに流される日本人どもめ、お前らが世の中を悪くするんだ。せいいっぱい息をしろ!!」。4人に煽られ、観客たちは狂い続けてゆく。

舞台上で大きく揺れる無数のかがり火。〈苦しいのはお前たけじゃない〉。ふたたび奈落の闇の中へDEZERTは観客たちを引き込みだした。感情の振幅に合わせ大きさを変えてゆく炎。「「擬死」」は、4人の心臓へと繋がる動脈のような歌。感情が苦しそうに揺れ動くごとに、その血流は、汚れた音となって触れた人たちの心を汚していく。その血がないともはや誰も生きられないと知っているからこそ、彼らはどんどん黒い血を注ぎ込んでいた。

ゆったりと、闇の底を流れるように場内へ浸透し始めたのが、「脳みそくん。」。静かなる狂気の波紋が会場へと広がる中、アンコールの物語は優しく幕を開けた。
「なんでバンドをやっているのか!?」「全部が無意味なんだ。この言葉の意味が3年後わかるバンドになりたいと思います」「無意味なことをずっと繰り返していこうと思うんです」「無意味に飛んじゃって」。轟きを上げた「MONSTER」に合わせ、無邪気に飛び跳ね、頭を振りまくる観客たち。感情をガンガンに上げてゆく歌が、騒がずにいれない衝動と衝撃を与えてゆく。

理屈なんか消してしまえ、脳味噌をイレースしてこそ、ここに居て狂う意味がある。「意味ありげに騒げ!!」。鋭い刺を生やした雄大な音が襲いかかってきた。演奏が進むごとに高ぶってゆく感情。昂揚の歌「doze.」が歓喜を身体に刻んでいった。「勝負しようぜ!!」「ブチ上がって!!」。場内中に蠢く無数の首振る狂人たち。「doze.」に合わせ、咆哮せずにいれなかった。千秋の煽りに喧嘩をふっかけなきゃ生きれなかった。もはや、舞台上とフロアーのどちらが先にくたばるか、そんな闘いが繰り広げられていた。

「無意味だと確信したけど、一個だけ聴いていい?? 生きてるかっ!?」。重く重く、これでもかと言わんばかりに黒い重厚な音を突き付け、生きてることを実感するように、誰もが「切断」に合わせ、叫び狂うことで生を享受していた。

火照った身体をびしょ濡れのタオルで包むように、千秋の高ぶる雄叫びを合図に、DEZERTは最後に『「ピクトグラムさん」』を叩きつけてきた。気持ちに高ぶるエナシーと昂揚を与えてゆく楽曲だ。傷ついた心に寄り添う、”傷だらけな傷を癒す歌”に心が笑顔を浮かべていた。「生きていればいい」。その言葉が確かな、明日への約束の指切りのように響いていた。

2時間半に渡り、「生きる」力を授けてくれたDEZERTのライブ。彼らが交流を求めようが、マスターベーションだろうと、そんなの関係ない。ただただ、全力で生を感じとれる濃密な時間を共有出来たのだけは間違いないんだから。ここに来ると理性を投げ捨てられる。それが単純に嬉しいんだよ。

(文・長澤智典/写真・インテツ、Takuya Orita)


【ライブ情報】
DEZERT SPECIAL LIVE「サマーチョップ 2016 in OSAKA」
2016年8月27日(土)大阪BIGCAT
16:30/17:30
前売:¥4,320
e+:http://eplus.jp/dezert-bc/(PC・携帯)
受付期間:6月6日(月)12:00~6月20日(月)23:59まで

DEZERT オフィシャルサイト http://dezert.jp/