2016.1.23
BORN@新宿ReNY
BORN ONEMAN LIVE 2016 NEO SCREAM ~THE BLACK POPULAR~

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この日、BORNが解散を発表した。
結成8周年を迎える5月26日に、バンド史上最大キャパのZepp DiverCityでのワンマンライブを行う彼らが、その日を最後にバンドを解散するという大きな決断を下したのだ。そしてその決意が、この日のライブでファンに直接伝えられることとなった。

ライブは常と変わらず、高らかに鳴り響くハンドクラップと共に幕を開けた。
セットリストの1曲目は2月10日リリースのニューシングル『SUICIDAL MARKET~Doze of Hope~』のc/w曲「BECAUSE」。
結婚を歌ったというこの曲には、〈生きる喜び〉〈僕は君のそばにいたい〉、そんな切なくも美しいフレーズが散りばめられていて、この1曲からもシングルの完成度の高さが伺える。

「Welcome to the NEO SCREAM! 始めようか!」
猟牙の咆哮で、「Vermin’s cry」ではヘドバンの嵐が、「more Deep」ではモッシュで大激震が巻き起こり、「RED DESIRE」で力強い拳が視界を埋め尽くし、Oiコールが響き渡った。

もちろん激しさだけではない。まるで海の底のような青い光の中、Kのアコギが響き、「foxy foxy」が披露されると、フロアの空気は優しく儚く変化していく。
猟牙曰く、この日のセットリストは「BORNの歴史をごちゃまぜにしつつ凝縮した」というもの。見当たらない定番曲もあるが、「今日、新たな決意をファンに伝えるから、セットリストの面でもいつもの曲に頼らない部分を出したかった」という彼の思いが反映されている。
緩急のついた鉄壁のセットリストと、鋭い気迫にフロアも全力で応え、「BLASTED ANIMALS」「Criminal Berry」では極上のお祭り空間を作り上げ、その様子を満足げに眺めた猟牙は、「楽しいな! ヤバくない? 何だろこの一体感!」とKのマイクを掴み、引き倒さんばかりにフロアを煽りたてる。

「2016年になっちゃったね。相変わらず、何も変わることなく、こんな破天荒な熱量でライブをやって幸せです」
そんな言葉と共に「零未来」を投下。ラストの「DIRTY STACKER」まで強烈なアクトを投下し続けた本編。心に突き刺さる、完成度の高い圧巻のライブだったことは、終了と同時に沸き起こった拍手からも存分に伝わってきた。

アンコールで、その勢いは更に加速する。「Rotten cherry」で本編にも負けない勢いでフロアを揺らすと、「黒蟻」では「2016年も煽っちゃうんですかRayさん!」という猟牙のフリに、Rayが「新宿! かかってこいよ!」と力強く煽り、客席を狂喜させた。

空気を一転させたのは「春煌花-SAKURA-」。
「一足早いですが、これからもみんながいろんな出会いに恵まれますように。この歌を贈ります」
そう告げて奏でられたこの曲で、猟牙が涙で声を詰まらせ、それでも果敢に歌い続けるというシーンがあった。そして、その涙を振り払って投下された「RADICAL HISTERIA」では、そんな不安を打ち消そうとするかのように特大のコールとモッシュが繰り広げられる。
彼らの決意は、そんな中で告げられた。

「あっという間に2016年になっちゃいました。気付けばもう何年も時がたっていて。バンドやってから1年がすごく短いんだ。でもそれだけ濃密な日々を過ごしているんだろうし、みんなにとってもいい時間を共有する場を作れているのかなと思って、最近特にみんなと一緒にいる時間を幸せに感じています。本当に、毎年毎年ありがとう。

がむしゃらに突っ走ってきましたよ、本当に。いつだってライブをやればお前らがいて。ずっとかけがえのない場所でした。BORNは俺にとっての全てです。

でも、みんなとの最高の約束を果たせなかった。

BORNが嫌になったとかじゃない。それだけ一人一人が本気で生きているし、人生をかけてきました。俺らはBORNのために生きてきたと思う。みんなも一緒に走り続けてきてくれたと思います。
だから最高の景色が見られました。お前たちに会うこともできて、つらい時があっても、このメンバーだからわかりあうことができた。

2016年5月26日、Zepp DiverCityでBORNは解散します。

ずっと、こんな自分にとって大切な場所を離れる必要はなかったのかもしれないけど、一人一人が自立して前に進むために必要な決断だと思ってます。
でもね、次にやるZepp DiverCityは夢みたいなライブハウスなんだよ。悲しいけど、本気でやってきたからこそ、そのステージに立てると思ってます。俺らは、すげービッグなバンドにはなれなかったかもしれないけど、誰よりも愛に溢れていたと思います。
本当にありがとう」

「最後です」
そう言ってドロップされた「HONESTY」、そして、鳴りやまないアンコールに応えてセットリストになかった1曲「ケミカルロマンス」が投下されたのだった。

ここで、この日のライブ直前に、4人が聞かせてくれた思いをお伝えしたい。
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【from猟牙】
解散についてすごく悩みました。でも仲が悪くなったとかじゃなくて、むしろメンバーの仲はすごくいいんです。解散の話をしたことによって、よりみんなの仲が良くなった気がする。

今日のラストの「HONESTY」は、KIFUMIが「もう続けられないかも」って言ったときにできた曲なんです。どうなるかわからないけど、ステージに立ち続けようっていう思いが込められている。「HONESTY」に込められた思いは今のBORNにも当てはまっているので、ぜひ聴いてほしいです。

ライブで解散を伝えないといけないんですけど、今の心境は、すげーフラットです。
今の自分には、最後の最後に解散を発表する時どんな空気感になっているのか想像がつかないし、最近ファンの子から、「ついにZepp DiverCityまで来ましたね! 突き進むのみですね!」「ライブ楽しみにしています」って言ってもらっていたから心が痛むけど…でも、いつもどおり良いライブをすることだけを考えています。

【from K】
当日を迎えてもまだ実感がないんですよ。ファンの子に伝えて初めて実感するのかもしれない。今は怖いです。俺、解散の経験がないんですよ。BORNは俺がちゃんとやった最初のバンドだから。ライブって嬉しさも悲しさも倍になって返ってくるから、今日のファンの子の気持ちをステージに立って受け止められるかなって思いはあります。

前からBORNは「解散するか!」ってなると必ず何かが起こったんです。事務所が決まったり、CDリリースが決まったり、もうちょっとやってみよう、もうちょっとやってみよう…で今に至る感じ。神様がまだやれって言っているのかなと思って続けてきました。

この結論は本気でやった結果だし、今日は楽しいライブをやることしかできない。ちゃんと生でファンに伝えようっていうのも自分たちで決めたし、BORNは最後の最後まで男らしいなと思います。前に、「BORNに何かあった時はちゃんと言ってください」ってファンの子に言われたこともあったんですけど、その約束は守れたんじゃないかな。

【from Ray】
BORNは前のバンドからメンバーが変わっていないんです。
応援してくれた人には本当に感謝しています。BORNが好きな人、嫌いな人、僕が個人的に好きな人、嫌いな人がいたと思うけど、好きで応援してくれる人のために頑張ろうと思えたし、嫌いな人にはその人に負けないように頑張らなきゃと思えたし、両方パワーになりました。「BORNのこと嫌い!」って聞くと「なに!? 負けねーぞ!」と思っていたので、いろんな人に感謝ですね。

BORNに関わってくれたみんなのおかげで今までやって来られたと思います。ありがとう。ただ、ファンの子には10年を目指すって言っていたのに、それが嘘になっちゃったのが申し訳ないな。
BORNが好きって言ってくれる子も、他にも好きなバンドがいると思うし、これから好きになるバンドもできると思う。そのバンドをどんどん応援してあげてほしいです。「このバンドも好きだけどBORNも好きだったな」ってどこかで思い出してもらえたら嬉しい。
解散してもBORNの曲は残ります。もしかすると何年後かにiPodでシャッフルしていて、聴くことがあるかもしれない。そういう時にスキップされないバンドでいたいな。それくらい、その人の印象に残るバンドになれるよう、後悔なく終われたらいいなと思っています。

【from TOMO】
うちは元々、メンバー同士で飲みに行ったりしていたんですよ。前は1対1とかだったんですけど、解散が決まって、4人みんなで行ったり、美央も含めて5人で行ったりするようになりました。隠し事がなくなったというか、腹を割って話せるようになったと思う。
俺、今日の発表前に泣いちゃうんじゃないかな。あと、あえて他のメンバーのメッセージを見ていないんだけど、それを見て泣いちゃうかもしれない。

突然の発表でびっくりしているかもしれないけど、今はとにかく、5月のZepp DiverCityをやり通すことだけを考えています。その時はBORNを1回でも好きになった人にもぜひ来てほしいですね。観てくれると嬉しいです。
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終演後、「ライブで言って良かった。自分たちにはファンの涙を受け止める責任があるから」と口にした猟牙。彼らなりのファンへの最大限の責任の果たし方として選んだこの日の発表を、ファンも気丈に受け止めていたことにメンバーとの絆を感じずにはいられない。
無情にもBORN解散の日までのカウントダウンは始まってしまったが、残されたイベントツアー、そしてZepp DiverCityで、今まで以上に最高の景色を、メンバーとファンが作り上げてくれると確信している。

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◆セットリスト◆
01.BECEAUSE
02.Extremely waltz
03.Vermin’s cry
04.more Deep
05.RED DESIRE
06.壊死
07.剥愛のスローモーション
08.foxy foxy
09.嫌
10.殉恋歌
11.排梳ノ蝶
12.THE STALIN
13.BLASTED ANIMALS
14.Criminal Berry
15.零未来-zero Asu-
16.BREAKTHROUGH
17.DIRTY STACKER

EN1
01.Innocent Bullet
02.Rotten cherry
03.黒蟻
04.春煌花-SAKURA-
05.Recall the mind
06.RADICAL HYSTERIA
07.HONESTY

EN2
01.ケミカルロマンス

(文・後藤るつ子/写真・遠藤真樹)


【ライブ情報】
●BORN 8th ANNIVERSARY SPECIAL ONEMAN LIVE【SUPER BLACK MARKET】
5月26日(木)Zepp DiverCity
[OPEN / START] 18:15 / 19:00

【リリース情報】
New Single『SUICIDAL MARKET~Doze of Hope~』
2016年2月10日(水)発売
●初回限定盤A(CD+DVD)
PSIM-30047/¥2,700+税
[CD]
01.SUICIDAL MARKET~Doze of Hope~
02.Recall the mind

[DVD]
オルタナティヴ・タランチュラ TOUR FINAL DOCUMENT

●初回限定盤B(CD+DVD)
PSIM-30048/¥2,700+税
[CD]
01.SUICIDAL MARKET~Doze of Hope~
02.Recall the mind
[DVD]
オルタナティヴ・タランチュラ TOUR SHIBUYA REX DIGEST

●通常盤A(CD)
PSIM-20038/¥1,620+税
[CD] 01.SUICIDAL MARKET~Doze of Hope~
02.Recall the mind 03.BECAUSE

●通常盤B(CD)
PSIM-20039/¥1,620+税
[CD]
01.SUICIDAL MARKET~Doze of Hope~
02.Recall the mind
03.殉恋歌

BORN オフィシャルサイト http://www.indie-psc.com/born/