ライブレポート

2011.11.13

MERRY@恵比寿LIQUIDROOM

MERRY 10th Anniversary NEW LEGEND OF HIGH COLOR「6DAYS」

Vol.6 ~「アンダーワールド」

 

 

11月にバンド結成から満10歳を迎えたMERRYが、その周年を記念し6日間に渡り『NEW LEGEND OF HIGH COLOR「6DAYS」』と題したアニバーサリーライブを行った。このライブは最新作『Beautiful Freaks』を除く過去に発表した6枚のアルバムをコンセプトに据え、公演ごとに異なる世界観を提示するという試み。初日11月7日は『現代ストイック』DAY、8日は『モダンギャルド』DAY、9日は『nuケミカルレトリック』DAY、11日は『PEEP SHOW』DAY、12日は『M.E.R.R.Y.』DAY――そしてこのレポートでは最終日13日『アンダーワールド』DAYの模様をお届けする。

 

最終日特有の高揚感が漂う場内が暗転し、ステージを覆う紗幕に次々と映し出される過去のMERRYの姿。そしてこの日の題目「アンダーワールド」という文字が浮かび上がると歓声が沸く。紗幕に覆われたまま「GI・GO」が鳴り響き、パープルとブルーの渦巻きが漂いだす。1枚の布に隔てられ薄らと見えるメンバーの姿からは準備万端の熱い“気”が溢れ出ているのを感じる。

「Friction XXXX」のイントロで幕が下り、あらわになったそのステージとメンバーの姿は、前日『M.E.R.R.Y.』DAYのモダンかつシックな雰囲気とは真逆とも言える様相で、正に“地下世界”のハード感そのもの。檻から放たれた猛獣の如く勢いよく暴れだし、間髪入れずに「under-world」へ。MERRYのアルバム作品の中でも特にアグレッシブな1枚『アンダーワールド』の勢いそのままに激しくぶつけてくる彼らに対しオーディエンスは拳とヘッドバンギングで応戦し、余力を残す必要は無いと言わんばかりにお互いに初っ端から飛ばしまくる。

 

その後もレトロックな「赤い靴」、三拍子のリズムが印象的な「片道切符」、むせび泣く結生のギターで始まる「カナリア」など、様々な色合いのナンバーを繰り広げオーディエンスを更に引き付ける。

そして真っ赤に染められたステージに楽器隊が先に位置についた後、ウサギの顔のかぶりものをしたガラ(Vo)が登場! もちろん「演説~シュールレアリズム~」の始まりだ。結生の「Welcome to the human farm!」の掛声で「[human farm]」のツインギターが響き渡る。現在もライブで定番の暴れ曲だけあって一体感あるクラップとヘッドバンギングで暴れまくるオーディエンス。健一のギターで「stupid×cupid」が始まると、アルバムには収録されていない楽曲だが、この日の披露を予想してきたオーディエンスの手には“赤いパンツ”が握られていた。場内の熱気はみるみる上昇し、続く「Midnight Shangrila」では、ガラは客席に身を乗り出し、ギター隊も前へ前へと出て煽る。必死に応えるオーディエンスにガラが時折見せる笑みが印象的だった。

 

一体感のあるアッパーチューンでありながら、ストレートな歌詞が心に突き刺さる「閉ざされた楽園」。その歌詞中に登場する“ボニー&クライド”が主人公の映画の邦題は『俺たちに明日はない』か…と改めて考えつつ、だからこそその“楽園”で力の限り生きていくことの美しさを知っているバンドなのだと思った。“限りあるかぎり 今を大切に生きてゆく”の一節で拳を固く握り締めたガラ、そして15分程もある大作「激声」で悲痛なまでの叫びに鳥肌が立ちながらも最後には“迷いを全部捨てて 素晴らしき明日を笑おう”という一節に、どこまでも全身全霊で前を向いて歩んでいくのだというバンドの強い意志を感じさせてくれた。

 

アンコール1曲目「冬のカスタネット」はこの日の楽曲の中では突出して毛色の異なるもの。ステージには粉雪が舞いオーロラの色彩に彩られ、それはまるでスノードームの中で繰り広げられる1つの小さな物語の世界を観ているようだった。

 

再度暗闇になったステージに『Beautiful Freaks』収録のSE「-choral-」の不穏なデジタル音が響きキラキラとした光がステージ全体を瞬間的に支配しメンバーが順に登場すると、場内はoiコールで既に臨戦態勢。同アルバム収録のロックチューンの連発にメンバーもオーディエンスも勢いをどんどんと加速させ、場内は見事なまでのヘッドバンギングの嵐となった。ラストはライブ感とポップさと激しさを併せ持った「アイデンティティー」で、彼らの初期衝動とブレることの無い精神を感じることができた。

 

メンバーを代表してガラとネロ(Dr)が感謝の気持ちを伝え、この日のステージは終わりを迎えたと思われた。既に客席の照明も明るくなりBGMも流れ出していたそのとき、唐突にステージの照明が点きメンバーが姿を現したのだ。「泥臭いバンドだけど、これからも全身全霊でがんばっていきます!」とネロが発し、「消毒」で会場中が最後の力を使い切るように暴れ狂い、この『アンダーワールド』DAYそして「6DAYS」は終幕を迎えた。

ネロが口にした「カーテンコールは7枚目のアルバム『Beautiful Freaks』のファイナルでやりましょう!」という言葉。近いうちに実現されることを楽しみに待とう。

 

◆セットリスト◆

01. GI・GO 
02. Friction XXXX 
03. under-world 
04. 喜劇のタブー 
05. montage 
06. ピラニア 
07. 月食 
08. 赤い靴 
09. 片道切符 
10. カナリア 
11. 演説~シュールレアリズム~ 
12. [human farm] 
13. stupid×cupid 
14. Midnight Shangrila 
15. 閉ざされた楽園 
16. 激声 

EN1. 冬のカスタネット 

SE -choral- 
EN2. finale 
EN3. 夜光 
EN4. 不均衡キネマ 
EN5. 絶望 
EN6. アイデンティティー 

SPECIAL ENCORE 消毒

 

(文・金多賀歩美/写真・中村 卓 )