ライブレポート

2011.06.19

MERRY@赤坂BLITZ
MERRY 10th Anniversary【freak show】

 

3月下旬から4月にかけて予定されていた、仙台公演を含むMERRY 10th Anniversary 7公演。震災を受けて延期されていたその全振替公演が6月初旬よりスタートし、この赤坂BLITZにてファイナルを迎えた。題して【freak show】――いったいどんな“見世物”を用意してくれているのか。

 

何枚もの白布が青白く照らされたステージはまさに見世物小屋を思わせる様相。太鼓と笛が鳴るSEとともにステージに着地していた布が上がっていくと、それは天井から吊るされた5枚の長い白布だったことに気付く。全員黒の衣装に身を包んだメンバーが登場し、このツアーのために作った楽曲だという「ハーメルン」で“Show”の幕開け。「夜光」「モノクローム」と立て続けに2010年の移籍後の楽曲を披露し、“今のMERRY”の姿をストレートに突きつける。

 

「真っ赤な青い春」「不均衡キネマ」で魅せてくれたMERRYならではのレトロック、哀愁漂う世界観は彼らの真骨頂でもある。「伊勢佐木町ブルース」のカバーはそれを象徴する最たるものだ。この女性の色気たっぷりの楽曲を、あんなにも艶かしく歌える男性ヴォーカリストはそういないし、そんな世界観を作り上げるロックバンドはMERRYしか存在しないだろう。

 

今回のツアーではこの日のみ披露された「Fleeting Prayer」。薄らと風に揺れる白布に青緑の光の粒が漂い、それはまるで浮遊する魂のようだった。ガラは正座で歌い始め、祈るように正座で曲末を迎えた。

 

ライヴ中、時折フロア全体が見える程の明かりになると、ここが現実であることを気付かされる。怪しく照らし出される様々な色彩との対比に、別世界と現実との狭間を見たような気持ちになる。感情を剥き出しに叫び歌うガラも、情熱を内包させクールにギターを奏でる結生も、アグレッシヴにギターをかき鳴らす健一も、冷静でありながら力強いベースをはじくテツも、全身全霊でドラムを叩くネロも、そして直立不動で演奏する彼らの姿であっても…そのどれもがMERRYのリアルなのである。真実は時に真実らしく見えないことがある。そんなことを思いながらステージを見つめ続けた。

 

マイクを胸や頭に叩き付け「もっとおかしくなってくれ!」といったガラの絶叫で観客が暴れ狂った「stupid×cupid」。そして突然場内が明転し「おとなしいな東京! お前たちみたいな腐った奴らには消毒だ!!」の合図で「消毒」がスタート! ガラがCO2を撒き散らし、客席は熱狂の渦と化した。

 

アンコールでは、移籍第一弾シングル「The Cry Against…」で新境地を見せながらも、ライヴでお馴染みのナンバーでファンを沸かせ、「バイオレットハレンチ」では場内をなんとトイレットペーパーが舞い、フロアの熱は最高潮でこの日の“Show”は幕を閉じた。

 

今回のセットリストと、ネロが発した「僕たちはまだまだ止まりませんよ! この10年を誇りに思います! 美しい10年です! 素晴らしい10年でした! これからもよろしくお願いします!」という言葉に象徴される通り、MERRYというバンドは自らの過去を肯定し、MERRYらしさを誰よりも理解し、それでもそこに留まらず“創造とは破壊”と言わんばかりの進化をし続ける、美しさと強さを持ったロックバンドだ。

 

7月27日にNEWアルバム「Beautiful Freaks」がリリース、そして同タイトルを冠したツアー全16公演が7月29日よりスタートするMERRY。この原稿を書いている段階でNEWアルバム「Beautiful Freaks」をいち早く聴くことができたのだが、今回の【freak show】公演ではまだ披露されていない新曲たちを、次のツアーでどのように魅せてくれるのか、期待は高まるばかりだ。MERRYのリアリズムを是非とも体感してほしい。

 

 

◆セットリスト◆

01. ハーメルン
02. 夜光
03. モノクローム
04. 迷彩ノ紳士
05. 溺愛の水槽
06. 真っ赤な青い春
07. 伊勢佐木町ブルース
08. 青年秘密倶楽部
09. Ve-doro
10. Fleeting Prayer
11. 窓
12. stupid×cupid
13. [human farm]
14. 不均衡キネマ
15. 消毒

EN01. The Cry Against…
EN02. Sweet Powder
EN03. Midnight Shangrila

EN04. 林檎と嘘
EN05. T.O.P
EN06. バイオレットハレンチ

 

(文・金多賀歩美/写真・河井彩美)