ライブレポート

2010.12.29
MERRY@SHIBUYA-AX
MERRY SONIC 10 WINTER~Special 2night[白い羊][黒い羊]~

[白い羊]

 

 

それは、この上なく幻想的なライヴだった。
12月29日、MERRYが行った〈MERRY SONIC 10 WINTER~Special 2night[白い羊][黒い羊]~〉。
昼と夜、それぞれ[白い羊][黒い羊]と銘打ち行われるこのライヴは、東京では実に4年ぶりの開催となる。
 
夕刻から行われたのは[白い羊]。
座席を配したフロアに、古い映画を思わせるムーディな音楽が流れ、普段のAX、ましてやMERRYのライヴにはない情景を作り出している。
緩やかな暗転と共に場内からざわめきが消え、これから展開されるステージに向かう静かな熱が会場を支配した。

 

猫足の肘掛椅子、丸テーブルに置かれた革表紙の本、象牙色の地球儀…まるで“舞台”のようにしつらえられたステージを照らすのは、天井に吊りさげられた重厚なシャンデリアとフロアスタンドライトの薄明かり。
そこに、黒いスーツに身を包んだネロが登場し、うやうやしく客席に一礼すると、一人、また一人とメンバーが姿を現す。シルクハットを被ったガラがステージ中央に立ち、[白い羊]は滑らかにその幕を開けた。

 

灯された明りの淡いセピア色とその陰影が映し出すステージは目の前で展開されているのに、どこか幻燈のよう。
更に印象的だったのは、楽曲の大胆なアコースティックアレンジだ。想いを振り絞るような切なさが際立つ「クライシスモメント」、新鮮な驚きを与えられた「首吊りロンド」。アップライトベース、アコースティックギター、カホン…巧みなアレンジを加えられた名曲たちは思いもよらない表情を見せ、常のMERRYとは異なる世界に、観客は静かに酔いしれた。

 

「新宿ナナ」からはそんなステージに明確な激しさが加わり、本編ラストの「夜光 -TAIHAI mix-」まで、いつものMERRYを垣間見せる。大きな拍手に包まれメンバーがステージを後にすると、アンコールを望む手拍子が響き渡った。

その想いに応え、ほの暗いステージにガラとキーボーディストが登場。美しいピアノに載せ「東京に降る雪…」を歌いあげる。
激しい煽りも、メンバーコールもない、静寂と音楽のみで作り上げられたこのライヴ。
ネロによるこの日初めてのMCはラスト1曲を残すのみとなった「nameless night~名もなき夜~」を終えた後だった。
「今回いろんなアレンジに挑戦しました。(その中で)良い曲がたくさんあるなと自信が持てました」そんな発言に加え、「いつかご飯付きでやりたいですね。ディナーショー(笑)」
静かな緊迫感のあるライヴ中のこの発言に、会場から笑いがおこる。穏やかさを含んだ空気の中、この日のラストとなった「木漏れ日が僕を探してる…」を歌い終えると、ガラは深々と頭を下げ、満場の拍手に包まれて[白い羊]は終幕となった。

 

しなやかに繰り広げられた甘美なステージ。
対をなす[黒い羊]で見せた灼熱の激しさはもちろん、[白い羊]で魅せたステージもまた“MERRYらしさ”なのだ。この日、MERRYの更なる可能性を客席にいた誰もが感じたに違いない。

 

◆セットリスト◆

01. 黄昏レストラン
02. 薔薇と片隅のブルース
03. 想ひでサンセット

04. クライシスモメント -UNPLUGGED-
05. 首吊りロンド
06. 高層ビルの上でラストダンス

07. M.E.R.R.Y.MARCH~デンヱンカウキヤウクミキヨク~
08. 歌声喫茶『モダン』
09. 恋哀交差点
10. リフレイン~土曜日の涙~
11. チック・タック
12. 新宿ナナ(ニューロティカ)
13. アタシは捨て猫
14. 真夜中(仮)
15. 夜光 -TAIHAI mix-

 

EN 1. 「東京に降る雪…」(Piano Ver.)
EN 2. nameless night~名もなき夜~
EN 3. 木洩れ日が僕を探してる…