THE MICRO HEAD 4N’S

自分が作りたいと思った曲が初めて作れた感覚(ZERO)

ZERO

SHUN.さん作曲の「THE END OF THE WORLD」はイントロからリズムが変わっていたり、アレンジ的な遊びも感じられます。

SHUN.:ド頭からインパクトのあるものが欲しくて、正直、サビよりもそこに重点を置いて作った曲なので、僕の中では始まりがこの曲の全てというか。イントロが二つあるような形になっていて最初が変拍子っぽい感じですけど、そこがバシッとキマったらカッコいいだろうなと。ライブでやったらカッコいいかなと思って作った曲です。そこからAメロ、サビと徐々にできていったんですけど、後からZERO君に「毎回Aメロが違うの、何なんすか」って言われて、あっ本当だ!と思って(笑)。作っている時は気付かなかったんですよね。

ZERO:SHUN.さん大体そうっすよね(笑)。

kazuya:そう、面倒くさいの(笑)。

ZERO:俺も曲が上がってきた時点で2回目のAメロは変えちゃおうかなと思うタイプなので、別にいいっちゃいいんですけど、初めから違っていると「これ、面倒くさくないすか?」と思っちゃうんですよね(笑)。

SHUN.:Aメロと捉えなければいいんだよ。2回目はもうBメロと捉えて(笑)。2AはBメロ、3AはCメロ(笑)。

kazuya:構成あり過ぎやろ(笑)。

SHUN.:まぁだから、自分では思っていなかったんですけど、ややこしいんだなというのは言われてわかりましたね。ライブが不安でしかないです。

kazuya:僕、レコーディングではこの曲はほとんど弾いていないので、今から覚えなきゃいけなくて、めんどいです(笑)。

(笑)。この曲は全編英詞ですね。

SHUN.:今作の曲はほとんど詞を書かせてもらったんですけど、1曲くらい全編英詞があってもいいかなと。曲を書いている時に、適当英語みたいなワードがメロと一緒に出てくるんですけど、その適当英語がちゃんと英語に変わったというノリですね。

ただ、この歌詞の内容からすると「UROBOROS」のプロローグ的なものなのかなと思ったのですが。

SHUN.:よくおわかりで…! ありがとうございます!

kazuya:今日イチの笑顔が出た(笑)。

SHUN.:アルバムの中の僕の勝手な裏テーマで、「GENESIS」にも繋がっていて三部作なんですよ。だから、「THE END OF THE WORLD」「UROBOROS」「GENESIS」は僕の中では短編小説を三つ並べたみたいな感じ。実際、「UROBOROS」の歌詞の中で〈the end of the world〉と言っているんですよね。

歌詞を書いたのはどういう順番だったんですか?

SHUN.:元々は「GENESIS」が最初なんですけど、この曲はコロナ禍になる前からライブでやっていて、その時は今とは方向性の違う歌詞だったんです。そこからレコーディングはリアレンジした程度の歌詞で進めていたんですけど、アルバム全体を通して、もうちょっと違う方向にできないかとkazuyaからの提案があったので、結果3回くらい書き直しました。だから、最終的には「UROBOROS」「THE END OF THE WORLD」「GENESIS」の順ですね。

なるほど。「UROBOROS」はサビの開け方が最高にカッコいいです。

ZERO:ありがとうございます。こういうことをマイフォでやってみたいなという間奏、リズムがあって、そこから前後を足していって作りました。間奏の次にできたのがサビだったと思います。最後まで悩んだのがAメロですね。俺、鼻歌とかで録音を溜めているんですけど、大体Bメロとサビで、Aメロは絶対に出てこないんですよ。

そうなんですね。この曲はZEROさんバースデーでの初披露時の衝撃が強かったなと。ファンの皆さんのコメントも盛り上がっていた記憶があります。

ZERO:とことん邪悪な感じで作りましたからね。自分が培ってきた総括みたいな曲というか。普段思い浮かぶのって割とポップな感じが多くて、こういう曲って今まで自分では作れなかったんです。だけど今回、間奏が閃いて、そこから広げていったら、なんとか初めてできたんですよね。自分が作りたいと思った曲が初めて作れた感覚が「UROBOROS」にはありました。

初披露時のセットリストでは「UROBOROS」の次が「FACT IS STRANGER THAN FAKE!!!!」だったのが破壊力抜群で。すなわち、この曲はとても第三期にフィットしている曲だなと感じました。

ZERO:思っていた以上にAMENO君の声がマッチしましたね。多分、曲を作る人って、ヴォーカリストに合わせた感じで作れると思うんですけど、俺は曲作りに慣れていないので、自分の中の理想の人が歌っているのを想像するだけなんですよ。だから作りながらも、いざ完成して何か違うなというふうにならないか心配ではあったんですよね。

それが上手くハマったと。メインコンポーザーであるkazuyaさんは普段曲を作る時、ヴォーカリストの声を想像しながら作りますか?

kazuya:なるべくそうしますね。まぁ、声というか使っていい音域が僕の場合は鍵盤で見えているので、ここの音域なら大丈夫でしょ、このパターンは苦手でしょというのは考えながら作ります。でも、苦手なパターンもチャレンジしてほしいなと思って、あえて難しいこともしますね。

SHUN.:ちなみに、「UROBOROS」は歌詞を書いた時に僕が尺を間違えていて、本当は2番までなのに幻の3番まで書いていました(笑)。今回、どの曲も2~3回書き直していて、もうどれがどれだか(笑)。「REMEMBER」は6~7回書き直しました。

今作は全体イメージとしてヘヴィーなので、中盤に「GENESIS」「陽炎」があることがとても効果的でグッときます。曲順はスムーズに決まりましたか?

kazuya:結構スムーズでしたね。僕が出して、1箇所変わったくらいじゃないかな。

ZERO:頭が変わったくらいですかね。

SHUN.:それと「UROBOROS」の位置を変えた気がする。まぁでも、ほぼkazuya案に近い感じです。

kazuya:僕が作るライブのセットリストに近いと思いますね。

確かに。ちなみに「陽炎」は例えば第二期のマイフォだったら、もっと優しいバラードにしていたんじゃないかなと思って。

kazuya:全くその通りです。ZEROにも言われたんですけど、メロディーはザ・kazuya節だよねと。人間は俺なんだけど、着ている服が違うみたいな。アレンジって服みたいなものなので、今回はこのコーディネートが合ったという感じですね。

ZERO:逆に言えば、二期にとって「陽炎」はバラードじゃないですよね。

kazuya:そうだね、普通にへヴィーな曲(笑)。

ZERO:今の三期だから、このヘヴィーさでもバラードになるという。

あの時の声が忘れられなくて、あれがまた聴きたくて、9年間頑張ってきている気がする(kazuya)

TSUKASA

ラストの「REMEMBER」は泣けますね…。このタイミングでの音源化と今作の流れで、より名曲感とドラマ性が増します。

kazuya:SHUN.には何度も歌詞を書き直してもらって申し訳ないですけど、歌詞がない最後のコーラス部分がやりたかっただけの曲です。Coldplayの「Viva la Vida」が僕の中ですごく残っていて、お客さんがこの曲を幸せそうに歌っているライブ映像を観るだけで、僕は泣いちゃうんです。僕らも音楽、バンドをやらせてもらっている人間として、ファンの方と一緒にそういう幸福感を味わいたい、完全に一つになりたいという意味で、あれをどうしてもやりたいと思って作ったに等しいです。だから、サビから作ったわけでもなく最後から作りました。

珍しいパターンですね。

kazuya:アレンジ先行型の作曲家がSHUN.さんとZEROさん、メロディー先行型が僕とTSUKASA君という感じなので、そういう作り方をするのかもしれないですね。僕は間奏から作ることはまずないですし。たまに「LiaR」みたいにイントロからというのもありますけど、そういうものは限りなく少ないです。

最後の部分を皆で歌いたいから、メンバーも歌えるキーにしたそうですね。

kazuya:そうそう(笑)。実は「SCANDALOUS」でそれをやりたかったんですけど、よくよく考えたら俺らが歌えるわけないじゃんというキーだったんですよね。その時にしまったなと思ったので、今回はちゃんと調べて、ここだったらメンバー全員いけるなというキーを軸にして、サビ、Aメロ、Bメロ、イントロという順で作りました。

元々アルバムのメインとして「REMEMBER」があったものの、その後「LiaR」ができて、8月時点ではこれがリードになりそうと言っていましたが、結果的にやはり「REMEMBER」がリードになるのでしょうか。

kazuya:そうですね。「LiaR」は僕が思っていた以上にメンバーからの評判が良くて、ちょっと盛り上がったのもあってグッズ付きCDの第1弾で出したんですよね。でも、「REMEMBER」の歌詞に書かれていることって、バンドが今も続いている理由に等しいと思うんです。ヴォーカルも2回代わっているわけだから、止めるタイミングなんて何度もありました。ただ、9年前の12月1日にマイフォで初めてステージに立った、あの時の歓声が耳から離れないんです。もちろんFANATIC◇CRISIS、D’espairsRayとして、それぞれ大きなステージもたくさんやってきたんですけど、それとは違う感覚。あの時の声が忘れられなくて、あれがまた聴きたくて、9年間頑張ってきている気がするというか。そういうことを考えると、「REMEMBER」はメイン曲にふさわしいなと思います。

第二期が終わって「僕らはまたステージに戻って来るから待っていてね」と言った、あの時の言葉を覚えているかい?というところから、この歌詞は始まっているとSHUN.さんが以前言っていましたよね。

SHUN.:この曲をライブでやりだした最初の頃は、今言われたようなことを中心に描いていたんです。それから時間が経って、何度か書き直していた中で世界の状況が一変して。kazuyaからも今の時代を映し出すような曲があったほうがいいという話も出たので、もう1回練り直しました。〈DO YOU REMEMBER THE WORD I SAID?〉というのが第二期が終わった時のことで、以前はバンドだけのことを歌っていたんですけど、そうじゃなく、今を歌えるような歌詞になったらいいなと。

なるほど。

SHUN.:人って生きている中で、ずっと刺さっている言葉ってあると思うんですよ。何かの情景を見た時、何かの曲を聴いた時にそれを思い出す。逆も然りで、その言葉を聞くと、あの風景を思い出すなとか。「REMEMBER」が、この曲を聴いたら、あのライブを思い出すよねという曲であったら嬉しいなと、これは個人的な願望でもありますけど。人にはそれぞれ人生があって、色々なことを感じて、色々な言葉を聞いたり言ったりしてきたと思うので、その瞬間の言葉を覚えているってすごく大事なことだと思うんです。それを思い出して、この時代を生きていけたらいいのかなと。そんな気持ちで書き直しましたね。

ますますファンの皆さんにとっても大事な1曲になっていくんだろうなと思います。

SHUN.:そうであったら嬉しいですね。

12月20日に今年最後の配信ライブ「STREAMING LIVE #5 「The Unfinished Story」Fullcomplete – kazuya BIRTHDAY-」が控えていますが、アルバム全曲披露&少し先の未来をテーマに構成されるそうですね。

kazuya:2020年の総決算ではなくて、先ほど言った新しい山を作りたいという僕からの提案というか、ちょっと冒険ものもセットリストに組み込んでいます。そこを皆がどう評価するのかすごく気になりますね。流れもいつもと全く違って結構実験的なので、実は不安要素が多いです(笑)。普通のことを普通にやるんだったら、僕らじゃなくていいと思うんですよね。自分らが自分らであるために、見えないことをやって道を作っていくことがアーティストだと思うので、それを今回表現したいなと思っています。

2021年8月には遂に10周年を迎えますが、2021年のマイフォはどのように活動していきたいですか?

kazuya:今年って本来は10周年に向かっていくプロジェクトだったわけで、言ってしまうと、本当は来年の8月に僕らが初めてやった場所O-EASTで10周年をやるのがゴール設定だったんです。だけど、こういう世界になってしまって全部中止になって、10周年に何をやるか白紙状態になりました。そういう状況下なので、その日その日で考えていくしかないというか。僕が言えるのは、見えない未来を創りたいということですね。最近口癖のように言うんですけど、大行列している山に皆で登ってどうすんの?っていう考え方。ミュージシャンがズラーっと並んでいるヴィジュアル系という山を僕らは登っているわけです。上のほうには偉い方々がいっぱいいて、大渋滞している中で。それってどうなんだろう、山作らない?っていう感覚。こっちの山はちょっと小さいかもしれないけど、空いてるよ?みたいな(笑)。

新しい山、気になります。

kazuya:そういうことができるのがアーティストだと思うし、正しい生き方な気がするんです。人のコピーをした生き方をしていても仕方ないと思っていて。僕らが僕らであるための生き方が大切。よく意識高い系の中で言われている「優れるな、異なれ」みたいな話で、そのほうが世の中には入り込みやすいし、チャンスは広がる。でも、その見えない未来に行くのはめっちゃ怖いんですよ。安パイでやっていたほうがめちゃめちゃ楽なんです。見えていることをやったほうが楽なんですけど、そんなことを人生削ってやる必要ある?と思うので、平たく言うとトライ&エラーで新しいことにチャレンジしたいなと思います。

(文・金多賀歩美)

THE MICRO HEAD 4N’S

AMENO(Vo)、kazuya(G)、SHUN.(G)、ZERO(B)、TSUKASA(Dr)

オフィシャルサイト

リリース情報

New Album『The Unfinished Story』
2021年1月24日(日)発売
(13th tones)
※オフィシャルオンラインショップのみの販売

[BOX SET](CD+DVD3枚) ¥8,000(税込)

<セット内容>

  • ALBUM『The Unfinished Story』
  • LIVE DVD『STREAMING LIVE #3「The Unfinished Story」9th Anniversary LIVE at LIQUIDROOM』
  • ALBUM COMMENTARY DVD(メンバーによる新曲解説)
収録曲

[CD]

  1. REBIRTH -the 3rd form-
  2. LiaR
  3. DOWN
  4. GENESIS
  5. 陽炎
  6. THE END OF THE WORLD
  7. UROBOROS
  8. NOISE
  9. FACT IS STRANGER THAN FAKE!!!!
  10. REMEMBER

[DVD]
STREAMING LIVE #3「The Unfinished Story」9th Anniversary LIVE at LIQUIDROOM
【DISC1】

  1. HELLO MY CLONE
  2. GLORIOUS BLAZE
  3. 雷鳴
  4. DOWN
  5. Deeper Than Black~闇色の翼~
  6. Instrumental
  7. Nocturne
  8. Vanilla
  9. SCANDALOUS
  10. UROBOROS
  11. NOW or NEVER
  12. COUNTER ATTACK
  13. BORN

【DISC2】

  1. LiaR
  2. EARNEST GAME
  3. VOLCANATION
  4. Curtain Call
  5. 上弦の月のオーケストラ ~Stella Note Magic~
  6. REMEMBER
  7. REBIRTH -the 3rd form-

ライブ情報

●STREAMING LIVE #5「The Unfinished Story」Fullcomplete -kazuya BIRTHDAY-
12月20日(日)※無観客生配信