Plastic Tree

◆モノを作るってそういうのでいいんだって思ったね(ナカヤマアキラ)

――ところで、「輪舞」はキーがすごく高いですよね。

竜太朗:むちゃくちゃ高いですね。

――竜太朗さんはご自分の音域を調べたことはありますか?

竜太朗:前に教えてもらったんですけど、あんまり興味ないので忘れちゃいました(笑)。それを意識して曲を作ることはたぶんないなと思ったので。また調べてみたいですけど。でもあれって声量によっても結構変わるし、わかんないですよね。ただ、(自分の音域の)おいしいところは人それぞれあるんでしょうけどね。

――「輪舞」のヴォーカル録りは順調でしたか?

竜太朗:高いところと低いところの幅がうちの曲の中ではかなりある方の曲なので、そこが大変でした。初め、「あれ? 思ったより(音が)当たらない」ってなって、15分くらいエンジニアと「ゔーん」ってなったんですけど、何回かトライさせてもらったら、いい感じになりました。出るのはわかっていたので、歌と捉えられるまでが少しかかりました。逆にすごく高いからエフェクト処理をしてわざとボコーダーみたいなのを掛けたりもしたんですけど、それはレコーディングしてからですね。どう歌でがんばっても歌っぽくないから、じゃあいっそ機械っぽくしちゃおうよってことで。

――なるほど。みなさん、今作の中で一番苦労した部分はどの辺りですか?

正:レコーディング自体はどれもスムーズにできたんですけど、「曲論」は曲のイメージを固めるのにすごく迷ったかなぁ。完成系に辿り着くまで。プレイとしては全く迷いなくいけたんですけど、曲を詰めるプリプロの段階で、なんでもありっちゃなんでもありなんだけど、どの方向でいったら一番かっこいいのかな、というのを探すのに若干手間取った感じですね。

竜太朗:全体としては俺も「曲論」ですかね。ほとんど同じ理由で。曲が元々大幅に変わった部分があったりして、いいなと思っているが故に色々な方向が試せて、良いところを伸ばそう伸ばそうとすると難しいところにいっちゃったり。結構時間がかかったなというイメージがありますね。

ケンケン:やっぱり「雨音」の歌詞ですね。歌を録りながら歌詞を書いてみんなに相談して、という感じだったので、自分の中で一番時間がかかった曲でしたね。

アキラ:バンドで仕上げることに関しては「曲論」が一番時間がかかったよ。個人的には今まで作った中で一番ラクな作品だった。だってプリプロでちゃんと練ったものを録っただけだから。ラクっていう言葉は間違いかもしれないけど、きちんと収めるという意味合いでは俺個人的には落とし込めた。ただその分プリプロは大変だったと思う。でもモノを作るってそういうのでいいんだって思ったね、今回。大元の骨格をきちっと把握して、こういうものを作りたいっていうことで取り組んでいけば、例えばマイクを立てるだとかギターを弾くだとかいうことは、そんなに大したことではない。困ってるんだったら前日に練習すればいいだけでしょ?っていう、そのくらいまでプリプロで落とし込むから。…という良い発見ができました。

◆ほどほどの安定感と、ほどほどの危なっかしさ(長谷川正)

――ところで、1月に初の韓国公演があったんですよね。台湾では何度かライブをされていますが、韓国と台湾の違いはありましたか?

竜太朗:台湾はかなりライブでお邪魔させてもらっているので、あんまり外国感がないんですけど…。

――もはやホームくらいの感覚ですか。

竜太朗:喋れない地元くらいな感じで(笑)。韓国は行ったことがなかったので、「あぁ外国だな」という感じがしました。韓国に限らず過去に行ったどの国もそうなんですけど、すごく曲を聴いてくれているし、バンドを理解してライブに来てくれているというのがわかって。すごく良かったです。あと寒かったですね。

アキラ:初めてなのに歓迎してくれて。いつも初めての国の時は、蓋を開けてみたら本当は喜ばれてないんじゃないかとか、そういう不安を抱きながら行くんですが、やってみたらちゃんと盛り上がってくれるし、有り難かったです。

ケンケン:歓迎してくれたのが嬉しかったですね。

正:どこの国に行ってもバンドに対する理解力を感じられるのが、すごく嬉しいですね。日本の数あるバンドの中でも良い意味で変わったバンドの一つだと思うので、文化も全然違う国の人たちが自分たちが作ってる音楽やライブの雰囲気を理解してくれて、ただただびっくりです。嬉しいですね。

――そして、3月16日から『echo』を引っさげた20公演ツアーが始まるわけですが、意気込みをお願いします!

アキラ:がんばってきます! 言うことがないんじゃなくて(笑)、心からその言葉を頼りにやっていこうと思います。

ケンケン:アルバムの曲がライブでどうなるのか楽しみなので、ツアーを回って曲も一緒に成長していけたらいいなと思います。

竜太朗:今回はミニアルバムという企画も含めて、自分の中でチャレンジというか実験的なアルバムだったなと思っていて、そういうものを作った時のライブというのはバンドが伸びる部分のヒントになったり、これからのPlastic Treeを見つけられるツアーになると思うので、すごく楽しみですね。これからの物作りにも影響していくと思うので、すごく大事なツアーかなと思います。あと個人的には初めて行く場所も多いし、今回はナカちゃんの地元(釧路)もあるんですよね。ずっと行ってみたかったので楽しみです。

正:「20周年“樹念”」と銘打って回るツアーでもあるので、ほどほどの安定感と、ほどほどの危なっかしさというか良い意味でドキドキする感じ、その両方を出せるツアーになるといいなと思います。

<脚注>
※1:アルバム『インク』2012年12月12日発売。2013年1月30日~3月7日に『インク』を引っさげた全国ツアーが行われた。
※2:2013年3月11日~3月17日に東京キネマ倶楽部で行われた7daysライブ。

(文・金多賀歩美)



Plastic Tree

<プロフィール>

有村竜太朗(Vo)、長谷川正(B)、ナカヤマアキラ(G)、佐藤ケンケン(Dr)によるロックバンド。1997年6月にメジャーデビュー。2012年メジャーデビュー15周年を迎え、シングル3作を立て続けにリリースし、4月には4度目の日本武道館公演を成功させた。12月、15周年“樹念”の集大成となるアルバム『インク』をリリースし、ツアーを展開。2013年9月、約1年ぶりのシングル『瞳孔』をリリース。2014年、結成20周年“樹念”イヤーを迎え、3月5日にミニアルバム『echo』をリリース。3月16日より全20公演に渡るPlastic Tree 結成20周年“樹念”ツアー2014「echo」を開催する。

■オフィシャルサイト
http://www.plastic-tree.com/

【リリース情報】
『echo』
2014年3月5日(水)発売
(FlyingStar Records)
Plastic Tree、結成20周年“樹念”イヤー第1弾リリースは、バンド史上初のミニアルバム。先行シングル曲「瞳孔」を含む全7曲を収録。

『echo』初回限定盤
初回限定盤
(CD+DVD)
VIZL-642
¥3,300+税
『echo』通常盤
通常盤
(CDのみ)
VICL-64122
¥2,600+税

【収録曲】
[CD]※共通
1. 木霊
2. 曲論
3. 嬉々
4. 輪舞
5. 瞳孔
6. 雨音
7. 影絵

[初回限定盤DVD]
・「影絵」Music Video
・「echo」オフショット映像