HIROTO × ナカヤマアキラ(Plastic Tree)

HIROTO LIVE 2024 ep.1「Starlight Festival」開催記念スペシャル対談第3弾:HIROTO × ナカヤマアキラ

2023年9月3日をもってアリス九號.が無期限活動“凍結”となって以降、いち早く活発な動きを見せているギタリストHIROTOが、いよいよ自身の誕生日である2024年5月4日、ソロアーティストとしての本格始動となる「HIROTO LIVE 2024 ep.1『Starlight Festival』」を渋谷WWW Xにて開催する。この記念すべき一夜に向けたVifスペシャル企画の第3弾は、HIROTOとナカヤマアキラ(G/Plastic Tree)によるギタリスト対談。これまでの二人の様々な接点、そしてナカヤマアキラの存在がHIROTOの音楽家人生に多大な影響をもたらしていたことも明らかに。


実はアキラさんのエッセンスが結構色濃くアリス九號.に入っている(HIROTO)

アキラさんとも初対談ですか?

HIROTO:はい、二人は。緊張してます。

ナカヤマアキラ(以下、アキラ):なんで(笑)。

貴重な回になりそうな気配です。まずは出会いから教えてください。

HIROTO:2007年にV-ROCKのバンドだけを集めたNHKのテレビ番組「MUSIC JAPAN『ネオ・ビジュアル系真夏の宴2007』」の収録がNHKホールであったんですけど、多分その時が初対面じゃないかなと。

アキラ:あ、そうだ!

HIROTO:その時はご挨拶くらいだったと思います。

その後しっかりお話したのはいつですか?

アキラ:アリス九號.と対バンさせてもらった時の打ち上げかな?

HIROTO:じゃあ、2016年ですね(2016年2月11日「共鳴の夜、共振の宴」@Zepp Tokyo)。会場の楽屋前でも写真を撮らせてもらったのを覚えています。

アキラ:打ち上げもちゃんとお互いのメンバー全員参加して、ただただ楽しく終わるっていう。

HIROTO:あれ、すごく良い対バンでしたよね。お互いのファンの方も喜んでくれて。カバーを1曲ずつやらせてもらって、「うわ、自分たちの曲をアキラさんが弾いてくれとる…!」って感動でした。

アキラ:ちゃんとやりました(笑)。

HIROTO:ちょっと自分のことを話させてもらうと、小学生の時にPlastic Treeの「Sink」がタイアップで流れてきたのを聴いて、「何だろうこの曲!? 誰なんだろう!?」と。Plastic Treeに触れたのはそこからだったんですよ。その時はまだ自分が何で反応しているのか分析できてなかったんですけど、ギターを始めた後に、このギターのアンサンブルの中に声が溶けている感じ…その音像感がすごく好きなんだと思って。その後マイブラ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)とかシューゲイザー系の音楽を知っていった時に、また自分が反応したんですよ。

HIROTOさんの中で繋がったわけですね。

HIROTO:そうなんです。Plastic TreeってそれをJ-ROCK、ポップスのところまで落とし込んでいるというか、融合させているというか。すごく大好きなバンドさんです。ツーマンもやってもらえると思っていなかったので…あぁ、色々と記憶が蘇ってきた(笑)。

アキラ:そもそも僕ら、縁があったんでしょうね。同じエンジニアさんとお仕事していたりするんですよ。

意外な接点があったんですね。

HIROTO:僕としては、「JACK IN THE BOX」(年末恒例のMAVERICK DC GROUP主催イベント)で、ライブ制作の加藤さんと喫煙所で話し込んでいた時に、「HIROTOって、どんなギタリストが好きなの?」と聞かれて。hideさんはもはや僕の中ではギタリスト認識じゃなかったんですよ。アーティストというか。それでバンド形態ではLUNA SEAが最初だったんですけど、このシーンのギタリストとなると「アキラさんのギターがすごく好きなんですよね」と話したら、「めちゃくちゃ仲いいよ」と。そこで間接的にアキラさんの話を聞き出してた(笑)。

アキラ:そうだったんだ(笑)。

HIROTO:話を聞いた感じ、想像していた通りのギタリスト像だなと。そこから6〜7年経って、ツーマンが実現したという。

実際に会話した後も想像通りでしたか?

HIROTO:想像より、普段柔らかい方だなと。笑顔が素敵。笑わない人なのかと思っていたので(笑)。

アキラ:どちらかと言うと、笑ってばっかりですよ(笑)。

アキラさんから見たHIROTOさんのアーティストとしてのイメージと、実際会話してみての印象の違いはありましたか?

アキラ:違いはそんなにないですよ。ちゃんとしていらっしゃるなと。

HIROTO:全然ちゃんとしてないです(笑)。

では、誰かに「HIROTO君ってこんな子だよ」と紹介するとしたら、どのように伝えますか?

アキラ:また難しい質問(笑)。いや、これは文章に起こせない(笑)。

HIROTO:お気遣いなくアキラさんから見た真実を言ってください(笑)。

アキラ:先日、一緒にご飯を食べた時に健康の話をして、おすすめを色々教えてもらって、その場でサプリとかポンポン注文しましたよ(笑)。スゲー世話になっています。

HIROTO:プラのメンバーさん全員とマネージャーさんと、なぜかHIROTOで食事に行くという不思議な機会があって(笑)。

アキラ:しかも結構な時間までね。だいぶ深かった。

HIROTO:深夜3〜4時くらいになっていましたよね。

HIROTOさんは、プラの竜太朗さん(Vo&G)とも以前から交流がありますよね?

HIROTO:昔から仲良く飲ませてもらっています。プラのメンバーさんって、ただバンドメイトというだけじゃなくて、もう家族のような感じ。だって、何十年もやっているバンドがメンバー全員で飲みに行くとか、食事するとか、普通は減るじゃないですか。家族みたいな間柄だけど、フレンドな感じもちゃんとあって、でもお互い独立しているアーティストでもあるみたいな。めちゃくちゃ稀有な関係性のバンドさんだなと思います。

アキラ:説明上手だね。すごい(笑)。

HIROTO:あの時、直接言っていたと思うんですけど、「なんだこの場所!?」っていう超絶VIPのファンイベントに参加しているみたいな感じでした(笑)。こういうことがたまたまあって、さらに昨年末、紅白でたまたまアキラさんと一緒で(YOSHIKIスペシャルバンドとして出演)。入りから、すごいたまたまでしたよね?

アキラ:そうだよね。同じタイミングで。

HIROTO:「これくらいにリハがあります」程度でフワッとしていたから、何時に入ればいいんだろう?という感じだったんですよ(笑)。

アキラ:そうそう。だから俺もドキドキしていたわけですよ。そしたら「あー! HIROTO君だ!」って。

HIROTO:入口もわからなくて、どこから入るんだろうと思っていたら、ちょうどアキラさんに会って、すごい安心しましたよね(笑)。

アキラ:「一緒に行こう」って(笑)。

HIROTO:後日談ですけど、あそこにいた方が皆いろんな思いを抱えて紅白の現場に集っていて。会った瞬間に目を見て、すぐにそれがお互いわかったんですよね。

アキラ:そうだよね。それで大晦日を一緒に過ごして、日付が元旦になった時も一緒にいて、日の出も一緒に見て。

HIROTO:ずっと飲んでましたよね。

そういえばHIROTOさん、その深夜にお寿司を持って歩いているところを、地上波のバラエティ番組に偶然取材されていましたよね(笑)?

HIROTO:そうなんですよ…(笑)!

アキラ:(笑)

HIROTO:30日の紅白のリハの時点から「全部終わったら飲みに行きたいっすね!」と、ずっと言っていたんですよね。

アキラ:それで本当に行くことになって。

HIROTO:紅白終わりで、確か深夜1時頃までYOSHIKIさんチャンネルの配信があって、移動して2時頃からアキラさんとvistlipのうーみん(海/G)と3人で飲み始めて、3時頃にまさかの竜太朗さんも合流できたんですよ。めちゃくちゃレアな年越しで。それでお腹が空いてきたので、すしざんまいに電話したら、注文は大丈夫だけど出前はできなかったんですよね。ちょっと酔ってきたし、外の空気で一旦クールダウンしようかなと思って「僕、取りに行ってきます」と。それで戻っている最中にテレビの人に話しかけられちゃったという(笑)。

アキラ:なかなか帰って来ないから、何してるんだろう?と思いながら待ってました(笑)。

偶然あの番組を観て、さすがHIROTOさん持ってるなと思いましたよ。

HIROTO:本当にたまたま。それで元旦の朝方、飲んでいる時にアキラさんに今回のライブのお話をさせてもらって。

アキラ:そうね。年末〜元旦のタイミングで、そういうお話をいただいたという流れです。

まさかの元旦に。お話を聞いた時、アキラさんはどう思いましたか?

アキラ:いきなり内容のことを詳しく聞いた気がする。やるんだったらどんな感じで取り組んだらいいかなとか、元旦だというのにもう考え出していた気がします。まだ決まってもいないのに(笑)。そんな感じで考えてたら、寿司食べたり、お酒飲んだりしてた(笑)。

(笑)。基本的にはOKする前提で考えていたわけですね?

アキラ:そうそう。やっぱり楽しいじゃないですか。自分もソロを始めて何年か経っているし、ギタリストがソロをやるっていいよなと。

アキラさんから見て、ギタリストとしてのHIROTOさんのいいなと思う部分を教えてください。

アキラ:どういう風に音楽を作っていくのか、HIROTO君がどういうルーツなのか、そこまでの話って深くしたことがなかったんですよね。だけど、ソロの楽曲でどういうアプローチをたくさんしてくるのか、もしくはちゃんと自分であれっていうギターを弾くのかとか、そういう時にルーツが見えてくるわけですよ。それは自分がどう取り組んでいったらいいのか考える時のヒントになりますよね。で、ちょっとハードロックベースだなと思って、それは俺、大丈夫ですよと。例えばもっと民族めいた音楽やジャズとかになったら、「うわ、どうしよう。勉強してから取り掛からないと」となっちゃいますけど、そんなこともなくナチュラルにできるので。楽曲をいただいて「よし、頑張るぞ!」という、今ちょうどその期間です。思ったより曲がちょっと難しいぞ、おかしいぞと思いながら(笑)。

HIROTO:どれですか?

アキラ:サビになったら3/4拍子と4/4拍子が交互になっていくやつ。

HIROTO:あ、「Starlight Festival」。

アキラ:どうすんだこれと思いながら、譜面をいちいち「4344、4344」って書かなきゃいけないっていう(笑)。

HIROTO:実はこれ、自分でもめっちゃ難しいんですよね。

アキラ:そうだよね。あれだったら最初に7/4拍子と書いて割っていけばよかったのにと思いつつ、でも慣れたらメロディーの運びがそうだったから、なるほどねと。

HIROTO:一見、普通にサラッと聴けるキャッチーな曲だけど、蓋を開けたらナニコレ?みたいな曲を目指した…というか、メッセージ、景色を表現しようとしたらこれだったという(笑)。

アキラ:そうなの(笑)!? 最初「EDMじゃん。やった、得意得意」と思いながら聴いていたわけですよ。そしたら、途中で様子がおかしくなって、なんか違うぞと(笑)。

HIROTO:歌がめちゃくちゃムズくて。

アキラ:あれは気を抜けないよね。大変だと思う。

HIROTO:気を抜くと見失う。でも、お客さんは多分自然に盛り上がれると思うんですよ。

アキラ:そうそう。半拍裏とかないし、本当にタンタンタンタンって行くだけなので。

HIROTO:だけど、その上がズレていくという形。

たまたま難しいものができてしまったと(笑)。

HIROTO:ちなみに僕、ハードロックがルーツにあるとは自分では思っていなくて。

アキラ:あ、本当に?

HIROTO:90年前後のいわゆるLAメタルがちょっと落ち着いた後のグランジ、バンドで言えばサウンドガーデンとかニルヴァーナとか、あの辺がすごく好きで。あれってハードロックではないですよね?

アキラ:あれはグランジだけど、グランジ勢って曲中にミュートプレイしないんですよ。ストロークなんですよ。

HIROTO:おー、確かに。

アキラ:HIROTO君の曲にある、ミュートとかパッと開いたりするプレイってハードロック特有ですよ。

HIROTO:もしかしたらそれ、アリス九號.をやっていたことで身につけたのかもしれないです。虎(G/アリス九號.)が割とハードロック、ニューメタルがルーツなので、19年も一緒にやっていたから、お互い影響され合っているところがあって。逆に虎はU2みたいな感じとか、シューゲイザー的な感じは一切通ってないんですよね。自分はすごくそっちに傾倒していたので、お互いのルーツが交わった結果なのかなと。

アキラ:プラは逆にそんなプレイをすると、90年代なんか特に音楽シーン的にもハードロック、ギターソロがダサいという時代だったので、「ミュートやめて。ちょっとゲインを落として開放で」って言われるという(笑)。2000年を越えてからやっとミュートプレイ解禁みたいな(笑)。ギターソロも世間的に速弾きOK!っていう時代になったし。

HIROTO:一昨年にも「若者がギターソロ飛ばす問題」がSNSで話題になっていましたけど、僕らのバンド始動が2004年で、むしろその当時、世の中的にもっとギターソロがなかった気がして。

アキラ:もう90年代は国で禁止してんじゃないかってくらいギターソロがなかったですよ。ただ歌メロをギターでそのまま追ったイントロがあったくらいで。

HIROTO:それ、めちゃくちゃありましたね。

アキラ:単音なんてもってのほか。でもアルペジオはいいよ、コードの分散はいいよみたいな。

HIROTO:90年代の音楽の作り方って、やっぱりカラオケなんですよね。尺は完全に5分。5分をはみ出ると2曲分の扱いになって印税が2倍になるとか、サビに行く前にメロディーを最初に聴いているから歌いやすいとか。インフラが先にあって音楽の形態が決まるみたいな。それって日本独特のものですよね。

アキラ:インフラか。いい言葉のチョイス。それにしても、確かに少し前にギターソロ云々ってありましたね。そんなもん比じゃないくらい90年代は酷かったですよ(笑)。ド直球で「ダサいからやめて」みたいな(笑)。プラだけじゃなく、世間的にね。でも、プラは特別厳しかったですよ。他のバンドを見たら「あれ? 結構ハードロックだな」と思いながら(笑)。

HIROTO:でもそれが、最初の10年ぐらいのPlastic Treeの独自の雰囲気になっているんですよね。

アキラ:そうそう。

HIROTO:LUNA SEAはギターソロありますけど、実は僕、LUNA SEAのメンバーさんのソロワークから入っていて。Jさんはめっちゃハードロックですけど、全体的にギターソロがめちゃくちゃフィーチャーされているかといったらそうじゃないし、SUGIZOさんもソロワークは構成やアレンジも複雑で、アシッドジャズみたいな感じだったし、INORANさんはそもそもギターソロがないし。このあたりから入ってPlastic Treeを聴いて、そこからU2を好きになって、ギターソロがあまりない音楽を好んで聴いていたんですよね。で、虎が好きなニューメタルは、ギターソロがほぼないじゃないですか。だからその辺の二人のルーツが反映された結果、アリス九號.の初期はギターソロがない曲ばかりなんですよ。

アキラ:へー、なるほど。

HIROTO:あと、アリス九號.の初期の楽曲で、Plastic Treeをオマージュしているものがあって。めちゃくちゃそのままだから、わかる人はわかると思うんですけど(笑)。そんな曲もあったりするくらい、実はアキラさんのエッセンスが結構色濃くアリス九號.に入っているんですよ。

アキラ:そうなんだ? 意外。