2025.10.10
defspiral@Veats Shibuya
「defspiral tour 2025 “Nyx Nitefall: Eclipse”」

2025年、活動15周年のアニバーサリーイヤーを迎え、怒涛の展開を見せているdefspiralが、8月10日より今年二度目となるツアーを開催。期間にして丸2ヵ月、全14公演にわたった「defspiral tour 2025 “Nyx Nitefall: Eclipse”」のファイナルが、10月10日Veats Shibuyaにて行われた。

“そのタイトルから察するに、昨年末に行われたツアー「Nyx Nitefall」の続編的な位置づけと捉えてよさそうだが、同時に新たなdefspiralを体感できる場となることは間違いない” ――去る5月に開催された15th Anniversary Live「MOONLIGHT SYMPHONIA」のレポートの中で、筆者はこう記していた。

TAKA
MASATO

改めて補足すると、“Nyx”とは暗闇や夜を司る女神、“Nitefall”は日没や夕暮れ、夜の始まりを意味する。そして“Eclipse”すなわち日食は、太陽・月・地球が一直線に並び、月が太陽を隠す現象のことだが、比喩的には再生や新たな周期の始まりを象徴する言葉としても用いられる。また、「Nyx Nitefall」ツアーのフライヤーには「In the night, every soul dances under the same moon.」(直訳:夜には、すべての魂が同じ月の下で踊る)と添えられており、そのコンセプトを具現化した選曲でのステージはdefspiralの真骨頂と言えるものだった。つまり今ツアーはそれらを基軸としながら、新たなフェーズへ歩を進めるものと解釈していいのではなかろうか。

実際、「新しい曲を発表しながら、ずっとツアーモードで2ヵ月くらい生きていられるというのが幸せで」とのRYO(B)の言葉もあったように、本ツアー最大のトピックは、開催と同時に新作音源が3ヵ月連続でリリースされたこと。8月10日のツアー初日に第一弾『ECLIPSE』、中盤の9月11日に第二弾『SPIN THE UNIVERSE -Ai no Wakusei-』、そしてファイナルとなるこの日に第三弾『銀河航路』と、いずれも天体にまつわるタイトルを掲げた3作を発表。各作品には表題曲とc/w曲の2曲が収録されたため、計6曲がこの短期間で世に放たれたことになる。

RYO
和樹

同期によるピアノの音色から、バンドインの一打が劇的な始まりを告げた「ECLIPSE」、ディストーションの効いたギターサウンドや心地いいビートで大人のロック感を魅せた「Nyx Dance Hall」と、このツアーの冠を象徴する2曲が当夜の幕開けを飾った。なお、後者は「Nyx Nitefall」ツアーで初披露された楽曲であり、それが最終的に『SPIN THE UNIVERSE -Ai no Wakusei-』のc/wとして収録されたという背景も、実に感慨深い。

「さぁ今夜も行こう。深い森の中へ」というTAKA(Vo)の言葉を合図に供された、スリリングかつエッジの効いた「ARCANA」、次いで、浮遊感を描くMASATO(G)のギターが空気を変えた「STARDUST」。そこに続いたのが新曲「SPIN THE UNIVERSE -Ai no Wakusei-」で、弦楽器隊による〈Chu- Chuu- Chu Chu Chu〉のコーラスも印象的なダンスチューンがフロアを揺らした。加えて、“星屑”、“惑星”から「光の世界」へと繋がる構成はまさに秀逸で、TAKAが穏やかな表情で〈世界は“ほら”美しい〉と囁くように歌い替えた場面も忘れがたい。さらに、その曲終わりの静寂の中、和樹(Dr)のシンバルきっかけで、RYOがメロディックなベースフレーズを奏でた「夢見る蜉蝣」への流れは、実に見事な展開だった。

本編折り返しのブロックでは、起爆力の高い「VIVA LA VIDA」「PULSE」に続いて新曲「THE CALL」へ。和樹の力強くキレのある高速タムが楽曲の勢いとドラマティックさを引き立てれば、ステージとフロアが一体となった「ヘイ!」のリフレインで、エネルギーに満ちた空間を生み出した。そして、〈この目に映る 全て美しい〉とライブの光景を歌った「EUPHORIA」を皮切りに、本編終盤は愛に溢れた展開に。楽園に咲く赤い花をモチーフに幸福を追い求める物語を描いたシャッフル曲「ALEGRiA」、〈儚く揺れる真っ赤な薔薇ひとつ 胸に挿して〉と歌うロックンロールナンバー「IGNITE THE NITE」。楽曲のカラーは違えど、〈踊り明かそう〉という今ツアーにふさわしい共通のリリックも含まれる2曲が並んだ。

さらに〈ただ今が愛しい〉と歌う、多幸感溢れるキャッチーな「SATELLITE」でメンバーの表情にも笑みが浮かぶ。「今歌っていた通り、いつまでもいつまでも皆と夢を見ていたいなと、そんなことを毎回感じるツアーでした。これからも“永遠”を歌い続けていきたいなと思います。今夜は本当にありがとうございました。また会う時まで、皆が心穏やかに過ごせるように、思いを込めて最後に贈ります」――そんなTAKAの言葉から「Nitefall」をもって温かな締めくくりとなったのだった。

アンコールでは和やかなMCが繰り広げられる中、RYOが「今年はやりたいことを全部やるぜとスケジュールを組んで、まだまだ年末まで続きますけども、まだまだ高みを目指して突っ走っていくdefspiralに振り落とされるなよ!」と告げれば、和樹は「思い出の地や新しい地にも行けて、ライブはもちろん、すごく充実して楽しいツアーだったなと思います」と振り返った。そして、この日に発売を迎えた『銀河航路』について、ここで驚愕の事実が明かされることに。

なんでも、ツアーが始まる段階でアルバムができるほどの曲数をすでに作っていたものの、TAKAの提案により、出揃っている曲ではなく急遽「今から作ろう」となったのが、つい数日前のことだとか。「なので、めちゃくちゃ短期間で、ギリギリまで皆で曲を作ってレコーディングして、ジャケットを作ってというパッケージを本当に数日でやったんですよね。めっちゃすごいバンドやん!と思いましたね。できる子たちやなー(笑)!」とMASATOは語ったのだった。

それを受けて、TAKAはその真意を次のように話した。
「『Nyx Nitefall: Eclipse』ということで、最初に『ECLIPSE』を出して。その曲ができた時は、ピアノから始まるその世界観で、いろんな曲を一つの形にしていこうというイメージだったんですけど、ツアーをやっていく中で感じたこと、楽しくて嬉しい気持ちとか、いろんな変化があって、ちょっとその縛りだけで表現していくのは気持ち的に何か違うなと思ってしまったんですよ。いつものやつです。で、皆でいろんな試行錯誤があったんですけど、音楽に一生懸命打ち込むメンバーの姿を見ていて、やっぱり楽しいなと思いましたし、この4人でもっともっと良い音楽を作っていきたいなと感じる期間でした。だから、届くといいなと思います。皆さんがそこで待っていてくれるから、良いものを作って届けたいな、心を揺らしたいなといつも思っています」

近年のdefspiralにとって、ツアーと並行して新曲を制作すること自体は珍しくないものの、今回のケースは極めて稀であり、どれほどの情熱と労力を要したかは想像に難くない。それを完遂したからこそ、「defspiralの未来、めちゃめちゃ明るいぞ!っていうね」とはMASATOの言葉。余談だが、楽曲の完成がギリギリだったことから、ツアーファイナル前日の夕方にリハーサルに入ったという。そこで実際に新曲を演奏し、感触を確かめたうえで組み込む位置を検討したため、セットリストも前日まで確定していなかったというのだから、驚きだ。

TAKAは、さらにこんな言葉も述べていた。「バンドをやるのって楽しいし、音楽を作るのって楽しいし、いつも言っていますけど、本当にかけがえのない時間だなと思います。特に今年は15周年ということで、いろんなコンセプトでツアーやライブをやっていますけど、結構無茶と言えば無茶なんですよね。だけど、楽しんでやれていて、懸命にやっているからこそ喜びもデカいですし、本当に充実した15周年が回れています。皆さんがそこにいてくれるから叶っている時間とか感情、喜びだなと感じています」

かくして、「長く愛していきたい、歌い続けていきたい曲ができました」と、満を持して披露されたのが「銀河航路」。温かなメロディに乗せて深い愛情が示されたハイライトを経て、鉄板曲「MASQUERADE」で再びフロアがダンスホールと化せば、現体制初のシングル収録曲でもあった「流星」でエモーショナルかつ骨太のサウンドを轟かせた。さらに最新作のc/wであるキャッチーなロックナンバー「FLY INTO DAWN」で未来への光を描き出し、ダブルアンコールでのキラーチューン「LOTUS」をもって、この夜は終幕を迎えたのだった。

defspiralの真骨頂かつ新たなフェーズへの一歩を刻んだ今ツアーを経て、彼らが次に向かうのは11月の東名阪ツアー「defspiral tour 2025 “PRISMA”」。さらに、12月26日にはMASATOのバースデーライブ「Radiance of Chaos」、2026年1月10日にはニューイヤーライブ「RISING LIGHT」の開催も決定している。いよいよ15周年イヤーもフィナーレに差し掛かってきた。とはいえdefspiralの旅路はこの先も続いていく。願わくば、“永遠”に再会の夜を重ねていけますように。

◆セットリスト◆
01. ECLIPSE
02. Nyx Dance Hall
03. HYSTERIA
04. Babylon
05. ARCANA
06. STADUST
07. SPIN THE UNIVERSE -Ai no Wakusei-
08. 光の世界
09. 夢見る蜉蝣(MOONLIGHT SYMPHONIA mix.)
10. VIVA LA VIDA
11. PULSE
12. THE CALL
13. EUPHORIA
14. ALEGRiA
15. IGNITE THE NITE
16. SATELLITE
17. Nitefall

En1
01. 銀河航路
02. MASQUERADE
03. 流星
04. FLY INTO DAWN

En2
01. LOTUS

(文・金多賀歩美/写真・@Lc5_Aki、加藤和可女)


【ライブダイジェスト映像】

【リリース情報】
<3ヵ月連続音源リリース>

●第一弾 New Single『ECLIPSE』
2025年8月10日(日)発売

[CD]SSCPC-0030 ¥1,200(税込)

[収録曲]
01. ECLIPSE
02. THE CALL

●第二弾New Single『SPIN THE UNIVERSE -Ai no Wakusei-』
2025年9月11日(木)発売

[CD]SSCPC-0031 ¥1,200(税込)

[収録曲]
01. SPIN THE UNIVERSE -Ai no Wakusei-
02. Nyx Dance Hall

●第三弾New Single『銀河航路』
2025年10月10日(金)発売

[CD]SSCPC-0032 ¥1,200(税込)

[収録曲]
01. 銀河航路
02. FLY INTO DAWN

【ライブ情報】
●defspiral tour 2025 “PRISMA”
11月22日(土)初台DOORS
11月29日(土)大阪Yogibo HOLY MOUNTAIN
11月30日(日)名古屋HeartLand

●defspiral presents MASATO Birthday Party 2025「Radiance of Chaos」
12月26日(金)高田馬場CLUB PHASE

●defspiral new year live 2026「RISING LIGHT」
2026年1月10日(土)渋谷Star lounge

defspiral オフィシャルサイト